メルカリの歴史

スマートフォンの普及に合わせて成長。グローバル展開、決済の内製化に注力

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Author: @yusugiura
2013〜2014 - 創業経緯
スマートフォンの普及を受けてフリマアプリを開発。後発参入
2013 02月
会社設立
株式会社コウゾウを設立
起業家の山田進太郎氏は半年間の世界一周旅行から帰国し、2013年2月に六本木にて株式会社コウゾウ(現メルカリ)設立した。山田進太郎氏は自身が創業したゲーム会社「ウノウ」をZyngaに売却した実績があり、メルカリは2度目の起業となった。日本国内でのスマートフォンの普及に着目し、フリマアプリ「メルカリ」の開発を開始した。
山田進太郎氏(メルカリ創業者)
2013 07月
新規事業
「メルカリ」をリリース
中古品のCtoC取引が行えるアプリ「メルカリ」をリリース。当時、PCではYahoo JAPANが展開する「ヤフオク」、スマホではフリル(Fablic社・創業者は堀井翔太...
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2013 06月
資金調達
EastVenturesから資金調達
2013年6月にベンチャー投資を行うEastVenturesの松山太河氏は、旧知の山田進太郎氏が起業したことを知り、5000万円シード投資を行うことを即座に決定した。一説には、松山太河氏は、六本木の交差点で山田氏に対して投資の申し出をしたらしい。
松山太河(EastVentures)
2013 08月
資金調達
Unitedから資金調達
2013年8月には、事業会社のユナイテッドは、メルカリへの投資を決定した。当時、まだ一般的ではなかった種類株式の発行を実施している。ダウンサイドリスクを加味した上で、既存株主(=創業者)ではなく投資家の利益を保証したスキームを構築することで、投資リスクの最小化を図ったものと推察される。
2013 11月
商号変更
株式会社メルカリに商号変更
2013 12月
キーパーソン
小泉文明氏が入社
元ミクシィCFO。2014年メルカリ取締役に就任
2013 12月
業績好調
国内アプリDL数100万件を突破
2014〜2016 - 急成長
マーケティングへの巨額投資を遂行。CSや配送の座組みも整備
2014 03月
年間で累計38億円を調達。マーケティングへ積極投資
従業員10名で運営していたメルカリは、2014年3月に15億円の資金調達を実施した。CtoCのアプリという特性から、ユーザーの拡大によるネットワーク効果が期待できること...
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2014 03月
業績好調
国内アプリDL数200万件を突破
2014 04月
サービス
カスタマーサポートセンターを仙台市に新設
サービス拡大に向けてカスタマサポートへの投資を優先。社員の半数以上をCS担当にし、CtoCアプリの宿命であるトラブルの最小化を目論む
2014 05月
マーケティング
テレビCMを初放映
「2人の再会」篇と「お土産だった」篇の2つを放映。テレビCMの放映を受けて、2015/6/6に国内DL数300万件を突破
2014 07月
業績好調
流通総額10億円を突破
この頃の1日出品数は10万点(出所:2017/10日経Associe)
2014 09月
業績好調
国内アプリDL数500万件を突破
2014 09月
海外進出
米国でMercariをリリース
2014年にアメリカへの進出を決定。グローバルでフリマアプリを普及させることを目論む。シリコンバレーで企業経験のある石塚亮氏を中心に組織を結成。アプリは現地向けにデザインや機能をアレンジ。
山田進太郎氏(メルカリ創業者)
2016/1ForbesJAPAN
2014 10月
値上げ
メルカリにて手数料の徴収を開始
2015 02月
業績好調
国内アプリDL数1000万件を突破
2015 03月
本社移転
本社を六本木ヒルズに移転
2015 03月
業務提携
ヤマト運輸との提携サービスを発表
全国一律料金を実現。複雑な配送料をシンプルに整備
2015 04月
新機能
らくらくメルカリ便のサービス提供を開始
2015 09月
新機能
完全子会社ソウゾウを設立
メルカリの新規事業を子会社を通じて運営
2015 11月
海外進出
Mercari Europe Ltdを英国に設立
2016〜2018 - グローバル&新事業
事業拡大のためにグローバル展開を本格化。国内は新規事業にも注力
2016 03月
資金調達
83.5億円の資金調達。推定評価額1226億円
2016年にメルカリは、株式上場を見据えて大規模な資金調達をエクイティ及びデッドの2つから実施した。 まずは、2016年3月に三井物産などから83.5億円のエクイティに...
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2016 04月
採用
新卒採用を開始。2016年度は5〜6名入社
2016 06月
業績好調
売上高123億円・純利益30億円
第4期決算公告(2016年6月期)より
2016 12月
業績好調
国内事業で単月黒字化を達成
2017 02月
企業買収
ザワット株式会社の株式100%取得
2017 02月
サービス
カスタマーサポートセンターを九州博多に新設
2017 04月
業績好調
国内アプリDL数5000万件を突破
2017 04月
新機能
大型らくらくメルカリ便のサービス提供を開始
2017 06月
新機能
