2003年〜 UFJが決めた統合と、2500億円の損失処理
双日の業績推移:連結
株式移転で生まれた持株会社と、統合初年度の実績
2003年4月、総合商社のニチメンと日商岩井は株式移転により共同持株会社のニチメン・日商岩井ホールディングスを設立し[1]、普通株式を東京証券取引所および大阪証券取引所へ上場した[2]。両社はいずれも持株会社の完全子会社となっている。両社を一つにしたのは事業の重なりではなく、ともにメインバンクであるUFJ銀行の都合であった[4]。持株会社は発足の翌月、取引金融機関6社と米国の投資銀行リーマン・ブラザーズを引受先として総額2660億円の優先株を発行し[5]、統合作業で生じる損失のバッファーとなる資本を積んだ。 [3]
- 双日 有価証券報告書【沿革】
- [1]2003年4月 株式移転によるニチメン・日商岩井ホールディングスの設立
- [2]普通株式の東京証券取引所・大阪証券取引所への上場
- 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
- [3]日商岩井とニチメンが統合持株会社の完全子会社となったこと
- [4]統合を動かしたのが両社の命綱を握るUFJ銀行の都合であったこと
- 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
- [5]2003年5月 取引金融機関6社とリーマン・ブラザーズに対する総額2660億円の優先株発行
統合3カ年計画は、管理部門などの合理化で800億円のコストを削り[6]、連結ベースで人員4000人と子会社130社を減らす内容であった[7]。最終年度には経常利益1010億円、純利益700億円を掲げている。西村英俊社長は初年度について計画したことは全部達成できたと述べ[9]、持株会社という一つの価値観で3カ年計画を見ることで両社が個別に協議する手間が減り、速さを出せたと説明した[10]。もっとも、2003年度の経常利益目標480億円は合理化で復元した水準にとどまる[11]。同じ2003年度に業界首位の三菱商事が初めて純利益1000億円を超えており[12]、双日の最終年度目標はその高さに並ぶものであった。 [8]
- 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
- [6]管理部門などの合理化による800億円のコスト削減
- [7]連結ベースの人員4000人・子会社130社の削減計画
- 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
- [8]3カ年計画最終年度の目標=経常利益1010億円・純利益700億円
- [9]西村英俊社長「計画したことは全部達成できた。満足感を得ている」
- [10]西村英俊社長「持ち株会社という1つの価値観で統合3カ年計画を見ていくことで、ニチメンと日商岩井の両個社でブツブツと協議するプロセスが少なくて済み、スピード感が出せた」
- [11]2003年度の経常利益目標480億円は合理化による復元にすぎないとの評価
- [12]2003年度に三菱商事が業界で初めて純利益1000億円に乗せたこと
- 双日 有価証券報告書【沿革】
- [1]2003年4月 株式移転によるニチメン・日商岩井ホールディングスの設立
- [2]普通株式の東京証券取引所・大阪証券取引所への上場
- 週刊東洋経済 2002年12月21日号「[News&Forecast/飛耳長目]総合商社再編 日商岩井・ニチメン統合 強いられた結婚の内実」
- [3]日商岩井とニチメンが統合持株会社の完全子会社となったこと
- [4]統合を動かしたのが両社の命綱を握るUFJ銀行の都合であったこと
- [6]管理部門などの合理化による800億円のコスト削減
- [7]連結ベースの人員4000人・子会社130社の削減計画
- 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
- [5]2003年5月 取引金融機関6社とリーマン・ブラザーズに対する総額2660億円の優先株発行
- [8]3カ年計画最終年度の目標=経常利益1010億円・純利益700億円
- [9]西村英俊社長「計画したことは全部達成できた。満足感を得ている」
- [10]西村英俊社長「持ち株会社という1つの価値観で統合3カ年計画を見ていくことで、ニチメンと日商岩井の両個社でブツブツと協議するプロセスが少なくて済み、スピード感が出せた」
- [11]2003年度の経常利益目標480億円は合理化による復元にすぎないとの評価
- [12]2003年度に三菱商事が業界で初めて純利益1000億円に乗せたこと
旧2社の商流の統合と、グループ再編の加速
統合を控えた時期の両社は、収益源の売却にも踏み込んでいた。日商岩井にとって情報産業部門は子会社ITXそのもので、同社が強みを発揮してきた数少ない分野の一つであった。その株式の半数を2003年2月にオリンパス光学工業へ売り[14]、前期に営業利益の半分弱を稼いだ事業を持分法適用会社へ移している[15]。売却による実入りは93億円[16]で、狙いはITXの有利子負債を連結から外す財務指標の改善にあった[17]。オリンパスは役員2人を含む20人の派遣を表明しており、転換社債の転換後には持株比率で双日側を上回る見込みであった。事業の切り出しと売却を重ねる手法には、緩やかな企業解体ではないかとの見方も向けられた[18]。 [13][19]
