1973年〜 トラック1台から始めた小売特化型3PLへの転身
- 1973年 丸和運輸機関を設立
- 1978年 丸和運輸機関に組織変更
- 1993年 昭和通運を子会社化
- 1993年 関西丸和サービスを子会社化
- 1997年 東北丸和サービスを設立
- 2004年 アズコムデータセキュリティを設立
埼玉県吉川町の運送会社が直面した参入障壁
1973年8月、創業者の和佐見勝氏は埼玉県北葛飾郡吉川町[1](現吉川市)に有限会社丸和運輸機関を設立し[2]、一般区域貨物自動車運送事業を事業目的に掲げた。トラック1台で物流業界に飛び込んだという創業時のエピソードは、後年の統合報告書でも繰り返し語られている同社のアイデンティティである。1970年代の貨物自動車運送事業は免許制で、一般区域貨物運送の新規免許取得は地場の運送業者連合の反対調整を経る必要があり、新規参入は容易ではなかった。1978年10月には組織変更して株式会社丸和運輸機関[3]となり、株式会社として事業基盤を整えた。
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [1]1973年8月 和佐見勝氏が埼玉県北葛飾郡吉川町に有限会社丸和運輸機関を設立(一般区域貨物自動車運送事業)
- [2]創業者は和佐見勝(1945年5月23日生)
- [3]1978年10月 株式会社丸和運輸機関に組織変更
1980年代の貨物運送業界は規制緩和前夜で、運賃は実勢に近い数字で交渉される一方、特定荷主との結びつきが受注量を左右する構造だった。同社の事業規模は当時のJGAAP連結ベースでは把握できないが、1990年代に入って初めて全国展開の足がかりを得る。1993年7月に昭和通運(現丸和通運)の株式を取得[4]して関東圏内の集荷網を補強し、同年12月に株式会社関西丸和サービス(現関西丸和ロジスティクス)の株式を取得[5]して関西圏への進出を果たした。1997年8月には岩手県紫波郡紫波町に株式会社東北丸和サービス(現東北丸和ロジスティクス)を設立し[6]、東北エリアの拠点も自前で構えた。
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [4]1993年7月 昭和通運㈱(現㈱丸和通運)の株式を取得し連結子会社化
- [5]1993年12月 ㈱関西丸和サービス(現㈱関西丸和ロジスティクス)の株式を取得し連結子会社化
- [6]1997年8月 岩手県紫波郡紫波町に㈱東北丸和サービス(現㈱東北丸和ロジスティクス)を設立
地域子会社を順次設立・買収するこの拡張パターンを、同社は以後の M&A 戦略でも繰り返した。本社を埼玉県吉川市に置いたまま、関西・東北・九州・北海道の各エリアに地場会社を抱える分散配置型の経営体制が、2000年代の3PL展開を可能にする物理的な拠点網として整備された。1973年の創業から1990年代までの20年余りは[7]、貨物運送会社として地域ごとに法人を立ち上げる「面の確保」の時期にあたる。よって創業時のトラック1台が、20年で全国の主要地域に拠点を持つ運送会社へ拡張する基礎が固まった。
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [7]1973年の創業から1990年代まで約20年、地域子会社の設立・買収で全国網を整備(関西・東北等)
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [1]1973年8月 和佐見勝氏が埼玉県北葛飾郡吉川町に有限会社丸和運輸機関を設立(一般区域貨物自動車運送事業)
- [2]創業者は和佐見勝(1945年5月23日生)
- [3]1978年10月 株式会社丸和運輸機関に組織変更
- [4]1993年7月 昭和通運㈱(現㈱丸和通運)の株式を取得し連結子会社化
- [5]1993年12月 ㈱関西丸和サービス(現㈱関西丸和ロジスティクス)の株式を取得し連結子会社化
- [6]1997年8月 岩手県紫波郡紫波町に㈱東北丸和サービス(現㈱東北丸和ロジスティクス)を設立
- [7]1973年の創業から1990年代まで約20年、地域子会社の設立・買収で全国網を整備(関西・東北等)
イトーヨーカ堂取引が変えた請負運送から3PLへの軸
同社の事業構造を決定づけたのは、1990年のイトーヨーカ堂との取引開始だった[8]。イトーヨーカ堂は当時、関東圏で店舗網を急拡大していた総合スーパーで、店舗向け商品配送の頻度と精度が小売業の競争力を直接左右する局面に入っていた。同社はイトーヨーカ堂向けに店舗別配送センター運営を受注し、単純な貨物運送から「センター運営+配送」を一体提供するサードパーティ・ロジスティクス(3PL)の業態に踏み込んだ。1990年代初頭の日本ではまだ3PLという言葉も一般的でなく、外資系大手物流会社が先行する領域だったが、地場運送会社の同社が小売特化型でこの市場に参入した点が独自のポジションを生んだ。
- AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
- [8]1990年 イトーヨーカ堂との取引を開始(店舗別配送センター運営を受注)
1991年には株式会社ダスキンとの取引が始まり[9]、1995年には株式会社マツモトキヨシ(現マツキヨココカラ&カンパニー)[10]との取引が開始された。ダスキンはレンタル・清掃事業、マツモトキヨシはドラッグストアチェーンで、いずれも小売業に分類される顧客である。同社は1990年代を通じて「小売業の物流インフラ」という顧客セグメントを定義し、特定の小売チェーンに専属する物流子会社のような立ち位置を獲得した。マツモトキヨシ取引が医薬品流通の物流ノウハウの蓄積につながり、後年の医薬・医療3PL事業の業務基盤となった。
- AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
- [9]1991年 ㈱ダスキンとの取引開始
