The社史 — 上場企業の歴史を振り返る

日本の上場企業を中心とした253社の企業史をまとめた個人サイト。創業から現在に至る意思決定の軌跡を、財務データや業績推移とともに記録しています。

The社史(カバレッジ253社)

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2501
サッポロビール
売上高5,068億円営業利益244億円
サッポロビールの源流は1876年に明治政府の北海道開拓使が札幌に設けた麦酒醸造所にあり、開拓使廃止後は村橋久成・中川清兵衛らの札幌麦酒として事業を継いできた。1906年に札幌麦酒・日本麦酒・大阪麦酒の三社が合同して大日本麦酒が成立すると、国内ビール市場の約77%を占める寡占企業が誕生したが、戦後の過度経済力集中排除法の適用によって1949年に日本麦酒と朝日麦酒の二社へ分割された。戦後の再出発期に柴田清社長が既存ブランドを封印して新ブランド「ニッポンビール」を投入する失策を犯し、キリンへのシェア流出を招いて以後半世紀のシェア3位が固定化し、社内では「柴田の大誤算」と長く語り継がれてきた。 1971年のヱビスビール復活と1994年の恵比寿ガーデンプレイス開業によってプレミアム戦略と不動産事業という二本柱を得たものの、ビール本業は普及価格帯で劣後し続け、資産運用会社的な性格を帯びた収益構造が2007年の米スティール・パートナーズによる買収提案と防衛劇を招いた。2011年のポッカ買収と海外酒類M&Aで成長を図ったが、2023年には3D Investmentから再び資本効率への問いを突きつけられ、2025年にようやく事業持株会社体制への移行決定と不動産事業への外部資本導入という16年越しの回答に踏み出した。2026年10月の酒税改定と次期中期経営計画を目前に控え、プレミアム・ビール集中戦略と2030年の国内酒類事業利益率10%以上の目標を掲げて国内外の構造改革に取り組んでいる。
営業利益その他販管費売上原価営業利益率
FY2006〜FY2025
2502
アサヒグループHD
売上高29,394億円営業利益2,690億円
1949年9月、大日本麦酒の分割によりアサヒビールの前身である朝日麦酒として発足した。吹田・西宮・博多の各工場を引き継ぎ、西日本を主な地盤として再出発したものの、首都圏での供給力と販売網の不足が長期にわたる課題として残った。1960年代以降はキリンとのシェア差を埋められず、シェアは最終的に9.6%まで落ち込んだ。メインバンクの住友銀行は元行員をトップに送り込んで改革を主導し、1982年に就任した村井勉は業績不振の原因を組織の体質のなかに求めた。家庭用市場を主戦場に再定義し、研修制度の整備を通じて働き方の土台から刷新を進め、1986年就任の樋口廣太郎へとバトンが渡った。 1987年発売のアサヒスーパードライは、消費者調査に基づく「すっきり」「キレ」という新しい味と、広告宣伝・販促への集中投下で市場の勢力図を塗り替えた。2001年にはキリンを抜いて業界首位に立った。2012年にはカルピスの全株式を約920億円で取得して飲料事業の質を転換し、2016年以降は欧州・豪州で計2兆円超の大型買収を重ねて、日本・欧州・豪州の三極体制を築いた。固まった市場でポジションを確保しプレミアム化で収益性を高めるという発想は、国内のスーパードライ革命で培われ、海外事業にもそのまま展開された。成長市場を追わずに安定性を取るこの経営スタイルが、現在のアサヒグループの姿を方向づけている。国内ビール事業の経験と海外ブランド群との相互展開が、次の成長軸となる見通しだ。
営業利益販管費売上原価営業利益率
FY2005〜FY2024
2503
キリンHD
売上高24,333億円営業利益2,096億円
1907年、外国人経営のビール会社を三菱系資本と明治屋の出資で株式会社化し、麒麟麦酒として独立した。原料政策やブランド運営の主導権を日本側で握る方針は、戦前の大日本麦酒との棲み分けを規定し、戦後のシェア争いの出発点ともなった。戦後は家庭用市場の掌握と計画的な設備投資でシェア60%超に達し、業界首位を長く維持した。1987年のスーパードライ攻勢でシェアは下降し、味の転換を迫られながらも既存顧客離反のリスクから判断が遅れた。長年の首位は崩れ、高シェア企業が抱える意思決定の慣性が表面化した。単一事業に依存する経営の危うさを示す事例として、業界内外の関心を集めた。 その後は医薬品事業やファンケル完全子会社化など事業ポートフォリオの転換を進め、ビール・飲料・ヘルスサイエンスの三本柱で経営を再構築している。ブラジル買収の失敗で海外ビール拡大路線の見直しを迫られたキリンは、国内ビール・飲料事業の安定収益を土台に、発酵・培養という本業の技術を横展開して高付加価値領域への転換を進める。ビール会社として出発した企業が、事業ドメインそのものを再定義する途上にあり、医薬品事業の本格化とヘルスサイエンス領域の拡大は、本業の強さが周辺領域への投資余地を生む循環構造の上に立つ。単一カテゴリーの成熟を前提とした経営構造への転換は、日本の食品業界でも独自の路線として注目を集める。
営業利益その他販管費売上原価営業利益率
FY2006〜FY2025

建設6調査済

食品・飲料11調査済

繊維6調査済

化学・素材21調査済

医薬品・医療機器12調査済

鉄鋼・非鉄15調査済

機械・重工21調査済

総合電機・OA18調査済

半導体12調査済

自動車・部品18調査済

精密機器9調査済

電力・インフラ5調査済

海運・物流8調査済

IT・通信17調査済

総合商社8調査済

小売9調査済

金融19調査済

鉄道・不動産16調査済

サービス6調査済

娯楽6調査済

外食2調査済

アパレル・日用品8調査済