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Gunosyの歴史

ニュースアプリを展開するも医薬品医療機器法違反で行政指導。インドの新規事業も規制リスクに直面

主な資金調達

○資本または借入による調達実績
2013年月
木村新司氏が出資。共同創業者の株式が40%超希薄化
0.72億円
第三者割当増資(普通株)
2013年7月
資金調達(A種優先株)
3.5億円
第三者割当増資(A種優先株)
2013年7月
KDDIと業務資本提携を締結
12億円
第三者割当増資(B種優先株)
2014年月
資金調達(C種優先株)
12億円
第三者割当増資(C種優先株)
2015年月
東証マザーズに株式上場
48億円
有償一般募集

主な投資決議

○支出を伴う重要な意思決定
2014年5月
テレビCMを出稿
15億円
年間広告宣伝費
2022年月
Gunosy投資事業組合を設立。GaragePreneurs Internet Pvt. Ltd. の株式取得
20億円
GaragePreneursへの累計出資額

主な損失事案

○顧客・社員・株主に対するネガティブな事案
2021年月
大幅減収
-43.1%
FY2021/1Q売上高・前年同期比
2023年月
営業利益を下方修正(赤字予想)
-4.92億円
FY2023/3Q最終損益
Gunosyの長期業績
2014〜2022

■ 売上高: 億円※

■単体 | ■連結

■ 売上高_当期純利益率: %※

※連単は売上に同じ
Ref: 有価証券報告書, etc..Get From API
※年毎に科目・連単・会計基準・期間が違う場合あり。参考値
2012
*2
GunosyのiOS/Androidアプリを開発
2013
*3
木村新司氏が出資。共同創業者の株式が40%超希薄化
創業
0.72
億円
第三者割当増資(普通株)

2013年を通じてグノシーは資本政策を大きく転換した。2012年12月に行われた増資によって、共同創業者3名がそれぞれ1/3の株式を保有していたものの、2013年2月の第三者割当増資によって株主構成が大きく変化した。

この増資では、3160万円を木村新司氏など(大半が木村氏と推察)から調達したが、問題は評価額であった。この時のグノシーの評価額は7240万円と推定され、この増資に参加した株主がグノシーの株式の43%を保有することになった。加えて、この増資には共同創業者3名が割当に参加しておらず、結果として創業者の株式持分が希薄化した。さらに、共同創業者の株式が1/3に分散していたこともあり、この増資によって木村氏がグノシーの筆頭株主(推定超40%保有)となった。

筆頭株主である企業経営者にとって、普通株式を第三者に過半数近くを付与することは「経営難や諸事情により事業譲渡を見据えている」場合に発生するが、グノシーのように成長企業では珍しい資本政策となった。そして、この資本政策によって、共同創業者は、自らグノシーの議決権の過半数と、株式上場時における売り出しによる利益を、実質的に放棄する形となった。

すなわち、グノシーの共同経営者は、評価額を下げたことによって、数千万円の資金調達には成功したものの、自らの株式を希薄化させてしまった。そして、2015年の株式上場時に、共同創業者の株式持分が極端に低いことが公表され、様々な憶測をよんだ。

2013 07月
*4
資金調達(A種優先株)
資金調達
3.5
億円
第三者割当増資(A種優先株)
2013 07月
*5
KDDIと業務資本提携を締結
12
億円
第三者割当増資(B種優先株)

2013年にグノシーはKDDIと業務資本提携を締結。優先株式の発行による第三者割当増資によって、KDDIやベンチャーキャピタルから累計12億円の資金調達を実施した。2013年当時、設立1年目のベンチャー企業が10億円規模の資金調達をすることは珍しく、注目を集めた。

資金調達の用途は、テレビCMの放映によるアプリユーザーの獲得にあった。

2014 05月
*6
テレビCMを出稿
マーケティング
15
億円
年間広告宣伝費

2014年5月期を通じて、テレビ広告に年間12億円、ネット広告に年間3億円をそれぞれ広告費として投資したと推察される。この結果、グノシーは年間500万DLを突破し、ユーザーの獲得に伴う広告収入の増大をもたらした。

