ベイカレント の歴史

更新:

創業

1998年

創業者

江口新

創業地

神奈川県藤沢市

直近売上高(2026/2)

1,483億円

長期業績と転換点(1998/2〜2026/2)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ2000年代前半に、構築受託のSIerから上流コンサルへ業態を移したのか
A 構築や運用保守の受託は、大手SIerが価格と人員で押さえる領域で、小規模事業者には単価も伸びしろも限られる。利益率の高い戦略・業務改善という上の工程へ寄れば、人手の規模で劣っても付加価値で稼げる余地が開ける。江口新氏は2002年に大手企業向けのコンサル専任部署を設けて主力を構築より上へ移し、2006年12月には商号をピーシーワークスからベイカレント・コンサルティングへ改めて、ITを基盤にした上流コンサル会社へ業態を寄せた
Q なぜ2014年に、創業者の資本影響を引き下げるMBOを選んだのか
A リーマンショック後にコンサル需要が細って売上が伸び悩むなか、オーナー創業者の所有のままでは、上流コンサルへ脱皮するための経営の刷新も外部からの資金調達も進めにくかった。そこで2012年に創業者の江口新氏が退き、マッキンゼー日本共同代表だった萩平和巳氏が継ぎ、2014年にはSunrise Capital中心のMBOを買収価格210億円で実施した。ファンドを大株主に据えて創業者の資本影響を引き下げ、専門経営者とファンドが組んで再出発する体制へ切り替えた。
Q なぜ2024年に持株会社化して、コンサルとテクノロジーを2社に分けたのか
A 提案フェーズの戦略コンサルと、実装フェーズのシステム開発・運用とでは、稼ぐ人材も収益構造も異なるため、ひとつの会社のなかで「上流はコンサル、下流はテクノロジー」と分業すると両者の連携が切れやすい。戦略策定からシステム実装、活用による成果創出までを一気通貫で請け負える体制を整えるべく、2024年9月に持株会社・株式会社ベイカレントへ移り、傘下にコンサル事業会社とテクノロジー事業会社を並べた。コンサル単一事業からDX・IT実装まで含む多事業体制へ広げ、2029年に売上2,500億円を掲げる成長戦略の一環でもあった

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1998年〜 藤沢のシステム受託から上流コンサルタントへ(1998〜2006)

神奈川県藤沢市での創業と新宿への本社移転

ベイカレントの前身は、1998年3月に神奈川県藤沢市で設立された有限会社ピーシーワークス[1]である。創業者の江口新氏は、経営・業務とITに関するコンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシングを事業目的に掲げた[2]。実際に請け負ったのは大企業の情報システム構築で、独立系のSIerとして出発した[3]。2000年6月に有限会社から株式会社ピーシーワークスへ組織を変更し[4]、2002年3月には本社を東京都新宿区へ移した[5]。顧客となる大企業の本社は東京都心に集まっており、案件を取るには営業の拠点を都心へ置く必要があった。売上高は2005年2月期に33億5,000万円[6]へ達し、設立から9期連続の増収増益を無借金で続けた[7]

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)【沿革】
    • [1]1998年3月に有限会社ピーシーワークスとして神奈川県藤沢市で設立された
    • [2]設立時の事業目的は経営・業務とITに関するコンサルティング、システムインテグレーション及びアウトソーシングであった
    • [4]2000年6月に有限会社ピーシーワークスが株式会社ピーシーワークスへ組織変更した
    • [5]2002年3月に本社を東京都新宿区へ移転した
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [3]ピーシーワークスは独立系ITコンサルティングファームを称し、大企業の情報システム構築を受託していた
    • [6]2005年2月期の売上高は33億5,000万円で前年比141%であった
    • [7]設立以来9期連続の増収増益を無借金経営で続けていた

システム構築の受託を積み上げる伸ばし方には、単価の上限がある。経営戦略の立案や業務プロセスの再設計といった上流の仕事は単価が高いが、そこで稼ぐには、戦略を語れるだけでなく顧客の課題を見つけて案件そのものを作れる人材が要る。そうした人材は外資系のコンサルティングファームに集まっており、知名度のない独立系の中堅が引き抜くには、報酬と裁量の両方を示さなければならなかった。2007年1月の中途採用広告は、ビジネスコンサルタントに年俸500万円から1,500万円[8]、ITコンサルタントに500万円から1,300万円[9]という幅の広い条件を示した。同じ広告にはアプリケーション開発エンジニアやインフラ系エンジニアの月給25万円から70万円[10]も併記され、構築の技術者と上流のコンサルタントを同時に募っていた[11]

  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [8]2007年1月の中途採用広告はビジネスコンサルタントの年俸を500万円から1,500万円と提示していた
    • [9]同広告はITコンサルタントの年俸を500万円から1,300万円と提示していた
    • [10]同広告はアプリケーション開発エンジニアとインフラ系エンジニアを月給25万円から70万円で募集していた
    • [11]同広告は6職種を同時に募集し、構築を担うエンジニアと上流を担うコンサルタントが併存していた
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)【沿革】
    • [1]1998年3月に有限会社ピーシーワークスとして神奈川県藤沢市で設立された
    • [2]設立時の事業目的は経営・業務とITに関するコンサルティング、システムインテグレーション及びアウトソーシングであった
    • [4]2000年6月に有限会社ピーシーワークスが株式会社ピーシーワークスへ組織変更した
    • [5]2002年3月に本社を東京都新宿区へ移転した
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [3]ピーシーワークスは独立系ITコンサルティングファームを称し、大企業の情報システム構築を受託していた
    • [6]2005年2月期の売上高は33億5,000万円で前年比141%であった
    • [7]設立以来9期連続の増収増益を無借金経営で続けていた
    • [8]2007年1月の中途採用広告はビジネスコンサルタントの年俸を500万円から1,500万円と提示していた
    • [9]同広告はITコンサルタントの年俸を500万円から1,300万円と提示していた
    • [10]同広告はアプリケーション開発エンジニアとインフラ系エンジニアを月給25万円から70万円で募集していた
    • [11]同広告は6職種を同時に募集し、構築を担うエンジニアと上流を担うコンサルタントが併存していた

知識や経験より素養を基準にした人材の集め方

人の集め方は、この時期の経営の中心にあった。江口新氏は2007年1月の取材で、優秀な人材との出会いと人を大切にしてきたことが成長の鍵になっている[12]と述べ、めざす組織像として、やりたい人がやりたいことをやる会社にしたい[13]と語った。採用でも、知識や経験より素養を重視する方針[14]を掲げた。翌月の転職情報誌の取材では、言語能力を軸にした行動力と思考力を備えたコンサルタントを採用し育てる[15]ことを重んじると述べた。既存のコンサルティングファーム出身者を経歴で選ぶのではなく、案件を自分で作れる素質のある者を採って中で育てる採り方[16]であった。

  • 日本オラクル ORACLE MASTER 取得事例(2007年1月)
    • [12]江口社長は2007年1月の記事で、優秀な人材との出会いと人を大切にする経営が成長の鍵になっていると語った
    • [13]江口社長は同記事で、やりたい人がやりたいことをやる、やりたいから仕事に加わる会社にしたいと語った
  • type 2007年2月号「顧客との良好なリレーションには個々のコンサルタントの素養が重要」
    • [14]江口社長は社員の採用に際し知識や経験よりも素養を重視する方針を取ると述べた
    • [15]江口社長は言語能力を軸とした行動力と思考力のあるコンサルタントの採用と育成を重視すると述べた
    • [16]江口社長は知識や経験より素養を重視し、採用後に育てる方針を取ると述べた

現場の運営は、職位の序列より発案を優先した[17]。2007年5月の企業レポートは、発案者がマネージャーとなってプロジェクトを立ち上げるのがベイカレント流[18]だと記し、若手社員が会社の成長に沿って自由に活躍できる[19]と伝えた。早くから経営側の視点を身につけられる環境を求めて、将来の起業を志す者が集まる[20]とも書かれた。同じ記事には、すでに同社を巣立って数十億円の企業を継いだ社員がいる[21]と記した。人を引きつける自由裁量の運営は、育った人材が外へ出ることも含んだ仕組みであった。2007年1月時点の社員数は618名[22]であった。

