The社史 — 上場企業の歴史を振り返る

日本の上場企業を中心とした253社の企業史をまとめた個人サイト。創業から現在に至る意思決定の軌跡を、財務データや業績推移とともに記録しています。

The社史(カバレッジ253社)

ビジネスパーソンに長期視点を普及するため、1人で創っています

AIエージェント向けアクセス情報
2269
明治HD
売上高11,540億円営業利益847億円
1906年に台湾で生まれた製糖会社が、1945年の空襲で焼けた川崎工場でペニシリンの製造に踏み切った瞬間から、食品と医薬品という異質な二つの事業を一つの器に同居させる百年の歴史が動き出した。日本の食品産業は国内市場の成熟と原料コストの高止まりに長年苦しんできた産業であり、明治グループはそのなかで製糖業の垂直統合から発酵技術を介した医薬品参入へという、他社にはない独自の経路をたどった。製糖・製菓・乳業の三社に分裂したまま財閥解体を経た明治グループは、103年後の2009年にようやく経営統合を果たし、売上1兆円を超える食品・医薬コングロマリットへ姿を変えた。戦前の台湾で始まった垂直統合の発想が、現在の事業ポートフォリオをいまも規定している。 しかし「食と医の融合」という統合の本質的な価値は、持株会社化から16年経った現在もなお実現しきれていない。次世代ワクチンとして期待されたコスタイベ(レプリコンワクチン)は、安全性をめぐる風評被害で販売が低迷し、グループの医薬品戦略そのものに見直しを迫った。加えて国内食品事業では工場閉鎖と人事制度改革という厳しい構造変革が同時並行で進み、リーディングカンパニーとしての価格戦略の難しさも主力ブルガリアヨーグルトの数量減という形で露呈した。2025年6月に就任した松田克也社長のもとで、食品コングロマリットが自らの強みを再定義する作業はいま進行中であり、食と医のシナジーをどう具体的な事業に落とし込めるかが問われている。
営業利益販管費売上原価営業利益率
FY2010〜FY2025
2432
DeNA
売上高1,639億円営業利益289億円
1999年3月、マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーだった南場智子はコンサルタントの職を辞し、東京都渋谷区でディー・エヌ・エーを設立した。創業事業のオークションサイト「ビッターズ」はヤフオクが築いたネットワーク効果の壁を越えられず苦戦した。2004年にモバイル領域へ事業の重心を移し、2005年には東証マザーズ上場にまで到達した。2009年の「怪盗ロワイヤル」を起点とするソーシャルゲームが急成長を牽引し、アイテム課金モデルによって広告依存からの脱却を果たした。2011年には横浜ベイスターズの球団株式を取得してスポーツ事業に参入し、2013年3月期には売上高2,024億円・過去最高益を記録するところまで事業の勢いは続いた。 しかし米ngmoco買収の失敗やキュレーションメディア問題を契機として成長の踊り場へと入り、2016年のWelQ問題では第三者委員会が組織風土の歪みを厳しく指摘した。2018年以降はライブ配信・オートモーティブ・ヘルスケアという新規事業領域への分散投資に踏み込んだものの、いずれも収益化には時間を要し、IRIAMやアルムをはじめ買収案件からは減損損失が続いた。2021年の社長交代を経て固定費の圧縮と投資案件の選別が進んだ。ゲーム事業一本足からの脱却が創業以来の最大の経営課題として残されたまま、成熟企業としての規律と新しい成長軸の模索とが並行して続く局面へ入っていった。創業期の機動力と上場企業としての資本規律を両立させる試みが、南場会長と新社長体制のもとで続いている。
営業利益その他販管費売上原価営業利益率
FY2006〜FY2025
1332
ニッスイ
売上高8,861億円営業利益317億円
ニッスイは1911年、久原財閥出身の田村市郎が山口県下関で田村汽船漁業部を個人創業し、財閥資本を元手に英国スミス造船所へ発注したトロール船で遠洋漁業を始めた企業である。1919年に共同漁業へ組織変更、1934年に日本産業(日産コンツェルン)傘下入り、1937年に日本水産へ改称、1943年の戦時国策会社化と1945年の社名復帰を経て、1949年に東京証券取引所へ上場した。戦後の食糧難で動物性たんぱく源の需要が急拡大し、北洋漁業と南氷洋捕鯨の二本柱で業界随一の漁獲量を得た。経営陣は1956年から多角総合経営への転換を掲げたが漁業好調で実行は遅れ、1977年の200カイリ規制で漁場の半分を失っても漁労重点投資を続けた結果、1990年3月期には上場以来初の経常赤字を計上した。 200カイリ後の構造転換は容易に進まなかった。2001年10月に北米首位のゴートンズを1.75億米ドルで買収し輸出から現地ブランド保有へ北米戦略を転換した。だがリーマン・ショック後の2009年3月期には純損失162億円を計上し、海外M&A依存の脆さが露呈した。2017年以降は食品事業の高付加価値化を最優先課題に据え直し、2022年12月に商号を「日本水産」から「ニッスイ」へ変更、水産・食品・ファインケミカルの三本柱に絞った。2026年1月にはチリの養殖会社PESQUERA YADRANを完全子会社化し「つくる漁業」への転換を本格化するが、2025年3月期営業利益率は3.6%にとどまり、売上高1兆円の長期目標に対し食品メーカーとしての収益力改善は道半ばである。
営業利益販管費売上原価売上高営業利益率
FY2006〜FY2025

建設・不動産13調査済

食品・飲料11調査済

化学・素材27調査済

医薬品・医療13調査済

鉄鋼・非鉄15調査済

重工7調査済

機械・精密22調査済

電機・事務機18調査済

半導体・部品12調査済

自動車・部品18調査済

インフラ・運輸22調査済

IT・通信16調査済

総合商社8調査済

小売・日用品17調査済

金融19調査済

サービス・外食15調査済