業績面では、広告収入が売上高として計上され始めた。2014年5月期のグノシーの売上高は3.5億円に対して、当期純損失13億円を計上した。

ただし、借入ではなく増資による資金調達によって、財務基盤は安定しており、自己資本比率は88.2%を確保するなど、財務リスクの毀損を被らない範囲での思い切った広告投資であった。

2014
*7
資金調達(C種優先株)
資金調達
12
億円
第三者割当増資(C種優先株)

テレビCMによるアプリのアクティブユーザーが急増したことを受けて、2015年度を通じて、引き続き広告宣伝に投資を継続するためにC種優先株式の発行による資金調達を実施した。この段階でグノシーの評価額は100億円を突破し、ニュースアプリに対する期待が高騰した。

Performance
2011〜2014
ニュースアプリGunosyでCM投資。売上急成長へ

■ 売上高: 億円※

■単体 | ■連結

■ 売上高_当期純利益率: %※

※連単は売上に同じ
Ref: 有価証券報告書, etc..Get From API
※年毎に科目・連単・会計基準・期間が違う場合あり。参考値
2015
*8
東証マザーズに株式上場
株式上場
48
億円
有償一般募集

2015年にグノシーは東証マザーズへの株式上場を果たした。大学生のベンチャー企業が、会社設立から3年目の株式上場を果たしてスピード上場となった。

一方で、新規上場の有価証券報告書(1の部)に記載された共同創業者の株式持分の比率が3%台である事実が公表され、様々な憶測を読んだ。。

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2019
*9
福島氏が子会社LaryeXをMBO。グノシーは売却益9000万円を計上

共同創業者である福島氏は、2019年にグノシーの子会社であったLayerX(グノシーとAnyPayの50:50合弁会社)の株式を取得し、独立した。2019年時点のLayerXの売上高は1.04億円に対して営業利益が100万円であり、MBOによってグノシーのLayerXの株式保有比率は50%から5%に低下した。

2020年5月期にグノシーはLayerXの売却価格1.3億円計上(このうち、流動負債・非支配株主持分・投資勘定を控除した売却益は0.9億円)しており、この金額水準で福島氏がLayerXの株式を取得したと推察される。

これを受けて、福島氏はグノシーの経営陣から退任。代わりに、筆頭株主である木村新司氏(2021年度5月期末時点で株式の23.38%を保有)がグノシーの代表取締役会長に就任した。

なお、2019年5月期にグノシーは売上高120億円に対して純利益20億円を計上しており、業績は好調に推移した。

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2020
*10
木村真司氏(筆頭株主)がグノシーの代表取締役に復帰

2020年にグノシーの創業期からの株主である木村真司氏が、代表取締役CEOに復帰した。

木村CEOはグノシーの時価総額1000億円の目標を掲げた。これを実現するための注力事業として、既存のニュースメディア「Gunosy」に加えて、ゲームメディア「ゲームエイト」(2015年買収)、株式投資の3つの領域に投資する方針を明確にした。

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2020
*11
虚偽広告の発覚により大幅減収。医薬品医療機器法違反で行政指導
業績低迷

2020年3月17日にグノシーの子会社「株式会社digwell」において、虚偽広告を作成している疑いが毎日新聞によって報道された。毎日新聞の独自スクープによれば、グノシーは美容(育毛剤・化粧品)領域において事実と異なる謳い文句をのせたLPを作成して、広告として配信した疑いがもたれていた。

LPの作成に従事したアルバイトの証言では、グノシー子会社の社員の指示によって、美容用品に関する虚偽広告を作成したらしい。

グノシーによる発表ではなく、毎日新聞の報道というスクープによる告発ということで、グノシーの広告事業に対する信頼が失われた。2020年9月に東京都は医薬品医療機器法違反でグノシーを行政指導した。