  • コンサルタント 活躍の条件(掲載記事、2007年5月)
    • [17]発案者がマネージャーとなってプロジェクトを立ち上げる運営が定着していた
    • [18]2007年5月の記事は、発案者がマネージャーとなりプロジェクトを立ち上げる運営をベイカレント流と記録している
    • [19]同記事は、会社の成長ベクトルに沿って若手社員が自由に活躍できると記している
    • [20]同記事は、早くから経営側の視点を身につける環境を求めて将来の起業を志す社員が集まると記している
    • [21]2007年時点で、同社を巣立って数十億円の企業を継いだ社員の存在が記録されていた
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [22]2007年1月時点の社員数は618名であった
  • 日本オラクル ORACLE MASTER 取得事例(2007年1月)
    • [12]江口社長は2007年1月の記事で、優秀な人材との出会いと人を大切にする経営が成長の鍵になっていると語った
    • [13]江口社長は同記事で、やりたい人がやりたいことをやる、やりたいから仕事に加わる会社にしたいと語った
  • type 2007年2月号「顧客との良好なリレーションには個々のコンサルタントの素養が重要」
    • [14]江口社長は社員の採用に際し知識や経験よりも素養を重視する方針を取ると述べた
    • [15]江口社長は言語能力を軸とした行動力と思考力のあるコンサルタントの採用と育成を重視すると述べた
    • [16]江口社長は知識や経験より素養を重視し、採用後に育てる方針を取ると述べた
  • コンサルタント 活躍の条件(掲載記事、2007年5月)
    • [17]発案者がマネージャーとなってプロジェクトを立ち上げる運営が定着していた
    • [18]2007年5月の記事は、発案者がマネージャーとなりプロジェクトを立ち上げる運営をベイカレント流と記録している
    • [19]同記事は、会社の成長ベクトルに沿って若手社員が自由に活躍できると記している
    • [20]同記事は、早くから経営側の視点を身につける環境を求めて将来の起業を志す社員が集まると記している
    • [21]2007年時点で、同社を巣立って数十億円の企業を継いだ社員の存在が記録されていた
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [22]2007年1月時点の社員数は618名であった

ベイカレント・コンサルティングへの商号変更

2006年12月、株式会社ピーシーワークスは株式会社ベイカレント・コンサルティングへ商号を変更し[23]、2007年1月1日から新しい社名で営業を始めた[24]。社名には、社員の叡智が結集するBay(湾)から、クライアントを成功へ導くCurrent(流れ)を生み出す[25]という意味を持たせた。掲げ直した事業内容は、経営戦略の立案からBPR、ITシステムの導入、保守運用までを一貫して手がけるコンサルティングサービス[26]である。構築の下請けではなく経営課題の解決から入る会社であることを、社名で対外的に示した[27]

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)【沿革】
    • [23]2006年12月に株式会社ピーシーワークスから株式会社ベイカレント・コンサルティングへ商号変更した
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [24]新社名の運用は2007年1月1日から始まった
    • [25]社名は社員の叡智が結集するBay(湾)から、クライアントを成功へと導くCurrent(流れ)を生み出すことに由来する
    • [26]事業内容は経営戦略立案からBPR、ITシステム導入、保守運用までの一貫したコンサルティングサービスと掲げられた
    • [27]商号変更にあわせ、経営課題の解決から一貫して手がけるコンサルティングサービスを掲げた

看板を掛け替えた時点のベイカレント・コンサルティングは、2006年2月期の売上高が37億7,800万円[28]、社員数が618名の会社[29]であった。同社は自らを独立系ITコンサルティングファームと称し、設立以来の連続増収増益と無借金経営を信用の裏づけとして掲げた[30]。ただし上流を名乗っても、収益の実体はコンサルタントの頭数と稼働時間で決まる人月の商売[31]のままであり、その構造は商号変更では変わらなかった。単価を上げるには上流の案件を取れる人材を増やすほかなく、人の集め方がそのまま稼ぎ方を決める関係は、このあとも続いた。

  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [28]2006年2月期の売上高は37億7,800万円で前年比113%であった
    • [29]2007年1月時点の社員数は618名であった
    • [30]同社は独立系ITコンサルティングファームとして9期連続増収増益・無借金経営を掲げていた
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [31]上流を掲げた後も収益はコンサルタントの人数と稼働で決まる人月型の構造であった
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)【沿革】
    • [23]2006年12月に株式会社ピーシーワークスから株式会社ベイカレント・コンサルティングへ商号変更した
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [24]新社名の運用は2007年1月1日から始まった
    • [25]社名は社員の叡智が結集するBay(湾)から、クライアントを成功へと導くCurrent(流れ)を生み出すことに由来する
    • [26]事業内容は経営戦略立案からBPR、ITシステム導入、保守運用までの一貫したコンサルティングサービスと掲げられた
    • [27]商号変更にあわせ、経営課題の解決から一貫して手がけるコンサルティングサービスを掲げた
    • [28]2006年2月期の売上高は37億7,800万円で前年比113%であった
    • [29]2007年1月時点の社員数は618名であった
    • [30]同社は独立系ITコンサルティングファームとして9期連続増収増益・無借金経営を掲げていた
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [31]上流を掲げた後も収益はコンサルタントの人数と稼働で決まる人月型の構造であった

2007年〜 リーマンショック後の停滞からMBOと上場まで(2007〜2016)

収益の停滞と外部から招いた社長への交代

商号を変えて上流を掲げた矢先に、2008年秋のリーマンショックが来た[32]。企業がコンサルティングの発注を絞ったため、ベイカレント・コンサルティングの売上の伸びは2011年2月期にかけて止まった[33]。規模そのものは戻り、2012年2月期の売上高は101億円[34]に達したが、経常利益は4億8,000万円で、利益率は5%に届かなかった[35]。売上高だけを見れば、上流を掲げた2006年2月期の37億7,800万円から6年で2.7倍[36]になった。人を増やせば売上は増えるが、増えた人件費を単価が吸収できていない[37]。商号は変えても、稼ぎ方は工数を売るSIerの構造から抜け出せていなかった[38]

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [32]リーマンショック後にコンサルティング需要が減少した
    • [33]リーマンショック後にコンサルティング需要が減少し、2011年2月期にかけて売上の成長が低迷した
    • [34]2012年2月期の売上高は101億円であった
    • [35]2012年2月期の経常利益は4億8,000万円で、売上高経常利益率は5%に満たなかった
    • [37]規模の拡大に対して利益率が伴わず、2012年2月期の経常利益率は5%未満であった
    • [38]2012年2月期の売上高101億円に対し経常利益は4億8,000万円で、売上高経常利益率は5%に満たなかった
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [36]2006年2月期の売上高37億7,800万円に対し、2012年2月期の売上高101億円は約2.7倍にあたる

江口新氏は2011年5月、マッキンゼー・アンド・カンパニーでITと業務を扱うBTO部門の日本共同代表を務めた萩平和巳氏を迎え入れ[39]、10か月後の2012年3月に社長を譲った[40]。萩平氏は三菱商事を経てマッキンゼーに移った経歴[41]を持ち、外資系の戦略ファームで上流の案件を仕切ってきた人物である。創業から14年、オーナーが自ら率いてきた会社が、外部から招いたコンサルタント出身の経営者に運営を委ねた[42]交代であった。萩平氏は2013年2月のインタビューで、顧客業種ごとに縦割りに細分化された組織を持たず、プロジェクトごとに社内のコンサルタント全員から本人の意思と能力を踏まえてメンバーを選ぶ仕組み[43]を、同社の特徴として説明した。

