INPEX の歴史

創業

1966年

創業者

※帝国石油+国際石油開発

創業地

東京都

直近売上高(2025/12)

20,113億円

長期業績と転換点(2002/3〜2025/12)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ2006年に帝国石油と国際石油開発という国策2社は統合したのか
A 単独ではメジャー級の開発資金を調達できないという企業体力の制約と、政府の「日の丸石油会社」構想が同じ方向で重なったためである。国内供給を担う帝国石油と海外自主開発を担う国際石油開発の事業は補完関係にあり、国際石油開発が2002年に豪州で発見したイクシスの商業化には数兆円の資金と交渉力が要った。両社は2005年11月に経営統合へ合意し、2006年4月に国際石油開発帝石ホールディングスとして発足、東証一部に上場した。経済産業大臣が黄金株を1株保有する半官半民の資本構造が、その後の信用補完として組み込まれた
Q なぜ2012年に総事業費340億米ドルのイクシスLNGへ最終投資決定したのか
A 発見から10年を経ても、確認埋蔵量約12億バレルのイクシスは開発しなければ収益を生まず、統合で得た資金調達力をここで使い切る判断だったためである。回収に10年を超える案件を一手段に頼らず分散する設計として、INPEXは2010年8月に当時最大の約5,200億円を増資で集め、2012年8月にプロジェクトファイナンスで200億米ドルを借り入れ、利益剰余金も合わせて同年12月に340億米ドルの最終投資決定へ進んだ。日本企業がオペレーターを務める初の大型LNGで、2018年の操業開始まで6年の建設リスクを負う決断だった
Q なぜ2022年に2050年ネットゼロを宣言し脱炭素へ転換したのか
A 資源価格に直結する単一事業への依存が2020年の初の純損失1,117億円で表面化し、資源高で得たキャッシュフローを次の柱に振り向ける必要があったためである。INPEXは2021年に国際石油開発帝石から改称し、2022年に長期ビジョン「INPEX Vision @2022」で2050年ネットゼロを宣言、天然ガスを移行期の燃料に置きつつCCS・水素・再エネへ投資する二本立てを示した。2023年12月にはインドネシア政府がCCS追加を承認したアバディLNGの改定開発計画を進め、2025年2月の「INPEX Vision 2035」で成長投資1.8兆円を5分野へ割り当てた

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1941年〜 国策会社として出発した帝国石油と、国産原油の後退

  1. 1941年 帝国石油を設立
  2. 1942年 日本石油など4社の石油鉱業部門を統合
  3. 1945年 東邦石油を買収
  4. 1950年 商法に準拠する民間会社として再発足
  5. 1955年 国産原油の97%以上を生産
  6. 1960年 南関東ガス田で水溶性ガスの開発を開始
  7. 1962年 長距離高圧天然ガスパイプライン「東京ライン」が完成

帝国石油株式会社法による石油鉱業の一元化

帝国石油は1941年9月、帝国石油株式会社法に基づき、政府と民間が半額ずつ出資して資本金1億円[1][2]で設立された。前年の1940年7月には、日本石油・日本鉱業・中野興業・旭石油・小倉石油・北樺太石油・協和鉱業の出資で帝国石油資源開発が資本金1,000万円で設立されており[3]、これを母体に国策会社へ改組した。日華事変で国際情勢が緊迫するなか、外国依存の石油事情を打開して液体燃料の供給を確保する総合燃料国策[4]の一環だった。1942年4月には日本石油・日本鉱業・旭石油・中野興業の石油鉱業部門を政府の斡旋で統合し、資本金を2億5,000万円へ[5]増やした。

1943年2月に太平洋石油と大日本石油鉱業を、1944年7月に北樺太石油を合併し、1945年1月には東邦石油を買収[6]して国内油田の大半を掌握した。国策会社として、政府は民間株に年4分の配当を保証して配当補給金を交付[7]し、社債の元利支払も保証し、創立後10年間は営業税と法人税を免除した。その代わりに業務の監督と制限を受け、配当保証と社債保証は1946年9月の法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の施行で廃止[8]された。1950年4月に帝国石油株式会社法を廃止する法律が公布[9]され、同年6月、帝国石油は商法に準拠する民間会社として再発足した。

    • [6]1944年7月 北樺太石油を合併、1945年1月 東邦石油を買収
    • [7]民間株に年4分の配当保証と配当補給金、社債元利支払の政府保証、創立後10年間の営業税・法人税免除
    • [8]1946年9月 法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の施行で配当保証・社債保証が廃止
    • [9]1950年4月 帝国石油株式会社法を廃止する法律が公布、同年6月 民間会社として再発足
    • [1]1941年9月 帝国石油株式会社法に基づき政府・民間各半額出資・資本金1億円で設立
    • [3]1940年7月 帝国石油資源開発を資本金1,000万円で設立(日本石油・日本鉱業ほか7社出資)
    • [4]設立目的は外国依存の石油事情を打開する総合燃料国策の一環
    • [5]1942年4月 4社の石油鉱業部門を統合し資本金2億5,000万円へ増資
    • [6]1944年7月 北樺太石油を合併、1945年1月 東邦石油を買収
    • [7]民間株に年4分の配当保証と配当補給金、社債元利支払の政府保証、創立後10年間の営業税・法人税免除
    • [8]1946年9月 法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律の施行で配当保証・社債保証が廃止
    • [9]1950年4月 帝国石油株式会社法を廃止する法律が公布、同年6月 民間会社として再発足
    • [2]1941年9月 帝国石油株式会社法に基づき資本金1億円で設立(1971年の同社常務による説明)

原油単価の下落と、天然ガス増産による資金繰り

戦後の原油生産は台湾油田の喪失と戦時中の乱掘で落ち込み、1948年度には年間16万5,000余キロリットルと創立以来の最低[10]を記録した。秋田県の八橋油田で新油層が相次いで発見され、1951年度には年間35万3,000余キロリットルと創立以来の最高[11]へ戻した。1955年3月には資産再評価積立金5億円を資本へ組み入れる倍額増資で資本金を20億円[12]とし、社債20億円の発行も決めた。1955年3月期の売上高は17億8,000万円[13]で、国産原油の97%以上を帝国石油が生産[14]し、その大部分を日本石油・日本鉱業・昭和石油の裏日本製油所へ販売した。

    • [10]1948年度 原油生産 年間16万5,000余キロリットル(創立以来の最低)
    • [11]1951年度 原油生産 年間35万3,000余キロリットル(創立以来の最高)
    • [12]1955年3月 資産再評価積立金5億円の資本組入による倍額増資で資本金20億円
    • [13]1955年3月期 売上高17億8,000万円
    • [14]国産原油の97%以上を帝国石油が生産

原油の販売単価は1951年の1キロリットル当たり10,091円から1970年には6,615円[15]へ下がり、20年で約6割6分の水準になった。同じ期間に従業員は約6,200人から2,030人へ減ったが、人件費は14億5,000万円から34億8,000万円[16]へ増え、1人当たりでは7.3倍になった。1964年2月には資金繰りが行き詰まり、日本鉱業の林副社長が帝国石油の社長へ就任[17]して再建にあたった。銀行の支援を得にくいなか、新潟県の頚城鉱業所を中心に天然ガスを増産し、換金の早いガスで資金を回す自己金融[18]の道を選んだ。ただし1964年の増産で井戸が弱り、その後2年ほどは天然ガスの生産量が減った[19]

