双日 の歴史

更新:

創業

2003年

創業者

※ニチメン+日商岩井

創業地

東京都

直近売上高(2026/3)

27,574億円

長期業績と転換点(1997/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ2003年の経営統合は事業の重なりではなく銀行の都合で決まったのか
A 双日はニチメンと日商岩井が2003年に共同持株会社をつくり、2004年に合併して生まれた総合商社である。統合を動かしたのは事業の重なりではなく、両社の命綱を握るUFJ銀行の都合であった。過剰債務とされる下位商社はいずれもUFJのメイン先で、金融庁の特別検査を控えた銀行は、引き当て強化の負担を避けるために融資先の再編を急いだ。2002年12月に統合方針が発表された時点では、株式移転比率も持株会社の社名も首脳人事も白紙のままであった
Q なぜ2004年に「聖域」だった航空機ファイナンスまで撤退候補にしたのか
A 銀行主導の統合で発足した双日は財務再建を最優先せざるを得ず、収益部門であっても低採算なら整理する例外なき選別を迫られたからである。2004年3月末の連結有利子負債は1兆9,927億円で、現預金等を引いても1兆5,000億円余りが残っていた。2004年7月、西村英俊社長は総額2,500億円規模の損失処理を柱とする新再建計画を発表し、旧日商岩井が名門の誇りとして守ってきた航空機ファイナンスを縮小・撤退候補に据えた。規模の拡大より生き残りを優先する判断が出発点となった。
Q なぜ2024年以降「カタマリ戦略」で非資源シフトと自己株式消却を進めるのか
A 資源市況に振られる権益依存から脱し、自前で値を付けられる事業の集合体で安定した収益力を作るためである。2024年4月に社長へ就いた植村幸祐氏は、小粒な非資源案件を束ねる「カタマリ戦略」を同年5月1日公表の中期経営計画2026に据え、三カ年で6,000億円超の投資を掲げた。2030年に当期利益2,000億円・時価総額2兆円という企業価値二倍を目標とし、2025年8月には1,500万株の自己株式を消却して株主還元を厚くした

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2003年〜 UFJが決めた統合と、2500億円の損失処理

双日の業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2003年 ニチメンと日商岩井の株式移転による共同持株会社の設立と、2660億円の優先株発行 統合の規模を決めたのは事業の重なりか、取引行から集められる金額の限度か——根拠が説明されなかった2000億円の「のりしろ」
  2. 2004年 ニチメン・日商岩井が合併し双日誕生
  3. 2004年 総額2500億円の損失処理と、航空機ファイナンスという「聖域」への切り込み 銀行主導の統合で発足した双日は、名門意識が守ってきた事業にどこまで手をかけられたか
  4. 2004年 双日HDに商号変更

株式移転で生まれた持株会社と、統合初年度の実績

2003年4月、総合商社のニチメンと日商岩井は株式移転により共同持株会社のニチメン・日商岩井ホールディングスを設立し[1]、普通株式を東京証券取引所および大阪証券取引所へ上場した[2]。両社はいずれも持株会社の完全子会社となっている。両社を一つにしたのは事業の重なりではなく、ともにメインバンクであるUFJ銀行の都合であった[4]。持株会社は発足の翌月、取引金融機関6社と米国の投資銀行リーマン・ブラザーズを引受先として総額2660億円の優先株を発行し[5]、統合作業で生じる損失のバッファーとなる資本を積んだ。 [3]

  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2003年4月 株式移転によるニチメン・日商岩井ホールディングスの設立
    • [2]普通株式の東京証券取引所・大阪証券取引所への上場
  • 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
    • [3]日商岩井とニチメンが統合持株会社の完全子会社となったこと
    • [4]統合を動かしたのが両社の命綱を握るUFJ銀行の都合であったこと
  • 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
    • [5]2003年5月 取引金融機関6社とリーマン・ブラザーズに対する総額2660億円の優先株発行

統合3カ年計画は、管理部門などの合理化で800億円のコストを削り[6]、連結ベースで人員4000人と子会社130社を減らす内容であった[7]。最終年度には経常利益1010億円、純利益700億円を掲げている。西村英俊社長は初年度について計画したことは全部達成できたと述べ[9]、持株会社という一つの価値観で3カ年計画を見ることで両社が個別に協議する手間が減り、速さを出せたと説明した[10]。もっとも、2003年度の経常利益目標480億円は合理化で復元した水準にとどまる[11]。同じ2003年度に業界首位の三菱商事が初めて純利益1000億円を超えており[12]、双日の最終年度目標はその高さに並ぶものであった。 [8]

  • 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
    • [6]管理部門などの合理化による800億円のコスト削減
    • [7]連結ベースの人員4000人・子会社130社の削減計画
  • 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
    • [8]3カ年計画最終年度の目標=経常利益1010億円・純利益700億円
    • [9]西村英俊社長「計画したことは全部達成できた。満足感を得ている」
    • [10]西村英俊社長「持ち株会社という1つの価値観で統合3カ年計画を見ていくことで、ニチメンと日商岩井の両個社でブツブツと協議するプロセスが少なくて済み、スピード感が出せた」
    • [11]2003年度の経常利益目標480億円は合理化による復元にすぎないとの評価
    • [12]2003年度に三菱商事が業界で初めて純利益1000億円に乗せたこと
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2003年4月 株式移転によるニチメン・日商岩井ホールディングスの設立
    • [2]普通株式の東京証券取引所・大阪証券取引所への上場
  • 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
    • [3]日商岩井とニチメンが統合持株会社の完全子会社となったこと
    • [4]統合を動かしたのが両社の命綱を握るUFJ銀行の都合であったこと
    • [6]管理部門などの合理化による800億円のコスト削減
    • [7]連結ベースの人員4000人・子会社130社の削減計画
  • 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
    • [5]2003年5月 取引金融機関6社とリーマン・ブラザーズに対する総額2660億円の優先株発行
    • [8]3カ年計画最終年度の目標=経常利益1010億円・純利益700億円
    • [9]西村英俊社長「計画したことは全部達成できた。満足感を得ている」
    • [10]西村英俊社長「持ち株会社という1つの価値観で統合3カ年計画を見ていくことで、ニチメンと日商岩井の両個社でブツブツと協議するプロセスが少なくて済み、スピード感が出せた」
    • [11]2003年度の経常利益目標480億円は合理化による復元にすぎないとの評価
    • [12]2003年度に三菱商事が業界で初めて純利益1000億円に乗せたこと