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [39]萩平和巳氏は2011年5月にベイカレント・コンサルティングへ入社した
    • [40]2012年3月に創業者の江口新氏が社長を退任し、萩平和巳氏が社長に就任した
    • [42]1998年の創業から2012年の社長交代まで14年、創業者が経営を率いた
  • キャリアインキュベーション「コンサルティングファーム パートナーインタビュー 株式会社ベイカレント・コンサルティング 代表取締役社長 萩平和巳氏」(2013年2月)
    • [41]萩平氏は三菱商事を経てマッキンゼー・アンド・カンパニーへ移り、BTO部門の日本共同代表を務めた
    • [43]同社には顧客業種ごとに縦割り・細分化された組織がなく、プロジェクトごとに社内のコンサルタント全員を対象にメンバーが選ばれた
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [32]リーマンショック後にコンサルティング需要が減少した
    • [33]リーマンショック後にコンサルティング需要が減少し、2011年2月期にかけて売上の成長が低迷した
    • [34]2012年2月期の売上高は101億円であった
    • [35]2012年2月期の経常利益は4億8,000万円で、売上高経常利益率は5%に満たなかった
    • [37]規模の拡大に対して利益率が伴わず、2012年2月期の経常利益率は5%未満であった
    • [38]2012年2月期の売上高101億円に対し経常利益は4億8,000万円で、売上高経常利益率は5%に満たなかった
    • [39]萩平和巳氏は2011年5月にベイカレント・コンサルティングへ入社した
    • [40]2012年3月に創業者の江口新氏が社長を退任し、萩平和巳氏が社長に就任した
    • [42]1998年の創業から2012年の社長交代まで14年、創業者が経営を率いた
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
    • [36]2006年2月期の売上高37億7,800万円に対し、2012年2月期の売上高101億円は約2.7倍にあたる
  • キャリアインキュベーション「コンサルティングファーム パートナーインタビュー 株式会社ベイカレント・コンサルティング 代表取締役社長 萩平和巳氏」(2013年2月)
    • [41]萩平氏は三菱商事を経てマッキンゼー・アンド・カンパニーへ移り、BTO部門の日本共同代表を務めた
    • [43]同社には顧客業種ごとに縦割り・細分化された組織がなく、プロジェクトごとに社内のコンサルタント全員を対象にメンバーが選ばれた

210億円のMBOと二重になった法人の整理

経営者を替えても収益は立て直せず、2014年2月期は経常赤字に沈んだ[44]。オーナー創業者が株式の多くを握ったままでは、外部からの資金調達も経営の刷新も進まない。2014年4月、受け皿としてバイロン・ホールディングス株式会社を東京都港区に設立し[45]、Sunrise Capitalを中心に江口新氏と萩平和巳社長も加わる第三者割当増資で88億4,000万円[46]を集めた。創業者が自ら出資する側に回りながら、支配の比率を下げる組み立て[47]である。ファンドが過半を持ち、専門の経営者が運営する会社へ資本構成を組み替えた[48]うえで、2年後の株式公開までを一続きの計画として進めた。

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [44]2014年2月期は経常赤字となった
    • [46]Sunrise Capitalを中心とする第三者割当増資で88億4,000万円を調達し、江口氏と萩平氏も出資した
    • [47]創業者の江口新氏は第三者割当増資に出資しつつ、MBOにより保有比率を下げた
    • [48]MBOはファンドが過半を保有し専門経営者が運営する体制への移行であり、2016年の株式公開まで続いた
  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [45]2014年4月にバイロン・ホールディングス株式会社を東京都港区に設立した

同年6月、バイロン・ホールディングスは旧株式会社ベイカレント・コンサルティングの全株式を取得して完全子会社とした[49]。買収価格は210億円[50]で、増資で集めた分を超える差額は金融機関からの長期借入でまかない、のれん188億円を計上した[51]。8月に本社を東京都港区へ移し[52]、10月にはバイロン・ホールディングスが旧ベイカレント・コンサルティングを吸収合併して、同日付で商号を株式会社ベイカレント・コンサルティングへ変更した[53]。買収のために作った持株会社と事業会社という二重の法人を、半年で一つに畳んだ手順[54]である。

  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [49]2014年6月にバイロン・ホールディングスが旧ベイカレント・コンサルティングの全株式を取得し完全子会社とした
    • [52]2014年8月に本社を東京都港区へ移転した
    • [53]2014年10月にバイロン・ホールディングスが旧ベイカレント・コンサルティングを吸収合併し、同日付で株式会社ベイカレント・コンサルティングへ商号変更した
    • [54]2014年6月の完全子会社化から同年10月の吸収合併まで4か月で法人を一つに統合した
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [50]買収価格は210億円で、のれん188億円を計上した
    • [51]第三者割当増資88億4,000万円を超える取得資金は金融機関からの長期借入でまかなわれた

MBOの代償は財務に残り、2015年2月末の自己資本比率は37.7%[55]まで下がって、資産の側にはのれんを中心とする無形固定資産が積み上がった。毎期の償却が利益を削るため、これを吸収するには単価の高い上流の案件で稼ぐほかない。1966年4月生まれの阿部義之氏は、1989年に電気通信大学を卒業して野村総合研究所に入り[56]、2008年9月にベイカレント・コンサルティングへ移って同年11月に執行役員となっていた[57]。その阿部氏が2015年5月、主力案件の収益を預かる取締役コンサルティング&IT事業本部長に就いた[58]。2016年2月期の売上高は158億円、営業利益は27億円[59]である。

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [55]2015年2月末の自己資本比率は37.7%であった
  • ベイカレント 有価証券報告書
    • [56]阿部義之氏は1966年4月生まれで、1989年に電気通信大学を卒業して野村総合研究所へ入社した
    • [57]阿部義之氏は2008年9月にベイカレント・コンサルティングへ入社し、同年11月に執行役員となった
    • [58]阿部義之氏は2015年5月に取締役コンサルティング&IT事業本部長へ就任した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2016年2月期・IFRS)
    • [59]2016年2月期の売上高は158億円、営業利益は27億円であった
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [44]2014年2月期は経常赤字となった
    • [46]Sunrise Capitalを中心とする第三者割当増資で88億4,000万円を調達し、江口氏と萩平氏も出資した
    • [47]創業者の江口新氏は第三者割当増資に出資しつつ、MBOにより保有比率を下げた
    • [48]MBOはファンドが過半を保有し専門経営者が運営する体制への移行であり、2016年の株式公開まで続いた
    • [50]買収価格は210億円で、のれん188億円を計上した
    • [51]第三者割当増資88億4,000万円を超える取得資金は金融機関からの長期借入でまかなわれた
    • [55]2015年2月末の自己資本比率は37.7%であった
  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [45]2014年4月にバイロン・ホールディングス株式会社を東京都港区に設立した
    • [49]2014年6月にバイロン・ホールディングスが旧ベイカレント・コンサルティングの全株式を取得し完全子会社とした
    • [52]2014年8月に本社を東京都港区へ移転した
    • [53]2014年10月にバイロン・ホールディングスが旧ベイカレント・コンサルティングを吸収合併し、同日付で株式会社ベイカレント・コンサルティングへ商号変更した
    • [54]2014年6月の完全子会社化から同年10月の吸収合併まで4か月で法人を一つに統合した
  • ベイカレント 有価証券報告書
    • [56]阿部義之氏は1966年4月生まれで、1989年に電気通信大学を卒業して野村総合研究所へ入社した
    • [57]阿部義之氏は2008年9月にベイカレント・コンサルティングへ入社し、同年11月に執行役員となった
    • [58]阿部義之氏は2015年5月に取締役コンサルティング&IT事業本部長へ就任した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2016年2月期・IFRS)
    • [59]2016年2月期の売上高は158億円、営業利益は27億円であった

