2004年に横田聡氏(当時26歳)が受託会社としてクラスメソッドを設立。システムの受託開発事業に参入した。
創業から数年で旭化成やひまわり証券といった大手企業から業務システムの受託に成功するものの、組織面ではマネージャー層の採用に苦戦したため、事業スケールに苦戦した。加えて、2008年のリーマンショックにより業務システムの受託ニーズが激減したことから業績不振に陥り、十分な昇給が行えない状況に陥った。
このため、会社設立から約10年間は業績の低迷が続き、2011年にはスタッフ数(雇用形態は不明)を約半数削減するリストラを遂行するなど、受難の時代が続いた。
2004年7月7日に横田聡氏(当時26歳)がクラスメソッド株式会社を設立。横田氏はITに知見がある講師として研修業に携わっていたが、エンジニアとともに長期的に成長することを目指して起業を決意した。社名の由来は、プログラミングにおけるClassとMethodの概念は一意であることから、社員が社内でオンリーワンな存在として活躍でいる会社になることを意図したことが由来。
東京都新宿区高田馬場4-12-7「ニューハイツ高田馬場」に本社を構えた。(同年6月に高田馬場2-14-9「明芳ビル」に移転)
資本金は300万円とし、VCなどからの出資は受けずに自己資金で運営。銀行借入を中心とした財務方針を取り、東京三菱銀行高田馬場支店とUFJ銀行多摩支店と取引を実施したと推定。
事業内容はシステムの受託開発であり、数名の知人とともに納品物の製作に従事した。創業時の利用技術は「Struts、Spring、Hibernate、Tomcat、Apache、MySQL、Flex、Ant、JUnit」など多岐に渡ったが、2005年ごろまでにニーズの強さから、JavaとAdobe Flexのプロジェクトを中心に請け負う形となった。
2007年までにクラスメソッドは企業向けの業務ソフトウェアの開発受託(新規構築案件)が主流となった。当時の取引先は旭化成(業務カルテ)、ベルシステム24(営業支援システム)、大手製造メーカー(工程管理システム)などであり、大手企業からの新規開発の案件を多数受託した。
実際のシステムの具体例としては、ひまわり証券向け「Hits証券デリバティブ(株価指数先物取引・株価指数オプション取引・国債先物取引のシステム)」の構築といった難易度の高いものも含まれていた。
一方で、これらの業務システムのニーズは2008年のリーマンショックを機に減少。新規開発案件に傾斜していたクラスメソッドの経営が苦戦する遠因にもなった。
コンピテンシー評価を導入するが社内で不評。評価と昇給が連動していないこともあり、エースクラスの社員の離職が発生へ
本社を高田馬場「明芳ビル」から飯田橋に本社移転。ただし、飯田橋は賃料の高いオフィスであり、固定費の増加要因となった
2011年に大規模なリストラを決定し、オフィス移転などの固定費削減による経営再建に着手。
一方で、新規事業としてAWSの構築支援に参入。当時はオンプレが主流であり、クラウドは「おもちゃ」として扱われていたが、クラスメソッドはいち早くAWSの将来性に着眼。結果として、受託会社としてはAWSの先駆者としてのポジションを確保し、そのノウハウを求めて電通や良品計画といった複数の大手企業からから受注に成功した。
スタッフ数は60名以上から32名へと激減し、約半数の人員が会社から去る形に。
現在のDevelopers.IOはAWS関連の記事が大半だが、2012年ごろまではiOSに関する記事を中心に執筆
固定費削減のため、本社を飯田橋から秋葉原(岩本町)に移転。床面積は半分となり、固定費を節約する体制へ
2009年からAWS(EC2およびS3)の導入支援を開始していたが、2013年頃から導入支援事業を本格化。AWSの提供サービスのラインナップも徐々に拡大しており、導入ニーズが拡大しつつあった。
一方、当時はクラウドの黎明期であり、オンプレを信奉する風潮も強かったことから、結果としてクラスメソッドはこの領域における先発企業となった。
AWSの構築支援を通じて、AWSにおける各サービスのノウハウを蓄積。これらをテックブログとして情報発信することで、エンジニアの採用活動と、潜在顧客の獲得をそれぞれ効率よく行う体制を樹立した。
AWS特化の受託企業は珍しいこともあり、マネージャー層の採用にも成功。この結果、採用可能な人員数が増大し、クラウドの普及によってAWSへの需要が高まるとともに、売上を確保できる状態となった。
2010年代後半から大企業向け(DXブーム)のAWS構築ニーズが増大し、売上げが急拡大。バックオフィスを充実させることで、組織拡大と売上拡大を両立し、2023年度には売上高500億円を突破した。
財務面でも、売上高経常利益率10%超を確保しており、資金調達に頼らない成長を実現。クラスメソッドは非上場企業ながらも、高収益と高成長を両立する稀有な企業に発展した。
非上場企業であったが、財務および採用情報を発信。決算書および平均給与・有給消化率などを開示
エンジニアの情報発信媒体「Zenn」の買収を決定。ライバルで先行していた「Qiita」を凌駕しつつあり、伸び代のある媒体の取り込みを狙った