創業地東京都
創業年1966
上場年2006
創業者※帝国石油+国際石油開発
1966年〜 国策会社の誕生とイクシス発見に至る海外探鉱
1966 インドネシア石油資源開発株式会社を設立
1986 国際石油開発が豪州に進出
1998 豪州WA-285-P鉱区を単独取得
2000 WA-285-P鉱区で第1次試掘を開始
2002 豪州WA-285-P鉱区でガス・コンデンセート田を発見しイクシスと命名
2005 国際石油開発と帝国石油が経営統合に合意
2002年3月期 連結
売上高 1,842億円
純利益 276億円
純利益率 15.0%
2005年3月期 連結
売上高 4,785億円
純利益 764億円
純利益率 16.0%

INPEXの源流は、エネルギー安全保障の要請から生まれた2つの国策会社にある。1941年設立の帝国石油が国内の油ガス田開発を担い、1966年設立の国際石油開発が海外の自主開発を受け持った。国際石油開発は1986年に豪州北西大陸棚での探鉱に着手し、日本企業には異例の単独オペレーターとして1998年にWA-285-P鉱区を取得する。2000年に試掘を始め、2002年にガス・コンデンセート田を発見してイクシスと命名した。確認埋蔵量は原油換算で約12億バレルと世界有数の規模に達した。しかし数兆円規模の商業化を単独で担う体力はなく、「日の丸石油会社」構想と結びついて、2005年11月に帝国石油との経営統合へ合意した。

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2006年〜 経営統合とイクシスへの340億米ドル投資による商業化
2006 国際石油開発帝石HDを設立し東証一部に上場
2008 国際石油開発・帝国石油を吸収合併し国際石油開発帝石に商号変更
2009 イクシスLNGプロジェクトのFEED(基本設計)を開始
2010 公募増資・第三者割当増資を実施
2012 豪州イクシスLNGプロジェクトの最終投資決定(FID)
2018 豪州イクシスLNGプロジェクトの操業開始
2006年3月期 連結
売上高 7,042億円
純利益 1,034億円
純利益率 14.7%
2018年3月期 連結
売上高 9,337億円
純利益 403億円
純利益率 4.3%

2006年4月、国際石油開発と帝国石油は共同株式移転で国際石油開発帝石ホールディングスを設立し、東証一部に上場した。2008年10月には傘下2社を吸収合併して国際石油開発帝石へ移行する。統合初年度の連結売上高は約9700億円、経常利益は約5900億円と国内E&P首位の規模だったが、収益の柱は中東・アジアの既存権益で、イクシスはなお探鉱段階にあった。同社はイクシス商業化へ向け、2010年8月に公募増資などで5200億円を調達した。続いて2012年12月、総事業費約340億米ドルの最終投資決定に踏み切った。そして2018年7月、発見から16年を経てイクシスLNGが操業を開始し、日本企業がオペレーターとしてLNGプロジェクトを完遂した初の事例となった

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2019年〜 原油価格変動下の財務規律強化とネットゼロ宣言
2020 初の純損失を計上
2021 商号を株式会社INPEXに変更
2022 INPEX Vision @2022を策定
2022 東証プライム市場に移行
2019年12月期 連結
売上高 10,000億円
純利益 1,235億円
純利益率 12.3%
2024年12月期 連結
売上高 22,658億円
純利益 4,273億円
純利益率 18.9%

2020年、COVID-19の感染拡大で原油価格が暴落し、INPEXはイクシス関連資産の減損を計上して連結初の純損失1117億円を記録した。翌2021年以降はウクライナ情勢によるエネルギー価格高騰で業績が一転し、長年の投資が収益へ転じる。同社は株主還元を拡大し、FY22の還元総額は配当と自社株買いの合算で2016億円と、FY20の438億円から4.6倍に膨らんだ。2022年には長期ビジョン「INPEX Vision @2022」を策定し、2050年ネットゼロを宣言して事業を脱炭素方向へ組み替える方針を示した。FY24(2025年12月期)の連結売上収益は2兆114億円、親会社帰属利益は3938億円となった。自己資本比率は約57%と財務基盤は安定した。