会社に資金がほとんど入らない上場

2016年9月2日、ベイカレント・コンサルティングは東京証券取引所マザーズに上場[60]した。公募は5万株にとどまり、売出1,168万400株とオーバーアロットメント175万9,500株[61]が公開規模の大半を占めた。想定公開規模は約318億円[62]で、その大半が既存株主の売却であり、主幹事は野村證券が務めた。上場直前の株主構成はSunrise Capital系3ファンドが計43.13%、EHRS L.P.が10.75%[63]と、2014年のMBOで過半を握ったファンド勢が並んでおり、この上場はその売却機会として設計されていた。

  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [60]2016年9月2日に東京証券取引所マザーズへ上場した
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [61]公募5万株に対し売出は1,168万400株、オーバーアロットメントは175万9,500株であった
    • [62]想定公開規模は約318億円で、その大半が既存株主の売出しであった
    • [63]上場直前の株主構成はSunrise Capital系3ファンドが計43.13%、EHRS L.P.が10.75%であった

新株発行が5万株では会社に入る資金はごく僅かで、萩平和巳社長は上場の狙いを資金調達ではなく認知度と信用度の向上に置いた[64]。上場から半年後の2017年2月末には、Sunrise Capital系の保有は計5%強まで下がり[65]、ファンドの出口は実現した。一方で江口新氏は保有を77万株から155万株へ積み増し、2018年2月末には保有比率10.06%の筆頭株主へ戻った[66]。だが上場を挟む2017年2月期は、売上高が172億円へ伸びる一方で営業利益は23億円へ減り[67]、増収減益となった。2016年12月、阿部義之氏が代表取締役社長に就任した[68]

  • 日本経済新聞(2016年8月25日)
    • [64]萩平和巳社長は上場の狙いを会社の認知度と信用度の向上に置くと述べた
  • ベイカレント 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [65]2017年2月末にSunrise Capital系の保有比率は計5%強まで低下した
    • [66]江口新氏は保有を77万株から155万株へ増やし、2018年2月末に保有比率10.06%の筆頭株主となった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2017年2月期・IFRS)
    • [67]2017年2月期の売上高は172億円、営業利益は23億円で増収減益となった
  • 日本経済新聞(2016年12月10日)
    • [68]2016年12月に阿部義之氏が代表取締役社長へ就任した
  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [60]2016年9月2日に東京証券取引所マザーズへ上場した
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
    • [61]公募5万株に対し売出は1,168万400株、オーバーアロットメントは175万9,500株であった
    • [62]想定公開規模は約318億円で、その大半が既存株主の売出しであった
    • [63]上場直前の株主構成はSunrise Capital系3ファンドが計43.13%、EHRS L.P.が10.75%であった
  • 日本経済新聞(2016年8月25日)
    • [64]萩平和巳社長は上場の狙いを会社の認知度と信用度の向上に置くと述べた
  • ベイカレント 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [65]2017年2月末にSunrise Capital系の保有比率は計5%強まで低下した
    • [66]江口新氏は保有を77万株から155万株へ増やし、2018年2月末に保有比率10.06%の筆頭株主となった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2017年2月期・IFRS)
    • [67]2017年2月期の売上高は172億円、営業利益は23億円で増収減益となった
  • 日本経済新聞(2016年12月10日)
    • [68]2016年12月に阿部義之氏が代表取締役社長へ就任した

2017年〜 人を増やしながら単価も上げる成長モデルの確立(2017〜2023)

ベイカレントの業績推移

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2017年 競合フューチャーからの人材引き抜きと営業秘密領得への関与 経験者を競う中途採用か、違法な引き抜きと営業秘密の侵害か——刑事有罪と続く民事係争が分ける一線
  2. 2018年 東京証券取引所一部に指定替え
  3. 2022年 プライム市場へ移行

採用費への集中投資と中途採用の本格化

阿部義之社長は2017年2月期から採用費を集中的に投じてコンサルタントの中途採用を本格化させ[69]、同時に、受ける案件を単価の高い上流工程へ絞った[70]。増員だけを進めれば人件費が先に出て利益率が下がり、単価だけを上げれば案件数が減る[71]。二つを同時に動かすことが、MBOで抱えたのれんの償却負担を吸収する条件であった。コンサルタント数は2017年2月期末の1,194名[72]から、2019年2月期末1,531名、2021年2月期末2,161名、2023年2月期末3,310名[73]、2024年2月期末4,321名[74]へと増えた。2018年2月期の売上高は204億円、営業利益は33億円[75]である。

  • 日本経済新聞(2016年12月10日)
    • [69]阿部社長は2017年2月期から採用費へ集中的に投資し、中途採用を本格化させた
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [70]受注する案件を単価の高い上流工程へ絞り込んだ
  • ベイカレント 2026年2月期 通期 決算FAQ(2026年4月14日)
    • [71]稼働率はコンサルタント数と案件数のバランスによる結果指標であり、両者のギャップが四半期ごとに生じると説明された
  • ベイカレント 有価証券報告書(2017年2月期・IFRS)
    • [72]2017年2月期末のコンサルタント数は1,194名であった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2023年2月期・IFRS)
    • [73]コンサルタント数は2019年2月期末1,531名、2021年2月期末2,161名、2023年2月期末3,310名と増加した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2024年2月期・IFRS)
    • [74]2024年2月期末のコンサルタント数は4,321名であった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2018年2月期・IFRS)
    • [75]2018年2月期の売上高は204億円、営業利益は33億円であった

増員と単価の引き上げは、2019年以降のDX投資の拡大と重なった[76]。売上高は2020年2月期の330億円から、2021年2月期429億円、2022年2月期576億円[77]、2023年2月期761億円、2024年2月期939億円[78]へ伸び、営業利益は同じ期間に71億円から342億円へ増えた[79]。人員が3.6倍になる間に売上は2.8倍、営業利益は4.8倍になっており[80]、1人当たりの売上と利益がともに増えた。コンサルタント1人当たりの売上高は、2017年2月期の1,440万円台から2024年2月期の2,170万円台へ上がった[81]

  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [76]2019年以降、DXを中心としたデジタル技術活用を伴うコンサルティング需要が増加した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2022年2月期・IFRS)
    • [77]売上高は2020年2月期330億円、2021年2月期429億円、2022年2月期576億円へ増加した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2024年2月期・IFRS)
    • [78]売上高は2023年2月期761億円、2024年2月期939億円へ増加した
    • [79]営業利益は2020年2月期の71億円から2024年2月期の342億円へ増加した
    • [80]同期間にコンサルタント数は約3.6倍、売上高は約2.8倍、営業利益は約4.8倍となった
    • [81]コンサルタント1人当たり売上高は2017年2月期の1,440万円台から2024年2月期の2,170万円台へ上昇した
  • 日本経済新聞(2016年12月10日)
    • [69]阿部社長は2017年2月期から採用費へ集中的に投資し、中途採用を本格化させた
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [70]受注する案件を単価の高い上流工程へ絞り込んだ
  • ベイカレント 2026年2月期 通期 決算FAQ(2026年4月14日)
    • [71]稼働率はコンサルタント数と案件数のバランスによる結果指標であり、両者のギャップが四半期ごとに生じると説明された
  • ベイカレント 有価証券報告書(2017年2月期・IFRS)
    • [72]2017年2月期末のコンサルタント数は1,194名であった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2023年2月期・IFRS)
    • [73]コンサルタント数は2019年2月期末1,531名、2021年2月期末2,161名、2023年2月期末3,310名と増加した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2024年2月期・IFRS)
    • [74]2024年2月期末のコンサルタント数は4,321名であった
    • [78]売上高は2023年2月期761億円、2024年2月期939億円へ増加した
    • [79]営業利益は2020年2月期の71億円から2024年2月期の342億円へ増加した
    • [80]同期間にコンサルタント数は約3.6倍、売上高は約2.8倍、営業利益は約4.8倍となった
    • [81]コンサルタント1人当たり売上高は2017年2月期の1,440万円台から2024年2月期の2,170万円台へ上昇した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2018年2月期・IFRS)
    • [75]2018年2月期の売上高は204億円、営業利益は33億円であった
  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [76]2019年以降、DXを中心としたデジタル技術活用を伴うコンサルティング需要が増加した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2022年2月期・IFRS)
    • [77]売上高は2020年2月期330億円、2021年2月期429億円、2022年2月期576億円へ増加した

