2004年時点で日本生命の社員であった出口治明氏は、保険業界の問題構造を指摘した書籍『生命保険入門』を岩波書店から出版した。インターネットが普及する中で、すでに自動車などの損害保険がネット販売に移行している趨勢から、出口氏は生命保険に関してもインターネットによる販売が当たり前になることを予想した。これらの考察は、ライフネット生命の創業の布石となった。
出口氏が書籍出版を決意した背景には、日本生命においてキャリアの展望が描きづらくなったことがあったという。当時、出口氏は56歳であり、この時点で日本生命の資産運用を担う不動産の子会社に出向していたため、本社での出世が難しくなっていた。そのため、生命保険業界から身を引くことを考えつつ、業界から身を遠ざけるという意味で「遺書」として書籍を出版したという。
この意味で、ライフネット生命という法人としての創業は2006年だが、アイデアを含めた考察に関しては2004年の時点で固まっていたと言える。