1949〜2022
売上高: 億円
■単体 | ■連結
40314億円
2022.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
2439億円
2022.12 | 当期純利益
1947

商号をキヤノンカメラに変更

日本企業としては珍しかった「カタカナ」による社名を採用してカメラのブランド名と一致させた。カメラの海外輸出に備えた施策であった。ただし1949年の株式上場にあたって「カタカナの社名」が問題視されるなど、それなりの苦労を伴った変更であった。

1949 05月
株式上場

東京証券取引所に株式上場

株式市場の再開に伴い、東京証券取引所に株式を上場した。上場後の1953年9月時点で、筆頭株主は東亜火災海上保険(10.0%)であり、御手洗毅氏は3.81%を保有。すなわち、上場時点でキヤノンは御手洗家の所有物でなくなっていた。1953年9月末時点の保有数順の大株主は下記の通り。

まとめ
1933〜1950
売上高: 億円
■単体 | ■連結
3.78億円
1950.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
0.032億円
1950.12 | 当期純利益
1957 12月
業績低迷

カメラ不況により減収決算へ

1956年頃に日本経済が一時的な不況に陥ったことでカメラの売上高が低迷。キヤノンは減収決算へ

1961

中級機カメラに進出(キヤノンフレックス発売)

低迷を打破するために、キヤノンは中級カメラに新規参入を決定した。1958年以降のキヤノンは海外輸出とともに、国内向けの中級機の需要を取り込む経営方針のもとで開発を実施。1961年に発売した中級機「キヤノンフレックス」が爆発的なヒットを遂げ、キヤノンは「海外向け高級機メーカー」から「国内向け中級機メーカー」に転身した。

一方で、日本に数十社存在していた中級機のカメラメーカーはキヤノンなどの大企業の進出によってシェアを喪失し、その大半が消滅している。この点で、高級機にいち早く進出し、量産体制を整えて、中級機でも量産効果を発揮したキヤノンに軍配があがった。

まとめ
1951〜1964
売上高: 億円
■単体 | ■連結
158億円
1964.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
6.1億円
1964.12 | 当期純利益
1966 12月
業績低迷

経済不況により減益決算

中級機ブームの一巡と経済不況(昭和40年不況)の到来が重なり、キヤノンの売上成長も低迷。カメラに次ぐ新商品・新規事業の開拓が急務となった。

1967

「右手にカメラ、左手に事務機」の方針策定

カメラに頭打ちを受けて新規事業を模索。精密加工を軸として、録音再生機・電卓・複写機・半導体製造装置・コンピュータなど幅広く展開

1959年
録音再生機「シンクロリーダー」を発売
1964年
電卓「キヤノーラ」を発売
1964年
複写機「キヤノファックス1000」を発売
1967年
「右手にカメラ、左手に事務機」の方針策定
1968年
普通紙複写機「キヤノンNPシステム」を開発
1970年
普通紙複写機「NP-1100」を発売
1970年
半導体焼付装置「PPC-1」を発売
1971年
事務用コンピュータ「BP-1000」を発売
1975年
電卓などの新規事業が不振。半期赤字へ転落
1975 06月
事業損失

無配転落。電卓事業の撤退

まとめ
1965〜1976
売上高: 億円
■単体 | ■連結
1019億円
1976.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
36億円
1976.12 | 当期純利益
1977 06月

賀来龍三郎氏が代表取締役社長に就任

キヤノン中興の祖。事務機をグローバルに展開

賀来龍三郎氏が代表取締役社長に就任

前田社長の急逝に伴って賀来龍三郎(当時51歳)がキヤノンの代表取締役社長に就任。専務と副社長を飛ばした社長就任劇として注目された。賀来社長はキヤノンの前任経営陣を「キヤノンの経営陣があまりもだらしなかった」(1985/2/4日経ビジネス)と公言し、組織および事業面の経営改革を推進した。

事業部制の導入。組織に危機感を醸成

組織面では、事業部制の導入により多角化に即した組織に変更。

多角化を整理。カメラと事務機に集中投資

事業面では、研究開発投資を重視して事務機の開発を急ぐとともに、グローバル展開でHP社と提携するなど、外部パートナーとの協業による業容拡大を目論んだ。

1926年05月
生まれ(愛知県岡崎市)
1954年03月
九州大学経済学部卒業
1954年04月
キヤノン入社
1974年
キヤノン常務
1977年06月
キヤノン代表取締役社長
1987年
キヤノン会長
1997年
キヤノン名誉会長
1985

