東京証券取引所グロース市場に上場
創業5年での上場準備完了
2017年5月の創業から5年が経過した時点で、ANYCOLORはFY21(2022年4月期)売上141.6億円・営業利益41.9億円・営業利益率29.6%という高収益スタートアップへ成長していた。事業構造は配信投げ銭・コマース・ファンクラブ会費・ライブイベントの複合収益構造を整え、コロナ特需の2期目で売上規模が一段階引き上がる局面にあった。
資本構成は創業者・田角陸氏が46.86%(14,031,810株)を保有する非分散型のオーナー経営構造で、続く第2位はLC FUND VIII(11.18%)、第3位はHODE HK(7.98%)、第4位はSkyland Ventures2号投資事業有限責任組合(7.51%)、第5位は株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(5.59%)と、VC・主要事業会社が上位を占めるベンチャー型の株主構成であった。創業初期VCに対するEXIT機会の提供は、上場の主要動機の一つとなっていた。
東証グロース市場への上場実行
2022年6月、東京証券取引所グロース市場に株式を上場した。公開価格1,530円に対し初値は7,150円(4.67倍)と大幅高でデビュー、上場後の時価総額は一時2,000億円を超えた。創業からわずか5年1ヶ月での上場であり、東証グロース市場上場企業の中でも短期間(同期間中央値は10年以上)での創業者個人主導のIPOに該当する。
上場の目的は、(1) ライバー・社員に対する長期的な経営基盤の明示、(2) 創業初期VC(LC FUND・Skyland Ventures等)の出口提供、(3) ブランド認知拡大による広告効果の3軸である。創業者・田角氏は上場後も大株主として議決権の支配比率を維持する設計(売出株式は限定的)で、創業者の長期視点での経営継続を選んだ。
初値4.67倍と株価乱高下
上場直後の2022年6月、株価は高値8,910円を付けた後、半年で大幅下落するなど短期的な乱高下を経験した。創業者・田角CEOは短期株価変動より「ライバーが安心して活動できる長期経営」を優先する姿勢を一貫して維持し、決算説明会や報道インタビューで繰り返し同方針を表明した。
上場により得られた経営基盤の明示効果は、上場後3期連続で前期比+25%超の成長(FY22売上253億円・FY23 320億円・FY24 429億円)を実現する形で結実した。創業初期VCはEXIT機会を得て段階的に保有株式を縮小し、機関投資家・主要事業会社(ソニー・ミュージックエンタテインメント等)の保有比率が上昇する株主構造変化が進行した。
ライバーが安心して活動できる長期的な経営基盤を作る。
- 東証グロース市場に上場
- 初値7,150円(公開価格の4.67倍)
創業から5年1ヶ月での上場は、東証グロース市場の同期間中央値(10年以上)を大きく下回るスピード上場である。初値7,150円(公開価格1,530円の4.67倍)の大幅高は、コロナ特需で急成長したVTuber市場への高い市場期待を反映していたが、半年で株価3分の1まで下落するなど短期的な乱高下も経験した。創業者・田角氏が議決権46.86%を保有し続けるオーナー経営の構造が、短期株価変動より長期事業価値を優先する経営判断を可能にした点に、ANYCOLORの上場前後の経営方針の一貫性が表れている。