    • [15]原油販売単価 1951年10,091円/kl → 1970年6,615円/kl
    • [16]従業員 約6,200人→2,030人、人件費14億5,000万円→34億8,000万円、1人当たり7.3倍
    • [17]1964年2月 日本鉱業の林副社長が帝国石油社長へ就任し再建にあたる
    • [18]新潟県頚城鉱業所を中心に天然ガスを増産する自己金融方式
    • [19]1964年の増産で井戸が弱り約2年間は天然ガス生産量が減少
    • [10]1948年度 原油生産 年間16万5,000余キロリットル(創立以来の最低)
    • [11]1951年度 原油生産 年間35万3,000余キロリットル(創立以来の最高)
    • [12]1955年3月 資産再評価積立金5億円の資本組入による倍額増資で資本金20億円
    • [13]1955年3月期 売上高17億8,000万円
    • [14]国産原油の97%以上を帝国石油が生産
    • [15]原油販売単価 1951年10,091円/kl → 1970年6,615円/kl
    • [16]従業員 約6,200人→2,030人、人件費14億5,000万円→34億8,000万円、1人当たり7.3倍
    • [17]1964年2月 日本鉱業の林副社長が帝国石油社長へ就任し再建にあたる
    • [18]新潟県頚城鉱業所を中心に天然ガスを増産する自己金融方式
    • [19]1964年の増産で井戸が弱り約2年間は天然ガス生産量が減少

海外自主開発への進出と国際石油開発の設立

1966年、インドネシアでの探鉱・開発を目的に政府系の北スマトラ海洋石油資源開発が設立され[20]、これがのちの国際石油開発となった。石油開発公団が株式の過半を取得[21]し、探鉱資金を公的資金で支える形をとった。日本の石油会社が海外の資源開発へ出たのは1960年代以降で、産油国政府との交渉力・権益獲得力・資金力・技術力のいずれも海外大手に見劣り[22]した。日本企業が参画する海外の生産中案件は60件を超えたが、国内勢がオペレーターとして操業するものは10件に満たなかった[23]。国際石油開発の海外オペレーター案件も、エジプトとベネズエラの小規模な2鉱区[24]にとどまった。

  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [20]1966年 インドネシアでの探鉱・開発を目的に北スマトラ海洋石油資源開発を設立(のちの国際石油開発)
    • [21]石油開発公団が株式の過半を取得
    • [22]日本勢は交渉力・権益獲得力・資金力・技術力のいずれも海外大手に見劣り
    • [23]日本企業参画の海外生産中案件60件超のうち国内勢オペレーターは10件未満
    • [24]国際石油開発の海外オペレーター案件はエジプト・ベネズエラの2鉱区のみ

帝国石油も海外へ出て、1970年前後にはマレーシア・サバ州で約1万9,000平方キロメートルの鉱区[25]を持ち、石油開発公団・丸紅飯田・日本鋼管との共同出資会社で物理探鉱[26]を進めた。1970年にサバ州タワオ市沖で試掘井を3本掘り、油を含む層は確認した[27]が商業規模の成功には至らなかった。コンゴでは1970年にガルフ社の鉱区へ資本参加し、1971年初めの第1井で出油[28]した。国内では新潟県の頚城から東京瓦斯豊洲工場まで約330キロメートルのパイプラインを敷き[29]、うち草加以南の約30キロメートルを東京瓦斯へ売却して2億6,500万円の売却益[30]を得た。1971年度の探鉱投資は約23億円・試掘井22坑を予定し、試掘井の約8割は不成功[31]という前提で毎年16億〜17億円を損金に落としていた。

    • [25]マレーシア・サバ州で約1万9,000平方キロメートルの鉱区を保有
    • [26]石油開発公団・丸紅飯田・日本鋼管との共同出資会社で物理探鉱
    • [27]1970年 サバ州タワオ市沖で試掘井3本を掘削、油を含む層は確認
    • [28]1970年 コンゴでガルフ社の鉱区へ資本参加、1971年初めに第1井で出油
    • [29]新潟県頚城〜東京瓦斯豊洲工場 約330キロメートルのパイプライン
    • [30]草加以南約30キロメートルを東京瓦斯へ売却し売却益2億6,500万円
    • [31]1971年度 探鉱投資約23億円・試掘井22坑、試掘井の約8割が不成功
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [20]1966年 インドネシアでの探鉱・開発を目的に北スマトラ海洋石油資源開発を設立(のちの国際石油開発)
    • [21]石油開発公団が株式の過半を取得
    • [22]日本勢は交渉力・権益獲得力・資金力・技術力のいずれも海外大手に見劣り
    • [23]日本企業参画の海外生産中案件60件超のうち国内勢オペレーターは10件未満
    • [24]国際石油開発の海外オペレーター案件はエジプト・ベネズエラの2鉱区のみ
    • [25]マレーシア・サバ州で約1万9,000平方キロメートルの鉱区を保有
    • [26]石油開発公団・丸紅飯田・日本鋼管との共同出資会社で物理探鉱
    • [27]1970年 サバ州タワオ市沖で試掘井3本を掘削、油を含む層は確認
    • [28]1970年 コンゴでガルフ社の鉱区へ資本参加、1971年初めに第1井で出油
    • [29]新潟県頚城〜東京瓦斯豊洲工場 約330キロメートルのパイプライン
    • [30]草加以南約30キロメートルを東京瓦斯へ売却し売却益2億6,500万円
    • [31]1971年度 探鉱投資約23億円・試掘井22坑、試掘井の約8割が不成功

1972年〜 海外権益の積み上げと、豪州での単独オペレーター化

INPEXの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1979年 南長岡ガス田を発見
  2. 1986年 北西大陸棚で探鉱を開始
  3. 1998年 WA-285-P鉱区を権益100%で取得
  4. 2000年 アザデガン油田の開発で優先交渉権を獲得
  5. 2002年 ガス・コンデンセート田をイクシスと命名
  6. 2004年 ジャパン石油開発を統合
  7. 2005年 国際石油開発と帝国石油の経営統合、共同持ち株会社の設立 体力で見劣りする帝国石油との統合を、黒田直樹社長はなぜ選んだか

インドネシアを軸に積み上げた生産権益

国際石油開発はインドネシアを中心に権益を積み上げ、2005年時点でインドネシア10鉱区・豪州9鉱区の計19鉱区[32]を保有した。主力のマハカム沖とアタカユニットはいずれも権益50%[33]で、パートナーは仏トタルと米ユノカルだった。南ナトゥナ海Bはナトゥナ石油を通じた35%、タングーユニットは16.3%[34]で、多くは欧米企業が主導する事業への出資参画だった。豪州側もWA-10-Lの20%やWA-155-Pの28.5%など少数権益[35]が並んだ。一方でインドネシア東部のマセラ鉱区は権益100%を単独で保有[36]し、のちのアバディLNGの対象になった[37]

石油開発公団は投融資先を石油元売り・上流専業・商社系へ分散させ[38]、経営資源の分散を招いたが、国際石油開発はその数少ない成功例だった。政府は同公団の廃止後、国際石油開発と帝国石油を石油上流開発の旗艦企業と見なしていた[39]。同公団の解体に伴う資産処分の一環で、国際石油開発は2004年に株式を上場し、上場後も政府が29%の株式を保有[40]した。2005年3月末の陣容は、帝国石油が従業員1,331人・技術者510人、国際石油開発が従業員387人・技術者190人[41]だった。統合発表の直前、時価総額は国際石油開発が1兆5,700億円、帝国石油が3,580億円[42]で、4倍を超える開きがあった。

