伊藤忠商事 の歴史

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創業 1858年
創業者 伊藤忠兵衛
創業地 滋賀県犬上郡豊郷村
創業・決断・現況・競合について
創業
1858年、15歳の初代伊藤忠兵衛が近江国犬上郡豊郷村から麻布を担ぐ持下り行商を始めた。明治維新後に蒸気船と鉄道が普及して仲介の余地が縮むと、1872年に大阪本町で紅忠を創業して店舗商売へ移り、対米貿易、上海での綿糸輸入へと商いを替えている。1918年に伊藤忠商事と丸紅商店へ分かれたのち、1920年の反動恐慌で資産を失って破綻状態に陥り、紡績各社の協力で債務を整理して重役を総入替して平均35歳へ若返らせた。1929年7月には呉羽紡績を創立し、商品を仲立ちする側から自ら工場を持つ側へ移った。戦時統合で大建産業に集約され、1949年の分割で再独立した際は綿ののれんを引き継ぎ、絹・毛・麻・化繊は丸紅の側に残された。
決断
自ら決めた重い投資の失敗を、次の代へ持ち越さずに一括で清算してきた。1960年5月に非繊維部門の拡充を最重点へ掲げ、1966年には越後正一社長が主力行の反対を押し切って東亜石油の系列化とイアプコ油田の権益取得で和製メジャーを志向した。だが原油と為替の変動を受けきれず損失が常態化し、累計約1,300億円を出して1985年に撤退している。1977年10月には倒産状態の安宅産業を救済合併し、鉄鋼・化学の商権と社員の約3分の1だけを選んで取り込んだ。1998年に就任した丹羽宇一郎社長はバブル期の不動産中心の不良資産を先送りせず2000年3月期に単独約3,950億円の特別損失を一括計上し、CTCの上場益を充てて翌期に過去最高益へ転じさせた。
現況
五大商社で最も国内へ売上が寄っている。2026年3月期の売上高14兆8,230億円のうち日本が11兆3,534億円で77%を占め、有形固定資産も日本の2兆6,426億円が全体の7割にあたる。最大のセグメントは売上5兆1,341億円の食料で、2020年に約5,200億円を投じて完全子会社化したファミリーマートは収益5,180億円の第8セグメントに置かれている。セグメント利益では機械1,556億円、金属1,435億円、情報・金融930億円、食料920億円が並び、親会社株主に帰属する当期純利益は9,003億円。祖業の繊維も売上6,863億円・利益433億円の独立したセグメントとして残っている。
競合
資源権益を持たない側から、純利益で五社の首位に立った。2010年に岡藤正広社長が「か・け・ふ」の経営改革で非資源No.1を掲げ、2021年5月には純利益・株価・時価総額の三つで総合商社の首位を取っている。2026年3月期の当期純利益は伊藤忠9,003億円に対し、豪州へ有形固定資産1兆8,091億円を置く三井物産が8,340億円、2020年3月期にチリ銅などの一括減損で18年ぶりの最終赤字を計上した丸紅が5,439億円。ただし時価総額は三菱商事の21兆4,230億円が伊藤忠の15兆6,511億円を上回り、三冠のうち現在も保っているのは利益の首位だけである。権益の規模ではなく、コンビニ・繊維・住生活が国内の消費に触れる面の広さが、この利益差を生んでいる。
長期業績の推移 1949〜2026年
伊藤忠商事:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
1997年3月期2026年3月期

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歴史年表 1858〜2024年

伊藤忠商事の沿革1858〜2024年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1858〜1919年持下り行商から綿糸貿易へ——四度の業態転換と法人化15歳の若者が始めた持下り商いから戦後商社への再独立までの道のり

1858年(安政5年)、近江国犬上郡豊郷村出身の15歳・初代伊藤忠兵衛氏が、兄の6代目伊藤長兵衛氏とともに麻布類の持下り行商を始めた。売り手よし・買い手よし・世間よしという三方よしを商売の出発点に置き、1872年に大阪本町で呉服太物商"紅忠"を開いて店舗化、1893年には"伊藤糸店"で綿糸卸へ転じた。1918年の株式会社化を経て、戦時統合と1949年12月の再独立を挟みながら、近江商人の家業が戦後の総合商社へ育っていった。

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★★★
呉服太物商「紅忠」を開店
「伊藤糸店」を開店し綿糸卸売業を開始
経営近代化のために伊藤忠合名会社を設立
合名会社を分割し「旧伊藤忠商事」と「伊藤忠商店」を設立
1920〜1949年1920年恐慌の破綻と若返り、戦時統合を経た四社分割危機で傷んだ経営の立て直しを若い世代に託した世代交代

1920年(大正9年)の反動恐慌で、伊藤忠は預金も株券も失い巨額の借金を負う破綻状態に陥った。二代伊藤忠兵衛氏は、前年の"神武以来"の好況の絶頂であえて見込み商いを断って備え、恐慌後は紡績各社の協力で債務を整理したうえ、重役を総入替して平均35歳の若い経営陣へ刷新し、徹底した堅実経営へと転じた。

