PL

売上高の長期推移

売上高・売上収益ベース(連結優先)| 単位:億円
セグメント売上高
2024/3 | 連結
ITインフラ流通事業
ダイワボウ情報システム
8946億円
繊維事業
祖業に相当
592億円
産業機械事業
-
132億円
PL

税引後利益の長期推移

税引後利益・当期純利益・当期利益ベース(連結優先)| 単位:億円
営業利益
2024/3 | 連結
ITインフラ流通事業
-
282億円
繊維事業
-
15億円
産業機械事業
-
10億円
調整額
-
0億円
1941年4月
紡績4社が合併・大和紡績を設立

戦時経済下の1941年に、綿華紡績(佐賀県)、日出紡織(和歌山県)、出雲製織(島根県)、和歌山紡織(和歌山県)の4社が合併して大和紡績を設立。本社事務所を大阪市内に設置した。

なお社名の由来は、合併した各社が一致団結するために「大和」の文字が採用された。

1949年5月
東京証券取引所に株式上場
1952年6月
大阪御堂筋に本社ビルを新設

1950年代を通じて大和紡績は繊維の好景気という恩恵を受けて業容を拡大。1952年には大阪の一等地である御堂筋に近代的な自社ビルを竣工し「十大紡績」の1社として認識され、日本を代表する企業に発展した。

1963年9月
プラスチック成形に参入
1963年12月
合成繊維に新規参入

天然繊維が主体であった構造を正すために、大和紡績は合成繊維への進出を決断。兵庫県に播磨工場を新設し、ポリプロピレンの製造を開始する。

1968年11月
空気精紡機を運転開始
1971年6月
東南アジアで繊維の現地生産を開始
1971年
6月
インドネシアにP,.T. Primatexco Indonesiaを合弁設立
1973年
1月
ブラジルにDaiwa Do Brasil Textilを設立
1975年
経常赤字に転落

ニクソンショックおよびオイルショックにより日本経済が苦境に陥ると、繊維業界も合成繊維を含めて大きな打撃を受けた。このため、大和紡績は1975年に29億円の経常赤字を計上。1976年には無配に転落した。

1982年
情報分野への進出のために子会社「ダイワボウ情報システム」を設立

大和紡績は情報分野に進出するために「ダイワボウ情報システム」を設立し、当時、日本国内で普及しつつあったパソコンやOA機器などの販売事業を立ち上げた。

ダイワボウ情報システムの特色は支店網の充実にあった、佐賀や金沢など、大和紡績の主力工場が存在する地方に支店を設置し、主に地方における販売網を充実させた。競合の大塚商会が都心部への直販を主体にするのに対して、ダイワボウは地方の卸売というポジションを確保し、両社の棲み分けにつながった。

1982年4月
稲沢工場を閉鎖

1982年4月に稲沢工場を閉鎖。工場跡地を日本メナード化粧品に売却

1983年
日本電気と販売特約店契約を締結

ダイワボウ情報システムは日本電気(NEC)との特約店契約を締結し、同社の主力製品であるPC-9800を販売する体制を構築する。ダイワボウは繊維業界では当たり前であった「大量の在庫を持つ」という常識をパソコン・OA機器の業界にも取り入れて、顧客に対して「素早く納入できる」体制を売りにして業容を拡大する。このため、ダイワボウ情報システムは在庫リスクを抱えて利益を確保するビジネスモデルに特色があった。

1984年
9期連続の無配

繊維事業の不振により、大和紡績は9期連続の無配にて転落。過剰設備を抱えた状態で、繊維事業の継続が困難な状況に陥る。

1986年3月
佐賀工場を閉鎖

1986年3月に大和紡績の主力紡織工場の1つであった佐賀工場を閉鎖

1988年2月
レーヨン事業を分離縮小
1992年
中央物流センターを新設

ダイワボウ情報システムはパソコンの在庫を保持するために、大阪茨木に中央物流センターを新設。顧客に対する即納体制をさらに充実させた。

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 1993年3月期(連結)
売上高
1742
億円
当期純利益
-11
億円
1997年
ダイワボウ情報システムが東証第2部に株式上場
1999年
関東に物流センターを新設

1990年代を通じてダイワボウは全国各地に物流センターを新設して在庫の即納体制を確立し、1999年には埼玉に2か所の物流拠点を新設した。2007年時点で営業所67か所、物流拠点11か所(札幌、仙台、埼玉加須3拠点、静岡袋井、愛知小牧、大阪茨木、神戸須磨、岡山、福岡筑紫野)を稼働し、納品体制を構築。

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 2000年3月期(連結)
売上高
821
億円
当期純利益
-46
億円
2007年
舞鶴工場を閉鎖

2007年6月に舞鶴工場で火災が発生。繊維事業の競争力低下により舞鶴工場を閉鎖

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 2008年3月期(連結)
売上高
672
億円
当期純利益
9
億円
2007年
エフィッシモが株式をダイワボウ情報システムの株式を42.98%取得

親会社の大和紡績は繊維業界における業績不振によって経営が行き詰まる一歩、子会社のダイワボウ情報システムはオフィスのIT化という市場拡大の追い風を受けて順調に業容を拡大した。このため、親会社の企業価値が、子会社の企業価値を下回る状況になった。このため、機関投資家のエフィッシモはダイワボウ情報システムの株式42.98%を取得して企業価値の是正を促した。

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 2008年3月期(連結)
売上高
672
億円
当期純利益
9
億円
2009年
ダイワボウ情報システムと経営統合・ダイワボウHDに商号変更

親子上場といういびつな構造を是正するため、2009年に大和紡績とダイワボウ情報システムは株式交換により経営統合を決定。ダイワボウHDを発足した。

この過程で大和紡績は最大369億円でダイワボウ情報システムの株式をTOBによって取得する方針を決め、子会社の大株主であったエフィッシは90億円の売却益を確保したと言われている。

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 2010年3月期(連結)
売上高
4489
億円
当期純利益
14
億円
2021年3月
過去最高益を達成

2010年代を通じて子会社のダイワボウ情報システムにおいて、IT機器の販売を拡大。2021年3月期にダイワボウHDは過去最高益となる当期純利益257億円を計上した。

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 2021年3月期(連結)
売上高
10435
億円
当期純利益
257
億円
2021年9月
和歌山工場を閉鎖
2023
11月

繊維事業から撤退

ダイワボウHDとしては祖業である繊維事業からの撤退を決定。ダイワボウHDは繊維事業の子会社である大和紡績(2023年3月期:売上高627億円)について、保有する株式の85%の売却(残り15%は継続保有)。売却先は投資ファンドのアスパラントグループに選定。ダイワボウHDとしては、ITインフラ流通事業であるダイワボウ情報システムに注力する方針を公表した。

子会社売却に伴いダイワボウHDは、遷移事業譲渡資産について減損損失167億円を計上した。

なお、ダイワボウHDが大和紡績の株式15%を継続保有する理由は、取引先や従業員に対する配慮であったという。2023年3月期末時点で繊維事業の従業員数は2,841名であった。2024年の時点で大和紡績は国内および海外に生産拠点を擁し、国内では「出雲工場・明石工場・播磨工場・美川工場・益田工場」を稼働している。

業績
ダイワボウHD(大和紡績) | 2024年3月期(連結)
売上高
9677
億円
当期純利益
42
億円
出所
参考文献
日経新聞:ダイワボウHD、祖業の繊維事業から撤退 大和紡績売却へ, 2023/11/22
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