旧2社の商流の統合と、グループ再編の加速

統合を控えた時期の両社は、収益源の売却にも踏み込んでいた。日商岩井にとって情報産業部門は子会社ITXそのもので、同社が強みを発揮してきた数少ない分野の一つであった。その株式の半数を2003年2月にオリンパス光学工業へ売り[14]、前期に営業利益の半分弱を稼いだ事業を持分法適用会社へ移している[15]。売却による実入りは93億円[16]で、狙いはITXの有利子負債を連結から外す財務指標の改善にあった[17]。オリンパスは役員2人を含む20人の派遣を表明しており、転換社債の転換後には持株比率で双日側を上回る見込みであった。事業の切り出しと売却を重ねる手法には、緩やかな企業解体ではないかとの見方も向けられた[18][13][19]

  • 週刊東洋経済 2003年2月1日号「[News&Forecast/時々刻々]商社 日商岩井がITX株大量放出 ニチメンと経営統合した後も緩やかな企業解体は続くのか」
    • [13]日商岩井にとって情報産業部門がITXそのものであり、同社が強みを発揮してきた数少ない分野の一つであったこと
    • [14]2003年2月 日商岩井による子会社ITX株式の半数のオリンパス光学工業への売却
    • [15]ITXが前期決算で日商岩井の営業利益の半分弱を稼ぎ出していたこと
    • [16]株式売却による実入り93億円
    • [17]ITXの有利子負債がバランスシートから外れることによる財務指標の改善効果
    • [18]事業の切り出しと売却を繰り返す手法への「緩やかな企業解体」との評価
    • [19]オリンパスによる役員2人を含む20人の派遣表明と、転換後の持株比率約36%(日商・ニチメン連合は約29%)

2004年4月、持株会社傘下のニチメンと日商岩井が合併して商号を双日とし[20]、事業会社の社長には旧ニチメンの土橋昭夫氏が就いた[21]。同年7月には持株会社が商号を双日ホールディングスへ改めている。事業会社を一本化しながら持株会社を残したのは、一段上から計画の執行を監視し、株主への責任を担う会社と執行機関を分けておくためであった[23]。同じ7月には台場と芝に分かれていた中核部隊約2000人が東京都港区の国際新赤坂ビルへ集まり[24]、双日は旧2社の商権を資本コストを加味した指標のもとで425に細分化し、選別にかけた[25][22]

  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併と双日への商号変更
    • [22]2004年7月 持株会社の双日ホールディングスへの商号変更
  • 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
    • [21]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併により誕生した双日の社長に土橋昭夫が就任
  • 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
    • [23]西村英俊社長「持ち株会社を残して一段上の高みから計画執行を監視する体制がよいと判断した」「株主への責任を体現する持ち株会社と執行機関としての事業会社が分かれているほうが柔軟性を保つうえで好ましい」
    • [24]2004年7月 台場・芝の自社ビルから国際新赤坂ビルへの中核部隊約2000人の集結
    • [25]資本コストを加味した指標による商権の425への細分化
  • 週刊東洋経済 2003年2月1日号「[News&Forecast/時々刻々]商社 日商岩井がITX株大量放出 ニチメンと経営統合した後も緩やかな企業解体は続くのか」
    • [13]日商岩井にとって情報産業部門がITXそのものであり、同社が強みを発揮してきた数少ない分野の一つであったこと
    • [14]2003年2月 日商岩井による子会社ITX株式の半数のオリンパス光学工業への売却
    • [15]ITXが前期決算で日商岩井の営業利益の半分弱を稼ぎ出していたこと
    • [16]株式売却による実入り93億円
    • [17]ITXの有利子負債がバランスシートから外れることによる財務指標の改善効果
    • [18]事業の切り出しと売却を繰り返す手法への「緩やかな企業解体」との評価
    • [19]オリンパスによる役員2人を含む20人の派遣表明と、転換後の持株比率約36%(日商・ニチメン連合は約29%)
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併と双日への商号変更
    • [22]2004年7月 持株会社の双日ホールディングスへの商号変更
  • 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
    • [21]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併により誕生した双日の社長に土橋昭夫が就任
  • 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
    • [23]西村英俊社長「持ち株会社を残して一段上の高みから計画執行を監視する体制がよいと判断した」「株主への責任を体現する持ち株会社と執行機関としての事業会社が分かれているほうが柔軟性を保つうえで好ましい」
    • [24]2004年7月 台場・芝の自社ビルから国際新赤坂ビルへの中核部隊約2000人の集結
    • [25]資本コストを加味した指標による商権の425への細分化

2500億円の損失処理と、メインバンクの動揺

2004年に入ると、メインバンクの動揺がそのまま双日の資金調達を揺さぶった。同年3月末の有利子負債は1兆9928億円に達し[26]、UFJ銀行は5月に双日の債務者区分を要注意先から要管理先へ引き下げた[27]。2006年3月償還の双日社債は対国債スプレッドが300ベーシスポイント近くあり[28]、同時期に償還を迎える同業他社の社債より200ベーシスポイント以上高かった。6月には産業再生機構へ送られるとのうわさが流れて株価は600円台から400円台へ急落し[29]、7月28日には三菱東京フィナンシャル・グループとUFJの統合交渉差し止めの仮処分を受けて336円と年初来安値を更新した[30]

