2013年を通じてグノシーは資本政策を大きく転換した。2012年12月に行われた増資によって、共同創業者3名がそれぞれ1/3の株式を保有していたものの、2013年2月の第三者割当増資によって株主構成が大きく変化した。
この増資では、3160万円を木村新司氏など(大半が木村氏と推察)から調達したが、問題は評価額であった。この時のグノシーの評価額は7240万円と推定され、この増資に参加した株主がグノシーの株式の43%を保有することになった。加えて、この増資には共同創業者3名が割当に参加しておらず、結果として創業者の株式持分が希薄化した。さらに、共同創業者の株式が1/3に分散していたこともあり、この増資によって木村氏がグノシーの筆頭株主(推定超40%保有)となった。
筆頭株主である企業経営者にとって、普通株式を第三者に過半数近くを付与することは「経営難や諸事情により事業譲渡を見据えている」場合に発生するが、グノシーのように成長企業では珍しい資本政策となった。そして、この資本政策によって、共同創業者は、自らグノシーの議決権の過半数と、株式上場時における売り出しによる利益を、実質的に放棄する形となった。
すなわち、グノシーの共同経営者は、評価額を下げたことによって、数千万円の資金調達には成功したものの、自らの株式を希薄化させてしまった。そして、2015年の株式上場時に、共同創業者の株式持分が極端に低いことが公表され、様々な憶測をよんだ。