ワンプール制と自前の営業部門という仕組み

増員を支えたのは人の置き方である。一般のコンサルティングファームは産業やテーマごとのマトリックス型組織を取る[82]が、ベイカレント・コンサルティングは全員をコンサル部門に配属し、プロジェクトごとに案件へ割り当てた[83]。後にワンプール制と呼ばれるこの運営[84]は、創業期に発案者がプロジェクトを立ち上げた仕組みをそのまま引き継いだものである。専門を決めきれない若手にとっては広い領域に関われる利点[85]があり、採用の訴求にもなった。2024年2月期の平均年収は1,074万円、平均年齢は31.4歳[86]である。

  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [82]一般的なコンサルティングファームは産業やテーマを基にしたマトリックス型組織を取る
    • [83]ベイカレントでは全員がコンサル部門に配属され、プロジェクトごとに多様な案件へ携わる
    • [84]全員をコンサル部門に置く運営は後にワンプール制と呼ばれた
    • [85]専門性を決められない若手にとって広範な領域に関われることが利点となった
    • [86]2024年2月期の平均年収は1,074万円、平均年齢は31.4歳であった

伝統的なファームでは、コンサルタントの最上位で経営層でもあるパートナーが自ら営業に出る[87]のに対し、ベイカレント・コンサルティングは自前の営業部門を持ち、幅広い顧客へ働きかけた[88]。パートナーの人脈に頼らずに案件を取る仕組み[89]である。国内企業であるため海外本社へのロイヤルティー支払いがなく、顧客ごとに単価を柔軟に決められた[90]ことも、外資系に対する強みとなった。増やしたコンサルタントを稼働させ続けるには案件の数が要り、営業部門はその数を作る役目を負った[91]。2023年2月期の平均稼働率は約91.1%[92]であった。

  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [87]一般的なファームではパートナーが直接営業に出ることが多い
    • [88]ベイカレントは自前の営業部門を持つことで幅広い顧客へアプローチできた
    • [89]自前の営業部門により、パートナー個人の営業に依存せず幅広い顧客へアプローチできた
    • [90]国内企業のため本社へのロイヤルティー支払いがなく、柔軟な単価設定が可能で競争力のある単価を実現した
    • [91]組織化された営業部門の存在が急成長の原動力とされ、幅広い顧客へのアプローチを可能にした
  • ベイカレント 2023年2月期 通期 決算説明会資料(2023年4月21日)
    • [92]2023年2月期の平均稼働率は約91.1%であった
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [82]一般的なコンサルティングファームは産業やテーマを基にしたマトリックス型組織を取る
    • [83]ベイカレントでは全員がコンサル部門に配属され、プロジェクトごとに多様な案件へ携わる
    • [84]全員をコンサル部門に置く運営は後にワンプール制と呼ばれた
    • [85]専門性を決められない若手にとって広範な領域に関われることが利点となった
    • [86]2024年2月期の平均年収は1,074万円、平均年齢は31.4歳であった
    • [87]一般的なファームではパートナーが直接営業に出ることが多い
    • [88]ベイカレントは自前の営業部門を持つことで幅広い顧客へアプローチできた
    • [89]自前の営業部門により、パートナー個人の営業に依存せず幅広い顧客へアプローチできた
    • [90]国内企業のため本社へのロイヤルティー支払いがなく、柔軟な単価設定が可能で競争力のある単価を実現した
    • [91]組織化された営業部門の存在が急成長の原動力とされ、幅広い顧客へのアプローチを可能にした
  • ベイカレント 2023年2月期 通期 決算説明会資料(2023年4月21日)
    • [92]2023年2月期の平均稼働率は約91.1%であった

引き抜き訴訟と市場区分の引き上げ

即戦力の獲得競争は係争にも[93]なった。2017年8月、競合のフューチャーが営業秘密の不正取得を主張してベイカレント・コンサルティングを提訴した[94]。2018年3月には二重雇用されていたフューチャーの元執行役員が逮捕・起訴され、2019年3月に有罪判決が下った[95]。刑事判決は、ベイカレントの採用担当が引き抜き目的で人材リストの作成を依頼し[96]、元従業員がフューチャーの全従業員名簿を不正に領得したと認定した。刑事で有罪となったのは元従業員のみ[97]で、ベイカレントは民事で請求棄却を主張して争った。中途で経験者を採ること自体は業界に広く見られたが、その競争がどこから違法な引き抜きに転じるかという線引き[98]が、企業統治の課題として残った。

  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」(2017年8月23日・適時開示)
    • [93]中途採用をめぐりフューチャーが営業秘密の不正取得を主張して提訴した
    • [94]2017年8月にフューチャーが営業秘密の不正取得を主張してベイカレント・コンサルティングを提訴した
  • フューチャー株式会社「刑事裁判の判決に関するお知らせ」(2019年3月26日)
    • [95]2018年3月にフューチャーの元執行役員が逮捕・起訴され、2019年3月に有罪判決が下った
    • [96]刑事判決はベイカレントの採用担当が引き抜き目的で人材リストの作成を依頼したと認定した
    • [98]刑事判決は引き抜き目的での人材リスト作成の依頼と全従業員名簿の不正領得を認定した
  • ベイカレント 有価証券報告書(第12期・2026年2月期)「訴訟等」注記
    • [97]刑事で有罪となったのは元従業員のみで、ベイカレントは民事で請求棄却を主張した

市場区分は二度上が[99]った。2018年12月、東京証券取引所マザーズから市場第一部へ指定替えとなり[100]、2016年9月の上場から2年3か月での移行[101]であった。2022年4月には、東京証券取引所の市場区分見直しにより市場第一部からプライム市場へ移った[102]。区分が上がれば機関投資家が買いやすくなり、社名が知られれば採用にも効いた。2022年2月期の売上高は576億円、営業利益は206億円[103]で、プライム市場の上場維持基準を満たすうえで問題のない水準にあった。2023年2月期の入社数は871名、採用費は29億5,700万円[104]で、前期の619名・20億1,700万円から増えた。

  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [99]2018年12月の市場第一部への指定替えと2022年4月のプライム市場移行の二度、市場区分が変わった
    • [100]2018年12月に東京証券取引所マザーズから市場第一部へ市場変更した
    • [101]2016年9月の上場から2018年12月の一部指定替えまで2年3か月であった
    • [102]2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2022年2月期・IFRS)
    • [103]2022年2月期の売上高は576億円、営業利益は206億円であった
  • ベイカレント 2023年2月期 通期 決算説明会資料(2023年4月21日)
    • [104]入社数は2022年2月期619名から2023年2月期871名へ、採用費は20億1,700万円から29億5,700万円へ増加した
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」(2017年8月23日・適時開示)
    • [93]中途採用をめぐりフューチャーが営業秘密の不正取得を主張して提訴した
    • [94]2017年8月にフューチャーが営業秘密の不正取得を主張してベイカレント・コンサルティングを提訴した
  • フューチャー株式会社「刑事裁判の判決に関するお知らせ」(2019年3月26日)
    • [95]2018年3月にフューチャーの元執行役員が逮捕・起訴され、2019年3月に有罪判決が下った
    • [96]刑事判決はベイカレントの採用担当が引き抜き目的で人材リストの作成を依頼したと認定した
    • [98]刑事判決は引き抜き目的での人材リスト作成の依頼と全従業員名簿の不正領得を認定した
  • ベイカレント 有価証券報告書(第12期・2026年2月期)「訴訟等」注記
    • [97]刑事で有罪となったのは元従業員のみで、ベイカレントは民事で請求棄却を主張した
  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [99]2018年12月の市場第一部への指定替えと2022年4月のプライム市場移行の二度、市場区分が変わった
    • [100]2018年12月に東京証券取引所マザーズから市場第一部へ市場変更した
    • [101]2016年9月の上場から2018年12月の一部指定替えまで2年3か月であった
    • [102]2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2022年2月期・IFRS)
    • [103]2022年2月期の売上高は576億円、営業利益は206億円であった
  • ベイカレント 2023年2月期 通期 決算説明会資料(2023年4月21日)
    • [104]入社数は2022年2月期619名から2023年2月期871名へ、採用費は20億1,700万円から29億5,700万円へ増加した

