レーザーテックの歴史

マスクブランクス検査装置
Last Updated: | Author: @yusugiura
歴史概要
1960
有限会社東京ITV研究所を創業
松下通信工業に勤務していた内山康(当時29歳)が独立を決意し、1960年に「有限会社東京ITV研究所」を創業した。 創業時から「世の中にないものを作る」という理念を掲げていたというが、当初は医療機関向けの「X線ビデオカメラ」の受託開発を行なっていた。
1962
日本自動制御株式会社を設立
事業の本格展開のため、株式会社として「日本自動制御(現レーザーテック)」を設立した。
1971
ビデオテープ向け検査装置を開発
当時普及しつつあったビデオテープに使用する「磁気テープ」の品質を検査するための「テンションアナライザー」を開発し、検査装置事業に本格参入した。 磁気テープの幅が一定であることを計測するために、二台のカメラを用いた装置を開発した。 この結果、光学技術を各種製造装置に応用させることが、今日に至るまでレーザーテックの特色となった。
1975
顕微鏡自動焦点装置を開発
光学技術を応用して、顕微鏡の関連部品を開発した。 続いて、1980年代には顕微鏡の製造に参入し、好況・不況の波が激しい検査装置事業の影響を緩和するために、安定した需要がある顕微鏡の事業を継続した。
1976
半導体向け検査装置を開発
半導体製造における回路印刷(露光)に必要になる「フォトマスク」に関して、フォトマスクに欠陥がないかを判別するための検査装置「フォトマクス欠陥検査装置」を世界で初めて開発...
詳細なレポートを読む ( 487文字)
1990
株式を店頭登録
1990年にレーザーテックは株式を店頭登録し、上場の準備に入った。 1991年に公表した有価証券報告書によれば、同社の従業員数は55名、売上高25億円、経常利益6.9億...
詳細なレポートを読む ( 203文字)
1992
創業者急逝・業績低迷
1992年に創業者である内山康が社長が61歳の若さで急逝した。以後、レーザーテックは生え抜き出身の社長が歴任する体制となり、株式上場を2005年まで見送る形となった。 ...
詳細なレポートを読む ( 241文字)
2002
グローバル展開を本格化
衰退する日本の半導体産業と訣別するために、2000年代を通じてレーザーテックはグローバル展開を本格化した。2002年には韓国ソウル、2006年には台湾に支社を設立した。...
詳細なレポートを読む ( 215文字)
2005
ジャズダックに株式上場
2009
岡林理氏が社長就任
岡林理氏がレーザーテックの社長に就任し、半導体関連装置を重視する方針を打ち出した。以後、2022年の現在に至るまで、岡林氏がレーザーテックの社長を歴任している。
2009
最終赤字に転落
リーマンショックによって半導体企業の設備投資がストップし、レーザーテックの業績も悪化した。この結果、2009年にレーザーテックは最終赤字に転落した。
2011
EUV向け検査装置の開発開始
2011年にレーザーテックは、官民共同による「EUV露光基盤開発センター」から、EUV(極端紫外線)に対応したマスクブランクスの検査装置の開発を依頼されたことを受けて、...
詳細なレポートを読む ( 538文字)
2012
東証第2部に株式上場
2013
東証第1部に株式上場
2017
EUV向け検査装置の開発成功
数年の研究期間を経て、レーザーテックはEUV向けのマスクブランクスの検査装置を、世界で初めて開発に成功した。 この結果、2010年代後半以降にレーザーテックは、TSMC...
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2022
時価総額2兆円を突破
2017年度のレーザーテックの売上高は173億円であったが、EUVの普及を受けて、2021年度に売上高702億円を達成し、急成長企業として注目を浴びた。 EUV向けは競...
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Report

1976 半導体向け検査装置を開発

半導体製造における回路印刷(露光)に必要になる「フォトマスク」に関して、フォトマスクに欠陥がないかを判別するための検査装置「フォトマクス欠陥検査装置」を世界で初めて開発した。フォトマスク向けの検査装置が、2022年の現在に至るまでレーザーテックの主力事業に育ったため、同社の歴史におけるもっとも重要な製品開発である。

1970年代は半導体の量産工程が自動化されていく黎明期であり、フォトマスクという技術が登場した時期であった。だが、当時はフォトマスクに問題がないことを検査するためには人手が必要で、顕微鏡を覗いてマスクに描かれた回路に不良箇所がないかを調査しており、信頼性や過酷な労働が問題になっていた。

労働集約的なフォトマスクの検査工程に着目し、レーザーテックは二台のカメラを活用した「Die to Die」という検査方式を開発。フォトマスクに隣接する2つのチップをカメラで捉えて、これらの画像を比較することによって、正常かどうかを判断する技術を開発した。

