1981年に孫正義氏(当時23歳)は、出身地の九州で日本ソフトバンクを設立した。会社設立にあたっては、佐々木正氏(シャープ元副社長)が尽力している。孫正義氏はシャープに自動翻訳機の特許を売却した際に、シャープの佐々木氏と知り合った経緯があった。そして、ソフトバンクの創業時は、佐々木氏による個人保証、佐々木氏からの銀行の紹介、シャープへの特許売却益などによって創業資金を捻出した。この意味で、シャープの佐々木正氏が、ソフトバンクの創業時に大きな役割を果たしていた。
孫正義氏は、起業家を志すなかで「パソコン向けのソフトウェアの流通」の事業化に軸を絞った。1980年前後はパソコンが国内でも急速に普及しつつあった一方、パソコン用のソフトウェアの流通網が整備されていなかった。そこで、ソフトウェアの作成会社と、ソフトウェアの販売店(家電量販店など)を結びつけ、いち早くソフトウェアの流通網を整備することにビジネスチャンスを見出した。
販売面において、1981年に日本ソフトバンクは、家電量販店のトップ企業である上新電機と提携。ソフトバンクが独占的にパソコンソフトを納入する権利を獲得する。なお、設立間もないソフトバンクが上新電機と提携できた理由は、シャープの佐々木正氏が孫正義という人物を信用していたことが上新電機にも伝わったからであった。
仕入れ面において、ソフトバンクはソフトメーカーであるハドソンと独占契約を締結。有力ソフトメーカーを掌握することによって、ソフトバンクはパソコン向けソフトで唯一無二の存在となった。
ソフトウェアの流通事業を軌道に載せるため、パソコン好き向けの雑誌事業に参入。情報流通を握ることで販売店への交渉力を持つことを目論んだ。ただし、パソコン向け出版事業の参入は後発で、先駆者のアスキーとの競争へ
パソコンの急速な普及に伴い、設立2年目のFY1982に売上高23億円を達成。従業員数は120名に拡大。取引先の小売店は2400店(書店やマイコンショップなど)。ソフトの種類は6500種
業界の成熟化に伴い、ソフトメーカーは小売店との直接取引を志向。ソフトウェア卸という業態の先行きが怪しくなり、日本ソフトバンクも利益率が低下
社債管理会社を設置せずに起債する計画を公表すると、既得権を持つ銀行が反発。最終的に大蔵省は「ルール違反の判定はできない」とした。以後、ソフトバンクは資金調達における既得権を崩しつつ巨額調達を実現していった
野村証券出身。財務責任者を歴任
1995年11月に米Yahoo(従業員数名)に200万ドル出資。1996年1月にYahooの日本法人を合弁設立。ネットバブルの前夜にインターネットへ本格参入を果たした。孫正義氏が無名企業だったYahooの存在を知ったのはジフデービスを通じてであった
世界はいま大変なデジタル情報革命の波が来ている。時速100キロでどんどん世界が走っているのに、日本の経営者は全員で泊まれば怖くないと言っている。要するにデジタル情報革命を頭で知っていても、企業経営者、政治家、教育者などは、腹の底からそういう現実を理解していないのだ。
実質的にテレビ朝日の株式取得が狙い。旺文社はテレビ朝日の筆頭株主(21.4%保有)
パソコン向け半導体メーカーを買収。ソフトバンクのキャッシュアウトは約1160億円で、1998年を期限とする4回分割払い。残りはソフトバンクが第三者割当増資で、キングストン創業者が約460億円のソフトバンクの株式を取得して捻出。つまりソフトバンクの高値の株価を活用して買収
メモリーはパソコンを中心としたデジタル機器には不可欠な部品。キングストンは企業向け分野でトップシェアを誇り、しかもパソコンの普及などで安定成長が見込める。インフラ的要素は強く、デジタル情報産業のインフラ事業というソフトバンクの事業領域から踏み外していない。
政財界からの反発により、売却を決定
Yahoo!Inc.の株式の一部を売却。466億円の特別利益を計上
これから進むべき方向の、幹を太くしていかなければいけないところを本業と呼ぶべきであって、過去のところがイコール本業というのは、正しい見方ではありません。ソフトバンクの本業は、デジタル情報革命です