2024年〜 提案と実装を分けた持株会社体制への移行(2024〜2026)

ベイカレントの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2024年 本社を麻布台に移転
  2. 2024年 持株会社化の分割準備会社2社を設立
  3. 2024年 持株会社体制への移行とテクノロジー事業会社の分離 提案と実装を同じ器で抱え続けるか、分けて別々の採算に載せるか——単一事業で膨らんだ組織の組み替え
  4. 2025年 北風大輔が代表取締役社長に就任
  5. 2025年 阿部義之が代表取締役会長兼社長に就任
  6. 2026年 顧客ごとに決めていた人月単価の役職別一律化 客ごとに値段を変える柔軟さを手放してでも単価を上げるか——中期計画の前倒しに向けた価格政策の転換

麻布台への本社移転と持株会社体制への移行

2024年1月、本社を東京都港区の麻布台へ移した[105]。2017年2月期末に1,194名だったコンサルタントは2024年2月期末に4,321名まで増えており[106]、単一の拠点に収める広さが要る。同年2月には持株会社体制への移行に向けて株式会社ベイカレント分割準備会社Aと同Bを設立し[107]、4月に会社分割と定款変更を決議した[108]。9月1日、持株会社体制へ移行して商号を株式会社ベイカレントへ変更し[109]、コンサルティング事業は準備会社Aを承継先とする新会社へ、ITサービスは準備会社Bを母体とするベイカレント・テクノロジーへ移した。

  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [105]2024年1月に本社を東京都港区(麻布台)へ移転した
    • [109]2024年9月1日に持株会社体制へ移行し、株式会社ベイカレントへ商号変更した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2024年2月期・IFRS)
    • [106]コンサルタント数は2017年2月期末1,194名から2024年2月期末4,321名へ増加した
  • ベイカレント 適時開示 2024年1月12日「持株会社体制への移行準備開始及び分割準備会社設立に関するお知らせ」
    • [107]2024年2月に分割準備会社A(現ベイカレント・コンサルティング)とB(現ベイカレント・テクノロジー)を設立した
    • [108]2024年4月に会社分割と定款の一部変更を決議した

分けた理由は、提案と実装で商売の中身が違う[110]ことにある。戦略の提案はコンサルタントの単価で稼ぎ、システムの実装は技術者の工数で稼ぐ[111]。収益の構造も要る人材も異なるものを一つの会社に同居させたまま[112]では、どちらの採算も見えない。移行後、持株会社の単体従業員は2025年2月期末に593名まで減り[113]、事業は子会社へ移った。連結の従業員数は同期末で5,467名、2026年2月期末には6,788名[114]である。単一事業・単一法人で膨らんだ組織を事業ごとに分け、それぞれの採算を別々に見る体制へ組み替えた[115]。事業の売却や買収を事業単位で決められる形[116]にもなった。

  • ベイカレント 適時開示 2024年1月12日「持株会社体制への移行準備開始及び分割準備会社設立に関するお知らせ」
    • [110]持株会社体制への移行は、コンサルティング事業とITサービス事業を分離することを目的とした
    • [111]提案を担う戦略コンサルティングと実装を担うIT開発では収益構造も人材構成も異なる
    • [112]提案を担うコンサルティングと実装を担うITサービスでは収益構造も人材構成も異なる
    • [115]単一事業・単一法人の体制を、事業ごとに独立採算とする持株会社体制へ組み替えた
    • [116]持株会社体制への移行は事業ごとの採算の明確化と、M&A・事業再編の自由度確保を目的としていた
  • ベイカレント 有価証券報告書(2025年2月期・連結・IFRS)
    • [113]2025年2月期末の持株会社単体の従業員数は593名であった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
    • [114]連結従業員数は2025年2月期末5,467名、2026年2月期末6,788名であった

分社したテクノロジー事業の規模は、当初大きくない[117]。ベイカレントは2025年4月の決算FAQで、テクノロジー領域の実装支援は分社の前から手がけており、全体に占める売上の割合は5%程度[118]だと説明した。今後も全体の伸びに比例して5%程度を保ちながら伸ばす見込み[119]で、テクノロジー事業によって全社の収益性が変わることは想定していない[120]という。既存の案件実績ではコンサルティングと同水準の収益性が確認できた[121]とも述べた。実装を自前で抱える構えは、コンサルティングと同じ採算の上に置かれた[122]。提案から実装までを一貫して引き受ける体制[123]を、下請けに出さずに作る組み替えである。

  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [117]テクノロジー事業の売上構成比は全体の5%程度にとどまっていた
    • [118]テクノロジー事業の売上は全体の5%程度で、分社以前からDX・ITの実装支援を行っていた
    • [119]今後も全体の売上の伸びに比例して5%程度の構成比を維持しながら伸長する見込みとされた
    • [120]テクノロジー事業による全体としての収益性の変化は想定していないと説明された
    • [121]既存のテクノロジー領域の案件ではコンサルティングサービスと同様の収益性が確認されていた
    • [122]テクノロジー領域の案件はコンサルティングサービスと同様の収益性が確認されていた
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [123]企画から実装まで一気通貫でサービスを提供できることを強みとしていた
  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
    • [105]2024年1月に本社を東京都港区(麻布台)へ移転した
    • [109]2024年9月1日に持株会社体制へ移行し、株式会社ベイカレントへ商号変更した
  • ベイカレント 有価証券報告書(2024年2月期・IFRS)
    • [106]コンサルタント数は2017年2月期末1,194名から2024年2月期末4,321名へ増加した
  • ベイカレント 適時開示 2024年1月12日「持株会社体制への移行準備開始及び分割準備会社設立に関するお知らせ」
    • [107]2024年2月に分割準備会社A(現ベイカレント・コンサルティング)とB(現ベイカレント・テクノロジー)を設立した
    • [108]2024年4月に会社分割と定款の一部変更を決議した
    • [110]持株会社体制への移行は、コンサルティング事業とITサービス事業を分離することを目的とした
    • [111]提案を担う戦略コンサルティングと実装を担うIT開発では収益構造も人材構成も異なる
    • [112]提案を担うコンサルティングと実装を担うITサービスでは収益構造も人材構成も異なる
    • [115]単一事業・単一法人の体制を、事業ごとに独立採算とする持株会社体制へ組み替えた
    • [116]持株会社体制への移行は事業ごとの採算の明確化と、M&A・事業再編の自由度確保を目的としていた
  • ベイカレント 有価証券報告書(2025年2月期・連結・IFRS)
    • [113]2025年2月期末の持株会社単体の従業員数は593名であった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
    • [114]連結従業員数は2025年2月期末5,467名、2026年2月期末6,788名であった
  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [117]テクノロジー事業の売上構成比は全体の5%程度にとどまっていた
    • [118]テクノロジー事業の売上は全体の5%程度で、分社以前からDX・ITの実装支援を行っていた
    • [119]今後も全体の売上の伸びに比例して5%程度の構成比を維持しながら伸長する見込みとされた
    • [120]テクノロジー事業による全体としての収益性の変化は想定していないと説明された
    • [121]既存のテクノロジー領域の案件ではコンサルティングサービスと同様の収益性が確認されていた
    • [122]テクノロジー領域の案件はコンサルティングサービスと同様の収益性が確認されていた
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [123]企画から実装まで一気通貫でサービスを提供できることを強みとしていた