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★★★
繊維商社から工業(紡績)経営への進出

1929年(昭和4年)7月、二代伊藤忠兵衛氏が、金解禁を控えた不況下で紡績会社・呉羽紡績を創立し、繊維貿易商社であった伊藤忠が自ら工業(紡績)経営へ本格進出した経営判断。売った紡機の代金回収から関わった富山紡績の経験を土台に、のちの三興・大建産業へと連なる工業展開のはじまりとなった。

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★★★
旧伊藤忠商事・丸紅商店・岸本商店が合併し三興に★★
呉羽紡績・大同貿易と合併し「大建産業」に
小菅宇一郎過度経済力集中排除法により伊藤忠商事が再発足★★
1950〜1979年繊維からの脱皮と、和製メジャー構想という賭け小菅宇一郎大阪・東京両証券取引所に株式を上場
小菅宇一郎伊藤忠アメリカ会社を設立
越後正一非繊維部門の拡充——繊維専業商社から

1960年に伊藤忠商事の第5代社長に就任した越後正一氏が、以後14年の在任を通じて非繊維部門の拡充を最重要目標に掲げ、繊維専業に近かった事業構成を重化学・資源・海外へと広げて総合商社へ転換させた面的な経営戦略。1962年3月期には非繊維部門の取扱いが売上の過半を超えた。

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★★★
越後正一非繊維部門の拡充による総合商社化を最重点に★★
越後正一繊維重視の経営方針
越後正一石油の開発から精製・販売までを自社で一貫させる体制づくり

1966年、越後正一社長のもとで伊藤忠商事が精製・販売会社の東亜石油をアラビア石油からの株式取得で系列化し、続いて1970年にジャワ海のイアプコ油田権益を取得して、石油の開発から精製・販売までを一貫して手がける"和製メジャー"を志向した経営判断。繊維商社からの脱皮を進める資源確保戦略の中核であった。

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★★★
戸崎誠喜戸崎誠喜氏が社長に就任★★
戸崎誠喜伊藤忠香港会社を設立
戸崎誠喜「39年の恩」に応えた経営破綻企業の引き受け

1977年10月、伊藤忠商事はカナダの石油精製事業で巨額損失を計上して倒産状態に陥った大手総合商社・安宅産業を救済合併した。鉄鋼(新日本製鐵との取引)・化学など有力な商権を選別して取得する一方、機械・繊維・パルプ・木材など商権が散逸した事業は引き受けず、安宅産業の社員3661名のうち伊藤忠へ転籍したのは1058名にとどまった。

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★★★
戸崎誠喜東京本社新社屋を北青山に竣工
米倉功東亜石油の株式売却・石油精製から撤退★★
室伏稔伊藤忠集団有限公司を設立
丹羽宇一郎ファミリーマートに出資
丹羽宇一郎伊藤忠テクノサイエンス(CTC)を東京証券取引所一部に上場
丹羽宇一郎特別損失約3,950億円の一括計上によるバブル期

2000年3月期、伊藤忠商事は特別損失を一括計上し、バブル期に膨らんだ不良資産を清算した。金額は単独で約3,950億円、連結で3,039億円にのぼる。1998年4月に就任した丹羽宇一郎氏が、含み損を先送りせず一度に処理する財務リストラを断行したもので、1999年12月に上場した子会社CTCの株式売却益を処理の原資に充てた。

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★★★
丹羽宇一郎伊藤忠食品を東京証券取引所一部に上場
丹羽宇一郎伊藤忠丸紅鉄鋼を会社分割で設立
丹羽宇一郎豪州資源開発3社を統合しITOCHU Minerals & Energy of Australiaを発足
小林栄三小林栄三氏が代表取締役社長に就任★★
小林栄三日本アクセスをTOBで取得
小林栄三15年以上続いた在庫操作の一括処理と、人事ローテーションの制度化

2008年3月期に、元従業員が外国産飲料用エタノール取引について、過去15年以上にわたり不適切な会計処理を行っていた事実が判明した。在庫数量を操作して売上単価を高く、仕入単価を低く見せることで架空の利益を計上し続けたもので、「法人税等、少数株主持分損益及び持分法による投資損益前利益」への累計影響額は3,765百万円の損失にのぼる。 2008年4月8日の取締役会は、この累計影響額を当連結会計年度で一括計上することを決めた。各期への影響額が軽微であり、2002年3月期以前の累計額を適切に開示することが困難で、かえって利害関係者に誤解を与える虞があると判断したためである。

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岡藤正広非資源No.1・商社三冠を掲げた、資源依存からの収益構造の組み替え

2010年4月、繊維畑を歩んできた岡藤正広氏が伊藤忠商事の社長に就任し、"稼ぐ・削る・防ぐ"の頭文字をつないだ"か・け・ふ"を合言葉に経営改革へ着手した。粗利益は2位でも経費が重く純利益は4位という"万年4位"の体質を、非資源の強みで作り替え、2012年3月期に4位を脱し、2020年には純利益・株価・時価総額の"商社三冠"に立った。

