野村マイクロ・サイエンスの歴史
沿革
1969年に米ゼネラル・エレクトリックのろ過膜を独占販売するため設立された会社が起源。
1974年に超純水製造システムへ参入し、1983年に韓国の三星半導体通信へ超純水装置を輸出した。半導体工場向けの超純水装置と消耗品を主力とする水処理装置メーカーである。
1969年〜日本橋での設立とアクアメディア技術による超純水事業への参入
- GEが開発したメンブレンの極東地区販売権を獲得[1]
- 東京都中央区日本橋本石町で設立[3]
- 「全日本化学プラントショー」に初出展[1]
- GE社と共同でNuclepore Corporation(NPC)を設立しNPC社株式23%を取得[3]
- 資本金を3億円に増資[1]
- 北興化学工業のニュクリポアー部門の人員・資産を統合[3]
- アクアメディア社から技術導入[3]
- 超純水製造システム事業に参入[3]
- 超純水装置を日本電信電話公社武蔵野通信研究所に納入[1]
- ROによるパイロジェン除去システムを開発し国内製薬会社に納入[3]
- 本社を東京都中央区日本橋鍛冶町に移転[3]
- アクアメディア・日揮との合弁で日本アクアメディアを設立[3]
- 厚木事業所を神奈川県厚木市岡田に移転[1]
- 本社を移転[3]
- 炭酸ガスバブラーを開発[1]
- 売上高
筆者所見
野村マイクロ・サイエンスの出発点は水処理の会社ではなく、GEの膜を扱う輸入販売の会社だった。GE開発のメンブレンの日本・極東地区での独占販売を目的に1969年に設立され、1974年のアクアメディア社からの技術導入で超純水製造システムに進出した[2]。膜という部品の売り手が、膜を組み込む装置の設計者へ立場を移したことになる。部品を見極める目を装置の設計力へ転化した経緯が、半導体向け事業の起点になった。
- [2]野村マイクロ・サイエンス 有価証券報告書(2026年3月期)【沿革】
1983年〜韓国三星・台湾への超純水装置輸出と韓国野村テクノの設立
- 厚木事業所の隣接地に開発研究所を設立[1]
- 韓国三星半導体通信に超純水装置を輸出[3]
- GEとともにNPC社株式をスウェーデン・ボニエールグループに譲渡[3]
- 研究所内に超純水テストプラントを建設[1]
- ティッセンヴァッサーテクニク社に超純水技術を供与[1]
- 厚木営業所を開設[3]
- 超純水装置を納入し台湾市場に参入[1]
- ユニット型「ハイピュアモニター」(HPM)を開発[1]
- 極水股份有限公司と技術提携契約を締結[1]
- 台湾・極水股份有限公司に超純水装置を納入[3]
- HPMが米国環境科学協会の「技術著作者賞」を受賞[1]
- 本社を東京都港区芝大門に移転[1]
- アグルー社のPVDF製品の日本総代理店契約を締結[1]
- グレック社へ高性能真空脱気塔技術を供与[1]
- 新社屋を厚木市岡田に建設し本社を移転[3]
- ウエハー表面洗浄技術の研究を展開[1]
- 三星電子向けメンテナンス受注のため韓国に野村テクノを合弁設立(出資50%)[3]
- TMAH廃液のバイオ技術を確立[1]
- 新竹市に台湾支店を開設[3]
- Ionics社より電気再生式イオン交換装置(EDI)システムを導入[1]
- 100%子会社野村マイクロ・サイエンスUSAを設立(2002年5月清算)[3]
- CMP用薬液供給装置を開発[1]
- 野村マイクロ・サイエンスUKを設立[3]
- 売上高
筆者所見
韓国・台湾への輸出は、半導体の生産で後発だった両地域の工場の立ち上げに、装置と保守の両面から入り込む判断だった。1983年に韓国三星半導体通信へ超純水装置を輸出し、1987年には台湾の極水股份有限公司へ納入した[3]。1993年には三星電子向けの保守を受注するため、韓国に野村テクノを合弁で設立した[3]。納入で取引を終えず、保守の拠点まで現地に置いた点に装置会社としての特色がある。顧客の増設が続くかぎり、納入と保守の双方で収益を得る構造を備えた。
- [3]有価証券報告書(2026年6月23日)
