1926年〜

国産自動織機の名門企業として創業したが、自動車に新規参入

豊田佐吉氏が開発した「G型織機」の量産に着手するために、1926年に豊田自動織機が設立された。G型織機は生産性に優れた製品として世界的に注目を集め、1929年には英国プラット社に対して特許実施権を譲渡するなど、グローバルで通用する織機メーカーとなった。

1933年には織機で儲けた利益を自動車の研究開発に充当することで、自動車への参入を計画。1937年に豊田自動織機から自動車部を分離することで「トヨタ自動車」を設立した。このため、豊田自動織機はトヨタ自動車の実質的な産みの親でもある。

1926〜1952
豊田自動織機 | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
85.8億円
1952.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
n/a億円
1952.3 | 当期純利益
1926年
株式会社豊田自動織機製作所を設立
1929年
英プラット社にG型織機の特許実施権の譲渡契約
1933年
自動車部を新設(トヨタ自動車の創業)
1941年
軍需品の製造にシフト
1949年
東京証券取引所に株式上場
1953年〜

織機の需要低迷に直面

1950年代に入ると、繊維の需要が低迷。豊田自動織機の祖業である「織機(繊維機械)」の業績が低迷したため、1600名の余剰人員が発生した。そこで、豊田自動織機は「トヨタ自動車向けの自動車関連品」の下請け生産を開始。エンジンや車両生産に従事することで雇用を維持する方針を打ち出し、好調なトヨタ自動車と対照的な状況に追い込まれた。

1953〜1966
豊田自動織機 | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
190.1億円
1966.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
n/a億円
1966.3 | 当期純利益
1953年
共和工場を新設
1954年
メキシコ豊田を設立(事業失敗)
1956年
新規事業による多角化
1967年〜

自動車・カーエアコン部品・フォークリフトの量産投資

豊田自動織機は繊維機械の不振に対して挽回を期すため、新規事業への参入を決定。トヨタ自動車向けに展開していた「エンジン製造」のノウハウを転用して、1956年にフォークリフトに新規参入。この結果、1970年代までに「自動車」と「産業用車両(フォークリフト)」の2つの事業が育ち、祖業である繊維機械の不振をカバーした。1980年代にはデンソー向けに「カーエアコン用コンプレッサー」の製造を拡大し、トヨタに次ぐ取引先となった。

これらの経緯によって、豊田自動織機の事業展開は、祖業の織機の不振をトヨタグループで支えるという構造が作られた。

1967〜1999
豊田自動織機 | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
5588億円
1999.3 | 売上高
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
103億円
1999.3 | 当期純利益
1967年
長草工場を新設
1970年
高浜工場を新設
1978年
カーエアコン部品の量産を開始
1980年
エアジェット織機の製造開始
1982年
碧南工場を新設
1987年
受託生産車種の拡大
1988年
米国に現地法人を設立
1995年
フランスに現地法人を設立
1999年
トヨタ向け「ヴィッツ」の生産開始
2000年〜

グローバルで物流投資を積極化

2000年代以降、豊田自動織機は「物流・産業用車両」への本格投資を開始。グローバルな企業買収によって業容の拡大を目指し、2017年には1446億円でVanderlande Industries社を買収した。この結果、売上ベースでは「産業用車両・物流関連」の比率が増大し、トヨタおよびデンソー向けの下請け生産の比率が低下しつつある。

2000〜2024
豊田自動織機 | 売上高
■単体 | ■連結 (単位:億円)
売上高_当期純利益率
○単体 | ○連結 (単位:%)
2000年
BTインダストリーズを買収
2000年
東知多工場を新設
2001年
トヨタ向け「RVA4」の生産開始
2002年
東浦工場を新設
2007年
安城工場を新設
2009年
最終赤字に転落(2期連続)
2013年
米カスケード社を買収
2017年
Vanderlande Industries HDを買収
2022年
石浜工場を新設