ピーク時の20兆円から暴落。2002年2月までに株価はピーク時の1/30へ
ネットバブルによるヤフーの株価高騰による。米Yahooの株式で2兆円、日本法人のヤフーで1.2兆円の含み益であり、含み益の大半をヤフーが占めた
2000/2/15 19万円(時価総額20兆円)→2000/4/4 8.1万円
トレンドマイクロの株式売却で1275億円、ソフトバンクテクノロジーの株式売却で803億円、合計約2000億円の売却益を計上
ソフトバンクが契約書に盛り込んだ「瑕疵担保」の条項が国会で問題になった
米Yahoo!incの株式を一部売却(売却益363億円)、シスコシステムの株式売却(売却益308億円)、スカイパーフェクトコミュニケーションズの株式売却(売却益114億円)
2005年までの4年に毎年500億円の社債償還を予定。現金が必要となり、株式売却益を借入金の返済に充てる
出版事業。連結決算から除外し、同社の有利子負債330億円を圧縮
売却により85億円を確保
売却により394億円を確保
ADSL関連のインターネットインフラ事業:売上高73億円・営業赤字179億円
ブロードバンド事業から生み出される営業キャッシュフローは、かなり大きな比率を占めるようになるでしょう。月次ベースで言えば、2002年度のどこかで黒字転換試始める。プロモーション費用をどれだけかけるかによりますが、百数十万ユーザーを獲得すれば、損益分岐点を突破できるはずです。
現在のあおぞら銀行。売却額は1006億円
法人向け固定通信事業(BtoB)。法人向けにADSLの営業を強化するための顧客獲得を主眼とした買収。顧客基盤600万ユーザーを確保し、将来の携帯キャリアへの参入の布石とした
広告宣伝を強化するため、プロ野球に参入
総務省に対して800メガヘルツへの参入許可を主張。国内のNTTとKDDIなど数社による独占体制を批判。行政訴訟を起こすが、2005年に取り下げ
ADSLの成長が鈍化したことを受けて、携帯キャリアへの参入を急ぐ。
日本テレコムの買収により売上拡大。固定通信事業の売上高は3542億円
マジョリティではない投資の場合、相手に任せたり、相手に創業者が残っていてそれを支援したり、という立場でやるのは結構成功しているんです。ところが、われわれがマジョリティを持って経営権を取っているにもかかわらず、相手に任せる経営はダメ。たとえば、買収した日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)の最初の頃にやって失敗したんです。途中からこれはまずいということになって自分で乗り出した。
北尾吉孝氏は、ボーダフォンの買収によって財務規律が悪化することから、ソフトバンクの金融事業の分離を孫正義氏に要請。これを受けて、ソフトバンクは金融事業をSBIホールディングスとして分離。孫正義氏と北尾吉孝氏の関係性の悪化が噂されたが、現在は良好な関係にあるという
NTTドコモ、KDDI(au)に次ぐ国内3位企業。英国ボーダフォン本社から株式を取得
あのときは、任すか、自分でやるかという選択肢はなかった。約2兆円出して買収して、これが引っ繰り返ったら、ソフトバンクの屋台骨が全部ひっくり返るというぐらいの背水の陣、決死の覚悟でやりましたから。最初の1週間から、直接すべてに深くかかわるということを意思決定して、端末から、料金プランから、ネットワークから、マーケティングから、すべて自分でまず理解をし、すべてに遠慮せずに口を出した。
ボーダフォンの買収資金のため。借入金だがボーダフォンの資産を担保とする「ノンリコースローン」であり、ソフトバンクへのリスクを回避
ボーダフォンの買収により売上拡大。移動体通信事業の売上高は1.4兆円
2011年3月の東日本大震災を受けて、再生可能エネルギー事業に参入
携帯キャリア事業で海外展開へ