  • 週刊東洋経済 2005年12月24日号「[アウトルック]“日の丸メジャー”誕生の条件」
    • [38]石油公団は投融資先を石油元売り・上流専業・商社系へ分散させ経営資源の分散を招いた
    • [39]石油公団廃止後、政府は国際石油開発・帝国石油を石油上流企業の旗艦企業と位置づけ
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [40]2004年 国際石油開発が上場、上場後も政府が29%を保有
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
    • [41]2005年3月末 帝国石油 従業員1,331人・技術者510人/国際石油開発 従業員387人・技術者190人
    • [42]統合発表直前の時価総額 国際石油開発1兆5,700億円・帝国石油3,580億円
  • 国際石油開発 Annual Report 2005
    • [32]2005年時点でインドネシア10鉱区・豪州9鉱区の計19鉱区を保有
    • [33]マハカム沖・アタカユニットは権益50%(パートナーは仏トタル・米ユノカル)
    • [34]南ナトゥナ海B 35%、タングーユニット 16.3%
    • [35]豪州はWA-10-L 20%、WA-155-P(PartI)28.5%など少数権益
    • [36]マセラ鉱区は権益100%(インペックスマセラアラフラ海石油)
    • [37]マセラ鉱区がアバディLNGプロジェクトの対象鉱区
  • 週刊東洋経済 2005年12月24日号「[アウトルック]“日の丸メジャー”誕生の条件」
    • [38]石油公団は投融資先を石油元売り・上流専業・商社系へ分散させ経営資源の分散を招いた
    • [39]石油公団廃止後、政府は国際石油開発・帝国石油を石油上流企業の旗艦企業と位置づけ
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [40]2004年 国際石油開発が上場、上場後も政府が29%を保有
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
    • [41]2005年3月末 帝国石油 従業員1,331人・技術者510人/国際石油開発 従業員387人・技術者190人
    • [42]統合発表直前の時価総額 国際石油開発1兆5,700億円・帝国石油3,580億円

豪州北西大陸棚とWA-285-P鉱区の単独取得

国際石油開発が自らオペレーターとなる海外探鉱に乗り出したのは1980年代で、インドネシアの3鉱区に大金を投じて探鉱を試みたが、いずれも大きな埋蔵発見に至らず[43]失敗に終わった。対象地域を豪州へ広げて1986年に北西大陸棚で探鉱を始め[44]、1998年に西豪州沖合の面積600平方キロメートルのWA-285-P鉱区[45]を権益100%で取得し、事業会社としてインペックス西豪州ブラウズ石油を設立[46]した。2000年からの第1次探鉱で天然ガスの埋蔵を確認し、第2次・第3次の探鉱を重ねて8年がかりで海底に眠るガス田の全容[47]を把握した。発見したガス・コンデンセート田は2002年にイクシスと名づけられ[48]、天然ガスの埋蔵量は約13兆立方フィート、コンデンセートも5億バレル以上[49]が確認された。

  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [43]1980年代にインドネシア3鉱区で自社オペレーター探鉱を試みるも大きな発見に至らず
    • [45]1998年 西豪州沖合600平方キロメートルのWA-285-P鉱区を取得
    • [47]2000年 第1次探鉱で天然ガスの埋蔵を確認、第2次・第3次探鉱を経て8年がかりで全容把握
    • [49]イクシスの天然ガス埋蔵量 約13兆立方フィート、コンデンセート5億バレル以上
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [44]1986年 豪州で探鉱事業を開始
    • [48]2002年 WA-285-P鉱区のガス・コンデンセート田をイクシスと命名
  • 国際石油開発 Annual Report 2005
    • [46]WA-285-Pは取得時権益100%の単独オペレーター、事業会社はインペックス西豪州ブラウズ石油

イクシスの確認埋蔵量は原油換算で約12億バレル[50]にのぼり、生産権益量に換算すると日量約28万バレル[51]に相当した。この1件だけで会社全体の生産権益量は1.7倍に増える[52]計算で、事業基盤を一気に広げる規模だった。しかし液化施設だけで投資負担は6,000億円を下らず[53]、原油と違ってLNGは換金性が高くないため、長期購入する販売先を先に固めなければ投資に踏み切れなかった[54]。海洋ガス田から陸上の液化基地まで、沖合生産処理設備・浮体式石油貯蔵積出設備・海底パイプラインと工事の範囲が広く[55]、オペレーター経験の乏しい国際石油開発には技術のハードルが高かった。

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [50]イクシス確認埋蔵量 原油換算 約12億バレル
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [51]イクシスの生産権益量は原油換算で日量約28万バレル
    • [52]イクシス1件で会社全体の生産権益量が1.7倍に増える規模
    • [53]液化施設だけで投資負担は6,000億円を下らない
    • [54]LNGは換金性が低く長期販売先の確定が投資の前提
    • [55]沖合生産処理設備・浮体式石油貯蔵積出設備・液化施設まで一貫した工事範囲
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [43]1980年代にインドネシア3鉱区で自社オペレーター探鉱を試みるも大きな発見に至らず
    • [45]1998年 西豪州沖合600平方キロメートルのWA-285-P鉱区を取得
    • [47]2000年 第1次探鉱で天然ガスの埋蔵を確認、第2次・第3次探鉱を経て8年がかりで全容把握
    • [49]イクシスの天然ガス埋蔵量 約13兆立方フィート、コンデンセート5億バレル以上
    • [51]イクシスの生産権益量は原油換算で日量約28万バレル
    • [52]イクシス1件で会社全体の生産権益量が1.7倍に増える規模
    • [53]液化施設だけで投資負担は6,000億円を下らない
    • [54]LNGは換金性が低く長期販売先の確定が投資の前提
    • [55]沖合生産処理設備・浮体式石油貯蔵積出設備・液化施設まで一貫した工事範囲
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [44]1986年 豪州で探鉱事業を開始
    • [48]2002年 WA-285-P鉱区のガス・コンデンセート田をイクシスと命名
    • [50]イクシス確認埋蔵量 原油換算 約12億バレル
  • 国際石油開発 Annual Report 2005
    • [46]WA-285-Pは取得時権益100%の単独オペレーター、事業会社はインペックス西豪州ブラウズ石油

アザデガン油田の獲得と経営統合の合意

2000年11月、ハタミ・イラン大統領の訪日と森喜朗首相との会談で、日本はイラン南部アザデガン油田の開発について優先交渉権[56]を得た。推定埋蔵量は約260億バレルで、サウジアラビアのガワール油田と並ぶ[57]世界最大級の規模だった。2000年2月にアラビア石油がサウジアラビアのカフジ油田の利権を失って[58]おり、経済産業省は自主開発原油の確保を急いでいた。資金の負担割合をめぐる対立と米国の反発で優先交渉権は2003年6月に失効[59]したが、イランが核査察の受け入れを表明して米国が態度を和らげ、交渉は再び動いた。2004年2月、国際石油開発はイラン石油公社と基本契約に調印し、総投資額は約20億米ドル[60]、うち75%を日本側が負担する計画になった。

  • 東洋経済DCL 2004年3月6日号「ニュース最前線 イラン・アザデガン油田「日の丸油田」の大不安」
    • [56]2000年11月 ハタミ大統領訪日・森喜朗首相との会談でアザデガン油田の優先交渉権を獲得
    • [57]アザデガン油田の推定埋蔵量 約260億バレル(ガワール油田に並ぶ規模)
    • [58]2000年2月 アラビア石油がサウジアラビアのカフジ油田利権を喪失
    • [59]2003年6月 資金負担割合の対立と米国の反発で優先交渉権が失効
    • [60]2004年2月 イラン石油公社と基本契約に調印、総投資額約20億米ドル・日本側負担75%