  • 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
    • [26]2004年3月末時点の有利子負債1兆9928億円
    • [27]2004年5月 UFJ銀行による双日の債務者区分の要注意先から要管理先への引き下げ
    • [28]双日社債(2006年3月償還)の対国債スプレッドが300ベーシスポイント近くあり同業他社より200ベーシスポイント以上高かったこと
  • 週刊東洋経済 2004年8月7日号「[The Headline/ニュース最前線]三菱東京・UFJ統合「差し止め」の波乱 またも翻弄された双日 UFJに引きずられ巨額損失処理迫られる」
    • [29]2004年6月初旬 産業再生機構送りのうわさによる株価の600円台から400円台への急落
    • [30]2004年7月28日 統合交渉差し止めの仮処分を受けた株価336円の年初来安値

2004年7月23日、双日は保有不動産の含み損処理や低採算事業からの撤退などにより総額2500億円規模の損失を処理し[31]、優先株の発行などで同規模の増資を実施する新再建計画を発表した[32]西村英俊社長は「2500億円規模という損失処理額はあくまで目算値。目算値という言葉が気に入らなければ概算値と言い換えてもいい」(日経ビジネス 2004/8/2)と語り、計画の暫定さを自ら認めている。旧日商岩井が守ってきた航空機ファイナンス事業までも縮小・撤退の候補に挙げ[34]、「既に投融資などで稼いでいる営業資産の一部であっても、低採算なものはあえて償却・撤退する」[35](日経ビジネス 2004/8/2)と述べた。住友商事は同年7月末の決算説明会で「双日が売却をする場合には、当社に優先交渉権がある」[36](日経ビジネス 2004/8/30)と述べ、LNG関連権益への関心を公言している[37][33]

  • 日経ビジネス 2004年8月2日号「「三菱東京抜き」の再建計画の生煮え度 双日、影におびえて聖域にメス」
    • [31]2004年7月23日 総額2500億円規模の損失処理を柱とする新再建計画の発表
    • [32]保有不動産の含み損処理・低採算事業からの撤退と優先株発行による同規模の増資
    • [33]西村英俊社長「2500億円規模という損失処理額はあくまで目算値。目算値という言葉が気に入らなければ概算値と言い換えてもいい」
    • [34]旧日商岩井の航空機ファイナンス事業への縮小・撤退候補の指定
    • [35]西村英俊社長「既に投融資などで稼いでいる営業資産の一部であっても、低採算なものはあえて償却・撤退する」
  • 日経ビジネス 2004年8月30日号「双日の事業、早くも争奪戦 UFJへの反発から社内に不協和音」
    • [36]住友商事 財務担当役員「双日が売却をする場合には、当社に優先交渉権がある」
    • [37]住友商事によるLNG関連権益への関心の公言
  • 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
    • [26]2004年3月末時点の有利子負債1兆9928億円
    • [27]2004年5月 UFJ銀行による双日の債務者区分の要注意先から要管理先への引き下げ
    • [28]双日社債(2006年3月償還)の対国債スプレッドが300ベーシスポイント近くあり同業他社より200ベーシスポイント以上高かったこと
  • 週刊東洋経済 2004年8月7日号「[The Headline/ニュース最前線]三菱東京・UFJ統合「差し止め」の波乱 またも翻弄された双日 UFJに引きずられ巨額損失処理迫られる」
    • [29]2004年6月初旬 産業再生機構送りのうわさによる株価の600円台から400円台への急落
    • [30]2004年7月28日 統合交渉差し止めの仮処分を受けた株価336円の年初来安値
  • 日経ビジネス 2004年8月2日号「「三菱東京抜き」の再建計画の生煮え度 双日、影におびえて聖域にメス」
    • [31]2004年7月23日 総額2500億円規模の損失処理を柱とする新再建計画の発表
    • [32]保有不動産の含み損処理・低採算事業からの撤退と優先株発行による同規模の増資
    • [33]西村英俊社長「2500億円規模という損失処理額はあくまで目算値。目算値という言葉が気に入らなければ概算値と言い換えてもいい」
    • [34]旧日商岩井の航空機ファイナンス事業への縮小・撤退候補の指定
    • [35]西村英俊社長「既に投融資などで稼いでいる営業資産の一部であっても、低採算なものはあえて償却・撤退する」
  • 日経ビジネス 2004年8月30日号「双日の事業、早くも争奪戦 UFJへの反発から社内に不協和音」
    • [36]住友商事 財務担当役員「双日が売却をする場合には、当社に優先交渉権がある」
    • [37]住友商事によるLNG関連権益への関心の公言

2005年〜 4124億円の赤字と、6160億円の優先株

双日の業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2005年 旧双日を合併し商号を双日に変更、事業会社へ移行
  2. 2010年 リーマンショック影響で業績急落

4124億円の最終赤字と、6160億円の優先株

2005年3月期、双日は特別損失4534億円を計上し、当期純損失は4124億円に達した[38]。メインバンクのUFJ銀行が東京三菱銀行に合併されるに至って、もう一段の不良資産処理を迫られた[39]ためであった。自己資本の不足を避けるため、双日は2004年10月に3600億円の優先株を発行し[40]、2003年5月の発行分と合わせて優先株の発行残高は6160億円へ膨らみ[41]、いずれも事実上の債務株式化であった[42]。優先株は期限が来れば普通株へ転換されるため[43]、最後の一本が転換される2024年まで、双日は膨大な潜在株式を抱えた[44]

  • 双日 有価証券報告書(2005年3月期)
    • [38]2005年3月期 特別損失4534億円・当期純損失4124億円
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「[特集]商社パワー 完全復活! Column 双日を今後20年にわたって呪縛する「優先株」の重圧」
    • [39]UFJ銀行の東京三菱銀行への合併にともなうもう一段の不良資産処理
    • [40]2004年10月 3600億円の優先株発行
    • [41]2003年5月発行分と合わせた優先株発行残高6160億円
    • [42]優先株が事実上の債務株式化であったこと
    • [43]期限到来による優先株の普通株への転換
    • [44]最後の一本が転換される2024年までの潜在株式の存在

