2005年〜 製造業コンサルから始まった4年の試行錯誤とソフトウェアテスト業態転換
- 2005年東京都渋谷区にて設立
- 2009年ソフトウェアテスト事業部を設立しソフトウェアテスト事業を開始
- 2010年ソフトウェアテスト適性能力を測定する「CAT検定」をリリース
- 2010年北海道札幌市に札幌テストセンターを開設
- 2011年福岡県福岡市に福岡テストセンターを開設
- 2012年シンガポール共和国にSHIFT GLOBAL PTE. LTD. を設立
SHIFTの業績推移:単体
出所:有価証券報告書等
31歳でインクス退職、製造業コンサルとして渋谷区で創業した4年間
2005年9月、丹下大氏は東京都渋谷区にSHIFT株式会社を資本金700万円で設立した。当時31歳の丹下氏は同志社大学工学部から京都大学大学院工学研究科を経て、2000年に製造業向けコンサルティング会社のインクス(現SOLIZE)に入社した経歴を持つ。インクス在籍5年間で3人のチームを売上50億円・140名規模の事業まで育てた実務経験から、独立してSHIFTを創業した。インクスでは工程を短縮する手法を「プロセステクノロジー」として特許化し、個人でも2億円のコンサルフィーを稼ぐ立場にあった。創業時の主事業はインクスで担当していた製造業向けプロセス改善コンサルティングで、ソフトウェアテストとは無縁の領域だった。創業の動機について丹下氏は後年のインタビューで以下のように述べた。 [1][2][3][4][5][6][7][8]
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [1]2005年9月 東京都渋谷区にて当社設立(資本金7百万円・丹下大氏が創業)
- [8]創業時の主事業は製造業向けコンサルティング(ソフトウェアテスト未参入)
- [2]創業時の丹下大氏は31歳
- [3]丹下大氏は2000年にインクスへ入社し在籍5年
- [5]インクス在籍中に3人のチームを売上50億円・140名規模の事業まで育成
- [4]1997年 同志社大学工学部機械工学科卒業、2000年 京都大学工学研究科機械物理工学専攻修了、同年インクス入社
- [6]2002年に3名で始めたプロセステクノロジーのコンサル事業が140名・年間50億円のインクスの事業の柱へ成長(在職時に近い同時代記事による裏付け)
- [7]インクス時代に工程短縮手法「プロセステクノロジー」の特許を取得し、個人でも2億円のコンサルフィーを稼いだ
創業から3年余の間、SHIFTは製造業の生産プロセス改善を主力としていた。ただし主力事業が定まっていたわけではない。創業2年目から採用を始めた丹下氏は、コンサルティングと並行して携帯電話のGPS機能を使ったSNS事業やレンタル事業を立ち上げたが、いずれも半年ほどで撤退した。BtoCは自社に向かないと判断してBtoBへ集中する過程で、18名まで増えていた社員は12名に減っている。転機は2007年、ある企業からソフトウェアテストの見積もりが妥当か検証する依頼を受けたことである。丹下氏は製造業のプロセス分析手法をソフトウェアテストの見積もりに適用し、論理的な評価を提供した。これによりソフトウェアテストの工程に製造業の改善手法を持ち込む発想が生まれた。ソフトウェアテストは当時、開発工程の付随作業として軽視されており、専業企業も少なく、テスト工程を独立した事業として標準化する余地のある未開拓領域だった。SHIFTは2009年11月にソフトウェアテスト事業部を立ち上げ、製造業コンサルから業態転換を決断した。最初の受注は2010年3月、1人1時間あたり1,480円という料金を刷ったチラシ1,000枚の配布から得た、東北地方に本社を置く医療施設向けシステム会社の案件である。当初のテスト拠点は赤坂のマンションの一室だった。丹下氏は後年、この事業モデルにたどり着くまでに5年を費やしたことを自らの反省として語っている。 [9][10][11][12]
- [9]創業2年目から社員採用を開始し、コンサルと並行して携帯GPS機能を使ったSNS事業・レンタルビジネスを立ち上げたが、いずれも半年ほどで撤退。BtoCは不得手と判断しBtoBへ集中する過程で社員は18名から12名へ減少
- [11]ソフトウェアテスト事業の初受注は2010年3月、東北地方に本社を置く医療施設向けシステム会社。料金「1,480円/1時間・1人」を記したチラシ1,000枚の配布が営業の起点で、初期のテストセンターは赤坂のマンションの一室
- [12]丹下氏は現行の事業モデルに至るまで5年を要したことを反省として語っている
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [10]2009年11月 ソフトウェアテスト事業部を設立しソフトウェアテスト事業を開始(業態転換)
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [1]2005年9月 東京都渋谷区にて当社設立(資本金7百万円・丹下大氏が創業)
- [8]創業時の主事業は製造業向けコンサルティング(ソフトウェアテスト未参入)
- [10]2009年11月 ソフトウェアテスト事業部を設立しソフトウェアテスト事業を開始(業態転換)