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★★★
岡藤正広加工食品事業とアジア青果事業をまとめて取り込む食料分野の拡大

2012年9月、伊藤忠商事は米ドール・フード・カンパニーから、アジア青果物事業と米国以外のグローバル加工食品事業を展開するDole Asia Holdings Pte. Ltd.、および米国で加工食品事業を展開するDole Packaged Foods, LLCの株式を総額1,685百万米ドルで取得することに合意した。2013年4月1日に取得を終え、それぞれ議決権の100%を保有する子会社とした。支払対価の公正価値は1,569億24百万円で、伊藤忠にとって当時最大の買収案件となった。

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★★★
岡藤正広CPグループと折半出資の合弁を挟み、中国最大のコングロマリットへ実質10%で入った

2015年1月20日の取締役会で、伊藤忠商事は中国最大のコングロマリットであるCITIC Limited、アジア有数の大手コングロマリットであるCharoen Pokphand Group(CPG)との3社間で、それぞれの企業価値向上を目的とした戦略的業務・資本提携を行うことを決議し、同日に契約を締結した。 これに伴い、伊藤忠とCPGが50%ずつ出資するChia Tai Bright Investment Company Limited(CTB)が、CITIC Limitedの普通株式と普通株式に転換可能な優先株式を総額803億香港ドル(約1兆2,040億円)で取得する枠組みが組まれた。

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★★★
岡藤正広ヤナセをTOBで取得
鈴木善久8年ぶりの社長交代を、最高経営責任者と最高執行責任者の分離として設計した

2018年1月18日の取締役会は、同年4月1日付で会長が最高経営責任者(CEO)を、社長が最高執行責任者(COO)を兼務する経営体制へ移行することを決議した。岡藤正広前社長が会長CEOに、情報・金融カンパニープレジデントだった鈴木善久氏が社長COOに就任している。8年ぶりの社長交代であり、CEO・COO体制は総合商社では初めての試みだった。 岡藤正広会長CEOは主要事業会社やグループ全体の経営戦略と経営計画の策定、重要客先との関係の維持を担い、鈴木善久社長COOはその戦略に基づく執行全般を統括する役割を負った。

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鈴木善久4件の排除措置命令と、調査が始まる前に自ら取り止めた違反行為

2018年1月と2月、西日本旅客鉄道と東日本電信電話向け制服の販売業務について、独占禁止法に違反する行為があったとして、公正取引委員会から独占禁止法第7条第2項に基づく排除措置命令を受けた。続く7月には全日本空輸向け制服の販売業務で同じ命令を受け、10月にはNTTドコモ向け制服の供給業務について排除措置命令と課徴金納付命令を受けている。納付すべき課徴金の額は429万円だった。 4件はいずれも2016年度以前に行っていた制服販売業務に関する一連の事案で、別々の違反ではなく同じ業務から出た同じ問題として扱われている。

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鈴木善久持分法から連結へ移し、総合スーパーを外してコンビニだけを残した再編

2018年4月19日の取締役会は、関連会社として持分法を適用していたユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社とすることを目的に、公開買付を実施することを決めた。子会社の伊藤忠リテールインベストメント合同会社を通じて7月17日から買付を行い、8月16日の終了時点で当初予定どおりの株式を取得している。 この日に取得した議決権は8.6%で、既保有分と合わせた議決権は50.29%となった。株式の取得価額は119,684百万円で、すべて現金により支払われている。

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鈴木善久ユニー・ファミリーマートHDをTOBで取得し子会社化★★
鈴木善久同意なき買付けによる議決権の25.5%から40.0%への引き上げ

2019年、伊藤忠商事は筆頭株主として出資するスポーツウェア大手デサントへ、対象会社の同意なきTOB(株式公開買付け)を実施した。デサントに対する議決権所有割合は、第94期末の25.5%から40.0%(うち間接所有9.6%)へ上がった。あわせて経営体制の刷新が必要との考えを明らかにしており、日本の大企業間では珍しい同意なき買付であった。

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鈴木善久株式公開買付けによる完全子会社化と、親子上場の解消

2020年7月8日、伊藤忠商事は、出資比率50.2%の子会社ファミリーマートを非公開化するため、買付価格を1株2,300円とする公開買付けを実施すると公表した。買付けは翌9日から8月24日まで行われ、応募は79,017,984株で買付予定数の3割強にとどまり、買付け等後の公開買付者の所有割合は15.61%となった。応募しなかった株式は株式併合の端数処理で同じ1株2,300円相当で買い取り、ファミリーマートは11月12日に上場廃止となった。

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石井敬太日立建機の株式取得
石井敬太伊藤忠テクノソリューションズを完全子会社化
石井敬太大建工業をTOBで取得し上場廃止
石井敬太デサントをTOBで取得し2025年1月上場廃止
出典・参考

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