アップルの創業者スティーブ・ジョブズが、設立1年目のアドビのポテンシャルを見出して取引を投資した。ジョブズはアドビを買収することを目論んだが、共同創業者が断ったため出資するにとどまった。

アップルの創業者スティーブ・ジョブズが、設立1年目のアドビのポテンシャルを見出して取引を投資した。ジョブズはアドビを買収することを目論んだが、共同創業者が断ったため出資するにとどまった。
アドビが開発したプリンター向けフォント「PostScript」がAppleの専用プリンター「LaserWriter」に採用された。アドビはAppleという大口顧客を得たことで業績を急拡大した。1986年時点でApple向けの売上高は84%を占め、急成長の反面、Appleへの売上依存というリスクを抱えた
NAASDAQに株式上場。IPOの立役者は日系人でアドビの最高財務責任者であったBruno Nakano氏である。
AppleはMicrosoftとの共同開発で、アドビが独占するフォントの共同開発を発表。AppleはAdobeの株式を20%を売却した上で宣戦布告するなど、Appleとアドビの蜜月関係に終止符が打たれた。
パソコンにおける文章の共有を目的とした汎用フォーマットとしてPDFを開発。1990年代のPDFは有償利用であり普及しなかったが、2000年にAcrobat Readerの無償提供に方針転換して市場を掌握した。
Adobeの成長はDTP(出版業)に支えられていたが、1990年代を通じて競争が激化。増収の一方で利益率が低迷。1998年の減収決算を受けて350名のレイオフを決定した
Macromediaは、長年アドビと各製品で競合しており訴訟合戦を繰り広げてきた競合会社。買収によって競争に終止符を打つとともに、Macromediaが保有するFlash(webブラウザにおける動画)の技術を取得した。
S.Narayen(45歳)がアドビのCEOに就任。元Apple出身。Adobeにとって驚異であるMicrosoftとAppleへの対応が経営課題であった
webアクセスの解析サービスを展開するOmniture, Inc.(Nasdaq:OMTR)をTOBにより買収。web広告の費用対効果を算定するマーケティングツールの領域に新規参入した。また、アドビとして、SaaSへの知見を蓄積する買収となり、アドビ製品のSaaSへの転換(2013年・AdobeCreativeCloud発表)の布石となる。
AppleがFlash(動画の再生ソフト)への対応を拒絶し、iPhoneに搭載されるデフォルトのスマホブラウザ(Safari)がFlash非対応となる。AdobeはFlashを実質的に諦める形になり、Macromedia社の買収目的を達成できなくなった
従来の主力製品はパッケージソフトであったが、月額課金によるクラウドサービスへの転換を発表。パッケージソフトはソフト単体で約10万円という高額商品であったが、Adobe Creative Cloudは月額5250円で利用可能になった。
パッケージ売りからの脱却のために、パッケージソフトである「Adobe Creaticve Suits」の販売を中止。この決定により退路を断つ形となった。
Adobe Creative Cloudの利用者が2015年末時点で617万人突破
SaaS化によりAdobe製品の初期費用が低下。従来はプロ向けに限られていたニーズを拡大。増収増益とともに利益率を改善した。日本国内でもアドビのSaaS転換は「サブスクの成功」として注目を浴びた
法人向けの顧客管理ツールを提供するMarketo社(PEファンドVistaが株式保有)の買収を決定。販促を行いたい企業向けに、web広告の出稿、メール送信、webページのパーソナライズ(キャンペーン展開)、コンバージョン解析といったサービスを提供した。