ENEOS HDの歴史

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沿革

1888年に新潟県で創立された日本石油が起源。

2010年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合してJXホールディングスが発足し、2017年に東燃ゼネラル石油を完全子会社化した。国内燃料油販売の5割超を占める石油元売の最大手である。

1888年/1912年/1931年1952年1999年2002年2010年2017年2020年2026年日本石油1888年設立日本鉱業1912年設立三菱石油1931年設立株式上場1952年上場日石三菱1999年改称三菱石油1999年合流新日本石油2002年改称JXホールディングス2010年改称決断日本鉱業2010年合流JXTGホールディングス2017年改称決断東燃ゼネラル石油2017年東燃とゼネラルが合併ENEOSホールディングス2020年改称
ENEOS HD
歴代社長と長期業績(敬称略)
2026年3月期
連結
売上高
117,655億円
売上高純利益率
2.2%
高萩松下内田杉森大田齊藤宮田
売上高87,378億円売上高117,655億円純利益率-3.2%純利益率2.2%2002/32006/32011/32016/32021/32026/3
  1. 内藤久寛氏、山口権三郎氏らが有限責任日本石油会社を創立創業[2]
  2. 宝田石油が設立[3]
  3. 米国ソコニーが日本支店を開設[2]
  4. 日本石油に商号変更商号変更[4]
  5. 本社を柏崎に移転[4]
  6. 久原房之助氏が赤沢銅山(後の日立鉱山)を買収して操業開始買収[2]
  7. 新潟鉄工所を分離して新潟鉄工所を設立[4]
  8. 久原鉱業を設立[2]
  9. 本社を東京丸の内に移転[4]
  10. 日本初のガソリンスタンドが開設[3]
売上高
  • 売上高
ENEOS HD売上高—
歴史詳細を読む有限責任日本石油会社の創立と越後の油田開発

筆者所見

日本石油と宝田石油の明治の競争は、規模の集め方の違いとして読める。宝田石油は1893年の創立から明治40年までに124の会社・組合を合併した[1]。日本石油は米国の綱索式鑿井機械を輸入して尼瀬の海底油田で出油に成功し、1895年には新潟鉄工所を開設して機械の自給を図った[1]。数で並ぶ相手に対し、日本石油は掘る技術を社内に抱えることで浅い油層の枯渇に先回りした。1914年の黒川油田の噴油は、その技術の蓄積の上に成った。

  1. [1]会社銀行八十年史 1955「日本石油」
成長期

1921年〜宝田石油との合同と戦時統制による石油会社の集約

  1. 日本石油が宝田石油を合併[2]
  2. 社屋「有楽館」完成に伴い本社を移転[4]
  3. 小倉石油が設立[3]
  4. 日本産業の鉱山・製錬部門を分離・独立させて日本鉱業を設立[2]
  5. 三菱石油が設立[2]
  6. ソコニーとヴァキューム・オイルが合併してソコニー・ヴァキューム日本支店に[2]
  7. 興亜石油が設立[2]
  8. スタンヴァック設立によりスタンヴァック日本支社に[2]
  9. 東亜燃料工業が設立[2]
  10. 日本石油が小倉石油を合併[2]
  11. 政府の勧奨に従い鉱業部門を帝国石油に譲渡[4]
  12. ゼネラル物産が設立[2]
売上高
  • 売上高
ENEOS HD売上高—

筆者所見

日本石油の昭和前期は、拡大の手段が自社の合併から国策への従属へ移った30年だった。1921年に宝田石油を合併し、越後で対立した二大勢力が一つになった[2]。1941年に小倉石油を合併した翌年、政府の勧奨に従って鉱業部門を帝国石油に譲渡した[2][4]。採掘から始まった会社が、戦時統制のもとで精製と販売を本業とする会社へ形を変えたことになる。上流を譲渡した構造は、戦後に原油を海外に依存する前提を残した。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月24日)
  2. [4]会社IR「有価証券報告書(第190期)」(2005年)
成長期