2005年5月、双日は野村證券を引受先として600億円の転換社債を発行し[45]、調達した資金で翌年5月に転換可能となる優先株400億円分を10%のプレミアムで買い入れて消却すると発表した[46]。新たに発行する転換社債の転換価額は当初506.4円で、買い入れ対象となる優先株のほぼ倍にあたり[47]、その分だけ普通株式の増加を抑えられる仕掛けであった[48]。みずほコーポレート銀行とりそな銀行は、買い入れ価格が安すぎるとしてこの申し出を蹴っている[49]。2005年10月には持株会社が子会社の旧双日株式会社を合併して商号を双日へ改め[50]、2006年3月期には純利益437億円を計上して黒字へ転じた[51]

  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「[特集]商社パワー 完全復活! Column 双日を今後20年にわたって呪縛する「優先株」の重圧」
    • [45]2005年5月 野村證券を引受先とする600億円の転換社債発行
    • [46]優先株400億円分の10%プレミアムでの買い入れ消却
    • [47]転換社債の当初転換価額506.4円と優先株のほぼ倍という水準
    • [48]普通株式の増加を抑える仕掛けとしての転換価額設定
    • [49]みずほコーポレート銀行・りそな銀行による買い入れ価格を理由とした拒否
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [50]2005年10月 持株会社による子会社の旧双日株式会社の合併と双日への商号変更
  • 双日 有価証券報告書(2006年3月期)
    • [51]2006年3月期 純利益437億円による黒字転換
  • 双日 有価証券報告書(2005年3月期)
    • [38]2005年3月期 特別損失4534億円・当期純損失4124億円
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「[特集]商社パワー 完全復活! Column 双日を今後20年にわたって呪縛する「優先株」の重圧」
    • [39]UFJ銀行の東京三菱銀行への合併にともなうもう一段の不良資産処理
    • [40]2004年10月 3600億円の優先株発行
    • [41]2003年5月発行分と合わせた優先株発行残高6160億円
    • [42]優先株が事実上の債務株式化であったこと
    • [43]期限到来による優先株の普通株への転換
    • [44]最後の一本が転換される2024年までの潜在株式の存在
    • [45]2005年5月 野村證券を引受先とする600億円の転換社債発行
    • [46]優先株400億円分の10%プレミアムでの買い入れ消却
    • [47]転換社債の当初転換価額506.4円と優先株のほぼ倍という水準
    • [48]普通株式の増加を抑える仕掛けとしての転換価額設定
    • [49]みずほコーポレート銀行・りそな銀行による買い入れ価格を理由とした拒否
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [50]2005年10月 持株会社による子会社の旧双日株式会社の合併と双日への商号変更
  • 双日 有価証券報告書(2006年3月期)
    • [51]2006年3月期 純利益437億円による黒字転換

持株会社との親子合併と、リーマン・ショックによる急落

事業会社の社長であった土橋昭夫氏は、2005年6月に持株会社の社長を兼ね、10月の親子合併で新生双日の社長となった[52]。旧ニチメンへの入社以来マンション開発一筋で、海外赴任の経験を持たない異色の総合商社トップであった[53]。約1万7000人の従業員を抱え、2度の金融支援を受けた過去のある会社[54]を率いて、土橋氏は気が休まるときがないと語った[55]。経常利益750億円とネット有利子負債自己資本倍率3倍程度という再建計画の目標は、2006年3月末に1年前倒しでの達成がほぼ確実となった[56]が、6100億円強の優先株がもたらす1株利益の希薄化という重圧は残った[57]

  • 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
    • [52]2005年6月 土橋昭夫の持株会社社長兼任と、10月の親子合併で誕生した新生双日の社長就任
    • [53]旧ニチメン入社以来マンション開発一筋で海外赴任経験のない異色の大手総合商社トップ
    • [54]双日グループの従業員約1万7000人と2度の金融支援を受けた過去
    • [55]土橋昭夫社長「気が休まるときがない」
    • [56]経常利益750億円・ネットDER3倍程度の目標が2006年3月末に1年前倒し達成の見通しとなったこと
    • [57]6100億円強の優先株式の株式転換による潜在的1株益希薄化の重圧

2007年4月に社長へ就いた加瀬豊氏は[58]、アジア・アフリカ・アラビアの3A地域への積極展開を掲げた[59]。もっとも、期間利益の水準と優先株の残高はかけ離れており、買い入れ消却へキャッシュフローを割けば前向きな投資はその分減る関係にあった[60]。それでも石炭など資源価格の高騰でエネルギー・金属部門が稼ぎ[61]、2008年3月期には純利益627億円を計上した[62]。2008年秋のリーマン・ショックはその流れを断ち、2010年3月期の連結売上高は3兆8444億円、営業利益は161億円と2009年3月期の520億円から69%減り[63]、純利益は88億円まで落ちた。統合時に最終年度の目標として掲げた経常利益1010億円は、発足から7年を経ても遠かった。

  • 双日 有価証券報告書(2008年3月期)【役員の状況】
    • [58]2007年4月 加瀬豊の代表取締役社長CEO就任
  • 日刊工業新聞(2012年1月)「攻める2012(5)双日社長・加瀬豊氏『"3A地域"に積極展開』」
    • [59]加瀬豊社長によるアジア・アフリカ・アラビアの3A地域への積極展開
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「[特集]商社パワー 完全復活! Column 双日を今後20年にわたって呪縛する「優先株」の重圧」
    • [60]期間利益の水準と優先株残高の乖離、および優先株買い入れによる前向き投資の減少
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [61]石炭など資源価格の高騰によるエネルギー・金属部門の収益寄与
  • 双日 有価証券報告書(2008年3月期)
    • [62]2008年3月期 純利益627億円
  • 双日 有価証券報告書(2010年3月期)
    • [63]2010年3月期 連結売上高3兆8444億円・営業利益161億円(2009年3月期520億円から69%減)・純利益88億円
  • 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
    • [52]2005年6月 土橋昭夫の持株会社社長兼任と、10月の親子合併で誕生した新生双日の社長就任
    • [53]旧ニチメン入社以来マンション開発一筋で海外赴任経験のない異色の大手総合商社トップ
    • [54]双日グループの従業員約1万7000人と2度の金融支援を受けた過去
    • [55]土橋昭夫社長「気が休まるときがない」
    • [56]経常利益750億円・ネットDER3倍程度の目標が2006年3月末に1年前倒し達成の見通しとなったこと
    • [57]6100億円強の優先株式の株式転換による潜在的1株益希薄化の重圧
  • 双日 有価証券報告書(2008年3月期)【役員の状況】
    • [58]2007年4月 加瀬豊の代表取締役社長CEO就任
  • 日刊工業新聞(2012年1月)「攻める2012(5)双日社長・加瀬豊氏『"3A地域"に積極展開』」
    • [59]加瀬豊社長によるアジア・アフリカ・アラビアの3A地域への積極展開
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「[特集]商社パワー 完全復活! Column 双日を今後20年にわたって呪縛する「優先株」の重圧」
    • [60]期間利益の水準と優先株残高の乖離、および優先株買い入れによる前向き投資の減少
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [61]石炭など資源価格の高騰によるエネルギー・金属部門の収益寄与
  • 双日 有価証券報告書(2008年3月期)
    • [62]2008年3月期 純利益627億円
  • 双日 有価証券報告書(2010年3月期)
    • [63]2010年3月期 連結売上高3兆8444億円・営業利益161億円(2009年3月期520億円から69%減)・純利益88億円