- [2]創業時の丹下大氏は31歳
- [3]丹下大氏は2000年にインクスへ入社し在籍5年
- [5]インクス在籍中に3人のチームを売上50億円・140名規模の事業まで育成
- [4]1997年 同志社大学工学部機械工学科卒業、2000年 京都大学工学研究科機械物理工学専攻修了、同年インクス入社
- [6]2002年に3名で始めたプロセステクノロジーのコンサル事業が140名・年間50億円のインクスの事業の柱へ成長(在職時に近い同時代記事による裏付け)
- [7]インクス時代に工程短縮手法「プロセステクノロジー」の特許を取得し、個人でも2億円のコンサルフィーを稼いだ
- [9]創業2年目から社員採用を開始し、コンサルと並行して携帯GPS機能を使ったSNS事業・レンタルビジネスを立ち上げたが、いずれも半年ほどで撤退。BtoCは不得手と判断しBtoBへ集中する過程で社員は18名から12名へ減少
- [11]ソフトウェアテスト事業の初受注は2010年3月、東北地方に本社を置く医療施設向けシステム会社。料金「1,480円/1時間・1人」を記したチラシ1,000枚の配布が営業の起点で、初期のテストセンターは赤坂のマンションの一室
- [12]丹下氏は現行の事業モデルに至るまで5年を要したことを反省として語っている
CAT検定で人材を「標準化」して大量採用する仕組み
2009年11月にソフトウェアテスト事業を立ち上げたSHIFTは、翌2010年9月に北海道札幌市に札幌テストセンターを開設した。首都圏外でテスト人材を確保するニアショア戦略の第一歩で、2011年12月には福岡テストセンターも開設した。テスト人材の地方拠点での確保は、首都圏のエンジニア採用コストと地方人材の活用ギャップを利益に変える事業設計だった。2010年11月にSHIFTが開発した「CAT検定」(Computer Aided Test)は、ソフトウェアテスト人材の適性能力を測定する独自検定で、未経験者でも一定期間の研修と検定合格でテスト現場に投入できる仕組みを整えた。 [13][14][15]
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [13]2010年9月 北海道札幌市に札幌テストセンターを開設(ニアショア戦略の第一歩)
- [14]2011年12月 福岡県福岡市に福岡テストセンターを開設
- [15]2010年11月 ソフトウェアテスト適性能力を測定する「CAT検定」をリリース
CAT検定の本質は人材の標準化にある。製造業では工程ごとに必要な能力を明文化し、検定や認定で人材を仕組み化することが常識である。SHIFTは製造業の人材標準化の発想をソフトウェアテストに持ち込み、テスト人材の能力を可視化することで大量採用と短期戦力化を同時に達成した。新規採用したエンジニアを社内研修と検定を経て3カ月〜半年で現場に投入できる体制は、テスト需要の急増に応じた人材供給を可能にし、その後の事業規模拡大の基盤となった。連結従業員数はFY15の233名からFY20の2,958名へ5年で12.7倍に拡大した。FY25には連結11,688名(うち単体6,201名)に達し、創業20年で1万人企業の規模となった。 [16]
- [16]研修・検定を経て3カ月〜半年で現場投入できる体制
2012年9月にはシンガポール共和国にSHIFT GLOBAL PTE. LTD. を設立し、初の海外拠点を開設した。同年3月には三井物産、NTTインベストメント・パートナーズなどから総額4億7,200万円の増資を受けており、2012年末時点の従業員は280名、サービス導入企業は約120社、テスト拠点は東京・札幌・福岡とインドに広がっていた。FY13の連結売上高は13億円、経常利益は-78百万円の赤字で、業態転換直後の収益化途上にあった。製造業コンサルからソフトウェアテスト専業への業態転換は、創業4年後の事業選択の組み替えで、創業時の事業計画にはなかった領域への移行である。丹下氏は必要なスキルを持つエンジニアを必要な時に必要な人数だけオンデマンドで供給することを事業モデルの中核に据え、CAT検定と地方センター・オフショア体制を組み合わせ、エンジニアを供給する人材インフラとした。 [17][18][19][20][21]
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [17]2012年9月 シンガポール共和国にSHIFT GLOBAL PTE. LTD. を設立(初の海外拠点)
- [18]2012年3月 三井物産・NTTインベストメント・パートナーズ等から総額4億7,200万円の増資を実施
- [19]2012年末時点の従業員数280名(テスト事業に着手した2010年時点は12名)・2012年12月時点のサービス導入企業 約120社
- [20]2012年12月時点のテストセンターは東京・札幌・福岡とインド、海外拠点はシンガポール(有報【沿革】にインド拠点の記載はなく、同時代記事のみで確認)
- [21]「テストに必要なスキルをもったエンジニアを必要な時に必要な人数、オンデマンドで」供給する事業モデルは丹下社長の発言として出所付き引用に一致