契約はバイバック方式で、産出した原油はイラン政府のものとなり、開発費に一定の利益率を加えた分だけを原油で受け取る[61]仕組みだった。コスト回収期間は6年半、計画期間は12年半[62]で、原油そのものを取得できたカフジ油田の契約に比べて利幅は薄かった。参加が期待された英蘭シェルは、条件の悪さと国際情勢を考慮して早々に離脱[63]した。現地はイランとイラクの国境地帯で、1980年代のイラン・イラク戦争の地雷が残る可能性[64]があり、原油も重質で採算の見通しは立てにくかった。2005年11月5日、国際石油開発と帝国石油は共同持株会社の設立を発表し、統合後の確認埋蔵量は18億500万バレルと米ユノカル[65]を上回る見通しを示した。経済産業省幹部は、統合は同省が主導したものではなく民間企業の経営者同士が判断した結果[66]であり、国の政策にも沿ったものだと説明した。

  • 東洋経済DCL 2006年10月21日号「アウトルック アザデガン油田開発「撤退」の教訓」
    • [61]アザデガンはバイバック方式(産出原油はイラン政府のもの)
    • [62]コスト回収期間6年半・計画期間12年半
    • [63]英蘭シェルは条件の悪さと国際情勢を考慮して早々に離脱
  • 東洋経済DCL 2004年3月6日号「ニュース最前線 イラン・アザデガン油田「日の丸油田」の大不安」
    • [64]現地はイラン・イラク国境地帯で地雷が残る可能性、原油は重質
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
    • [65]2005年11月5日 共同持株会社の設立を発表、統合後の確認埋蔵量18億500万バレル
    • [66]経済産業省幹部は統合を「経産省が主導して実現した話ではなく、あくまで民間企業の経営者同士が判断した結果」「国の政策にも沿ったもの」と説明
  • 東洋経済DCL 2004年3月6日号「ニュース最前線 イラン・アザデガン油田「日の丸油田」の大不安」
    • [56]2000年11月 ハタミ大統領訪日・森喜朗首相との会談でアザデガン油田の優先交渉権を獲得
    • [57]アザデガン油田の推定埋蔵量 約260億バレル(ガワール油田に並ぶ規模)
    • [58]2000年2月 アラビア石油がサウジアラビアのカフジ油田利権を喪失
    • [59]2003年6月 資金負担割合の対立と米国の反発で優先交渉権が失効
    • [60]2004年2月 イラン石油公社と基本契約に調印、総投資額約20億米ドル・日本側負担75%
    • [64]現地はイラン・イラク国境地帯で地雷が残る可能性、原油は重質
  • 東洋経済DCL 2006年10月21日号「アウトルック アザデガン油田開発「撤退」の教訓」
    • [61]アザデガンはバイバック方式(産出原油はイラン政府のもの)
    • [62]コスト回収期間6年半・計画期間12年半
    • [63]英蘭シェルは条件の悪さと国際情勢を考慮して早々に離脱
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
    • [65]2005年11月5日 共同持株会社の設立を発表、統合後の確認埋蔵量18億500万バレル
    • [66]経済産業省幹部は統合を「経産省が主導して実現した話ではなく、あくまで民間企業の経営者同士が判断した結果」「国の政策にも沿ったもの」と説明

2006年〜 経営統合とイクシスへの340億米ドル投資

INPEXの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2006年 国際石油開発と帝国石油の経営統合、共同持ち株会社の設立 体力で見劣りする帝国石油との統合を、黒田直樹社長はなぜ選んだか
  2. 2006年 イクシスの開発権益24%をトタルに譲渡
  3. 2006年 株式移転により国際石油開発帝石HDを設立
  4. 2006年 アザデガン油田の開発権を10%に引き下げ
  5. 2008年 国際石油開発・帝国石油を吸収合併
  6. 2012年 総事業費340億米ドル、イクシスLNGプロジェクトの最終投資決定 自己資本を上回る賭けに、北村俊昭社長はなぜ踏み切ったか
  7. 2015年 アブダビ陸上油田(ADCO)権益、異例の40年契約による確保 国際指名入札を制した資源外交と半世紀に及ぶ操業実績は、10〜20年が相場の石油契約をどう40年へ変えたか

持株会社の発足と、アザデガンからの後退

2006年4月、共同株式移転により国際石油開発帝石ホールディングスが資本金300億円で設立され[67]、東京証券取引所市場第一部に上場した。経済産業大臣は拒否権付きの甲種類株式を1株保有[68]し、2018年時点でも政府が株式の約19%を持っていた[69]。統合初年度の2007年3月期は連結売上高9,697億円・経常利益5,863億円[70]で、国内の石油・天然ガス開発では並ぶ企業のない規模になった。会長・社長には旧通商産業省出身の松尾邦彦会長と黒田直樹社長が横滑りする人事案[71]が示された。帝国石油の筆頭株主だった新日本石油は株式移転比率に異議を唱え、帝石株を約167億円・1,200万株買い増して出資比率を16.4%から20%超へ[72]引き上げた。移転比率は国際石油開発1株に対し持株会社1株、帝国石油1株に対し0.00144株[73]で、渡文明会長は国際石油開発の株式が過大に評価されている可能性を指摘した。

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [67]2006年4月 国際石油開発帝石ホールディングス設立(資本金300億円)・東証市場第一部に上場
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [68]経済産業大臣が拒否権付きの甲種類株式(黄金株)を1株保有したまま上場が認められている
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [69]2018年時点で国が株式の約19%を保有
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [70]2007年3月期 連結売上高9,697億円・経常利益5,863億円
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
    • [71]旧通商産業省出身の松尾邦彦会長・黒田直樹社長が持株会社へ横滑りする人事案
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「新日本石油・渡文明会長が本誌に激白 帝国石油の統合案に『待った』」
    • [72]新日本石油が帝石株を約167億円・1,200万株買い増し、出資比率を16.4%から20%超へ
    • [73]株式移転比率は国際石油開発1株:HD1株、帝国石油1株:HD0.00144株

2008年10月、持株会社は傘下2社を吸収合併し、商号を国際石油開発帝石へ変更[74]した。一方イランでは核開発問題で米国の圧力が強まり、2006年10月、国際石油開発は75%の開発権を10%へ引き下げ、65%分をイラン石油公社へ譲渡[75]した。日本政府も国際協力銀行の融資や石油天然ガス・金属鉱物資源機構の投資保証を見送り[76]、アザデガン開発から事実上退いた。最盛期に日量26万バレル、日本の原油輸入量の約6%を賄う計画[77]は実現しなかった。松尾邦彦会長は撤退を否定した[78]が、開発の主体は日本からイランへ移った。