2012年〜 赤字転落と資産整理、分離が残した人材の空白

双日の業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2012年 純損失36億円計上・赤字転落
  2. 2013年 純利益134億円で黒字回復
  3. 2014年 有利子負債1兆5000億円の圧縮と旧二社の組織融合という10年の再建 銀行主導の統合が残した重い負債と分断された二社を、双日はどう一つの会社へ鍛え直したか

統合後初の最終赤字と、資産の整理

リーマン・ショック後の低迷から、双日は再び赤字へ落ちた。2012年3月期に36億円の純損失を計上し、統合後初の最終赤字となった[64]。同年に社長へ就いた佐藤洋二氏は、旧日商岩井で経理・財務畑を歩んだ人物であった[65]。佐藤氏は不安視される資産をすべて売却し[66]、同年7月に本社を東京都千代田区内幸町へ移した[67]。同じ2012年3月期から国際会計基準を適用しており、翌2013年3月期には134億円の純利益で黒字へ戻した[68]。発足から10年を数えた2014年3月期には純利益272億円を計上し、有利子負債の圧縮と旧2社の組織統合が一巡した[69][70]

  • 双日 有価証券報告書(2012年3月期)
    • [64]2012年3月期 36億円の純損失=統合後初の最終赤字
    • [70]2012年3月期からの国際会計基準(IFRS)の適用
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [65]佐藤洋二は1973年に旧日商岩井へ入社し経理・財務畑を中心に歩んで2012年から社長
    • [66]2012年 佐藤洋二の社長就任と不安視される資産の全売却
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [67]2012年7月 本社の東京都千代田区内幸町への移転
  • 双日 有価証券報告書(2013年3月期)
    • [68]2013年3月期 純利益134億円による黒字転換
  • 双日 有価証券報告書(2014年3月期)
    • [69]2014年3月期 純利益272億円と有利子負債圧縮・二系統統合の一巡

資産の売却は財務の数字に表れた。2015年3月期の純利益は330億円[71]、2016年3月末の連結有利子負債は9227億円まで縮み、自己資本は5204億円へ積み上がった[72]。統合直後に2兆円近くあった有利子負債は、10年あまりでほぼ半分となった。佐藤氏は、4124億円の最終赤字を計上した2005年当時は市場の信頼を完全に失っていたが、いまは財務の健全性を確保でき自己資本も積み上がったと振り返った[74]。もっとも、同じ2015年3月期に豊田通商は675億円の純利益を上げており、資源で稼いだ大手5社との差はけた違いのまま残った[75][73]

  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [71]2015年3月期 純利益330億円
    • [74]佐藤洋二社長「4124億円の最終赤字を計上した2005年当時は、マーケットの信頼を完全に失った。……それが今では財務の健全性を確保でき、自己資本も積み上がっている」
    • [75]2015年3月期 豊田通商675億円・双日330億円の純利益と大手5社とのけた違いの差
  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
    • [72]2016年3月末 連結有利子負債9227億円・自己資本5204億円
  • 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
    • [73]2004年3月末の有利子負債1兆9928億円との対比
  • 双日 有価証券報告書(2012年3月期)
    • [64]2012年3月期 36億円の純損失=統合後初の最終赤字
    • [70]2012年3月期からの国際会計基準(IFRS)の適用
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [65]佐藤洋二は1973年に旧日商岩井へ入社し経理・財務畑を中心に歩んで2012年から社長
    • [66]2012年 佐藤洋二の社長就任と不安視される資産の全売却
    • [71]2015年3月期 純利益330億円
    • [74]佐藤洋二社長「4124億円の最終赤字を計上した2005年当時は、マーケットの信頼を完全に失った。……それが今では財務の健全性を確保でき、自己資本も積み上がっている」
    • [75]2015年3月期 豊田通商675億円・双日330億円の純利益と大手5社とのけた違いの差
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [67]2012年7月 本社の東京都千代田区内幸町への移転
  • 双日 有価証券報告書(2013年3月期)
    • [68]2013年3月期 純利益134億円による黒字転換
  • 双日 有価証券報告書(2014年3月期)
    • [69]2014年3月期 純利益272億円と有利子負債圧縮・二系統統合の一巡
  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
    • [72]2016年3月末 連結有利子負債9227億円・自己資本5204億円
  • 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
    • [73]2004年3月末の有利子負債1兆9928億円との対比

分離した事業と、残された人材の空白

整理は資本関係にも及んだ。鉄鋼製品販売事業はメタルワン、LNG事業はエルエヌジージャパンとして分離され[76]、2015年4月には子会社の双日プラネット・ホールディングスを合併した[77]。資源への配分も引き下げ、かつて投資の6割から7割を占めていた資源分野は2割から3割まで絞られた[78]。佐藤氏は、シェール革命による供給不安の解消と中国需要の沈静化を挙げ、すでに資源の時代は終わったと述べた[79]。2015年に策定した中期経営計画では、2017年度までの3年間で前計画の倍近い3000億円を投じる拡大へ転じた[80]