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [13]2010年9月 北海道札幌市に札幌テストセンターを開設(ニアショア戦略の第一歩)
- [14]2011年12月 福岡県福岡市に福岡テストセンターを開設
- [15]2010年11月 ソフトウェアテスト適性能力を測定する「CAT検定」をリリース
- [17]2012年9月 シンガポール共和国にSHIFT GLOBAL PTE. LTD. を設立(初の海外拠点)
- [16]研修・検定を経て3カ月〜半年で現場投入できる体制
- [21]「テストに必要なスキルをもったエンジニアを必要な時に必要な人数、オンデマンドで」供給する事業モデルは丹下社長の発言として出所付き引用に一致
- [18]2012年3月 三井物産・NTTインベストメント・パートナーズ等から総額4億7,200万円の増資を実施
- [19]2012年末時点の従業員数280名(テスト事業に着手した2010年時点は12名)・2012年12月時点のサービス導入企業 約120社
- [20]2012年12月時点のテストセンターは東京・札幌・福岡とインド、海外拠点はシンガポール(有報【沿革】にインド拠点の記載はなく、同時代記事のみで確認)
創業9年目の東証マザーズ上場 ── 買収通貨を手に入れた瞬間
2014年11月、SHIFTは東京証券取引所マザーズ市場に上場した。創業から9年での上場で、上場時のFY14連結売上高は21.5億円、経常利益1.2億円、連結従業員数は約200名規模だった。マザーズ上場時点の事業構造は、ソフトウェアテスト事業をエンタープライズ市場とエンターテインメント市場の2セグメントで展開する形だった。上場翌期のFY15には連結売上高32.8億円・営業利益3.1億円となり、上場で得た知名度から大手顧客との取引が拡大した。マザーズ上場の意義は資金調達というより、M&Aの買収通貨として自社株式を使える基盤を獲得した点にあった。 [22][23]
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [22]2014年11月 東京証券取引所マザーズ市場に上場(創業から9年)
- SHIFT 有価証券報告書 第9期(2014年8月期)【従業員の状況】
- [23]上場時(2014年8月期)の連結従業員数 約200名
2014年1月には本社及び東京テストセンターを東京都港区麻布台に移転し、2015年4月には株式会社SHIFT PLUSを設立、2016年3月にはベトナム社会主義共和国にSHIFT ASIA CO., LTD.を設立してオフショア開発・テスト拠点を整えた。同年6月には株式会社SHIFT SECURITYを設立し、ソフトウェアテスト周辺領域への事業拡張も並行した。本社移転と海外子会社設立は事業規模拡大に伴う体制整備で、CAT検定と地方センター・ニアショア・オフショアの3層構成による人材供給インフラがこの時期に完成した。マザーズ上場後の5年で従業員規模は10倍以上に拡大した。 [24][25][26][27]
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [24]2014年1月 本社及び東京テストセンターを東京都港区麻布台に移転
- [25]2015年4月 株式会社SHIFT PLUSを設立
- [26]2016年3月 ベトナム社会主義共和国にSHIFT ASIA CO., LTD. を設立(オフショア開発・テスト拠点)
- [27]2016年6月 株式会社SHIFT SECURITYを設立(セキュリティ領域参入)
2014年から2016年にかけてのSHIFTは、上場による資本市場アクセスとオフショア体制の整備、子会社設立による事業領域の補完を並行して進めた。これは後に行うM&A連鎖のための準備期間で、買収対象企業の業務をSHIFT本体の人材・体制・標準化された業務プロセスに統合する受け皿としての組織基盤を作る期間だった。創業10年目のFY15の連結売上高32.8億円から、FY18の127.9億円へ4年で約4倍の拡大は、CAT検定と地方センター・オフショア体制を活用した本業の自走成長で達成された。M&A本格化は次の局面で始まる。 [28]
- SHIFT 有価証券報告書 第10期(2015年8月期)【表紙】
- [28]FY15は第10期=創業10年目(2005年9月設立)
- SHIFT 有価証券報告書 第20期(2025年8月期)【沿革】
- [22]2014年11月 東京証券取引所マザーズ市場に上場(創業から9年)
- [24]2014年1月 本社及び東京テストセンターを東京都港区麻布台に移転
- [25]2015年4月 株式会社SHIFT PLUSを設立
- [26]2016年3月 ベトナム社会主義共和国にSHIFT ASIA CO., LTD. を設立(オフショア開発・テスト拠点)
- [27]2016年6月 株式会社SHIFT SECURITYを設立(セキュリティ領域参入)
- SHIFT 有価証券報告書 第9期(2014年8月期)【従業員の状況】
- [23]上場時(2014年8月期)の連結従業員数 約200名
- SHIFT 有価証券報告書 第10期(2015年8月期)【表紙】
- [28]FY15は第10期=創業10年目(2005年9月設立)