社長交代の往復と社内世代への承継

2025年2月19日の取締役会で社長交代を決議し[124]、同年5月、阿部義之氏から北風大輔氏へ代表取締役社長を引き継いだ[125]。北風氏は1975年7月生まれ、1998年に慶應義塾大学経済学部を卒業して日本IBMに入り[126]、2009年4月にベイカレント・コンサルティングへ移った。2015年4月に執行役員、2021年4月に常務執行役員[127]、2024年9月に副社長執行役員アカウント統括本部長を務めた。外から招いた萩平和巳元社長、中途入社から昇格した阿部氏に続き、社内で16年を過ごした顧客接点の責任者が社長に就いた[128]

  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [124]2025年2月19日の取締役会で新社長の就任および代表取締役の異動を決議した
  • 日本経済新聞(2025年2月20日)
    • [125]2025年5月に北風大輔氏が代表取締役社長に就任し、阿部義之氏は取締役会長となった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2025年2月期・連結・IFRS)
    • [126]北風大輔氏は1975年7月生まれで、1998年に慶應義塾大学経済学部を卒業して日本IBMへ入社した
    • [127]北風氏は2009年4月に入社し、2015年4月執行役員、2021年4月常務執行役員、2024年9月副社長執行役員アカウント統括本部長を務めた
    • [128]萩平和巳氏は外部招聘、阿部義之氏は中途入社からの昇格、北風大輔氏は2009年入社から16年を経ての就任であった

交代にあたって、ベイカレントは経営方針も中期経営計画も成長戦略も変えないと明言した[129]。2025年4月の決算FAQは、新社長就任に伴う変更はない[130]と述べ、阿部氏が取締役会長として当面は新体制を支える[131]と説明した。だがこの体制は半年で終わった[132]。2025年11月19日、北風氏は体調不良により病気療養に専念するとして代表取締役社長を辞任し[133]、阿部氏が代表取締役会長兼社長となった。8年半社長を務めた前任者が復帰し[134]、会長と社長を一人が兼ねる状態に戻った。2026年2月期は、阿部氏が代表取締役会長兼社長として通期を通じて指揮を執った期[135]にあたる。

  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [129]新社長就任に伴う経営方針・中期経営計画・成長戦略の変更はないと明言された
    • [130]新社長就任に伴う経営方針・中期経営計画・成長戦略の変更はないと説明された
    • [131]阿部義之氏は取締役会長となり、当面の間は新経営体制のサポートを担うと説明された
  • 日本経済新聞(2025年11月19日)
    • [132]北風大輔氏の社長在任は2025年5月から同年11月までの約6か月であった
    • [133]2025年11月19日に北風大輔氏が病気療養のため代表取締役社長を辞任し、阿部義之氏が代表取締役会長兼社長となった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
    • [134]阿部義之氏は2016年12月から2025年5月まで8年半にわたり社長を務めた
    • [135]2026年2月期は阿部義之氏が代表取締役会長兼社長を務めた
  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
    • [124]2025年2月19日の取締役会で新社長の就任および代表取締役の異動を決議した
    • [129]新社長就任に伴う経営方針・中期経営計画・成長戦略の変更はないと明言された
    • [130]新社長就任に伴う経営方針・中期経営計画・成長戦略の変更はないと説明された
    • [131]阿部義之氏は取締役会長となり、当面の間は新経営体制のサポートを担うと説明された
  • 日本経済新聞(2025年2月20日)
    • [125]2025年5月に北風大輔氏が代表取締役社長に就任し、阿部義之氏は取締役会長となった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2025年2月期・連結・IFRS)
    • [126]北風大輔氏は1975年7月生まれで、1998年に慶應義塾大学経済学部を卒業して日本IBMへ入社した
    • [127]北風氏は2009年4月に入社し、2015年4月執行役員、2021年4月常務執行役員、2024年9月副社長執行役員アカウント統括本部長を務めた
    • [128]萩平和巳氏は外部招聘、阿部義之氏は中途入社からの昇格、北風大輔氏は2009年入社から16年を経ての就任であった
  • 日本経済新聞(2025年11月19日)
    • [132]北風大輔氏の社長在任は2025年5月から同年11月までの約6か月であった
    • [133]2025年11月19日に北風大輔氏が病気療養のため代表取締役社長を辞任し、阿部義之氏が代表取締役会長兼社長となった
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
    • [134]阿部義之氏は2016年12月から2025年5月まで8年半にわたり社長を務めた
    • [135]2026年2月期は阿部義之氏が代表取締役会長兼社長を務めた

役職別の一律単価とAIをめぐる需要

2026年4月から、コンサルタントの人月単価を役職別に定め、全クライアントで一律とする方針[136]が導入された。従来は顧客ごとに単価を決めており、その柔軟さは外資系に対する強みの一つ[137]であった。ダイヤモンド編集部が2025年8月に報じたところでは、この実質的な値上げは2029年2月期に売上高2,500億円とする中期経営計画を1年前倒しで達成する狙い[138]による。創業期に発案者が案件を立ち上げる運営で人を集め、上場後に採用費を投じて人を増やしてきたこの会社が、初めて値段の側に手を入れた判断[139]であった。顧客ごとの単価は外資系に対する強みであり[140]、それを手放してでも単価を取りにいく選択にあたる。

  • ダイヤモンド・オンライン(2025年8月21日)
    • [136]2026年4月から人月単価を役職別に定め、全クライアントで一律とする方針が導入された
    • [138]中期経営計画は2029年2月期の売上高2,500億円を目標に掲げ、報道では2028年2月期での達成を狙うとされた
    • [139]顧客ごとの個別単価をやめ役職別の単価表へ統一する実質的な値上げにあたる
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [137]従来は顧客ごとに単価を決めており、柔軟な単価設定が外資系に対する強みであった
    • [140]顧客ごとの柔軟な単価設定は外資系ファームに対する競争力の源泉とされていた

同じ時期に、人月で稼ぐ商売そのものへ市場の疑いが向いた[141]。2026年2月に登場したアンソロピックのAIエージェントがシステム開発やプロジェクト管理の仕事も担うとの見方が広がり[142]、ベイカレントの株価は2025年8月末からの半年で一時半値近くまで売られた[143]阿部義之会長兼社長は、国内主要企業の大規模なAI投資は今後3年から5年続くと見込まれ、AI導入に向けたデータ整備や組織設計のコンサルティング需要も増える[144]との見方を示した。ベイカレントは2026年7月の決算FAQで、DXとAIの領域は50%から60%程度の構成比を保ちながら売上を伸ばす見込み[145]だと説明した。

  • 週刊東洋経済 2026年5月16日号
    • [141]株式市場はコンサル各社の人海戦術モデルに疑念を強めていた
    • [142]2026年2月上旬にアンソロピックのAIエージェントがコンサル業界の仕事も奪うとの懸念が広がった
    • [143]ベイカレントの株価は2025年8月末を起点として一時半値近くまで下落した
    • [144]阿部義之会長兼社長は国内主要企業の大規模なAI投資が今後3〜5年続き、AI導入に向けたデータ整備や組織設計のコンサルティング需要も継続・増加すると述べた
  • ベイカレント 2027年2月期 第1四半期 決算FAQ(2026年7月15日)
    • [145]DX/AI領域は50〜60%程度の構成比のもとで継続的な売上拡大を見込むと説明された

業績の側は伸び続け、売上高は2025年2月期の1,161億円から2026年2月期の1,483億円へ、営業利益は426億円から509億円へ増えた[146]。ベイカレントは決算FAQで、EBITDAマージンを30%から40%の範囲に保てる限り採用への投資を続ける方針[147]を示し、その前提となる稼働率の目安を80%から90%と説明している[148]。2026年2月には米国に現地法人を設けた。既存顧客の海外での支援に応えるためで、業績への影響は軽微だという。2026年7月の決算FAQでは、サイバーセキュリティと防衛の領域で新しい需要が現れ、その取り込みに向けた先行投資をほぼ終えた[150]と説明した。 [149]