1998年〜野村ピュア・アグルー・ジャパンの合弁設立と上海進出
- ピュアレックスとの合弁で野村ピュアを設立(出資71%)[3]
- 硬度リークモニター「ZEROCA」を上市[1]
- ナムテックを100%子会社化[3]
- オーストリア・アグルー社との合弁でアグルー・ジャパンを設立(出資80%)[3]
- Hantech社との合弁で中国に上海野村水処理国際貿易有限公司を設立(出資70%)[3]
- 微量過酸化物モニター「NOXIA」を上市[1]
- 炭酸エチレンを使ったレジスト剥離技術を確立[1]
- 神奈川工業技術開発大賞「地域環境技術賞」を受賞[1]
- 韓国支店を開設[1]
- 野村ピュアを100%子会社化[3]
- アグルー・ジャパンを100%子会社化[3]
- 野村ピュアを吸収合併[1]
- Hantech社との合弁で中国に上海野村水処理工程有限公司を設立[3]
- ナムテックとアグルー・ジャパンを吸収合併[4]
- 野村マイクロ・サイエンスUSAを設立[3]
- 野村マイクロ・サイエンスSingaporeを設立[3]
- 上海野村水処理国際貿易の出資持分をHantech社に譲渡[3]
筆者所見
1998年からの合弁の設立は、事業の拡張というより、本体へ取り込む前の試行期間として機能した。ピュアレックスとの合弁の野村ピュアと、オーストリアのアグルー社との合弁のアグルー・ジャパンは、いずれも2005年に100%子会社となり、2006年に本体へ吸収合併された[3][4][1]。外部の技術を合弁で試し、成果を見極めてから自社に組み入れる手順である。出資比率を段階的に高める進め方が、2007年の上場を前に製品群の幅を整えた。
- [3]有価証券報告書(2026年6月23日)
- [4]有価証券報告書 第50期(2019年6月21日)
- [1]野村マイクロ・サイエンス 公式サイト「沿革」(2026年10月)
2007年〜ジャスダック上場と台湾・シンガポールへの拠点拡大
- ジャスダック証券取引所に株式を上場[3]
- クラレとの合弁でクラレアクアを設立(出資45%・2012年3月合弁解消)[3]
- 新設分割でアグループラスチックを設立[3]
- 上海日村商貿有限公司を設立[3]
- 野村微科學工程股份有限公司を設立(出資100%)[3]
- NADを設立(出資100%)[5]
- 子会社を通じ銅仁市栄盛興環保科技工程有限公司に出資[3]
- 駐在員事務所を開設[3]
- 上海野村水処理工程有限公司が西安支店を開設[3]
- 上海野村水処理工程有限公司が広州支店を開設[3]
- NADが研究所を新設[3]
- 浄水・汚水処理事業で黔東南州凱創水資源環保科技工程を設立[3]
- 野村コリアがNADを吸収合併し野村マイクロ・サイエンス コリアに商号変更[3]
- 野村マイクロ・サイエンスVietnamを設立(出資100%・2021年3月清算決議)[3]
- AEO制度の「特定輸出者」の承認を取得[3]
- 東京証券取引所市場第二部に指定替え[3]
- 東京証券取引所市場第一部銘柄に指定[3]
- 東京証券取引所プライム市場に移行[3]
- 水翼(上海)成套工程有限公司の全出資持分を取得[3]
- 野村(上海)水処理工程技術有限公司に商号変更[3]
- 水翼(上海)成套工程を子会社化[3]
- 野村マイクロ・サイエンスSingaporeを設立(出資100%)[3]
- 上海野村水処理工程有限公司が野村(上海)水処理工程技術有限公司を吸収合併[3]
筆者所見
2007年のジャスダック上場以降の歩みは、規模の拡大より、顧客の工場がある地域へ拠点を再配置する作業の連続である。2011年に台湾で野村微科學工程股份有限公司を全額出資で設立し、2014年には韓国の子会社を野村マイクロ・サイエンス コリアへ改称した[3]。拠点の地図は、超純水装置の需要地の地図と重なる。2024年のシンガポール法人の設立も同じ考え方に立つ[3]。半導体の生産地が移るたびに、拠点網の組み替えを迫られる事業でもある。
- [3]有価証券報告書(2026年6月23日)