ジャックスの歴史
北海道函館の発祥。創業期はパイオニアやソニーなど家電メーカーとの関係性に特色。現在は外車および中古車ディーラー向けにローンを展開。堅実経営で改正貸金業法の影響が軽微。出色の経営
Author: @yusugiura
北海道函館の発祥。創業期はパイオニアやソニーなど家電メーカーとの関係性に特色。現在は外車および中古車ディーラー向けにローンを展開。堅実経営で改正貸金業法の影響が軽微。出色の経営
1997年以降、ジャックスはクレジットカードのリボ払い(キャッシング)の金利引き下げを実施。業界がグレーゾーン金利(出資法の上限40.004%〜利息制限法の上限18.00%)と言われた30%台の利息を徴収する中で、ジャックスは1997年2月に24.36%→18%への引き下げを実施。さらに、1998年2月には18.0%から16.8%に引き下げた。
この引き下げによって、利息制限法の18.00%の上限よりも低い水準となり、キャッシングにおいてジャックスは国内で最低水準となる利息を提示することになった。衝撃的な引き下げということもあり、業界内では「利息制限法の壁を破った」と言われて注目された。
信販業界では、ジャックスが利息を引き下げる一方で、業界トップの日本信販やオリコでは、利息の引き下げを行わなかった。両社はバブル期に不動産投資を行っており、1990年代後半には不良債権を抱えていたことから、キャッシングによる高利貸しが財務体質の改善のための原資になっていた。
このため、日本信販やオリコは、ジャックスの利息引き下げに追随できずに、グレーゾーン金利を継続する道を選択した。このため、日本信販とオリコの2社は2006年の改正貸金業法によってグレーゾーン金利が撤廃されると、莫大な利息返還請求に直面。企業としての存続が困難となり、メガバンクに経営支援を仰ぐ結果に終わった。
1998年の時点で銀行系カード会社に分割払いは認められておらず、信販系のクレジットカードは「銀行系カードとは違って分割できる」強みがあった。ところが、1990年代を通じた規制緩和の流れで、1998年に日本政府は銀行系のクレジットカードにも分割払いを認める方針を示しており、信販系カードと銀行系カードの棲み分けが崩れることが予想された。
そこで、ジャックスとしてはいち早くキャッシング(リボ払い)の利息を引き下げることによって、銀行系カードの分割参入に備えるという狙いがあった。
金利の引き下げによって、FY1997におけるジャックスは35億円の減収が見込まれたという。そこで、ジャックスの有利子負債(1997年3月時点で約8600億円)の一部を、より金利の低いCPの発行によって削減。リボ払いの金利引き下げ分の減収を、自社の資金調達コストを引き下げることによってカバーした。