1951年〜日本石油の外資提携による石油精製と石油化学への進出

  1. 日本石油精製を設立[2]
  2. 三菱石油が東京証券取引所に株式を上場上場[4]
  3. 九州石油が設立[3]
  4. 三菱石油の水島製油所が完成[4]
  5. スタンヴァックの再編成によりエッソ・スタンダード石油とモービル石油を設立[2]
  6. 日石本館完成に伴い本社を東京芝田村町に移転[4]
  7. 極東石油工業が設立[3]
  8. 共同石油が設立[2]
  9. 三菱石油が東北石油を設立[4]
  10. シンガポール法人Nippon Oil(Asia)を設立[4]
  11. エッソ・スタンダード石油がエッソ石油に商号変更商号変更[3]
売上高
  • 売上高
ENEOS HD売上高—

筆者所見

戦後の石油業界の構図は、外資系と民族系の色分けで決まった。日本石油は1951年に日本石油精製を設立し、1961年にはスタンヴァックの再編でエッソ・スタンダード石油とモービル石油が生まれた[2]。1965年には共同石油が設立された[2]。元売りが系列ごとに分立したままでは、各社が精製設備を個別に保有し、国全体で過剰な能力が積み上がりやすい。1980年代以降の提携と合併は、この分立を解く工程として位置づけられる。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月24日)
転換期

1984年〜三菱石油との合併による日石三菱の発足と新日鉱HDとの統合合意

  1. 三菱石油と仕入・精製・物流・販売の業務提携を開始[4]
  2. オーストラリア法人Nippon Oil(Australia)を設立[4]
  3. 米国法人Nippon Oil Exploration U.S.A.を設立[4]
  4. 日石アジア石油開発を設立[2]
  5. 日鉱金属を設立[2]
  6. 日本鉱業が金属資源開発・金属・金属加工部門を日鉱金属に譲渡[2]
  7. 日本鉱業が共同石油を合併して日鉱共石に商号変更商号変更[2]
  8. 日鉱共石がジャパンエナジーに商号変更商号変更[2]
  9. 英国法人Nippon Oil Exploration and Production U.K.を設立[4]
  10. 三菱石油との合併と日石三菱発足合併・経営統合
  11. 日本石油が三菱石油を合併して日石三菱に商号変更商号変更[2]
  12. エッソ石油株式会社とモービル石油株式会社が有限会社に組織変更[2]
  13. ゼネラル石油が東燃を合併して東燃ゼネラル石油に商号変更商号変更[2]
  14. ENEOSブランドが誕生[3]
  15. 日石三菱精製が興亜石油・東北石油を合併して新日本石油精製に商号変更商号変更[2]
  16. 日石三菱が新日本石油に商号変更商号変更[2]
  17. エッソ石油がモービル石油を合併してエクソンモービルに[2]
  18. ジャパンエナジーと日鉱金属が株式移転で新日鉱ホールディングスを設立[2]
  19. 新日本石油が九州石油を合併[2]
  20. 新日本石油と新日鉱HDが経営統合の基本覚書を締結[2]
  21. 両社が株式移転による経営統合契約を締結[2]
売上高経常利益率
  • 売上高
  • 経常利益率
ENEOS HD2005年3月期売上高49,242億円売上高経常利益率4.3%

筆者所見

三菱石油との合併は、1998年の一度の決断というより、15年に及ぶ助走の到達点だった。1984年11月に三菱石油と仕入・精製・物流・販売の業務提携を始め、1999年4月に合併して日石三菱となった[4][2]。製油所から販売網まで互いの業務を知る相手だったことが、合併の実行を早めた。提携で地ならしをしてから統合へ移る手順は、2008年の新日鉱HDとの経営統合でも繰り返された。業界再編の主導権を握る型が、日本石油に定着した。

  1. [4]会社IR「有価証券報告書(第190期)」(2005年)
  2. [2]有価証券報告書(2025年6月24日)
低迷期

2010年〜JXHDの発足と原油安による2期連続の赤字

  1. 両社の臨時株主総会でJXホールディングス設立の株式移転計画を承認[2]
  2. 新日鉱と経営統合合併・経営統合[2]
  3. 高萩光紀が初代社長に就任社長交代
  4. 事業会社3社を設立(JX日鉱日石エネルギー、同開発、同金属)[2]
  5. JX日鉱日石エネルギーが新設分割で大阪国際石油精製を設立[6]
  6. エクソンモービル有限会社がEMGマーケティング合同会社に組織変更[2]
  7. 松下功夫が2代社長に就任社長交代
  8. メガソーラー発電事業を開始[3]
  9. 国内初の水素ステーションが開所[3]
  10. 通期で初の大規模赤字転落赤字転落[5]
  11. 内田幸雄が3代社長に就任社長交代[5]
  12. 家庭用電気小売事業へ参入して「ENEOSでんき」の提供を開始[3]
  13. JX日鉱日石エネルギーがJXエネルギーに商号変更商号変更[2]
  14. 2期連続の赤字赤字転落[5]
  15. JXグループと東燃ゼネラルグループが経営統合契約等を締結[3]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • 営業利益
  • 営業利益率
ENEOS HD2016年3月期売上高87,378億円売上高営業利益率-0.7%