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [74]2008年10月 傘下2社を吸収合併し商号を国際石油開発帝石へ変更
  • 東洋経済DCL 2006年10月21日号「アウトルック アザデガン油田開発「撤退」の教訓」
    • [75]2006年10月 アザデガンの開発権を75%から10%へ引き下げ65%をイラン石油公社へ譲渡
    • [76]日本政府は国際協力銀行の融資・石油天然ガス・金属鉱物資源機構の投資保証を見送り
    • [78]松尾邦彦会長は撤退を否定したが開発主体はイラン側へ移った
  • 東洋経済DCL 2004年3月6日号「ニュース最前線 イラン・アザデガン油田「日の丸油田」の大不安」
    • [77]アザデガンの計画生産量は最盛期日量26万バレル・日本の原油輸入量の約6%
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [67]2006年4月 国際石油開発帝石ホールディングス設立(資本金300億円)・東証市場第一部に上場
    • [74]2008年10月 傘下2社を吸収合併し商号を国際石油開発帝石へ変更
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [68]経済産業大臣が拒否権付きの甲種類株式(黄金株)を1株保有したまま上場が認められている
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [69]2018年時点で国が株式の約19%を保有
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [70]2007年3月期 連結売上高9,697億円・経常利益5,863億円
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
    • [71]旧通商産業省出身の松尾邦彦会長・黒田直樹社長が持株会社へ横滑りする人事案
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「新日本石油・渡文明会長が本誌に激白 帝国石油の統合案に『待った』」
    • [72]新日本石油が帝石株を約167億円・1,200万株買い増し、出資比率を16.4%から20%超へ
    • [73]株式移転比率は国際石油開発1株:HD1株、帝国石油1株:HD0.00144株
  • 東洋経済DCL 2006年10月21日号「アウトルック アザデガン油田開発「撤退」の教訓」
    • [75]2006年10月 アザデガンの開発権を75%から10%へ引き下げ65%をイラン石油公社へ譲渡
    • [76]日本政府は国際協力銀行の融資・石油天然ガス・金属鉱物資源機構の投資保証を見送り
    • [78]松尾邦彦会長は撤退を否定したが開発主体はイラン側へ移った
  • 東洋経済DCL 2004年3月6日号「ニュース最前線 イラン・アザデガン油田「日の丸油田」の大不安」
    • [77]アザデガンの計画生産量は最盛期日量26万バレル・日本の原油輸入量の約6%

仏トタルの招請と5,200億円のエクイティ調達

技術の不足を補うため、2006年に100%保有していたイクシスの開発権益のうち24%を仏トタルへ譲渡[79]し、LNG開発の経験を持つ同社をパートナーに迎えた。2010年末にはトタルから約20名の幹部技術者を受け入れた[80]。西豪州の州都パースに専用拠点を構え、欧米豪の技術者を採用して総勢300名[81]で開発準備を進めた。設備は予期しないリスクを避けるため確立された技術を前提に設計し、2010年末に各設備の設計図を仕上げて[82]業者選定へ移った。2011年2月中旬の時点では、大口需要家である国内の電力・ガス会社との長期購入契約はまだ基本合意に達していなかった[83]

  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [79]2006年 イクシスの開発権益24%を仏トタルへ譲渡
    • [80]2010年末 トタルから約20名の幹部技術者を受け入れ
    • [81]西豪州パースに専用拠点を構え総勢300名で開発準備
    • [82]確立された技術を前提に設計、2010年末に設計図が完成し業者選定へ
    • [83]2011年2月中旬時点で長期購入契約は基本合意に至らず

2010年8月、公募増資と第三者割当増資で約5,200億円を調達し、資本金は2,908億9百万円[84]へ増えた。当時の営業キャッシュフローは原油高で年2,000億円以上あったが、開発投資も毎年3,000億円規模[85]を要した。2012年8月にはプロジェクトファイナンスで200億米ドルを組成[86]し、同年12月、総事業費約340億米ドルのイクシスLNGプロジェクトの最終投資決定[87]に踏み切った。総事業費は同社の自己資本を上回る規模[88]で、北村俊昭社長は投資決定に大きなリスクが伴うと認めていた。有利子負債は2011年3月期の2,731億円から2015年3月期に6,772億円、2019年3月期には1兆1,412億円[89]へ増えた。

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [84]2010年8月 公募増資・第三者割当増資で約5,200億円を調達(資本金2,908億9百万円へ)
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [85]営業キャッシュフローは年2,000億円以上、開発投資は毎年3,000億円規模
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [86]2012年8月 プロジェクトファイナンス200億米ドルを組成
  • 東洋経済DCL 2015年1月30日号「特集 世界大激震 原油安ショック 高まる減損リスク」
    • [87]2012年12月 総事業費約340億米ドルでイクシスLNGの最終投資決定
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [88]総事業費は自己資本を上回る規模で、北村俊昭社長は大きなリスクを認識
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結貸借対照表)
    • [89]有利子負債 2011年3月期2,731億円→2015年3月期6,772億円→2019年3月期1兆1,412億円
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
    • [79]2006年 イクシスの開発権益24%を仏トタルへ譲渡
    • [80]2010年末 トタルから約20名の幹部技術者を受け入れ
    • [81]西豪州パースに専用拠点を構え総勢300名で開発準備
    • [82]確立された技術を前提に設計、2010年末に設計図が完成し業者選定へ
    • [83]2011年2月中旬時点で長期購入契約は基本合意に至らず
    • [85]営業キャッシュフローは年2,000億円以上、開発投資は毎年3,000億円規模
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [84]2010年8月 公募増資・第三者割当増資で約5,200億円を調達(資本金2,908億9百万円へ)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [86]2012年8月 プロジェクトファイナンス200億米ドルを組成
  • 東洋経済DCL 2015年1月30日号「特集 世界大激震 原油安ショック 高まる減損リスク」
    • [87]2012年12月 総事業費約340億米ドルでイクシスLNGの最終投資決定
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [88]総事業費は自己資本を上回る規模で、北村俊昭社長は大きなリスクを認識
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結貸借対照表)
    • [89]有利子負債 2011年3月期2,731億円→2015年3月期6,772億円→2019年3月期1兆1,412億円

建設の遅れとアブダビ陸上鉱区の40年権益

イクシスの工事には最大で約3万人の作業員が携わったが、豪州各地で資源開発が重なり[90]、液化プラントの建設で労働者不足に直面した。配管工事の最中には雨季の大雨にも見舞われ、2016年末を予定していた生産開始は約1年半ずれ込んだ[91]。投資額も計画より7,000億円近く膨らみ、総投資額は400億米ドル[92]に達した。2014年から2016年にかけて原油価格は1バレル100米ドル台から50米ドルを割る水準へ下がり、原油相場が年平均で1米ドル下がると連結純益が25億円減る[93]収益構造が意識された。連結売上高は2014年3月期の1兆3,346億円から2016年3月期の1兆96億円へ2年で24%縮み[94]、親会社帰属利益は1,836億円から167億円へ落ちた[95]

  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [90]イクシス工事は最大約3万人の作業員、豪州の資源開発集中で労働者不足
    • [91]2016年末予定の生産開始が約1年半遅延
    • [92]投資額は計画より約7,000億円増、総投資額400億米ドル
  • 東洋経済DCL 2015年1月30日号「特集 世界大激震 原油安ショック 高まる減損リスク」
    • [93]原油相場が年平均1米ドル下落で連結純益が25億円減少する構造
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [94]連結売上高 2014年3月期1兆3,346億円→2016年3月期1兆96億円(2年で24%減)
    • [95]親会社帰属利益 2014年3月期1,836億円→2016年3月期167億円

2015年4月、国際石油開発帝石はアラブ首長国連邦アブダビ首長国の陸上油田ADCO鉱区の参加権益5%を取得[96]した。契約期間は2015年から2054年までの40年[97]で、10年から20年が通例の石油契約としては異例の長さだった。ADCO鉱区は1939年の利権契約以来、ADNOCと欧米メジャー6社が権益[98]を持ち、2012年から利権契約更改の入札が動き出していた。2015年1月末に仏トタルが外資開放枠40%のうち10%の取得を発表[99]すると、残る10%を日本・中国・韓国が争った。安倍晋三首相とムハンマド皇太子の電話会談や経済産業副大臣の特使派遣[100]を経て日本への配分が固まり、取得分から日量8万〜9万バレルの原油を調達[101]できるようになった。

