グッドパッチの歴史

デザインパートナー
Last Updated: | Author: @yusugiura
歴史概要
2011
株式会社グッドパッチを設立
シリコンバレーから帰国した土屋尚史氏は、2011年に株式会社グッドパッチを設立した。 デザイナーを自社で雇用し、当時としては珍しかったソフトウェアに関するデザインのサービス提供を開始し、顧客企業のデザインパートナーとして事業展開を助けた。
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2012
Gunosyとの取引を公表
グッドパッチは創業直後の2011年から、ニュースアプリを開発するGunosyを顧客としてUX/UIの改善提案を行っていた。 Gunosyとの取引における、もともとの発端...
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2015
B種優先株式を発行し、3.9億円を資金調達
2015年にグッドパッチは、B種優先株式の発行により3.9億円の資金調達を実施し、将来の株式上場を視野に入れた。 当時、デザイン会社は従業員数名のブティックないし個人事...
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2017
C種優先株式を発行し、4.0億円を調達
2017年にグッドパッチは、C種優先株式の発行により4.0億円の資金調達を実施した。推定評価額はB種優先株を発行した際の26億円から、38億円へと向上した。 事業面では...
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2019
組織崩壊の危機。2年を経て離職率を改善
2018年ごろにグッドパッチは、従業員50〜100名の規模へと拡大したものの、組織における統率が取れなくなり年間の離職率が40%に及ぶ危機に陥った。当時の従業員のVor...
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2021
東証マザーズに株式上場。過小評価により16億円の機会損失
2021年にグッドパッチは東証マザーズへの株式上場を果たした。 しかし、幹事の証券会社に提示された評価額は約40億円であり、資金調達額は4億円に限られてしまった。ところ...
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2021
MSワラントによる資金調達を実施
2021年にグッドパッチは第三者割当増資による24億円の資金調達を発表した。グッドパッチの上場前の評価額は40億円であったが、その後の時価総額は200億円台で推移してお...
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CEOの業績貢献
Report

2012 Gunosyとの取引を公表

グッドパッチは創業直後の2011年から、ニュースアプリを開発するGunosyを顧客としてUX/UIの改善提案を行っていた。

Gunosyとの取引における、もともとの発端は、当時サンフランシスコのbtraxでインターンとして働いていた土屋氏と、Gunosyの創業メンバーで当時は学生だった関喜史氏が、偶然シリコンバレーで知り合ったことに始まる。この当時は、Gunosyは株式会社として設立されておらず、お互いに面識ができた段階であった。

その後、2011年にGunosyはニュースサービスを開始し、関氏からのローンチの連絡を受けて土屋氏の知るところとなったが、ロゴがパワーポイントでデザインされるなど、UX/UIが洗練されていない状態であった。そこで、土屋氏は、大学生が作り上げたGunosyに対して、デザインで手伝えるかもしれないと伝えてアドバイスをし始めたのが、両社の取引の始まりであった。当初、土屋氏は大学生を相手にお金を取ることについて、気が引けたらしく、無料でデザインのアドバイスを行なったという。

この経緯から、グッドパッチはGunosyの創業期からデザインの改善に関わり、iOS・Android向けのスマホアプリのUX/UIにも携わった。洗練されたUXによってGunosyはTwitterでバズり、同時にデザインを手がけたことがグッドパッチであることが知れ渡った。この結果、グッドパッチに対する新しい仕事の問い合わせも相次ぎ、能動的に営業をしなくても顧客を獲得できる状態になった。

その後、2015年までにグッドパッチはマネーフォワードを顧客として抱えるなど、当時の主要なスタートアップと取引を行い、顧客企業の成長とともに、グッドパッチも業容を拡大した。

Report

2015 B種優先株式を発行し、3.9億円を資金調達

2015年にグッドパッチは、B種優先株式の発行により3.9億円の資金調達を実施し、将来の株式上場を視野に入れた。

当時、デザイン会社は従業員数名のブティックないし個人事業主の携帯が一般的であり、グッドパッチのように株式上場を目指すデザイン会社は奇特な存在であった。

グッドパッチは積極的にデザイナーの採用を行い、2016年3月期末には従業員数56名となり、大規模なデザイン会社となった。

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2017 C種優先株式を発行し、4.0億円を調達

2017年にグッドパッチは、C種優先株式の発行により4.0億円の資金調達を実施した。推定評価額はB種優先株を発行した際の26億円から、38億円へと向上した。

事業面では、Gunosyやマネーフォワードといった顧客が株式上場を果たすなど、グッドパッチのデザインに対する評判も高まった。

このため、引き続きグッドパッチは社員の採用を積極的に行うことで業容の拡大を目論み、2018年3月期末の従業員数は94名に達した。

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2019 組織崩壊の危機。2年を経て離職率を改善

2018年ごろにグッドパッチは、従業員50〜100名の規模へと拡大したものの、組織における統率が取れなくなり年間の離職率が40%に及ぶ危機に陥った。当時の従業員のVorkersにおける書き込みを見ると、評価制度や給与に対する不満が多く、スマホ時代の到来により急騰していたデザイナーの市場価値と、グッドパッチ社内の社内評価のギャップの問題も存在したと推察される。