この技術は、ビデオテープの検査装置に活用されたものであり、半導体向けのフォトマスク検査装置にも技術が応用された。

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1990 株式を店頭登録

1990年にレーザーテックは株式を店頭登録し、上場の準備に入った。

1991年に公表した有価証券報告書によれば、同社の従業員数は55名、売上高25億円、経常利益6.9億円であり、中小企業であった。

取締役は6名、監査役は3名で、このうち代表取締役社長(内山康)、取締役製造部長、常務監査役の3名が、松下通信工業の出身であり、レーザーテックが「松下通信工業を退職した人々」を中心に経営されていたことが窺える。

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1992 創業者急逝・業績低迷

1992年に創業者である内山康が社長が61歳の若さで急逝した。以後、レーザーテックは生え抜き出身の社長が歴任する体制となり、株式上場を2005年まで見送る形となった。

事業面でも1990年代を通じて経営に苦戦。日本における半導体産業の低迷によってフォトマスクの検査装置の販売も低迷し、年間数台を販売するにとどまった。

当時のレーザーテックの取引先は、ニコン(半導体製造装置)やシャープ(液晶パネルの製造)であり、日本企業が主体であたったため、日本の半導体産業の競争力低下が直撃した。

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2002 グローバル展開を本格化

衰退する日本の半導体産業と訣別するために、2000年代を通じてレーザーテックはグローバル展開を本格化した。2002年には韓国ソウル、2006年には台湾に支社を設立した。

半導体の製造国として台頭しつつあった「台湾・韓国」を中心としたアジアでの営業を強化した結果、2007年までに群創光電(台湾)やLG(韓国)といった現地の半導体メーカーへの装置納入に成功。この結果、2003年から2007年にかけてレーザーテックは増収を達成した。

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2011 EUV向け検査装置の開発開始

2011年にレーザーテックは、官民共同による「EUV露光基盤開発センター」から、EUV(極端紫外線)に対応したマスクブランクスの検査装置の開発を依頼されたことを受けて、EUV向けの検査装置の開発を決定した。

半導体業界では回路の微細化が進行するにつれて、従来のアルゴン・フッ素による光源(ArF)では、7ナノよりも狭い回路描画に技術的な限界があったことから、新しい光源としてEUVが注目されつつあった。ただし、2011年の時点で、EUVには技術的に解決すべき問題が山積しており、莫大な研究開発投資が必要なことも予想され、将来の半導体製造装置の主流技術になる保証はなかった。

このように、将来が不確定な状況において、レーザーテックはEUVに対応したマスクブランクスの検査装置の開発を決断した。なお、決断を下した内林社長は、成功する確信はなかったものの、競合会社が開発に参入していない状況をチャンスと捉えて、あえてリスクを伴った開発の決断を下した。

以後、レーザーテックは2010年代を通じて研究開発費を投じて開発を推進。2012年度から2021年度までの10年間でレーザーテックは研究開発費を累計229億円投資し、EUV向けのマスクブランクス・マスクの検査装置の開発で独走した。

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2017 EUV向け検査装置の開発成功

数年の研究期間を経て、レーザーテックはEUV向けのマスクブランクスの検査装置を、世界で初めて開発に成功した。

この結果、2010年代後半以降にレーザーテックは、TSMC(台湾) 、Samsung(韓国)、Intel(米国)の各社を顧客に抱えて、半導体メーカーのサプライヤーとして重要な地位を占めるに至った。

半導体業界ではコンピューターの世の中への普及に伴って、チップの需要が増大したことから、2010年代後半に半導体製造工場への莫大な投資を開始。これを受けて、微細化に対応するために半導体製造装置にEUV光源を採用したことから、レーザーテックのEUV向けマスクの検査装置(1台数十億円とも言われる)の販売も急激に拡大した。

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2022 時価総額2兆円を突破

2017年度のレーザーテックの売上高は173億円であったが、EUVの普及を受けて、2021年度に売上高702億円を達成し、急成長企業として注目を浴びた。

EUV向けは競合会社が開発に成功しておらず、レーザーテックが世界シェア100%を確保しており、高収益も確保した。

この結果、高収益かつ急成長企業としてレーザーテックは注目を集め、ブラックロックなどの海外の機関投資家も株式を買い集めた結果、2022年には時価総額が2兆円を突破した。

ただし、レーザーテックの業績は顧客の半導体製造装置の購入動向(=半導体製造への設備投資)に依存しており、TSMC、Samsung、Intelによる半導体への投資が、今後下火になった場合、レーザーテックの業績に打撃となる可能性もある。

売上高の推移

売上高の推移