  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [76]鉄鋼製品販売事業のメタルワン・LNG事業のエルエヌジージャパンとしての分離
    • [78]資源分野への投資比率が6〜7割から2〜3割へ低下
    • [79]佐藤洋二社長「すでに資源の時代は終わったといえる」「シェール革命に伴う供給不安の解消や、中国需要の沈静化で、資源価格の上昇を期待させる要素がなくなった」
    • [80]2017年度までの3カ年で前中期計画の倍近い3000億円の投資計画
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [77]2015年4月 子会社 双日プラネット・ホールディングスの合併

もっとも、事業の分離は人材の空白を残した。佐藤氏は、リストラの過程で優秀な人材が数多く流出し、鉄鋼製品販売とLNGを切り離したことで自分たちでよい資産を積み上げる力は減退したと語った[81]。よい人材がいる会社には自然によい資産が積み上がるというのが佐藤氏の見方で[82]、分離は当座の財務を軽くする代わりに、次の投資を担う人を減らすことでもあった。再成長の段階に入ってあらためて人材不足の問題にぶつかったという認識のもと、双日は投資の再開と並んで人材の強化を課題に据えた。若い社員が育ちつつあるいま本格的に力を注ぎたい、というのが佐藤氏の言であった。 [83][84]

  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [81]佐藤洋二社長「リストラの過程で優秀な人材が数多く流出したのも事実だ。鉄鋼製品販売事業はメタルワン、LNG事業はエルエヌジージャパンとして分離。自分たちでよい資産を積み上げる力は減退した」
    • [82]佐藤洋二社長「よい人材がいる会社には自然によい資産が積み上がっていく」
    • [83]佐藤洋二社長「いざ再成長のフェーズに入り、やっぱり人材不足の問題にぶつかっている。……人材強化へ本格的に力を注ぎたい」
    • [84]佐藤洋二社長「若い社員も育ってきている中、人材強化へ本格的に力を注ぎたい」
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [76]鉄鋼製品販売事業のメタルワン・LNG事業のエルエヌジージャパンとしての分離
    • [78]資源分野への投資比率が6〜7割から2〜3割へ低下
    • [79]佐藤洋二社長「すでに資源の時代は終わったといえる」「シェール革命に伴う供給不安の解消や、中国需要の沈静化で、資源価格の上昇を期待させる要素がなくなった」
    • [80]2017年度までの3カ年で前中期計画の倍近い3000億円の投資計画
    • [81]佐藤洋二社長「リストラの過程で優秀な人材が数多く流出したのも事実だ。鉄鋼製品販売事業はメタルワン、LNG事業はエルエヌジージャパンとして分離。自分たちでよい資産を積み上げる力は減退した」
    • [82]佐藤洋二社長「よい人材がいる会社には自然によい資産が積み上がっていく」
    • [83]佐藤洋二社長「いざ再成長のフェーズに入り、やっぱり人材不足の問題にぶつかっている。……人材強化へ本格的に力を注ぎたい」
    • [84]佐藤洋二社長「若い社員も育ってきている中、人材強化へ本格的に力を注ぎたい」
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [77]2015年4月 子会社 双日プラネット・ホールディングスの合併

2016年〜 「双日らしさ」を掲げた非資源分野への傾斜

双日の業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2017年 資源市況に依存しない「双日らしさ」を掲げた非資源差別化戦略 上位商社との規模差をどう埋めるか——藤本昌義社長が掲げた「双日らしさ」と、植村幸祐社長が継いだカタマリ戦略
  2. 2023年 純利益1112億円と発足来最高益を更新
  3. 2024年 植村幸祐氏が社長COOに就任(同年6月に代表取締役社長)
  4. 2024年 中期経営計画2026発表
  5. 2025年 純利益1106億円・非資源分野800億円超を達成

非資源へ傾けた投資と「双日らしさ」

2017年6月に社長へ就いた藤本昌義氏は[85]、大手五社との正面からの競合を避け、規模より機能を重んじる非資源分野へ投資を向けた。2016年3月期の連結売上高は1兆6580億円、当期純利益は365億円[86]で、資源権益と取扱高で先行する三菱商事・三井物産・伊藤忠商事とは収益力に差があった[87]。藤本氏は他社と同じことをしていても意味がないという「双日らしさ」を掲げている[88]。副業の解禁、社内起業、ジョブ型雇用を商社で先んじて取り入れ[89]、若手の新規事業を促した。航空機部門では2016年2月にシンガポールの中古航空機販売事業会社の株式50%を取得し[90]、会社の状況からこの10年ほど大型の新規投資を行えなかった看板事業[91]が攻勢へ転じている。

    • [85]2017年6月 藤本昌義の代表取締役社長CEO就任
  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
    • [86]2016年3月期 連結売上高1兆6580億円・当期純利益365億円
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [87]資源権益と取扱高で先行する三菱商事・三井物産・伊藤忠商事との収益力の差
    • [90]2016年2月 シンガポールの中古航空機販売事業会社株式50%の取得
    • [91]航空機部門「この10年間は会社の状況もあり大型の新規投資を行えなかった」
  • ダイヤモンド・オンライン(2021年6月)「双日社長が語る副業・起業・ジョブ型雇用を進める理由、源流『鈴木商店』への想い」
    • [88]「他社と同じことをしていても意味がない」という「双日らしさ」
    • [89]商社に先んじた副業解禁・社内起業・ジョブ型雇用の導入

非資源では、ベトナムの食料・リテール、省エネルギーサービス、水産などを積み上げた[92]。2023年11月22日には、ベトナムの業務用食品卸最大手であるDaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化を発表している[93]。当期純利益は2018年3月期に568億円、2019年3月期に704億円[94]と増益の基調が定着し、2022年3月期には資源市況の高騰も重なって823億円[95]、2023年3月期には1112億円と双日発足以来の最高益を記録した[96]。2022年4月には、東京証券取引所の市場区分の見直しにより市場第一部からプライム市場へ移行している[97]