筆者所見

JXHDの発足が稼いだのは時間であり、需要減への解答ではなかった。2010年4月にJXHDが発足し、2015年3月期に通期で初の大規模赤字へ転落、翌期も赤字が続いた[2][5]。石油開発と精製を一つに抱える構成は、資源高の局面で利益を押し上げる一方、原油安では在庫と資産の価値の低下を同時に招く。2016年8月に東燃ゼネラルグループと経営統合契約等を締結した[3]。東燃ゼネラル石油との統合は、一度の統合で供給過剰が解けなかったことの裏返しと言える。

  1. [2]有価証券報告書(2025年6月24日)
  2. [5]有価証券報告書
  3. [3]ENEOSホールディングス 公式サイト「沿革」(2026年10月)
転換期

2017年〜東燃ゼネラル石油の統合によるENEOSへの改称と齊藤猛社長の解任

  1. 東燃ゼネラル石油がEMGマーケティングを合併[2]
  2. 東燃ゼネラルと統合合併・経営統合[2]
  3. 杉森務が4代社長に就任社長交代[5]
  4. 大田勝幸が5代社長に就任社長交代[7]
  5. JXTGHDがENEOSHDに商号変更商号変更[2]
  6. NIPPO談合と親子上場の解消不祥事・信頼回復
  7. 再エネのJRE買収隣接領域への展開[5]
  8. 齊藤猛が6代社長に就任社長交代[5]
  9. 和歌山製油所を閉鎖リストラ・構造改革[8]
  10. グループ運営体制変更、電気・都市ガス・機能材等を分社化[5]
  11. ENEOSの電気・都市ガス事業を吸収分割によりENEOS Powerが承継[2]
  12. サクセッションプランの再構築機関設計・取締役会改革
  13. Nippon Oil Exploration (Niugini)が特定子会社から離脱[9]
  14. JX石油開発がENEOS Xploraに商号変更商号変更[2]
  15. JX金属の分離上場分社・スピンオフ・子会社上場[2]
  16. Par Pacific・三菱商事とバイオ燃料製造販売事業に参入合意[8]
  17. Chevron Singapore等の子会社取得を決定[9]
  18. Chevronのアジア6か国事業の取得クロスボーダーM&A(日本→海外)
  19. JX金属の自己株式公開買付けに応募買収[9]
売上高営業利益率
  • 売上高
  • 売上原価
  • 販管費
  • その他費用
  • 営業利益
  • 営業利益率
ENEOS HD2026年3月期売上高117,655億円売上高営業利益率4.0%

筆者所見

ENEOSの2017年以降の難所は、事業の組み替えより経営トップの継承にあった。2018年6月に杉森務氏、2020年6月に大田勝幸氏、2022年4月に齊藤猛氏が社長に就任した[5][7]。4年で3人が交代する頻度では、JREの買収やJX金属の分離上場のような長期の投資判断を同じ社長が最後まで見届けにくい。後継者計画の再構築が人材像の定義から手を付けたのは、選び方そのものに欠陥があったからである。脱炭素へ事業を移す工程は、社長の任期よりはるかに長い。

  1. [5]有価証券報告書
  2. [7]ENEOSホールディングス 有価証券報告書 第11期(2021年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(2021年3月)
出典・参考9件
出典・参考
  • [1]会社銀行八十年史 1955「日本石油」
  • [2]有価証券報告書(2025年6月24日)
  • [3]ENEOSホールディングス 公式サイト「沿革」(2026年10月)
  • [4]会社IR「有価証券報告書(第190期)」(2005年)
  • [5]有価証券報告書
  • [6]有価証券報告書 第1期(2011年6月27日)
  • [7]ENEOSホールディングス 有価証券報告書 第11期(2021年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(2021年3月)
  • [8]IR
  • [9]臨時報告書

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