HP社と業務協力提携を締結。LBPのOEM供与へ

1975年
レーザー方式(LBP)のプリンターを開発
1979年
世界最小の「LBP-10」を発売
1981年09月
HP社と共同研究を決定
1985年09月
HP社と業務協力提携を締結(OEM供与)
1990年
LBPの世界シェア70%(売上高4000億円超)
2002年12月
HP社向け販売高6,110億円
まとめ
1977〜1989
売上高: 億円
■単体 | ■連結
n/a億円
1989.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
n/a億円
1989.12 | 当期純利益
1990

BJP「BJ-10v」の発売(BtoC向け)

複写機→LBP→BJPの順に展開して事務機の需要を取り込み。PCの普及を見据えてBtoC向けのプリンタとしてグローバル展開

1977年
バブルジェット方式のプリンター(BJP)の特許出願
1987年
BJP事業の立ち上げ。責任者は田中宏(副社長)
1989年
市場調査で家庭用に照準。小型化に注力
1990年
円高対策のためシンガポールに部品調達拠点を設置
1990年
玉川・福島の生産拠点でBJPの量産を開始
1990年
BJP方式の「BJ-10v」を発売。BtoC向けに展開
1993年
円高対策のため香港に部品調達拠点を設置
1994年02月
カラー方式のBJP「BJC-600J」を発売
1994年12月
BJPの販売高1400億円(見込み)
1995 09月

御手洗冨士夫氏が代表取締役社長に就任

実質的な創業家である御手洗冨士夫氏がキヤノンの代表取締役社長に就任。以後、2023年現在に至るまで、社長もしくは会長を歴任し、キヤノンの実質的な経営トップとして振る舞った。この間、御手洗氏の会長在任期間には、キヤノンの社長は何度か交代しており、実質的な社長人事を握っていたと思われる。ただし、御手洗冨士夫氏のキヤノンの株式保有比率は約0.01%(2022年末時点)であり、議決権における影響は軽微である。

1998

セル生産方式を導入

2005 12月
業績好調

原価改善により過去最高収益へ

まとめ
1990〜2007
売上高: 億円
■単体 | ■連結
44813億円
2007.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
4883億円
2007.12 | 当期純利益
2009 12月
業績低迷

リーマンショックで減収減益。本業が頭打ちに

リーマンショックで業績が悪化するとともに、2010年代を通じてキヤノンの売上高は低迷。カメラはスマートフォンの普及、事務機はソフトウェアの発展により需要が低迷し、キヤノンは事業ポートフォリオの転換を経営課題に据えた。ただし、社内では新規事業が育っておらず、御手洗冨士夫会長は巨額買収による事業転換を目論んだ。

2010

オセ社を買収発表

オランダの産業印刷機械メーカーであるオセ社(従業員数2.2万名)の買収を決定。売上高の40%が米国向けのグローバル企業。2008年に競合のリコーが米アイコンオフィスソリューションズ社(買収前はキヤノン製品を販売)を買収したため、キヤノンは米国における事務機の売上減少に対応するため、米国での販路を持つオセ社の買収を決定した。

2015 02月

Axis Communicationsを買収発表

監視カメラで世界シェアトップのAxis社(スウェーデン本社・従業員数1900名)を買収し、産業向けカメラに本格参入。スマートフォンの普及によりキヤノンの祖業であるカメラ事業の売上が低迷しており、産業領域のカメラに注力するために買収を決定した。

まとめ
2008〜2015
売上高: 億円
■単体 | ■連結
38002億円
2015.12 | 売上高
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結
2202億円
2015.12 | 当期純利益
2016 12月

東芝メディカルを買収

経営危機の東芝から医療機器子会社を買収。富士フイルムとの入札競争で価格が吊り上がる

2015年02月
東芝が不正会計で決算発表を延期
2016年01月
東芝メディカルの1次入札に参加
2016年02月
東芝の最終赤字7100億円の見込み
2016年03月
東芝メディカルの2次入札に参加
2016年03月
キヤノンが独占交渉権を獲得
2016年03月
東芝と株式譲渡契約を締結
2016年12月
東芝メディカルの買収完了
2023 05月
海外展開

海外機関投資家が御手洗社長の解任を支持

キヤノンは、取締役5名の全員が男性という選任案を出したことに対して、女性の取締役登用を怠ったとみなされて海外の機関投資家(投資助言会社を含む)が「取締役の多様性の欠如」として問題視。2023年3月の株主総会において、御手洗冨士夫社長の取締役専任に対する賛成比は50.59%となり、解任ギリギリの低水準となった。

まとめ
2016〜2023
売上高: 億円
■単体 | ■連結
売上高_当期純利益率: %
○単体 | ○連結