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決断の理由 — クリティカルな歴史の転換点を読み解く

Q なぜ2006年に帝国石油と国際石油開発という国策2社は統合したのか
A 単独ではメジャー級の開発資金を調達できないという企業体力の制約と、政府の「日の丸石油会社」構想が同じ方向で重なったためである。国内供給を担う帝国石油と海外自主開発を担う国際石油開発の事業は補完関係にあり、国際石油開発が2002年に豪州で発見したイクシスの商業化には数兆円の資金と交渉力が要った。両社は2005年11月に経営統合へ合意し、2006年4月に国際石油開発帝石ホールディングスとして発足、東証一部に上場した。経済産業大臣が黄金株を1株保有する半官半民の資本構造が、その後の信用補完として組み込まれた
Q なぜ2012年に総事業費340億米ドルのイクシスLNGへ最終投資決定したのか
A 発見から10年を経ても、確認埋蔵量約12億バレルのイクシスは開発しなければ収益を生まず、統合で得た資金調達力をここで使い切る判断だったためである。回収に10年を超える案件を一手段に頼らず分散する設計として、INPEXは2010年8月に当時最大の約5,200億円を増資で集め、2012年8月にプロジェクトファイナンスで200億米ドルを借り入れ、利益剰余金も合わせて同年12月に340億米ドルの最終投資決定へ進んだ。日本企業がオペレーターを務める初の大型LNGで、2018年の操業開始まで6年の建設リスクを負う決断だった
Q なぜ2022年に2050年ネットゼロを宣言し脱炭素へ転換したのか
A 資源価格に直結する単一事業への依存が2020年の初の純損失1,117億円で表面化し、資源高で得たキャッシュフローを次の柱に振り向ける必要があったためである。INPEXは2021年に国際石油開発帝石から改称し、2022年に長期ビジョン「INPEX Vision @2022」で2050年ネットゼロを宣言、天然ガスを移行期の燃料に置きつつCCS・水素・再エネへ投資する二本立てを示した。2023年12月にはインドネシア政府がCCS追加を承認したアバディLNGの改定開発計画を進め、2025年2月の「INPEX Vision 2035」で成長投資1.8兆円を5分野へ割り当てた

出典・参考文献

歴史概要

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [1] 帝国石油は1941年、国際石油開発の母体は1966年に国策会社として設立された
    • [2] 1986年に豪州北西大陸棚で探鉱に着手し、1998年にWA-285-P鉱区を単独オペレーターとして取得した
    • [3] 2002年にガス・コンデンセート田を発見しイクシスと命名した
    • [5] 2006年4月に国際石油開発帝石HDが発足し東証一部に上場した
    • [8] 2018年7月にイクシスLNGが操業を開始し、日本企業がオペレーターとしてLNGプロジェクトを完遂した初の事例となった
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [4] イクシスの確認埋蔵量は原油換算で約12億バレルである
    • [7] 2012年12月にイクシスLNGの最終投資決定を行い総事業費は約340億米ドルとなった
    • [10] FY22の株主還元総額は2016億円でFY20の438億円から4.6倍に拡大した
    • [11] 2022年に長期ビジョン「INPEX Vision @2022」を策定し2050年ネットゼロを宣言した
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [6] 統合初年度FY06の連結売上高は約9700億円・経常利益は約5900億円だった
    • [9] 2020年にCOVID-19で原油価格が暴落し連結初の純損失1117億円を計上した
    • [12] FY24(2025年12月期)の連結売上収益は2兆114億円・親会社帰属利益は3938億円だった

決断の理由

  • 株式会社INPEX 有価証券報告書【沿革】
    • [1] 統合は企業体力の制約と政府の「日の丸石油会社」構想が動機面で一致した結果である
    • [2] 2002年に豪州WA-285-P鉱区でガス・コンデンセート田を発見しイクシスと命名した
    • [3] 2005年11月に経営統合へ合意し2006年4月に国際石油開発帝石HDが発足、東証一部に上場した
    • [6] 2010年8月に約5,200億円を増資で調達した
    • [7] 日本企業がオペレーターを務める初の大型LNGで、2018年7月に操業を開始した
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(大株主の状況)
    • [4] 経済産業大臣が拒否権付き甲種類株式(黄金株)を1株保有する半官半民の資本構造である
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書
    • [5] イクシスの確認埋蔵量は原油換算で約12億バレルである
    • [9] 2021年4月にINPEXへ改称し、2022年に「INPEX Vision @2022」で2050年ネットゼロを宣言した
  • 株式会社INPEX 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [8] 2020年にCOVID-19で原油価格が暴落し連結ベースで初の純損失1,117億円を計上した
    • [10] 2023年12月5日にインドネシア政府がアバディLNG(マセラ鉱区)のCCS追加を含む改定開発計画を承認した
    • [11] 2025年2月13日に長期ビジョン「INPEX Vision 2035」を公表し成長投資を脱炭素5分野へ割り当てた