  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
    • [146]売上高は2025年2月期1,161億円・2026年2月期1,483億円、営業利益は426億円・509億円であった
  • ベイカレント 2026年2月期 通期 決算FAQ(2026年4月14日)
    • [147]EBITDAマージンの計画レンジを30〜40%と定め、その範囲で維持できる限り積極的な採用投資を継続する方針を示した
    • [148]EBITDAマージンを計画の範囲内で維持するための稼働率の目安を80〜90%としている
    • [149]2026年2月に米国の現地法人を設立し、既存クライアントの海外支援ニーズに応える体制を作った
  • ベイカレント 2027年2月期 第1四半期 決算FAQ(2026年7月15日)
    • [150]サイバーセキュリティ・防衛領域の需要が新たに顕在化し、そのサービス提供体制構築のための先行投資は概ね完了したと説明された
  • ダイヤモンド・オンライン(2025年8月21日)
    • [136]2026年4月から人月単価を役職別に定め、全クライアントで一律とする方針が導入された
    • [138]中期経営計画は2029年2月期の売上高2,500億円を目標に掲げ、報道では2028年2月期での達成を狙うとされた
    • [139]顧客ごとの個別単価をやめ役職別の単価表へ統一する実質的な値上げにあたる
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
    • [137]従来は顧客ごとに単価を決めており、柔軟な単価設定が外資系に対する強みであった
    • [140]顧客ごとの柔軟な単価設定は外資系ファームに対する競争力の源泉とされていた
  • 週刊東洋経済 2026年5月16日号
    • [141]株式市場はコンサル各社の人海戦術モデルに疑念を強めていた
    • [142]2026年2月上旬にアンソロピックのAIエージェントがコンサル業界の仕事も奪うとの懸念が広がった
    • [143]ベイカレントの株価は2025年8月末を起点として一時半値近くまで下落した
    • [144]阿部義之会長兼社長は国内主要企業の大規模なAI投資が今後3〜5年続き、AI導入に向けたデータ整備や組織設計のコンサルティング需要も継続・増加すると述べた
  • ベイカレント 2027年2月期 第1四半期 決算FAQ(2026年7月15日)
    • [145]DX/AI領域は50〜60%程度の構成比のもとで継続的な売上拡大を見込むと説明された
    • [150]サイバーセキュリティ・防衛領域の需要が新たに顕在化し、そのサービス提供体制構築のための先行投資は概ね完了したと説明された
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
    • [146]売上高は2025年2月期1,161億円・2026年2月期1,483億円、営業利益は426億円・509億円であった
  • ベイカレント 2026年2月期 通期 決算FAQ(2026年4月14日)
    • [147]EBITDAマージンの計画レンジを30〜40%と定め、その範囲で維持できる限り積極的な採用投資を継続する方針を示した
    • [148]EBITDAマージンを計画の範囲内で維持するための稼働率の目安を80〜90%としている
    • [149]2026年2月に米国の現地法人を設立し、既存クライアントの海外支援ニーズに応える体制を作った

ベイカレントの沿革1998〜2026年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
ピーシーワークスを設立★★
ピーシーワークスに組織変更
本社を移転
発案者が事業を立ち上げる社内独立の風土づくりと、SIerから上流コンサルへの転換巣立つ社員を許す会社は弱くなるのか——起業志向の人材で成長し、のちに「ベイカレクローン」を生んだ人材モデルの原点 詳細を読む★★★
創業者・江口新氏の退任とマッキンゼー出身・萩平和巳氏への承継商号を変えても収益はSIerのままの会社を、創業者は誰に託して上流コンサルへ変えようとしたか 詳細を読む★★★
バイロン・HDを設立
ベイカレント創業者の退場とSunrise Capital主導のMBOオーナー創業のままでは進まない刷新を、ファンドの資本と専門経営でどう越えたか 詳細を読む★★★
本社を移転
旧子会社を吸収合併しベイカレント・コンサルティングに商号変更
阿部義之PEファンドの出口として設計された2016年9月の東証マザーズ上場公募5万株に売出1,168万株——会社に資金がほぼ入らない上場で、ファンドは去り創業者はなぜ残ったか 詳細を読む★★★
阿部義之上場直後の減益を受けた社長交代と、採用数と単価を同時に上げる成長モデルへの転換人を増やせば利益が薄まるコンサルの常識に対し、阿部義之社長は増員と単価引き上げをどう両立させようとしたか 詳細を読む★★★
阿部義之競合フューチャーからの人材引き抜きと営業秘密領得への関与経験者を競う中途採用か、違法な引き抜きと営業秘密の侵害か——刑事有罪と続く民事係争が分ける一線 詳細を読む★★★
阿部義之東京証券取引所一部に指定替え
阿部義之プライム市場へ移行
阿部義之本社を麻布台に移転
阿部義之持株会社化の分割準備会社2社を設立★★
阿部義之持株会社体制への移行とテクノロジー事業会社の分離提案と実装を同じ器で抱え続けるか、分けて別々の採算に載せるか——単一事業で膨らんだ組織の組み替え 詳細を読む★★★
北風大輔北風大輔が代表取締役社長に就任
北風大輔阿部義之が代表取締役会長兼社長に就任
顧客ごとに決めていた人月単価の役職別一律化客ごとに値段を変える柔軟さを手放してでも単価を上げるか——中期計画の前倒しに向けた価格政策の転換 詳細を読む★★★
出典・参考
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)【沿革】
  • ベイカレント・コンサルティング 求人情報(@type 掲載、2007年1月)
  • 日本オラクル ORACLE MASTER 取得事例(2007年1月)
  • type 2007年2月号「顧客との良好なリレーションには個々のコンサルタントの素養が重要」
  • コンサルタント 活躍の条件(掲載記事、2007年5月)
  • 週刊東洋経済 2025年3月22日号
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
  • キャリアインキュベーション「コンサルティングファーム パートナーインタビュー 株式会社ベイカレント・コンサルティング 代表取締役社長 萩平和巳氏」(2013年2月)
  • ベイカレント 有価証券報告書【沿革】
  • ベイカレント 有価証券報告書
  • ベイカレント 有価証券報告書(2016年2月期・IFRS)
  • 日本経済新聞(2016年8月25日)
  • ベイカレント 有価証券報告書【大株主の状況】
  • ベイカレント 有価証券報告書(2017年2月期・IFRS)
  • 日本経済新聞(2016年12月10日)
  • ベイカレント 2026年2月期 通期 決算FAQ(2026年4月14日)
  • ベイカレント 有価証券報告書(2023年2月期・IFRS)
  • ベイカレント 有価証券報告書(2024年2月期・IFRS)
  • ベイカレント 有価証券報告書(2018年2月期・IFRS)
  • ベイカレント FY2025 通期 決算FAQ(2025年4月10日)
  • ベイカレント 有価証券報告書(2022年2月期・IFRS)
  • ベイカレント 2023年2月期 通期 決算説明会資料(2023年4月21日)
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング「当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」(2017年8月23日・適時開示)
  • フューチャー株式会社「刑事裁判の判決に関するお知らせ」(2019年3月26日)
  • ベイカレント 有価証券報告書(第12期・2026年2月期)「訴訟等」注記
  • ベイカレント 適時開示 2024年1月12日「持株会社体制への移行準備開始及び分割準備会社設立に関するお知らせ」
  • ベイカレント 有価証券報告書(2025年2月期・連結・IFRS)
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
  • 日本経済新聞(2025年2月20日)
  • 日本経済新聞(2025年11月19日)
  • ダイヤモンド・オンライン(2025年8月21日)
  • 週刊東洋経済 2026年5月16日号
  • ベイカレント 2027年2月期 第1四半期 決算FAQ(2026年7月15日)

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