重要なのは、冒していいリスクの範囲を見極めることですよ。トカゲのしっぽは3割ぐらい切れてもまた生えてくる。僕は、つねに3割以上は自分たちの価値を毀損しないように、というのを一つの目安にしています。企業も3割ぐらいまでならば、切っても生えてくる。けれども、それ以上切ると、生えてこないリスクがあり、そこが致命傷に膨らんでいくリスクがある。だから失敗したとき、うちは卑怯とか臆病とかいわれるぐらい、撤退が早い。
孫正義氏の後継者候補として副社長に就任
役員報酬はFY2015に165億円
半導体の需要増大を見据えて、半導体の設計企業を買収。スマホ向けに強み。巨額買収の資金は、アリババを中心とした保有株式の売却で充当
中東のオイルマネーを主体として10兆円の出資を受けて、ソフトバンクビジョンファンドを組成。ソフトバンクの出資額は3.1兆円で、うち約1兆円はARMの株式の現物出資による。アリババの時価総額に依存した形態から脱却する狙いもあった。
SVFの特色は「未公開株式への巨額な分散投資をグローバルで志向した」にある。従来のシリコンバレーのベンチャーキャピタルが、数社に対して1億ドルの投資を行う中で、SVFは「数百社に対して数億ドルを投資する」分散投資を志向した。
具体的にはUberなど、成長過程にある未上場企業に巨額投資を行うスタイルであり、シリコンバレーの伝統的なVCと差別化を図った。
巨額資金にものを言わせる投資スタイルは、シリコンバレーの伝統的な投資家から反発も大きかったという。ただし、資金調達の競争という側面において、伝統的なVCが企業や教育機関の年金基金に依存する一方、石油高騰によって金余りが生じていた中東のオイルマネーに着目した孫正義氏に軍配が上がったと言える。
産業革命は『人力』を『機械』に置き換えるという大きな流れだった。情報革命は『機械』を『AI』に置き換える革命であると認識している。産業革命の資本家としての中心人物がロスチャイルドだとするならば、われわれソフトバンクグループは情報革命の資本家としてのキープレイヤーになりたいと思っている
孫正義氏はソフトバンクグループとして「企業への株式投資」を本業に据えるために、2017年までの主力事業であった「携帯キャリア」の事業の分社化を決定。携帯キャリア事業はソフトバンクとして分社化し、ソフトバンクは株式を上場した。
ソフトバンクグループは、投資事業の1つとして「ソフトバンク」の株式を保有する形となり、両社とも株式上場をする「親子上場」の形態をとった。このため、少数株主の利益が阻害される利益相反の問題を潜在的に抱えることになった。
ソフトバンクグループは、ヤフー、ZOZOといった上場企業を保有する出資形態を踏襲しつつ発展した経緯から、親子上場の問題は今回が初めてではない。ただし、ソフトバンクグループが海外の機関投資家によって株式保有がされるようになると、これらの利益相反の問題に対処する必要性は高まっていくと予想される。
ソフトバンクグループの保有株式(ソフトバンク・アリババ・ARMなど)の時価に対して、ソフトバンクグループの株式は安価で推移した。このため、孫正義氏は割安と判断し、過去最大規模の2.5兆円の自社株買いを公表。資金を捻出するために保有資産(アリババの株式など)の売却に舵を切った
このプログラムは当社史上最大の自己株式取得であり、さらに過去最大の現預金等の増加につながるもので、当社の事業に対する揺るぎない自信に基づくものです。くわえて、このプログラムによって当社は、負債の削減を通じてバランスシートを強化します。なお、今回の資金化の対象となる資産は、当社の保有資産価値の20%に満たないものです
経営不振だったスプリントの再建に失敗。業界3位を争ったTモバイルと合併し、スプリントの株式は売却へ
米連邦取引委員会(FTC)がNvidiaへのARMの売却が市場独占につながるとして提訴。売却は破談へ
「通常、同じ業界の2社が合併する場合は独占禁止法の問題で止められるが、NVIDIAとArmはエンジンとタイヤぐらい違う物を作っている。そんな2社の合併を独占禁止法で阻止するのは、同法が始まって以来初めてのケース」「なぜそれほどまでに止めなければならなかったのか。非常に驚いた」