ゆうゆうメルカリ便のサービス提供を開始
2017 07月
働き方
コーポレート部門でもフレックスを導入(12-16時)
2017 07月
新機能
ライブ配信機能メルカリチャンネルを開始
2017 11月
新機能
完全子会社メルペイを設立
2017 11月
新機能
即時買取サービス「メルカリNOW」を開始(2018/8/20に事業終了)。競合CASHに対抗
2017
技術開発
マイクロサービス化を開始
メルカリは世界展開にあたって、コードを疎結合にするためにNetflixの事例を参考にマイクロサービスアーキテクチャの採用を決定し、モノシリックなアーキテクチャからの脱却...
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2018 02月
競争環境
競合のFablic(フリル)が楽天に吸収合併へ
競合のフリマアプリ「フリル」を展開するFablic社を楽天が吸収合併。フリマアプリ競争はメルカリの優位へ
2018 02月
新規事業
子会社ソウゾウにて新規事業「メルチャリ」を開始
シェアサイクル事業を展開。プロダクトオーナーは横田結氏(現・デジタル庁)。2019年に事業終了
2018 04月
新規事業
子会社ソウゾウにて新規事業「teacha」を開始
スキルシェアサービス事業を展開。プロダクトオーナーは鶴田浩之氏(現・CODEGYM創業者)。2018/8/21に事業終了
2018 06月
株式上場
東証マザーズに株式上場
ブックビルディングの評価額は3800億円。上場当日の終値ベースの評価額は7172億円
Twitterを読み込み中....
2018〜2021 - 選択と集中
競合PayPayの台頭を受け、決済事業に集中投資。財務効率は悪化へ
2018 12月
英国子会社Mercari Europe LtdとMerpay Ltdを清算。株価低迷へ
イギリス子会社の業績は売上高43万円に対して営業損失が10億円。メルカリは子会社株式の評価損約14億円を計上し、子会社2社を清算した。 上場直後のネガティブサプライズとなり、メルカリの株価は上場時点の4500円台から、2018年12月には1800円台へと低迷した。
Twitterを読み込み中....
2019 01月
経営方針
決済事業に集中投資。新規事業を一部縮小
2018年末にソフトバンクグループのPayPayがスマホ決済領域に参入し、100億円の還元キャンペーンなど、莫大な販促費を投資した。 そこで、2019年1月にメルカリは...
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2019 06月
事業撤退
完全子会社ソウゾウを清算
シェアサイクルなど、新事業縮小のため
2019 07月
株式取得
鹿島アントラーズの株式取得
メルカリの認知向上のため、サッカークラブの運営に参入。株式61.6%を約15億円で取得すると発表。取得先は大株主の日本製鉄(新日本製鐵)から
2020 06月
採用方針
積極採用の方針から転換。2年間の採用抑制へ
社員数の推移: 2018/6=1140名, 2019/6=1826名, 2020/6=1792名, 2021/6=1752名, 2022/6=2209名
2020 07月
新機能
完全子会社メルペイを通じてスマート払いの提供を開始
2020 08月
ガバナンス
上級執行役員制度を導入
2020 10月
値上げ
米国メルカリで決済手数料の徴収を開始
2021 03月
新規事業
完全子会社ソウゾウを設立(2度目)
メルカリShopの開発に向けて新会社を設立。実質的にソウゾウを復活させた
2021 03月
新機能
完全子会社メルペイを通じてバーチャルカードの提供を開始
2021 04月
新規事業
完全子会社メルコインを設立
2021 06月
資金調達
転換社債の発行で約500億円を調達
ユーロ円建転換社債。CBのアップ率は54.99%。転換時の希薄化率3.39%。強気の水準
2021 06月
企業買収
完全子会社メルコインを通じてBassetの株式を取得
2021 09月
新機能
米国メルカリにて「後払い決済サービス」の提供を開始
2021 10月
新規事業
完全子会社ソウゾウにて「メルカリShops」の提供を開始
メルカリの「CtoCアプリ」に対して、「BtoCアプリ」としてメルカリShopsを開発。このためにソウゾウを再度設立しており、新機能というよりは新規事業として推進
2021 12月
ガバナンス
諮問機関ESG委員会を発足
2021〜2022 - 業績低迷
GMVの低迷により財務体質の改善に遅れ。不正決済対策も課題
2022 06月
資本政策
東証プライムに市場区分を変更
2022 06月
海外展開
Mercari Software Technologies India Private Limitedを設立
インドでの開発体制を強化するため、完全子会社を設立
2022 06月
業績低迷
自己資本比率10%台に低下。国内メルカリのGMVが3Q→4Qで大幅減
自己資本比率10.8%。GMVの推移は3Q:2326億円→4Q:2186億円。GMVが頭打ちなことに加えて借入金が多く、財務改善は前途多難。不正決済による貸倒引当金も増加。今後の資本政策に注視
2022 06月
キーパーソン
元執行役員CTOの名村卓氏が退職
名村卓氏はメルカリ退職後、LayerX執行役員に就任
2022 08月
損失計上
不正決済で半年間32億円を補償
フィッシング詐欺やクレカの不正利用(番号盗用)が横行し、メルカリは半年間(2022年1月-6月)で32億円の補償を発表。クレカで3Dセキュアの導入などで対処
2013
Report