グッドパッチにおける離職率の高い状態は2年間続いたが、UI/UXの重要性が高まる市場成長によって、事業継続が困難になることはなかった。その後、マネージャー層の交代が進んだことや、新卒採用した社員が自発的にグッドパッチへの愛を表明したことにより、社内の空気が徐々に好転し、組織崩壊を食い止めることに成功したという。

組織の改善効果の測定については、リンクアンドモチベーションと契約をした上で改善ツールを導入し、その数値の改善をもって、定量的に改善されたことを示している。

Report

2021 東証マザーズに株式上場。過小評価により16億円の機会損失

2021年にグッドパッチは東証マザーズへの株式上場を果たした。

しかし、幹事の証券会社に提示された評価額は約40億円であり、資金調達額は4億円に限られてしまった。ところが、株式上場後のグッドパッチの時価総額は200億円で推移しており、結果としてグッドパッチの株価は過小評価された。これは、本来の時価総額の10%である20億円と、実際の調達額4億円の差分である16億円の機会損失を被ったことを意味する。

このため、東証マザーズへの上場における証券会社の評価姿勢が問題視されることになり、2021年に公正取引委員会が調査に乗り出した。しかし、すでに株式上場を果たしてしまった、グッドパッチは市場の歪みの被害者になってしまった側面もある。

yusugiura
コメント
日本の資本市場に期待してはいけない

事業会社における株式上場の意味は資金調達にあり、その代償として議決権の一部を差し出すことで、経営の透明性を高めることに意義がある。

よく言われる「株主にとっての売却益の確定」や「採用市場における信頼プレゼンスの醸成」は、派生的な恩恵に過ぎない。

したがって、資金調達という意義を軽視した証券会社が、上場予定の企業に対して「意図的に過小評価する」という行為は、ダウトだろう。しかも、ミクロでは証券会社が自分だけ手数料を儲けたいという魂胆が見え透けているし、マクロでは成長企業の将来性を資金面で潰すことになりかねない。短期売買する投機家だけが儲かるという、真面目に事業をする人にとっては、まるで最悪な構造である。

とは言いつつも、日本の資本市場は、いつの時代も歪んでいるのことの方が多いので、本来的な意義を期待するのが無理なのかもしれない。現実問題として、金は意義に勝る。道は険しい。

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2021 MSワラントによる資金調達を実施

2021年にグッドパッチは第三者割当増資による24億円の資金調達を発表した。グッドパッチの上場前の評価額は40億円であったが、その後の時価総額は200億円台で推移しており、企業価値が高い状態で大規模な資金調達を試みた。

ただし、株式上場直後の第三者割当による増資によって、9.9%の株式が希薄化することから既存株主の価値が低下することを恐れた投資家にとって、ネガティブな反応を示した。このため、第三者割当増資の発表とともにグッドパッチの株価は暴落し、TwitterではグッドパッチのMSワラントによる第三者割当増資に関する話題が「炎上」した。

ただし、その後、グッドパッチの株式は買い支えられ、数年スパンではフラットな水準で推移している。

yusugiura
コメント
個人株主比率の多さが災い?

MSワラントの発行に踏み切った理由は、上場時にグッドパッチの主幹事であった大和証券が「安値評価」をしたことで、グッドパッチの資金調達が上場時に阻害されたことが問題の発端であった。だからこそ、上場直後に第三者割当増資による資金調達を行う必要があった。

ところが、上場株を専門にする個人投機家にとっては、増資はネガティブなイベントと捉えられることが多い。これは、なかなか成長企業が出現しない日本において、増資にネガティブな印象が強いためである。

実際には、成長を期待できる企業であれば増資はポジティブなインパクトがある場合もあり、ケースバイケースである。実際に、未上場企業では第三者割当増資が当たり前のように行われている。従って、グッドパッチのMSワラント発行時に「株価が暴落した」という事象は、そもそも成長企業への投資に精通していない個人株主が過剰に反応した事象と思われる。

2021年8月期のグッドパッチの有価証券報告書を読み解くと、発行済株式にしめる個人の割合が59%であり(※うち創業者の土屋氏の持分は37%)、外国法人(≒海外機関投資家)が5%に満たないことから、個人に傾斜した株主構成も、株価が敏感に反応した要因かもしれない。

したがって、長期保有を志向する機関投資家を募れるかが、グッドパッチの資本政策・IRにおける重要な課題になるが、グッドパッチの時価総額200億円というラインでは、流動性・資産運用額の観点から機関投資家を募りにくいという事情もある。