2020年以降、グノシーの主要な収入源であった広告事業による収益が低下し、2021年5月期までの2期連続で連続減収を計上した。利益も3.8億円へと低下し、事業効率が悪化したためグノシーの株価も低迷した。

そもそもの問題は、グノシーの収入源である広告における審査の厳格化が影響している。グノシーの売掛金の計上先は(2015年に開示された情報をもとにすると)セプテーニ、サイバーコミュニケーションズ、CyberZなどの広告出稿主(広告枠の買付)であり、「グノシーのアプリに広告を送信したい」という出稿主と密接に関わっている。そして、これらの広告の出稿主は、グノシーの広告において不正な広告が配信されていたことを問題視し、グノシーへの広告配信を縮小した可能性がある。

この結果、木村新司氏の代表取締役会長の就任以来、グノシーの収益力は大幅に低下した。

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2021
*12
大幅減収
業績低迷
▲43.1
%
FY2021/1Q売上高・前年同期比

広告審査の厳格化(アドネットワークにおける広告承認率の減少)により大幅な減収へ

Performance
2015〜2021
虚偽広告が発覚。広告規制により大幅減収へ

■ 売上高: 億円※

■単体 | ■連結

■ 売上高_当期純利益率: %※

※連単は売上に同じ
Ref: 有価証券報告書, etc..Get From API
※年毎に科目・連単・会計基準・期間が違う場合あり。参考値
2022
*13
共同創業者の関喜史氏が退職
創業
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2022
*14
Gunosy投資事業組合を設立。GaragePreneurs Internet Pvt. Ltd. の株式取得
会社設立
20
億円
GaragePreneursへの累計出資額

2022年にグノシーは、既存の広告収入を中心としたビジネスから脱却するために、Gunosy投資事業組合を設立して投資業に本格参入した。

投資事業の一環として、2022年4月にインドのGaragePreneurs Internet Pvt. Ltd.(代表:Rajan Bajaj)に対する追加出資を行い、持ち文法適用関連会社(18.5%)とした。GaragePreneursはすでに2019年にグノシーが投資していた決済企業で、2021年12月時点で時価総額1000億円を超えた(ただし未上場)と公表していた。累計投資額は約20億円に及んだ。

なお、GaragePreneurs社の事業内容は、クレジットカードのサービスを提供するアプリ「slice」を展開しており、若者などの与信が通りやすいことによって普及したサービスであった。クレジットカードを軸としつつも、アプリの体験は後払いに近いサービスであり、所得の低い層でも利用できる決済アプリとして支持を集めていた。

ただし、これは若者への与信枠の提供という金融業への参入を意味しており、インド政府の規制によっては事業が行き詰まるリスクを背負うことを意味した。

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2022
*15
インド政府が金融規制を示唆。Gunosyの最高財務責任者が交代へ

2022年6月にインド政府筋(具体的な主語は不明)は、インターネットを通じた金融事業に対する規制を強化する姿勢を鮮明にした。これによって、グノシーが出資したインド関連会社のビジネスに影響ができることが想定された。

この動きに呼応してか、2022年7月には、投資事業を強化するために、岩瀬氏(執行役員・最高財務責任者)を役職なしの執行役員とし、間庭氏(取締役・最高投資責任者)が「取締役・最高財務責任者」に就任した。

通常の人事異動のタイミングでの発表ではないため、緊急対策としての役職変更を行ったものと推察される。

2023
*16
営業利益を下方修正(赤字予想)
業績低迷
▲4.92
億円
FY2023/3Q最終損益

2023年1月にグノシーはFY2023の業績下方修正を発表。広告単価の下落を受けて、営業利益は黒字予想から赤字予想に変更し、業績不振からの脱却に失敗した。

Performance
2022〜2023
新事業に注力。インドの金融事業は規制リスクに直面

■ この間の売上は不明です※

■単体 | ■連結

■ この間の利益率は不明です※

※連単は売上に同じ
Ref: , etc..Get From API
※年毎に科目・連単・会計基準・期間が違う場合あり。参考値