  • 財界オンライン(2024年9月27日)「『双日らしい成長ストーリーの実現を』双日新社長・植村幸祐が語る『カタマリ戦略』」
    • [92]ベトナムの食料・リテール、省エネルギー、水産などの非資源事業の積み上げ
  • 双日 ニュースリリース(2023年11月22日)「ベトナムの業務用食品卸最大手 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化について」
    • [93]2023年11月22日 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化の発表
  • 双日 有価証券報告書(2019年3月期)
    • [94]2018年3月期 当期純利益568億円・2019年3月期704億円
  • 双日 有価証券報告書(2022年3月期)
    • [95]2022年3月期 資源市況高騰も重なる当期純利益823億円
  • 双日 有価証券報告書(2023年3月期)
    • [96]2023年3月期 当期純利益1112億円=双日発足以来の最高益
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [97]2022年4月 東京証券取引所の市場区分見直しによる市場第一部からプライム市場への移行
    • [85]2017年6月 藤本昌義の代表取締役社長CEO就任
  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
    • [86]2016年3月期 連結売上高1兆6580億円・当期純利益365億円
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
    • [87]資源権益と取扱高で先行する三菱商事・三井物産・伊藤忠商事との収益力の差
    • [90]2016年2月 シンガポールの中古航空機販売事業会社株式50%の取得
    • [91]航空機部門「この10年間は会社の状況もあり大型の新規投資を行えなかった」
  • ダイヤモンド・オンライン(2021年6月)「双日社長が語る副業・起業・ジョブ型雇用を進める理由、源流『鈴木商店』への想い」
    • [88]「他社と同じことをしていても意味がない」という「双日らしさ」
    • [89]商社に先んじた副業解禁・社内起業・ジョブ型雇用の導入
  • 財界オンライン(2024年9月27日)「『双日らしい成長ストーリーの実現を』双日新社長・植村幸祐が語る『カタマリ戦略』」
    • [92]ベトナムの食料・リテール、省エネルギー、水産などの非資源事業の積み上げ
  • 双日 ニュースリリース(2023年11月22日)「ベトナムの業務用食品卸最大手 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化について」
    • [93]2023年11月22日 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化の発表
  • 双日 有価証券報告書(2019年3月期)
    • [94]2018年3月期 当期純利益568億円・2019年3月期704億円
  • 双日 有価証券報告書(2022年3月期)
    • [95]2022年3月期 資源市況高騰も重なる当期純利益823億円
  • 双日 有価証券報告書(2023年3月期)
    • [96]2023年3月期 当期純利益1112億円=双日発足以来の最高益
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
    • [97]2022年4月 東京証券取引所の市場区分見直しによる市場第一部からプライム市場への移行

カタマリ戦略と中期経営計画2026

2024年に社長を継いだ植村幸祐氏は、点在する事業を線から面、さらに塊へ束ねる「カタマリ戦略」を掲げた[98]。2024年5月1日に公表した中期経営計画2026では、三カ年平均の当期純利益1200億円超[99]、成長投資6000億円超、自己資本利益率12%超を目標に据えている[100]。当期純利益は2024年3月期に1008億円[101]、2025年3月期に1106億円、2026年3月期に1036億円[102]と、三期続けて1000億円台を保った。のれんは2024年3月末に1326億円まで積み上がっている[103]。連結売上高は2026年3月期に2兆7573億円で、統合直後の2005年3月期の4兆6759億円から縮んでいる。 [104]

  • 財界オンライン(2024年9月27日)「『双日らしい成長ストーリーの実現を』双日新社長・植村幸祐が語る『カタマリ戦略』」
    • [98]2024年 植村幸祐の社長就任と事業を線から面・塊へ束ねる「カタマリ戦略」
  • 双日「中期経営計画2026」(2024年5月1日公表)
    • [99]中期経営計画2026の三カ年平均当期純利益1200億円超
    • [100]中期経営計画2026における成長投資6000億円超・自己資本利益率12%超の目標
  • 双日 有価証券報告書(2024年3月期)
    • [101]2024年3月期 当期純利益1008億円
    • [103]2024年3月末 のれん1326億円
  • 双日 有価証券報告書(2026年3月期)
    • [102]2025年3月期 当期純利益1106億円・2026年3月期1036億円
    • [104]2026年3月期 連結売上高2兆7573億円と2005年3月期4兆6759億円との対比

中期経営計画2026は、2030年に当期純利益2000億円、時価総額2兆円という企業価値の二倍化を先の目標に置いた[105]。成長投資は既存事業の強化に3000億円、事業の型を変えるデジタル領域に3000億円を充てる構えであった。植村氏は、5大総合商社が株価純資産倍率1倍超えを果たすなかで双日は1倍割れが続いており、8倍前後にとどまる株価収益率を9倍台後半へ引き上げなければ1倍を超える安定感は出ないと述べた[107]。2025年3月期には非資源分野の収益が800億円を超え、当期純利益は1106億円となった。2025年8月には1500万株の自己株式を消却し、発行済株式数は2億2500万株から2億1000万株へ減った。 [106][108][109]

