株式会社ピースオブケイクを設立
ダイヤモンド社の編集者・加藤貞顕氏が独立
2011年12月に加藤貞顕氏は株式会社ピースオブケイクを設立し、起業家に転身した。加藤氏は起業前にダイヤモンド社において書籍出版の編集を手掛けており、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』といったベストセラーを担当したことで知られていた。
ただし、紙を重視する出版社ではインターネットにおけるコンテンツを取り扱うことが難しいと判断し、インターネット上で書籍のようなコンテンツを扱う「cakes」を構想した。
有料コンテンツとしてcakesを運営
2012年9月にcakesのサービス提供を開始した。インターネット上で有名作家のコンテンツを閲覧できるサービスであり、利用者は150円/週の購読料を支払うことによってサービスを利用できた。
150円の価格設定については、加藤氏は雑誌の購読を意識していた。この点について、加藤氏は「cakesは立ち読み的に読むこともできますし、「この記事のために1週間150円払おう。そのあと退会しよう」という使い方でもかまいません」(2012/9/11エキレビ)と述べている。
作家への還元に関しては、ページビューの数に基づいて行われ、購読料の60%が還元される仕組みであった。これらの仕組みは、インターネット上においては、無料ブログが当たり前だった風潮に対して、異質なサービスといえた。
集客のために有名作家に執筆を依頼
加藤氏はダイヤモンド社の編集者であったという経歴から、cakesのサービス開始に当たって、有名作家に対してcakesに執筆した。この結果、cakesのリリース段階において「 飯田和敏、海猫沢めろん、大槻ケンヂ、岡田斗司夫、黒田勇樹、近藤正高、津田大介、速水健朗、美少女図鑑、本田透、枡野浩一、三田紀房、茂木健一郎、山形浩生、finalvent」(2012/9/11エキレビ)といった著名人が執筆予定であることを公表した。
このため、cakesは有名作家のエッセイがネット上で、有料閲覧できるサービスとして認知された。
cakesのサービス提供を開始
2012年9月11日にcakesのサービス提供を開始。購読料「150円/週」でスタート。従来の広告収入に依存したブログとは一線を画すメディアとして注目を浴びた。また、この時点でスマホでの閲覧を想定した
分かりやすく言うと……現状のインターネットを見ると、Webのメディアは井上雄彦さんの原稿を載せられる収益構造にはなっていませんよね。村上春樹さんも。現在のWebにあるコンテンツというのは、大きく分けると、アマチュアが作ったコンテンツと、プロが宣伝のために作ったコンテンツの2つです。(前者はブログのようなもの、)後者は何かというと、何か他の事業やコンテンツの宣伝のために作られているようなもののことです。井上雄彦さんや村上春樹さんといった、スーパーなプロフェッショナルが全力投球で作ったコンテンツを出せる場所を、インターネット上に作りたい。大きく言えば、これが(cakesで)やりたいことです。
「統計学は最強の学問である」の書籍企画に関与
統計学者・西内啓氏が執筆した『統計学は最強の学問である』(ダイヤモンド社)は、執筆過程の原稿をcakesで連載し、出版と同時にベストセラーとなった。以後、cakesから書籍出版につなげる流れが定着
3億円を調達。評価額は不明
割当先はフェムトグロースキャピタル、ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合の2社。調達資金の用途は、開発者やデザイナー、編集者など、cakeに関する人員採用