  • 週刊東洋経済 2015年5月8日号「核心リポート03 アブダビ巨大油田巡る“資源外交”の舞台裏」
    • [96]2015年4月 アブダビ陸上油田ADCO鉱区の参加権益5%を取得
    • [97]契約期間は40年間(10〜20年が一般的な石油契約では異例)
    • [98]ADCO鉱区は1939年締結の利権契約以来ADNOCと欧米メジャー6社が権益を保有、2012年から入札
    • [99]2015年1月末 仏トタルが外資開放枠40%のうち10%取得を発表
    • [100]安倍晋三首相とムハンマド皇太子の電話会談、経済産業副大臣の特使派遣
    • [101]ADCO権益5%から日量8万〜9万バレルの原油調達が可能に

2018年7月、イクシスLNGプロジェクトが操業を開始し、鉱区取得から20年、最終投資決定から6年半[102]を経て生産に至った。年産能力はLNG約890万トン・LPG約160万トンで、LNGは日本の年間輸入量の1割強[103]にあたる。生産したLNGの約7割はJERA・東京ガス・関西電力など日本の買い主向け[104]で、20年以上にわたって供給する契約になった。大型LNGプロジェクトのオペレーターを担える企業は世界で10社ほど[105]で、国際石油開発帝石はその1社に加わった。アジア・オセアニアセグメントの売上高は2018年3月期の916億円から2019年3月期の2,409億円へ2.6倍[106]になった。

  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [102]2018年7月 イクシスLNG操業開始(鉱区取得1998年から20年、FIDから6年半)
    • [104]生産LNGの約7割がJERA・東京ガス・関西電力など日本の買い主向け
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [103]イクシスの年産能力 LNG約890万トン・LPG約160万トン、日本のLNG輸入量の1割強
  • 東洋経済DCL 2019年1月19日号「トップに直撃 国際石油開発帝石 社長 上田隆之」
    • [105]大型LNGのオペレーター経験を持つ企業は世界で10社ほど
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [106]アジア・オセアニア売上高 2018年3月期916億円→2019年3月期2,409億円(2.6倍)
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [90]イクシス工事は最大約3万人の作業員、豪州の資源開発集中で労働者不足
    • [91]2016年末予定の生産開始が約1年半遅延
    • [92]投資額は計画より約7,000億円増、総投資額400億米ドル
    • [102]2018年7月 イクシスLNG操業開始(鉱区取得1998年から20年、FIDから6年半)
    • [104]生産LNGの約7割がJERA・東京ガス・関西電力など日本の買い主向け
  • 東洋経済DCL 2015年1月30日号「特集 世界大激震 原油安ショック 高まる減損リスク」
    • [93]原油相場が年平均1米ドル下落で連結純益が25億円減少する構造
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [94]連結売上高 2014年3月期1兆3,346億円→2016年3月期1兆96億円(2年で24%減)
    • [95]親会社帰属利益 2014年3月期1,836億円→2016年3月期167億円
  • 週刊東洋経済 2015年5月8日号「核心リポート03 アブダビ巨大油田巡る“資源外交”の舞台裏」
    • [96]2015年4月 アブダビ陸上油田ADCO鉱区の参加権益5%を取得
    • [97]契約期間は40年間(10〜20年が一般的な石油契約では異例)
    • [98]ADCO鉱区は1939年締結の利権契約以来ADNOCと欧米メジャー6社が権益を保有、2012年から入札
    • [99]2015年1月末 仏トタルが外資開放枠40%のうち10%取得を発表
    • [100]安倍晋三首相とムハンマド皇太子の電話会談、経済産業副大臣の特使派遣
    • [101]ADCO権益5%から日量8万〜9万バレルの原油調達が可能に
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [103]イクシスの年産能力 LNG約890万トン・LPG約160万トン、日本のLNG輸入量の1割強
  • 東洋経済DCL 2019年1月19日号「トップに直撃 国際石油開発帝石 社長 上田隆之」
    • [105]大型LNGのオペレーター経験を持つ企業は世界で10社ほど
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [106]アジア・オセアニア売上高 2018年3月期916億円→2019年3月期2,409億円(2.6倍)

2019年〜 一本足経営の自認と、脱炭素への資本配分

INPEXの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2019年 アバディLNGプロジェクトの開発計画が承認
  2. 2020年 連結純損失1117億円を計上
  3. 2021年 スノーレプロジェクトに参画
  4. 2021年 INPEXに商号変更
  5. 2022年 長期戦略「INPEX Vision @2022」を公表
  6. 2022年 売上収益2兆3161億円・親会社帰属利益4611億円を計上
  7. 2025年 長期戦略「INPEX Vision 2035」を公表

初の純損失1,117億円と社名変更

2020年12月期、原油価格の低迷で連結純損益は1,117億円の赤字となり、2006年の統合以来はじめての最終赤字[107]になった。平均油価は1バレル約43米ドルまで下がり、豪州のプレリュードFLNGなどで計1,899億円の減損[108]を計上した。一過性の損益を除いたベース純利益は546億円で、前年同一期間の1,495億円[109]から3分の1近くへ減った。売上高も2019年12月期の1兆円から7,710億円へ23%減った[110]。中東・アフリカセグメントの売上高は2019年12月期の5,692億円から2020年12月期の3,524億円[111]へ落ち込んだ。

  • 東洋経済DCL 2021年5月15日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 一本足経営の脱却狙い水素、再エネを育てる」
    • [107]2020年12月期 連結純損益1,117億円の赤字(2006年統合以来はじめての最終赤字)
    • [108]2020年12月期 平均油価1バレル約43米ドル、プレリュードFLNGなどで計1,899億円の減損
    • [109]2020年12月期 ベース純利益546億円(前年同一期間1,495億円)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [110]売上高 2019年12月期1兆円→2020年12月期7,710億円(23%減)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [111]中東・アフリカ売上高 2019年12月期5,692億円→2020年12月期3,524億円

2021年4月、商号を国際石油開発帝石から株式会社INPEXへ変更[112]した。上田隆之社長はイクシス一本足打法という指摘を正しいと認め[113]、この巨大なLNGプラントに事故が起きれば利益に相応の影響が出ることを認めた。原油と天然ガスの生産比率はイクシスのフル生産で6対4になり、アバディが生産を始めれば5対5[114]になる見通しを示した。新潟県長岡市の南長岡ガス田の天然ガスから水素をつくり、生じたCO2を柏崎市のガス田へ埋める[115]ブルー水素の実証について、2021年度中の投資決定を予定した。アブダビでは生産した天然ガスから水素をつくってアンモニアに変え、日本へ運ぶ事業をアブダビ国営石油や電力会社と協議[116]した。

