日本トムソン(ニードルベアリングの製造会社)の創業者であり発明家の寺町博は、会社の資金を流用した小豆相場の失敗が明るみになり、日本トムソンの社長を辞任。メディアからは「商品相場で社長転落」と報道されたという。そして、東邦精工(現THK)を設立し、再起を図る。

日本トムソン(ニードルベアリングの製造会社)の創業者であり発明家の寺町博は、会社の資金を流用した小豆相場の失敗が明るみになり、日本トムソンの社長を辞任。メディアからは「商品相場で社長転落」と報道されたという。そして、東邦精工(現THK)を設立し、再起を図る。
寺町博はベアリングの技術者だったこともあり、新製品の開発に専念。垂直方向の位置決めを正確に行うためのガイドの開発に成功し、販売を開始した。直動システムは、NC旋盤、工作機械、研削盤、半導体製造装置、塗装ロボットなど、精密な位置決めが必要な製造装置に組み込まれ、THKの主力製品に育った。
THKはNCやロボット、半導体製造装置の普及とともに順調に業容を拡大し、1981年3月期に売上高113億円、経常利益21億円を達成。1983年には直動システムで国内シェア90%を確保したという。
社名の由来は「てらまち(T)ひろし(H)株式会社(K)」と憶測されたこともあったが、「タフネス(T)・ハイクオリティ(H)・ノウハウ(K)」が由来らしい
THKは株式公開により額面50円に対して初値19,000円を記録し、日本一の株価(*時価総額ではない)を記録。株価で任天堂を抜いたことで注目を集めた。
1990年代を通じて寺町博が株式投資の失敗によって抱えた損失により、THKの業績が悪化。本業の直動システムの製造販売が好調な一方で、株式投資失敗による損失計上と、巨額有利子負債が重荷となった。1997年に創業者の寺町博が社長を退任し、同氏の長男である寺町彰博が社長に就任した。