株式会社Gunosyを設立
ニュース閲覧サイトGunosyを開発
東京大学の大学院に在学していた3名(福島良典氏、吉田宏司氏、関喜史氏)が、2011年にニュースの閲覧サービス「グノシー」を開発した。1日1回、25件の記事をユーザーに提示するサービスであり、ブラウザとメールで提供された。
Gunosyのヒット
Gunosyはユーザーによって個別に記事がレコメンドされる点が新しく、Twitter、Facebook、はてなブックマークのログインアカウントと連携が可能であった。加えてSNSを通じた拡散によって、グノシーはユーザーへの認知度を高めることになり、SNSの普及がグノシーの成長を後押しした。
Gunosyの会社設立
グノシーのヒットを受けて、2012年にグノシーを株式会社として設立する。2012年12月に共同創業者3名に対して、株式をそれぞれ1/3ずつ割り当てることで、会社設立時点で、資本面における共同創業者3名の立場は対等であったと推察される。経営面では福島氏が統括し、技術面では吉田氏(アプリケーション開発)と関氏(レコメンド開発)の2名がリードした。
2012年にはiOS/Android向けのアプリも開発し、スマホアプリ企業としての色彩を濃くした。この時、グノシーのデザインは、同じく会社が設立されたばかりのグッドパッチが請け負い、グノシーの成長とともにグッドパッチの名前も広まった。
GunosyのiOS/Androidアプリを開発
木村新司氏が出資。共同創業者の株式が40%超希薄化
2013年を通じてグノシーは資本政策を大きく転換した。2012年12月に行われた増資によって、共同創業者3名がそれぞれ1/3の株式を保有していたものの、2013年2月の第三者割当増資によって株主構成が大きく変化した。
この増資では、3160万円を木村新司氏など(大半が木村氏と推察)から調達したが、問題は評価額であった。この時のグノシーの評価額は7240万円と推定され、この増資に参加した株主がグノシーの株式の43%を保有することになった。加えて、この増資には共同創業者3名が割当に参加しておらず、結果として創業者の株式持分が希薄化した。さらに、共同創業者の株式が1/3に分散していたこともあり、この増資によって木村氏がグノシーの筆頭株主(推定超40%保有)となった。
筆頭株主である企業経営者にとって、普通株式を第三者に過半数近くを付与することは「経営難や諸事情により事業譲渡を見据えている」場合に発生するが、グノシーのように成長企業では珍しい資本政策となった。そして、この資本政策によって、共同創業者は、自らグノシーの議決権の過半数と、株式上場時における売り出しによる利益を、実質的に放棄する形となった。
すなわち、グノシーの共同経営者は、評価額を下げたことによって、数千万円の資金調達には成功したものの、自らの株式を希薄化させてしまった。そして、2015年の株式上場時に、共同創業者の株式持分が極端に低いことが公表され、様々な憶測をよんだ。
資金調達(A種優先株)
KDDIと業務資本提携を締結
2013年にグノシーはKDDIと業務資本提携を締結。優先株式の発行による第三者割当増資によって、KDDIやベンチャーキャピタルから累計12億円の資金調達を実施した。2013年当時、設立1年目のベンチャー企業が10億円規模の資金調達をすることは珍しく、注目を集めた。
資金調達の用途は、テレビCMの放映によるアプリユーザーの獲得にあった。
テレビCMを出稿
2014年5月期を通じて、テレビ広告に年間12億円、ネット広告に年間3億円をそれぞれ広告費として投資したと推察される。この結果、グノシーは年間500万DLを突破し、ユーザーの獲得に伴う広告収入の増大をもたらした。
業績面では、広告収入が売上高として計上され始めた。2014年5月期のグノシーの売上高は3.5億円に対して、当期純損失13億円を計上した。
ただし、借入ではなく増資による資金調達によって、財務基盤は安定しており、自己資本比率は88.2%を確保するなど、財務リスクの毀損を被らない範囲での思い切った広告投資であった。
資金調達(C種優先株)
テレビCMによるアプリのアクティブユーザーが急増したことを受けて、2015年度を通じて、引き続き広告宣伝に投資を継続するためにC種優先株式の発行による資金調達を実施した。この段階でグノシーの評価額は100億円を突破し、ニュースアプリに対する期待が高騰した。