- 週刊東洋経済 2003年2月1日号「[News&Forecast/時々刻々]商社 日商岩井がITX株大量放出 ニチメンと経営統合した後も緩やかな企業解体は続くのか」
- [13]日商岩井にとって情報産業部門がITXそのものであり、同社が強みを発揮してきた数少ない分野の一つであったこと
- [14]2003年2月 日商岩井による子会社ITX株式の半数のオリンパス光学工業への売却
- [15]ITXが前期決算で日商岩井の営業利益の半分弱を稼ぎ出していたこと
- [16]株式売却による実入り93億円
- [17]ITXの有利子負債がバランスシートから外れることによる財務指標の改善効果
- [18]事業の切り出しと売却を繰り返す手法への「緩やかな企業解体」との評価
- [19]オリンパスによる役員2人を含む20人の派遣表明と、転換後の持株比率約36%(日商・ニチメン連合は約29%)
2004年4月、持株会社傘下のニチメンと日商岩井が合併して商号を双日とし[20]、事業会社の社長には旧ニチメンの土橋昭夫氏が就いた[21]。同年7月には持株会社が商号を双日ホールディングスへ改めている。事業会社を一本化しながら持株会社を残したのは、一段上から計画の執行を監視し、株主への責任を担う会社と執行機関を分けておくためであった[23]。同じ7月には台場と芝に分かれていた中核部隊約2000人が東京都港区の国際新赤坂ビルへ集まり[24]、双日は旧2社の商権を資本コストを加味した指標のもとで425に細分化し、選別にかけた[25]。 [22]
- 双日 有価証券報告書【沿革】
- [20]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併と双日への商号変更
- [22]2004年7月 持株会社の双日ホールディングスへの商号変更
- 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
- [21]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併により誕生した双日の社長に土橋昭夫が就任
- 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
- [23]西村英俊社長「持ち株会社を残して一段上の高みから計画執行を監視する体制がよいと判断した」「株主への責任を体現する持ち株会社と執行機関としての事業会社が分かれているほうが柔軟性を保つうえで好ましい」
- [24]2004年7月 台場・芝の自社ビルから国際新赤坂ビルへの中核部隊約2000人の集結
- [25]資本コストを加味した指標による商権の425への細分化
- 週刊東洋経済 2003年2月1日号「[News&Forecast/時々刻々]商社 日商岩井がITX株大量放出 ニチメンと経営統合した後も緩やかな企業解体は続くのか」
- [13]日商岩井にとって情報産業部門がITXそのものであり、同社が強みを発揮してきた数少ない分野の一つであったこと
- [14]2003年2月 日商岩井による子会社ITX株式の半数のオリンパス光学工業への売却
- [15]ITXが前期決算で日商岩井の営業利益の半分弱を稼ぎ出していたこと
- [16]株式売却による実入り93億円
- [17]ITXの有利子負債がバランスシートから外れることによる財務指標の改善効果
- [18]事業の切り出しと売却を繰り返す手法への「緩やかな企業解体」との評価
- [19]オリンパスによる役員2人を含む20人の派遣表明と、転換後の持株比率約36%(日商・ニチメン連合は約29%)
- 双日 有価証券報告書【沿革】
- [20]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併と双日への商号変更
- [22]2004年7月 持株会社の双日ホールディングスへの商号変更
- 週刊東洋経済 2006年1月21日号「[トップの履歴書]商社 異色の国内建設畑一筋 名門再生に挑む「無欲の人」双日社長 土橋昭夫」
- [21]2004年4月 ニチメンと日商岩井の合併により誕生した双日の社長に土橋昭夫が就任
- 週刊東洋経済 2004年4月10日号「[ビジネスリポート:02]ニチメン・日商岩井 ザ・商社「双日」誕生 統合2年目の検証」
- [23]西村英俊社長「持ち株会社を残して一段上の高みから計画執行を監視する体制がよいと判断した」「株主への責任を体現する持ち株会社と執行機関としての事業会社が分かれているほうが柔軟性を保つうえで好ましい」
- [24]2004年7月 台場・芝の自社ビルから国際新赤坂ビルへの中核部隊約2000人の集結
- [25]資本コストを加味した指標による商権の425への細分化
2500億円の損失処理と、メインバンクの動揺