    • [105]中期経営計画2026における2030年 当期利益2000億円・時価総額2兆円の企業価値2倍成長目標
  • 週刊東洋経済 2024年8月10日号「トップに直撃 双日 社長COO(最高執行責任者)植村幸祐「発足20年で新局面へ 成長市場で面展開加速」」
    • [106]中期経営計画2026の成長投資=既存事業強化3000億円・デジタル領域3000億円
    • [107]植村幸祐社長COO「今PERは8倍前後をウロウロしている」「これを9倍台後半ぐらいにしなければPBR1倍を超える安定感が出てこない」
  • 双日 有価証券報告書(2025年3月期)
    • [108]2025年3月期 非資源分野の収益800億円超・当期純利益1106億円
    • [109]2025年8月22日 1500万株の自己株式消却(発行済株式数2億2500万株→2億1000万株)
  • 財界オンライン(2024年9月27日)「『双日らしい成長ストーリーの実現を』双日新社長・植村幸祐が語る『カタマリ戦略』」
    • [98]2024年 植村幸祐の社長就任と事業を線から面・塊へ束ねる「カタマリ戦略」
  • 双日「中期経営計画2026」(2024年5月1日公表)
    • [99]中期経営計画2026の三カ年平均当期純利益1200億円超
    • [100]中期経営計画2026における成長投資6000億円超・自己資本利益率12%超の目標
  • 双日 有価証券報告書(2024年3月期)
    • [101]2024年3月期 当期純利益1008億円
    • [103]2024年3月末 のれん1326億円
  • 双日 有価証券報告書(2026年3月期)
    • [102]2025年3月期 当期純利益1106億円・2026年3月期1036億円
    • [104]2026年3月期 連結売上高2兆7573億円と2005年3月期4兆6759億円との対比
    • [105]中期経営計画2026における2030年 当期利益2000億円・時価総額2兆円の企業価値2倍成長目標
  • 週刊東洋経済 2024年8月10日号「トップに直撃 双日 社長COO(最高執行責任者)植村幸祐「発足20年で新局面へ 成長市場で面展開加速」」
    • [106]中期経営計画2026の成長投資=既存事業強化3000億円・デジタル領域3000億円
    • [107]植村幸祐社長COO「今PERは8倍前後をウロウロしている」「これを9倍台後半ぐらいにしなければPBR1倍を超える安定感が出てこない」
  • 双日 有価証券報告書(2025年3月期)
    • [108]2025年3月期 非資源分野の収益800億円超・当期純利益1106億円
    • [109]2025年8月22日 1500万株の自己株式消却(発行済株式数2億2500万株→2億1000万株)

双日の沿革2003〜2025年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
西村英俊ニチメンと日商岩井の株式移転による共同持株会社の設立と、2660億円の優先株発行統合の規模を決めたのは事業の重なりか、取引行から集められる金額の限度か——根拠が説明されなかった2000億円の「のりしろ」 詳細を読む★★★
西村英俊ニチメン・日商岩井が合併し双日誕生★★
西村英俊双日HDに商号変更
西村英俊総額2500億円の損失処理と、航空機ファイナンスという「聖域」への切り込み銀行主導の統合で発足した双日は、名門意識が守ってきた事業にどこまで手をかけられたか 詳細を読む★★★
土橋昭夫旧双日を合併し商号を双日に変更、事業会社へ移行★★
加瀬豊リーマンショック影響で業績急落
佐藤洋二純損失36億円計上・赤字転落★★
佐藤洋二純利益134億円で黒字回復
佐藤洋二有利子負債1兆5000億円の圧縮と旧二社の組織融合という10年の再建銀行主導の統合が残した重い負債と分断された二社を、双日はどう一つの会社へ鍛え直したか 詳細を読む★★★
藤本昌義資源市況に依存しない「双日らしさ」を掲げた非資源差別化戦略上位商社との規模差をどう埋めるか——藤本昌義社長が掲げた「双日らしさ」と、植村幸祐社長が継いだカタマリ戦略 詳細を読む★★★
藤本昌義純利益1112億円と発足来最高益を更新
植村幸祐植村幸祐氏が社長COOに就任(同年6月に代表取締役社長)
植村幸祐中期経営計画2026発表
植村幸祐純利益1106億円・非資源分野800億円超を達成
出典・参考
  • 双日 有価証券報告書【沿革】
  • 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
  • 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
  • 週刊東洋経済 2003年2月1日号「[News&Forecast/時々刻々]商社 日商岩井がITX株大量放出 ニチメンと経営統合した後も緩やかな企業解体は続くのか」
  • 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
  • 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
  • 週刊東洋経済 2004年8月7日号「[The Headline/ニュース最前線]三菱東京・UFJ統合「差し止め」の波乱 またも翻弄された双日 UFJに引きずられ巨額損失処理迫られる」
  • 日経ビジネス 2004年8月2日号「「三菱東京抜き」の再建計画の生煮え度 双日、影におびえて聖域にメス」
  • 日経ビジネス 2004年8月30日号「双日の事業、早くも争奪戦 UFJへの反発から社内に不協和音」
  • 双日 有価証券報告書(2005年3月期)
  • 週刊東洋経済 2005年12月10日号「[特集]商社パワー 完全復活! Column 双日を今後20年にわたって呪縛する「優先株」の重圧」
  • 双日 有価証券報告書(2006年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2008年3月期)【役員の状況】
  • 日刊工業新聞(2012年1月)「攻める2012(5)双日社長・加瀬豊氏『"3A地域"に積極展開』」
  • 週刊東洋経済 2016年4月8日号「【第1特集 ザ・商社】準大手の将来戦略 独自戦略で大手を追撃 双日 豊田通商 「再編商社」の活路」
  • 双日 有価証券報告書(2008年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2010年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2012年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2013年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2014年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2016年3月期)
  • 日本経済新聞(2017年2月28日)「双日社長に藤本氏 佐藤氏は会長に」
  • ダイヤモンド・オンライン(2021年6月)「双日社長が語る副業・起業・ジョブ型雇用を進める理由、源流『鈴木商店』への想い」
  • 財界オンライン(2024年9月27日)「『双日らしい成長ストーリーの実現を』双日新社長・植村幸祐が語る『カタマリ戦略』」
  • 双日 ニュースリリース(2023年11月22日)「ベトナムの業務用食品卸最大手 DaiTanViet(New Viet Dairy)の完全子会社化について」
  • 双日 有価証券報告書(2019年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2022年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2023年3月期)
  • 双日「中期経営計画2026」(2024年5月1日公表)
  • 双日 有価証券報告書(2024年3月期)
  • 双日 有価証券報告書(2026年3月期)
  • 週刊東洋経済 2024年8月10日号「トップに直撃 双日 社長COO(最高執行責任者)植村幸祐「発足20年で新局面へ 成長市場で面展開加速」」
  • 双日 有価証券報告書(2025年3月期)
  • 双日 適時開示(2025年8月22日)「自己株式の消却に関するお知らせ」

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