
ZOZOの歴史
インターネットで服は売れないという常識を打破。物流へのリース投資により配送のリードタイム(UX)を改善。日本を代表するEC企業
インターネットで服は売れないという常識を打破。物流へのリース投資により配送のリードタイム(UX)を改善。日本を代表するEC企業
バンドマンであった前澤友作氏は、趣味でやっていた輸入CDの販売を本格化させるために、東京都江戸川区に有限会社として「スタートトゥデイ(出資金300万円)」を設立した。
前澤氏にとって、自分に好きな輸入CDが既存のCDショップに売っていなかったことから、個人で輸入販売することをビジネスにした。
創業当時は前澤氏のバンド関係の友人の合計3名でCDのカタログ通販を作成するスモールビジネスを行い、月商は500万円程度だったという。
2002年には有限会社から株式会社に移行して、資本金1500万円で「スタートトゥデイ」を設立した。資本関係は不明だが、ベンチャーキャピタルからの支援ではなく、前澤氏の個人資本が大半であったと思われる。
このため、上場直前の2006年まで、ZOZOはベンチャーキャピタルからの支援ではなく、会社の営業キャッシュフローを黒字にすることで、成長資金を調達した。このため、2000年から2006年にわたって、ZOZOの資本金は1500万円のまま推移している。
ファッション分野の取り扱い品目を拡大するために、従来のwebのサイトを大幅なリニューアルを決定。2004年12月にセレクトショップを集積したECサイト「ZOZOTOWN」のサービスを開始し、自社で展開した17のセレクトショップのブランドを廃止した。
ただし、立ち上げ当初は、他社のブランドの誘致に苦戦しており、外部のブランドは3つしか取り扱うことができなかったという。
ZOZOTOWNの運営にあたって、物流機能を強化するために、本社の隣に物流拠点ZOZOBASE(1000坪)を新設した。従来は本社ビル内を使って在庫を保管していたが、在庫数が膨大になったため、物流倉庫への投資を決めた。
入荷から最短1日以内に商品撮影・採寸(他社基準をZOZOTOWN基準に変換する作業)・データ入力・サイト掲載を完了し、注文があった場合に出荷できる体制を実現した。
2007年の時点でZOZOは、クレジット決済に関してはGMOペイメントゲートウェイ、代引きに関してはヤマトHD系子会社にそれぞれ委託することで決済の仕組みを作り上げていた。
なお、2021年時点においても、ZOZOのクレジット決済とコンビニ決済は「GMOペイメントゲートウェイ」が代行しており、ZOZOはGMOに対しては年間39億円を手数料を含めて支払っている(GMOペイメントゲートウェイの有価証券報告書・FY2020)
2018年時点において、ZOZOのシステムは完全な内製化ではなく、外部の複数のベンダーに委託しており、AWSアカウントのコスト増加といったボトルネックになっていた。
また、データ分析基盤が整備されておらず解析が難しいといったことが問題視された。
そこで、2020年にZOZOはエンジニアの組織改革を実施。中途採用を積極化することでエンジニアリングの内製化の体制を整えつつベンダーを整理。また分析基盤にはBigQueryを導入するなど、技術的な負債を解消することを目論んだ。
2018年4月、当時ZOZOのエンジニアリング組織には非常に多くの課題がありました。(中略)ZOZOTOWNの主要アーキテクチャは16年前から現在まで一度も変わることなく運営されてきました。それらを構成する技術スタックはVBScript / IIS / SQLServer / オンプレミスとなっており、SQLServer上のストアドプロシージャに全てのロジックが記述されている状態でテストもなく、品質管理チームによる手動テストで品質を担保している状態でした。