- [10]1995年 ㈱マツモトキヨシ(現マツキヨココカラ&カンパニー)との取引開始
1990年代の小売業は POS データに基づく在庫管理と多頻度小口配送が競争力の源泉となり、店舗側は物流コストを下げつつ欠品も回避できる物流パートナーを必要としていた。同社はチェーンごとに専用センターを構え、店別・カテゴリー別の仕分けと配送を一括受託する仕組みを整えた。よって「他社の倉庫を間借りする3PL」ではなく「専用センターを構築して独占的に運用する3PL」というモデルが、1990年代後半までに確立された。この受託モデルが2014年の上場時点まで売上高の主柱であり、同社の3PL[11]事業の収益の中核を成した。
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- [11]小売チェーン専用センター運用の3PLモデルは1990年代後半までに確立し、2014年上場時点まで売上高の主柱
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- [8]1990年 イトーヨーカ堂との取引を開始(店舗別配送センター運営を受注)
- [9]1991年 ㈱ダスキンとの取引開始
- [10]1995年 ㈱マツモトキヨシ(現マツキヨココカラ&カンパニー)との取引開始
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [11]小売チェーン専用センター運用の3PLモデルは1990年代後半までに確立し、2014年上場時点まで売上高の主柱
イトーヨーカ堂ネットスーパーが先導した EC 物流の早期参入
2004年10月、同社は埼玉県吉川市に株式会社アズコムデータセキュリティ(現連結子会社)を設立し[12]、機密文書保管・廃棄を含む情報セキュリティ関連の周辺事業にも進出した。2005年10月には福岡県福岡市東区に株式会社九州丸和[13]ロジスティクス(現連結子会社)を設立し、北海道を除く本州・四国・九州の主要エリアに自前の地域子会社を配置する体制を完成させた。2006年4月には埼玉県吉川市旭7番地1に本社を移転し[14]、関東圏の物流の中心地である吉川エリアに自社施設を集約した。1973年の創業地から33年を経ても本社所在地は埼玉県吉川市から動かなかった。
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [12]2004年10月 埼玉県吉川市に㈱アズコムデータセキュリティを設立(文書管理・データ保管事業)
- [13]2005年10月 福岡県福岡市東区に㈱九州丸和ロジスティクスを設立
- [14]2006年4月 ㈱丸和運輸機関本社を埼玉県吉川市旭7番地1へ移転
そして2006年、イトーヨーカ堂のネットスーパー配送業務を受託[15]したことが、後の EC 物流専業化への分岐点となった。当時、ネットスーパーは小売業者が試験的に始めた事業領域で、配送効率の低さから収益化が難しい新業態と見られていた。同社はこの低収益とされた領域に経営資源を投入し、ネットスーパー特有の「店舗からの即日配送+常温・冷蔵混載」の運用ノウハウを早期に蓄積した。2006年の受託は2017年のアマゾンジャパンとの取引、そして2017年から始まる「EC ラストワンマイル当日[16]お届けサービス」へと地続きでつながる実践だった。
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- [15]2006年 イトーヨーカ堂のネットスーパー配送業務を受託
- [16]2017年 アマゾンジャパンとの取引/2017年「EC ラストワンマイル当日お届けサービス」開始
2008年3月には株式会社ジャパンクイックサービス(現連結子会社)、株式会社ジャパンタローズ(現非連結子会社)、株式会社アズコムビジネスサポート(現非連結子会社)、株式会社北海道丸和ロジスティクス(現連結子会社)の4社を株式交換または株式取得で連結子会社化し[17]、北海道を含む全国カバレッジを完成させた。同社の連続 M&A 戦略は2008年に最初のピークを迎え、地域子会社の取り込みと本社直営事業の補完を並行して進める運営パターンが定着した。1990年のイトーヨーカ堂取引から始[18]まった小売特化型3PLは、15年で全国施工体制を備えた専門物流会社へと変貌した。
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [17]2008年3月 ㈱ジャパンクイックサービス・㈱ジャパンタローズ・㈱アズコムビジネスサポート・㈱北海道丸和ロジスティクスの4社を株式交換/株式取得で連結子会社化
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- [18]1990年のイトーヨーカ堂取引から15年で全国体制を備えた専門物流会社へ
- 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
- [12]2004年10月 埼玉県吉川市に㈱アズコムデータセキュリティを設立(文書管理・データ保管事業)
- [13]2005年10月 福岡県福岡市東区に㈱九州丸和ロジスティクスを設立
- [14]2006年4月 ㈱丸和運輸機関本社を埼玉県吉川市旭7番地1へ移転
- [17]2008年3月 ㈱ジャパンクイックサービス・㈱ジャパンタローズ・㈱アズコムビジネスサポート・㈱北海道丸和ロジスティクスの4社を株式交換/株式取得で連結子会社化
- AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
- [15]2006年 イトーヨーカ堂のネットスーパー配送業務を受託
- [16]2017年 アマゾンジャパンとの取引/2017年「EC ラストワンマイル当日お届けサービス」開始
- [18]1990年のイトーヨーカ堂取引から15年で全国体制を備えた専門物流会社へ