Akamai Technologiesの歴史

Last Updated: | Author: @yusugiura
歴史概要 1995年〜2022年

Content Delivery Networkの老舗。webコンテンツの高速配信基盤とセキュリティーインフラを提供するグローバル企業

1995
MITの数学者がネットワーク配信の最適化アルゴリズムを考案

#創業経緯

Akamai Technologiesの歴史は、1995年にMITの数学者であったTom Leighton教授が、webにおけるコンテンツの最適な配信方法を研究したことに始まる。このときに考案されたのが、Content Delivery Network(CDN)であり、webにおけるコンテンツを配信する際に「最も近いキャッシュサーバーからデータを配信する」ことを実現する数学的なアルゴリズムであった。

だが、インターネットが普及途上にあったため、商用化は難しいと考えられていた。実際に、CDNの商用化のために大手プロバイダー(ISP)からは、良い返事を得ることはできなかったという。

このため、CDNの理論的な研究は完了していたものの、Akamaiの実用化のための起業はインターネットバブルによる追い風が吹くまで待つ必要があった。

1998
共同研究者のMITの学生がローン返済のために起業コンテストに応募し、Akamaiを共同創業

#意思決定

1997年にMITで数学者を目指していた若者・Daniel M. Lewinは、自らの学生ローンを返済するために、共同研究者であったTom Leightonが提唱したCDNの理論をもとに起業コンテストに応募した。この結果、幸いにも、1998年ごろからインターネット産業に対する注目が集まったこともあり、Tom Leightonが提唱するアルゴリズムに興味を示すベンチャーキャピタルが現れた。

そして、1998年にTom LeightonとDaniel M. LewinというMITの数学者2名によってAkamai Technologies が設立された。なお、社名の由来は「A」から始まる社名であれば索引などで目立つことと、ハワイ語でAkamaiは「賢い」を意味することから、このエキゾチックな名前に決めたという。

なお、Akamaiの顧客はISPなどのプロバイダーではなく、Yahooなどのコンテンツの提供者が主体であった。短期間に大量のアクセスが発生するコンテンツを持つweb企業に対してCDNを提供することによって、Akamaiはweb企業のインフラ基盤を提供するというポジションを確保した。

2001
株式上場を果たすが、ネットバブルの崩壊で存亡の危機へ

#業績悪化

インターネットバブルの追い風を受けて、1999年にAkamaiは株式上場を果たした。IPOによって獲得した資金によって、全世界に向けてAkamaiのサーバーを分散配置するとともに、ネット関係のベンチャー企業への投資を推し進めた。

しかし、ネットバブルが崩壊するとAkamaiの手掛けたベンチャー企業への投資は失敗し、Akamaiは2001年に巨額損失を計上するとともに株価が暴落した。ネットバブルの崩壊によってAkamaiの顧客も多くが消滅した。この結果、Akamaiは従業員の2/3のリストラを決めるなど厳しい状況に陥った。

加えて2000年には9.11のテロにより共同創業者の一人であるTom Leightonが逝去するなど、その前途が危ぶまれた。

2004
創業以来初となる黒字転換を達成

#業績好調

Akamaiは2001年までに投資の失敗による損失を計上し、本業であるCDNに回帰して経営再建を図った。インターネットバブルは崩壊したものの、インターネットに対するコンテンツへのアクセスは徐々に増加したため、AKamaiの赤字も徐々に解消されていった。

2004年にAkamaiは創業以来初となる純利益の黒字化を達成し、本業による経営再建に目処をつけた。

なお、2000年代前半におけるAkamaiの顧客は、IBM、Apple、Microsoft、Yahoo、FBI、FedEx、BestBuyなどであり、2004年時点で1300の会社および機関を顧客として抱えた。

2012
セキュリティー事業に本格投資

#意思決定

2001年ごろからAkamaiはCDNを応用して、ファイアウォールなどのセキュリティーに関する技術開発にも関係するようになった。

セキュリティー研究の発端は、2001年に何者かによって開発されたCodeRedという悪意のあるプログラムによって、ホワイトハウスのネットワークが攻撃されたことであった。当時、国家安全保障の責任者はAkamaiにセキュリティーの強化を相談し、Akamaiがこの問題を解決したことでセキュリティーの研究を本格化させた。だが、DDoS攻撃などをAkamaiのCDNを応用して防御する技術開発に難航し、2000年代はAkamaiがセキュリティー事業を本格化させることはなかった。

セキュリティーの事業化に目処が立った2012年に、Akamaiはセキュリティー事業への本格投資を始めた。従来は顧客企業がセキュリティー強化のためにVPNを使用することが一般的だったが、Akamaiはアプリケーションをネットワークから隠蔽することで攻撃者が侵入できないような仕組みを構築し、顧客がVPNを使用せずにアプリケーションを使用できるサービスの提供を開始した。

2020
過去最高益を達成

#業績好調

2010年代を通じて、Akamaiの創業事業であるCDNはAWS(CloudFront)などの競合の台頭によって競争にさらされたものの、セキュリティー分野における収益の増加に成功した。AkamaiのSecurity事業の収益(Revenue)は、2016年度に$658百万ドル、2019年度には848百万ドルへと急成長を遂げた。2020年度はコロナウイルスによるトラフックの増加もあり、過去最高益(Net Profit)を達成した。

この結果、Akamaiは主力事業を「CDN(コンテンツ配信の最適化)」から、顧客企業に対する安全なネットワークの提供というセキュリティー事業にシフトしている。