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [112]2021年4月 商号を株式会社INPEXに変更
  • 東洋経済DCL 2021年5月15日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 一本足経営の脱却狙い水素、再エネを育てる」
    • [113]上田隆之社長は「イクシス一本足打法」の指摘を正しいと認めた
    • [114]原油と天然ガスの生産比率はイクシスのフル生産で6対4、アバディ生産開始で5対5
    • [115]新潟県長岡市の南長岡ガス田でブルー水素実証、CO2は柏崎市のガス田へ貯留
    • [116]アブダビで天然ガスから水素・アンモニアを製造し日本へ運ぶ事業を協議
  • 東洋経済DCL 2021年5月15日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 一本足経営の脱却狙い水素、再エネを育てる」
    • [107]2020年12月期 連結純損益1,117億円の赤字(2006年統合以来はじめての最終赤字)
    • [108]2020年12月期 平均油価1バレル約43米ドル、プレリュードFLNGなどで計1,899億円の減損
    • [109]2020年12月期 ベース純利益546億円(前年同一期間1,495億円)
    • [113]上田隆之社長は「イクシス一本足打法」の指摘を正しいと認めた
    • [114]原油と天然ガスの生産比率はイクシスのフル生産で6対4、アバディ生産開始で5対5
    • [115]新潟県長岡市の南長岡ガス田でブルー水素実証、CO2は柏崎市のガス田へ貯留
    • [116]アブダビで天然ガスから水素・アンモニアを製造し日本へ運ぶ事業を協議
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [110]売上高 2019年12月期1兆円→2020年12月期7,710億円(23%減)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [111]中東・アフリカ売上高 2019年12月期5,692億円→2020年12月期3,524億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [112]2021年4月 商号を株式会社INPEXに変更

資源高で得た利益の配分と累進配当の導入

2022年12月期の売上収益は2兆3,161億円、親会社帰属利益は4,611億円[117]で、いずれも統合後の最高になった。中東・アフリカセグメントの売上高は2021年12月期の6,181億円から2022年12月期の1兆2,529億円へ倍増[118]した。配当と自社株買いを合わせた株主還元は、2020年12月期の438億円から2022年12月期の2,016億円へ4.6倍[119]になった。自社株買いは2021年12月期の700億円が最初の計上で、2023年12月期は1,000億円、2024年12月期は1,300億円[120]と続いた。連結従業員数も2020年12月期の3,163人から2024年12月期の3,679人へ増えた[121]

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [117]2022年12月期 売上収益2兆3,161億円・親会社帰属利益4,611億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [118]中東・アフリカ売上高 2021年12月期6,181億円→2022年12月期1兆2,529億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [119]株主還元総額 2020年12月期438億円→2022年12月期2,016億円(4.6倍)
    • [120]自社株買い 2021年12月期700億円・2023年12月期1,000億円・2024年12月期1,300億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(従業員の状況)
    • [121]連結従業員数 2020年12月期3,163人→2024年12月期3,679人

2023年、株主の約3割を占める外国人投資家から還元が不十分との指摘[122]を受け、上田隆之社長は資本効率の向上・市場の信認・株主還元と投資家との対話の3本柱を示した。指標にはROEでなくROICを据え、有利子負債を含む投下資本に対する利益率が6%程度の加重平均資本コスト[123]を上回ることを目標に置いた。2018年3月に45%を超えていた海外投資家比率[124]は、2023年には28%へ下がっていた。2025年2月には累進配当を導入し、業績の短期的な変動によらず配当を維持・強化[125]する方針を明示した。2025年から2027年の中期経営計画では、油価70米ドル・為替135円を前提に4,000億円以上の株主還元と1.8兆円以上の投資[126]を掲げた。

  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [122]株主の約3割が外国人投資家、還元が不十分との指摘
    • [123]ROICを指標に据え6%程度のWACCを上回ることを目標化
    • [124]海外投資家比率 2018年3月45%超→2023年28%
  • 株式会社INPEX「INPEX Vision 2035 FAQ」(2025年2月19日)
    • [125]2025年2月 累進配当を導入し減配を原則行わない方針を明示
    • [126]2025-2027中期経営計画 油価70米ドル・為替135円前提で株主還元4,000億円以上・投資1.8兆円以上
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [117]2022年12月期 売上収益2兆3,161億円・親会社帰属利益4,611億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [118]中東・アフリカ売上高 2021年12月期6,181億円→2022年12月期1兆2,529億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [119]株主還元総額 2020年12月期438億円→2022年12月期2,016億円(4.6倍)
    • [120]自社株買い 2021年12月期700億円・2023年12月期1,000億円・2024年12月期1,300億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(従業員の状況)
    • [121]連結従業員数 2020年12月期3,163人→2024年12月期3,679人
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [122]株主の約3割が外国人投資家、還元が不十分との指摘
    • [123]ROICを指標に据え6%程度のWACCを上回ることを目標化
    • [124]海外投資家比率 2018年3月45%超→2023年28%
  • 株式会社INPEX「INPEX Vision 2035 FAQ」(2025年2月19日)
    • [125]2025年2月 累進配当を導入し減配を原則行わない方針を明示
    • [126]2025-2027中期経営計画 油価70米ドル・為替135円前提で株主還元4,000億円以上・投資1.8兆円以上

アバディLNGの再起動とINPEX Vision 2035

インドネシアのアバディLNGでは、当初計画した浮体式の液化設備をインドネシア政府が2016年春に認めず、陸上での液化を求めた[127]ため構想が崩れた。陸上の液化施設は建設時に大量の雇用を生む[128]ため、経済発展の遅れた東部への配慮という政治判断が働いた。陸上液化を前提に計画を組み直し、想定年産は950万トン、総事業費は約3兆円[129]になった。2023年には英シェルが権益35%から撤退し、インドネシア国営のプルタミナとマレーシアのペトロナス[130]が持分を引き取った。INPEXの権益は65%で、開発計画の当初からCCSを組み込む案をインドネシア政府へ申請[131]し、2030年前後の生産開始を見込んだ。

  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [127]2016年春 インドネシア政府が浮体式液化を認めず陸上液化を要求
    • [128]陸上液化は建設時に大量の雇用を生むため東部への配慮という政治判断
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [129]アバディの想定年産950万トン・総事業費約3兆円
    • [130]2023年 英シェルが権益35%から撤退、プルタミナとペトロナスが持分を取得
    • [131]INPEXのアバディ権益は65%、開発計画当初からCCSを組み込み2030年前後の生産開始

2022年に長期ビジョン「INPEX Vision @2022」を公表し、2050年のネットゼロ[132]を掲げた。イクシスの年産能力は2023年に890万トンから930万トンへ引き上げ[133]、周辺でCO2を回収・貯留する権利を豪州政府から得た。2025年2月の「INPEX Vision 2035」では、油価90米ドル・為替150円を前提に、2035年の営業キャッシュフロー1.5兆円とROE10%以上[134]を掲げた。2025年12月期の売上収益は2兆114億円、親会社帰属利益は3,938億円[135]だった。営業キャッシュフローは6,939億円[136]、自己資本は4兆4,714億円で、総資産7兆7,352億円に占める比率は約58%[137]だった。セグメント別では国内が1,921億円、海外のイクシスが3,150億円、海外のその他が1兆4,869億円[138]で、海外の比率は9割に達した。