「メルカリ」をリリース

新規事業

中古品のCtoC取引が行えるアプリ「メルカリ」をリリース。当時、PCではYahoo JAPANが展開する「ヤフオク」、スマホではフリル(Fablic社・創業者は堀井翔太氏)が中古取引のプラットフォームを運営しており、メルカリは中古取引業界では後発参入となった。また、LINE、ヤフー、楽天といった大企業もフリマアプリに参入するなど、この事業領域では激戦が繰り広げられつつあった。

競合各社がひしめく中で、メルカリはプロダクト開発が優位性を作り上げるキーファクターと判断。そこでエンジニアの採用を重視し、プロダクトを磨き続ける体制づくりに注力した。なお、メルカリの会社設立の段階では、創業者の山田進太郎氏がエンジニアの採用を率先し、何ヶ月も口説いて優秀なエンジニアを採用するなど、開発リソースの確保に注力したという。

この結果、フリマアプリとして「メルカリ」を2013年7月にリリースした。リリース時のサーバーサイド言語はphp。クラウドが普及してなかったためオンプレ(さくらインターネット)のサーバーで稼働する構成だった。

山田進太郎氏(メルカリ創業者)

手ごたえはリリース当初から感じました。ユーザーも出品数も爆発的に増え、これは求められているサービスだとすぐに確信を持つことが できました。大手企業が参入してくる度に「かなわないかも」という不安もよぎりましたが、地道に自分たちのサービスを改善していくしかないと思っています。 今、特に力を入れているのはカスタマーサポートの質の部分。

2014
Report

年間で累計38億円を調達。マーケティングへ積極投資

従業員10名で運営していたメルカリは、2014年3月に15億円の資金調達を実施した。CtoCのアプリという特性から、ユーザーの拡大によるネットワーク効果が期待できることから、ユーザーの急速な獲得に向けた投資を決定した。

調達資金の用途は、広告宣伝費で推定4.5億円(うちテレビCMに3億円、オンライン広告に1.5億円)に加えて、仙台におけるカスタマーサービスセンターの設立とサポート人員の採用であり、いずれもユーザーの獲得を見据えた打ち手であった。

テレビCMに関しては資金調達が確定する前の、2013年末の段階から検討を開始し、すでにテレビCMの制作を開始していた。このため、投資された資金が銀行口座に振り込まれた段階で、すぐにテレビCMの出稿を行うことができた。

カスタマーサービスに関しては、テレビCMによるアプリのヒットを見越した打ち手であり、ヒット前に拠点を整備するというリスクをとっている。

そして、2014年5月のゴールデンウィーク明けからメルカリはテレビCMによるマーケティングを本格化した。早くも5月内にアプリのダウンロード数100万件を突破し、フリマアプリの先発企業であったフリルを凌駕して、メルカリがフリアアプリとしての認知度を獲得した。