2004年に入ると、メインバンクの動揺がそのまま双日の資金調達を揺さぶった。同年3月末の有利子負債は1兆9928億円に達し[26]、UFJ銀行は5月に双日の債務者区分を要注意先から要管理先へ引き下げた[27]。2006年3月償還の双日社債は対国債スプレッドが300ベーシスポイント近くあり[28]、同時期に償還を迎える同業他社の社債より200ベーシスポイント以上高かった。6月には産業再生機構へ送られるとのうわさが流れて株価は600円台から400円台へ急落し[29]、7月28日には三菱東京フィナンシャル・グループとUFJの統合交渉差し止めの仮処分を受けて336円と年初来安値を更新した[30]。
- 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
- [26]2004年3月末時点の有利子負債1兆9928億円
- [27]2004年5月 UFJ銀行による双日の債務者区分の要注意先から要管理先への引き下げ
- [28]双日社債(2006年3月償還)の対国債スプレッドが300ベーシスポイント近くあり同業他社より200ベーシスポイント以上高かったこと
- 週刊東洋経済 2004年8月7日号「[The Headline/ニュース最前線]三菱東京・UFJ統合「差し止め」の波乱 またも翻弄された双日 UFJに引きずられ巨額損失処理迫られる」
- [29]2004年6月初旬 産業再生機構送りのうわさによる株価の600円台から400円台への急落
- [30]2004年7月28日 統合交渉差し止めの仮処分を受けた株価336円の年初来安値
2004年7月23日、双日は保有不動産の含み損処理や低採算事業からの撤退などにより総額2500億円規模の損失を処理し[31]、優先株の発行などで同規模の増資を実施する新再建計画を発表した[32]。西村英俊社長は「2500億円規模という損失処理額はあくまで目算値。目算値という言葉が気に入らなければ概算値と言い換えてもいい」(日経ビジネス 2004/8/2)と語り、計画の暫定さを自ら認めている。旧日商岩井が守ってきた航空機ファイナンス事業までも縮小・撤退の候補に挙げ[34]、「既に投融資などで稼いでいる営業資産の一部であっても、低採算なものはあえて償却・撤退する」[35](日経ビジネス 2004/8/2)と述べた。住友商事は同年7月末の決算説明会で「双日が売却をする場合には、当社に優先交渉権がある」[36](日経ビジネス 2004/8/30)と述べ、LNG関連権益への関心を公言している[37]。 [33]
- 日経ビジネス 2004年8月2日号「「三菱東京抜き」の再建計画の生煮え度 双日、影におびえて聖域にメス」
- [31]2004年7月23日 総額2500億円規模の損失処理を柱とする新再建計画の発表
- [32]保有不動産の含み損処理・低採算事業からの撤退と優先株発行による同規模の増資
- [33]西村英俊社長「2500億円規模という損失処理額はあくまで目算値。目算値という言葉が気に入らなければ概算値と言い換えてもいい」
- [34]旧日商岩井の航空機ファイナンス事業への縮小・撤退候補の指定
- [35]西村英俊社長「既に投融資などで稼いでいる営業資産の一部であっても、低採算なものはあえて償却・撤退する」
- 日経ビジネス 2004年8月30日号「双日の事業、早くも争奪戦 UFJへの反発から社内に不協和音」
- [36]住友商事 財務担当役員「双日が売却をする場合には、当社に優先交渉権がある」
- [37]住友商事によるLNG関連権益への関心の公言
- 週刊東洋経済 2004年7月3日号「[The Headline/ニュース最前線]追い込まれるUFJ借り手企業 双日「たなざらし」の悲哀 今になって「再生機構送り」観測が流布」
- [26]2004年3月末時点の有利子負債1兆9928億円
- [27]2004年5月 UFJ銀行による双日の債務者区分の要注意先から要管理先への引き下げ
- [28]双日社債(2006年3月償還)の対国債スプレッドが300ベーシスポイント近くあり同業他社より200ベーシスポイント以上高かったこと
- 週刊東洋経済 2004年8月7日号「[The Headline/ニュース最前線]三菱東京・UFJ統合「差し止め」の波乱 またも翻弄された双日 UFJに引きずられ巨額損失処理迫られる」
- [29]2004年6月初旬 産業再生機構送りのうわさによる株価の600円台から400円台への急落
- [30]2004年7月28日 統合交渉差し止めの仮処分を受けた株価336円の年初来安値
- 日経ビジネス 2004年8月2日号「「三菱東京抜き」の再建計画の生煮え度 双日、影におびえて聖域にメス」
- [31]2004年7月23日 総額2500億円規模の損失処理を柱とする新再建計画の発表
- [32]保有不動産の含み損処理・低採算事業からの撤退と優先株発行による同規模の増資
- [33]西村英俊社長「2500億円規模という損失処理額はあくまで目算値。目算値という言葉が気に入らなければ概算値と言い換えてもいい」
- [34]旧日商岩井の航空機ファイナンス事業への縮小・撤退候補の指定
- [35]西村英俊社長「既に投融資などで稼いでいる営業資産の一部であっても、低採算なものはあえて償却・撤退する」
- 日経ビジネス 2004年8月30日号「双日の事業、早くも争奪戦 UFJへの反発から社内に不協和音」
- [36]住友商事 財務担当役員「双日が売却をする場合には、当社に優先交渉権がある」
- [37]住友商事によるLNG関連権益への関心の公言