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [132]2022年 長期ビジョン「INPEX Vision @2022」を策定し2050年ネットゼロを表明
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [133]イクシスの年産能力を2023年に890万トンから930万トンへ引き上げ、豪州でCCSの権利を取得
  • 株式会社INPEX「INPEX Vision 2035 FAQ」(2025年2月19日)
    • [134]INPEX Vision 2035 油価90米ドル・為替150円前提で2035年営業CF1.5兆円・ROE10%以上
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [135]2025年12月期 売上収益2兆114億円・親会社帰属利益3,938億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結キャッシュ・フロー計算書)
    • [136]2025年12月期 営業キャッシュフロー6,939億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結貸借対照表)
    • [137]2025年12月期 自己資本4兆4,714億円・総資産7兆7,352億円(自己資本比率 約58%)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [138]2025年12月期セグメント別売上高 国内1,921億円・イクシス3,150億円・その他海外1兆4,869億円
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
    • [127]2016年春 インドネシア政府が浮体式液化を認めず陸上液化を要求
    • [128]陸上液化は建設時に大量の雇用を生むため東部への配慮という政治判断
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
    • [129]アバディの想定年産950万トン・総事業費約3兆円
    • [130]2023年 英シェルが権益35%から撤退、プルタミナとペトロナスが持分を取得
    • [131]INPEXのアバディ権益は65%、開発計画当初からCCSを組み込み2030年前後の生産開始
    • [133]イクシスの年産能力を2023年に890万トンから930万トンへ引き上げ、豪州でCCSの権利を取得
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [132]2022年 長期ビジョン「INPEX Vision @2022」を策定し2050年ネットゼロを表明
  • 株式会社INPEX「INPEX Vision 2035 FAQ」(2025年2月19日)
    • [134]INPEX Vision 2035 油価90米ドル・為替150円前提で2035年営業CF1.5兆円・ROE10%以上
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [135]2025年12月期 売上収益2兆114億円・親会社帰属利益3,938億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結キャッシュ・フロー計算書)
    • [136]2025年12月期 営業キャッシュフロー6,939億円
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結貸借対照表)
    • [137]2025年12月期 自己資本4兆4,714億円・総資産7兆7,352億円(自己資本比率 約58%)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
    • [138]2025年12月期セグメント別売上高 国内1,921億円・イクシス3,150億円・その他海外1兆4,869億円

INPEXの沿革1940〜2025年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
帝国石油資源開発を設立
帝国石油を設立★★★
日本石油など4社の石油鉱業部門を統合★★
太平洋石油・大日本石油鉱業を合併
北樺太石油を合併
東邦石油を買収★★
政府による配当保証・社債保証が廃止
年間原油生産量が創立以来の最低
商法に準拠する民間会社として再発足★★★
年間原油生産量が創立以来の最高
国産原油の97%以上を生産★★
資産再評価積立金の資本組入により倍額増資
東京証券取引所に上場
南関東ガス田で水溶性ガスの開発を開始★★
長距離高圧天然ガスパイプライン「東京ライン」が完成★★
日本鉱業から社長を迎えて経営再建に着手★★
北スマトラ海洋石油資源開発を設立★★
インドネシア石油資源開発に商号変更
アタカ油田を発見★★
ガルフ社の鉱区に資本参加
ジャパン石油開発を設立
インドネシア石油に商号変更
南長岡ガス田を発見★★
越路原プラントが完成
北西大陸棚で探鉱を開始★★
WA-285-P鉱区を権益100%で取得★★
WA-285-P鉱区で天然ガスの埋蔵を確認
アザデガン油田の開発で優先交渉権を獲得★★
国際石油開発に商号変更
ガス・コンデンセート田をイクシスと命名★★
アザデガン油田の優先交渉権が失効
黒田直樹ジャパン石油開発を統合★★
黒田直樹イラン石油公社とアザデガン油田の基本契約に調印★★
黒田直樹東京証券取引所市場第一部に上場
黒田直樹カスピ海ACG鉱区で生産を開始
黒田直樹国際石油開発と帝国石油の経営統合、共同持ち株会社の設立体力で見劣りする帝国石油との統合を、黒田直樹社長はなぜ選んだか 詳細を読む★★★
黒田直樹イクシスの開発権益24%をトタルに譲渡★★
黒田直樹株式移転により国際石油開発帝石HDを設立★★
黒田直樹東京証券取引所市場第一部に上場
黒田直樹アザデガン油田の開発権を10%に引き下げ★★★
黒田直樹国際石油開発・帝国石油を吸収合併★★
黒田直樹国際石油開発帝石に商号変更
北村俊昭イクシスLNGプロジェクトのFEEDを開始
北村俊昭公募増資・第三者割当増資により約5200億円を調達★★
北村俊昭イクシスLNGのプロジェクトファイナンスを締結★★
北村俊昭総事業費340億米ドル、イクシスLNGプロジェクトの最終投資決定自己資本を上回る賭けに、北村俊昭社長はなぜ踏み切ったか 詳細を読む★★★
北村俊昭直江津LNG基地が竣工
北村俊昭サルーラ地熱発電事業に参画
北村俊昭アブダビ陸上油田(ADCO)権益、異例の40年契約による確保国際指名入札を制した資源外交と半世紀に及ぶ操業実績は、10〜20年が相場の石油契約をどう40年へ変えたか 詳細を読む★★★
北村俊昭連結売上高が1兆96億円へ縮小★★
上田隆之下部ザクム油田の権益を取得
上田隆之イクシスLNGプロジェクトが操業開始★★
上田隆之アバディLNGプロジェクトの開発計画が承認
上田隆之連結純損失1117億円を計上★★
上田隆之スノーレプロジェクトに参画
上田隆之INPEXに商号変更
上田隆之自己株式を取得
上田隆之長期戦略「INPEX Vision @2022」を公表★★
上田隆之洋上風力発電事業に参画
上田隆之プライム市場に移行
上田隆之売上収益2兆3161億円・親会社帰属利益4611億円を計上★★
上田隆之イクシスの年産能力を930万トンに引き上げ
上田隆之洋上風力発電事業に参画
上田隆之アバディLNGの改定開発計画が承認
上田隆之長期戦略「INPEX Vision 2035」を公表★★
上田隆之中期経営計画を開始
上田隆之売上収益2兆114億円・親会社帰属利益3938億円を計上
出典・参考
  • 会社銀行八十年史(東洋経済新報社、1955年)「帝国石油」の項
  • 証券アナリストジャーナル 1971年9巻3号「帝国石油の現状と将来」
  • 東洋経済DCL 2011年3月1日号「カンパニー&ビジネス 総事業費2兆円の大プロジェクト 豪LNG開発に社運託す INPEXの切なる願望」
  • 国際石油開発 Annual Report 2005
  • 株式会社INPEX ニュースリリース「アバディLNGプロジェクト(マセラ鉱区)における改定開発計画の承認について」(2023年12月5日)
  • 週刊東洋経済 2005年12月24日号「[アウトルック]“日の丸メジャー”誕生の条件」
  • 週刊東洋経済 2005年11月19日号「[TheHeadline]国際石油開発、帝国石油が経営統合“日本版メジャー”誕生の舞台裏」
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
  • 東洋経済DCL 2004年3月6日号「ニュース最前線 イラン・アザデガン油田「日の丸油田」の大不安」
  • 東洋経済DCL 2006年10月21日号「アウトルック アザデガン油田開発「撤退」の教訓」
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
  • 東洋経済DCL 2023年10月14日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 インドネシアLNG事業は再スタート元年になる」
  • 東洋経済DCL 2018年8月4日号「【産業リポート LNGに懸けるINPEX】豪州でLNG生産を開始 国際石油開発帝石の野望」
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「新日本石油・渡文明会長が本誌に激白 帝国石油の統合案に『待った』」
  • 東洋経済DCL 2015年1月30日号「特集 世界大激震 原油安ショック 高まる減損リスク」
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結貸借対照表)
  • 週刊東洋経済 2015年5月8日号「核心リポート03 アブダビ巨大油田巡る“資源外交”の舞台裏」
  • 東洋経済DCL 2019年1月19日号「トップに直撃 国際石油開発帝石 社長 上田隆之」
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(セグメント情報)
  • 東洋経済DCL 2021年5月15日号「トップに直撃 INPEX 社長 上田隆之 一本足経営の脱却狙い水素、再エネを育てる」
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(従業員の状況)
  • 株式会社INPEX「INPEX Vision 2035 FAQ」(2025年2月19日)
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結キャッシュ・フロー計算書)

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