スマートフォンが普及しつつあるという時代の追い風に押されて(2014年7月時点のスマホの国内普及率は推定36%)、メルカリはPMFを達成した。

ユーザー数の獲得によって、2014年内にメルカリはC種優先株式の発行による資金調達に成功。2014年月から9月の半年間で、メルカリの推定時価総額は83億円から225億円へと増大しており、急成長を遂げるベンチャー企業として脚光を浴び始めた。

小泉文明の発言(メルカリ・取締役)

テレビCMについては、ある経営者からアドバイスをいただいたことがあったんです。サービスが200万DLくらいまで伸びていると口コミも含めてワークするから、想像以上に効果があるぞと。ちょうどCMが放映される直前の2014年4月末に200万DLを突破したタイミングでしたし、いましかないと。意を決してテレビCMに3億円、オンライン広告に1.5億円を費やしました。資金調達した15億円のうち、約1/3を広告に投資したんです。

2016
Report

83.5億円の資金調達。推定評価額1226億円

資金調達

2016年にメルカリは、株式上場を見据えて大規模な資金調達をエクイティ及びデッドの2つから実施した。

まずは、2016年3月に三井物産などから83.5億円のエクイティにより資金調達を実施。この時の評価額は1226億円と推定されており、日本国内で非上場企業ながらも時価総額1000億円を超えるユニコーン企業が誕生したことで話題になった。

つづいて、2016年8月には、営業キャッシュフローが安定してきたことから、銀行からの借入による資金調達を実施した。三井住友銀行などのメガバンクを中心に55億円の借入金による資金調達を実施し、2016年を通じてメルカリは「資本・借入」の両面から累計138億円の資金調達を実施した。

これらの資金を全て投資にまわし、2017年6月期のメルカリにおける年間広告宣伝費は141億円になるなど、フリマアプリとしての認知度を高めるための積極的な投資を継続した。

2017
Report

マイクロサービス化を開始

技術開発

メルカリは世界展開にあたって、コードを疎結合にするためにNetflixの事例を参考にマイクロサービスアーキテクチャの採用を決定し、モノシリックなアーキテクチャからの脱却を目指した。同時にサーバーサイドの言語をPHPから、静的型付けのGo言語に移行し、サーバーはSakuraからGCPに乗り換え、Routingと認証ではAPIGatewayを新たに導入することで、モダンな技術スタックに切り替えた。

着手の手順としては、まず最初にメルカリUSにおけるマイクロサービス化を実施し、つづいて国内のメルカリについては検索機能などの一部をマイクロサービスに切り出し、徐々にアーキテクチャを移行させていった。ただし、2022年の現時点でもメルカリではモノシリックなアーキテクチャでphpのコードが稼働しており、完全なリプレイスを達成したわけではない。

アーキテクチャの刷新の背景には、メルカリの開発体制の大型化に伴う、エンジニア組織の再編を行うという狙いがあった。数百人のエンジニアが「メルカリ」という1つのプロダクトないし、派生するプロダクトに関わることが予想される中で、コードの複雑化は不可避になりつつあった。

そこで、エンジニア採用におけるアトラクト、グローバル展開を見据えた疎結合なアーキテクチャを実現するための手段として、マイクロサービスを導入したと推察される。

メルカリのマクロサービス化によって、国内のwebエンジニアの間ではマイクロサービス化が議題に挙げられることが多くなり、web企業における技術選定に大きな影響を与えた。

2019
Report

決済事業に集中投資。新規事業を一部縮小

経営方針

2018年末にソフトバンクグループのPayPayがスマホ決済領域に参入し、100億円の還元キャンペーンなど、莫大な販促費を投資した。

そこで、2019年1月にメルカリは全社的な事業構造の変革を実施して決済領域への集中投資を決定した。2019年1月から全社戦略における最重要事項として「メルペイ」の急速な立ち上げを実施する。

このため、2018年2月に開始したシェアサイクル事業「メルチャリ」に関して、フリマおよび決済との関連が薄いと判断し、2019年に事業売却による撤退を決めた。売却先はクララオンライン(家本賢太郎・代表取締役)であり、同社では2022年の時点でもシェアサイクル事業を「チャリチャリ」として継続している。

メルカリにおけるシェアサイクルを含めた新事業は子会社の「ソウゾウ」を通じて運営されており、2018年6月期における同子会社の業績は売上高4.5億円に対して、営業損失16.8億円であった。