MITの数学者がネットワーク配信の最適化アルゴリズムを考案
Akamai Technologiesの歴史は、1995年にMITの数学者であったTom Leighton教授が、webにおけるコンテンツの最適な配信方法を研究したことに始まる。このときに考案されたのが、Content Delivery Network(CDN)であり、webにおけるコンテンツを配信する際に「最も近いキャッシュサーバーからデータを配信する」ことを実現する数学的なアルゴリズムであった。
だが、インターネットが普及途上にあったため、商用化は難しいと考えられていた。実際に、CDNの商用化のために大手プロバイダー(ISP)からは、良い返事を得ることはできなかったという。
このため、CDNの理論的な研究は完了していたものの、Akamaiの実用化のための起業はインターネットバブルによる追い風が吹くまで待つ必要があった。
共同研究者のMITの学生がローン返済のために起業コンテストに応募し、Akamaiを共同創業
1997年にMITで数学者を目指していた若者・Daniel M. Lewinは、自らの学生ローンを返済するために、共同研究者であったTom Leightonが提唱したCDNの理論をもとに起業コンテストに応募した。この結果、幸いにも、1998年ごろからインターネット産業に対する注目が集まったこともあり、Tom Leightonが提唱するアルゴリズムに興味を示すベンチャーキャピタルが現れた。
そして、1998年にTom LeightonとDaniel M. LewinというMITの数学者2名によってAkamai Technologies が設立された。なお、社名の由来は「A」から始まる社名であれば索引などで目立つことと、ハワイ語でAkamaiは「賢い」を意味することから、このエキゾチックな名前に決めたという。
なお、Akamaiの顧客はISPなどのプロバイダーではなく、Yahooなどのコンテンツの提供者が主体であった。短期間に大量のアクセスが発生するコンテンツを持つweb企業に対してCDNを提供することによって、Akamaiはweb企業のインフラ基盤を提供するというポジションを確保した。