ANYCOLOR の歴史

田角陸氏の起業からにじさんじ運営まで

創業

2017年

創業者

田角陸

創業地

東京都新宿区

直近売上高(2025/4)

429億円

長期業績と転換点(2022/4〜2026/4)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ田角陸氏は2017年に学生のまま小資本で会社を立ち上げたのか
A 守るべき顧客も設備も無い学生創業ゆえに、事業を入れ替える身軽さを最初から持てると見たためである。田角陸氏は早稲田大学在学中の2017年5月、東京都新宿区に「いちから株式会社」を資本金100万円・社員1名で設立した。在学前にガイアックスでマーケティングのインターンを経験し起業に向かった経緯で、初代事業はVR元年と呼ばれた当時のVR・MRアプリ開発だった。抱えるのは社員1名と100万円だけで、本店も創業半年で渋谷区へ移している
Q なぜ田角陸氏は2018年にVR・MRアプリを捨てて「にじさんじ」運営へ切り替えたのか
A プラットフォームに頼らず演者個人の力を信じるマネジメントの方が伸びると読み、トレンドの強い領域へ寄せたためである田角陸氏は創業からわずか8ヶ月後の2018年1月、初代事業のVR・MRアプリを見切り、VTuberグループ「にじさんじ」の運営へ切り替えた。演者が個人で活動するのが当たり前だった黎明期に、マネジメント・配信・グッズ・海外展開までを事務所が一手に担う運営を先んじて持ち込み、配信収益にコマースと有料会員を重ねた複合収益を組み上げた
Q なぜ2023年以降ANYCOLORは「にじさんじ」一括運営から複数ユニット並走へ変えたのか
A 特定の人気ライバー群への収益集中を和らげ、複数の当たりを同時に育てるためである。2023年6月にプライム市場へ移ったANYCOLORは、所属ライバーを一つの大きな集団として回す運営から、性格を分けた複数ユニットを並走させる運営へ変えている。2022年7月にデビューした男性4人組「VOLTACTION」をはじめ打ち出し方の異なるユニットを設け、ユニットごとにファン層やコンテンツを設計し直した。ライバー人材獲得競争が続くなか、当たりを一極に頼らない構えへ広げた

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2017年〜 学生起業からVTuber事務所モデルの確立まで──「いちから」の事業転換

田角陸氏の創業──VR/MRアプリ開発から「にじさんじ」立ち上げへ

2017年5月、早稲田大学在学中の田角陸氏(1996年2月3日生まれ・当時21歳)が東京都新宿区に「いちから株式会社」を資本金100万円で設立した。学生起業家による創業であり、戦後の老舗・財閥系の大企業群が東証一部上場企業の中核を占める日本市場で、後にプライム市場へ昇格する企業の起点としては資本金100万円・社員1名という小規模の出発である。創業当初の事業はVR(仮想現実)・MR(複合現実)デバイス向けアプリケーションの開発で、2016年〜2017年のVR元年と称された業界ブームの中での参入だった。2017年11月には新宿区から東京都渋谷区(IT・スタートアップ集積地)へ本店を移転した。 [1][2][3][4]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2017年5月、いちから株式会社を東京都新宿区で資本金100万円・社員1名で設立
    • [3]後にプライム市場へ昇格(2023年6月にプライム市場へ区分変更)
    • [4]2017年11月、東京都新宿区から渋谷区へ本店移転
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [2]田角陸 1996年2月3日生まれ・創業時21歳

本店移転から2ヶ月後の2018年1月、VTuber(バーチャルYouTuber)グループ「にじさんじ」の始動を発表してライバー(VTuber演者)の募集を開始、事業の中核をVR/MRアプリ開発からVTuber事務所運営へ切り替えた。2018年2月、第1期8名のライバー(月ノ美兎・樋口楓・静凛・渋谷ハジメ・モイラ・勇気ちひろ・鈴谷アキ・家長むぎ)が活動を開始し、後の業界2強の一角を担うVTuber事務所の母体が形を成した。事業転換の判断は、創業1年も経たない時期で主軸事業を入れ替えた経緯であり、初代事業(VR/MRアプリ)の見切りと第2の事業(VTuber事務所)への移行を半年で実行した。FY17(2018年4月期)の単体売上高は16百万円(事業転換直前期)で、転換直後のFY18(2019年4月期)には866百万円へ52倍に拡大した。 [5][6][7]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [5]2018年1月、VTuberグループ「にじさんじ」始動を発表しライバー募集を開始
    • [6]2018年2月、第1期ライバー8名が活動開始
    • [7]第1期8名=月ノ美兎・樋口楓・静凛・渋谷ハジメ・モイラ・勇気ちひろ・鈴谷アキ・家長むぎ
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2017年5月、いちから株式会社を東京都新宿区で資本金100万円・社員1名で設立
    • [3]後にプライム市場へ昇格(2023年6月にプライム市場へ区分変更)
    • [4]2017年11月、東京都新宿区から渋谷区へ本店移転
    • [5]2018年1月、VTuberグループ「にじさんじ」始動を発表しライバー募集を開始
    • [6]2018年2月、第1期ライバー8名が活動開始
    • [7]第1期8名=月ノ美兎・樋口楓・静凛・渋谷ハジメ・モイラ・勇気ちひろ・鈴谷アキ・家長むぎ
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [2]田角陸 1996年2月3日生まれ・創業時21歳

「にじさんじゲーマーズ」「SEEDs」統合とブランド集約

2018年5月、ゲーム配信者に特化したVTuberグループ「にじさんじゲーマーズ」を開始、同年6月には「にじさんじ」の候補生による「にじさんじSEEDs」を始動と、ライバー層の拡張をグループ多層化で実行した。だが同年12月、「にじさんじ」「にじさんじゲーマーズ」「にじさんじSEEDs」の3グループを「にじさんじ」へ統合、わずか半年で多層化したサブブランドを単一ブランドへ収斂させた。短期間でのブランド統合は、業界形成初期に発生する「サブブランド乱立」のリスクをいち早く整理した判断であり、後のグローバル展開でも反復される「拡張→統合」のサイクルの最初の事例となった。 [8][9][10]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [8]2018年5月、「にじさんじゲーマーズ」開始
    • [9]2018年6月、候補生による「にじさんじSEEDs」始動
    • [10]2018年12月、3グループ(にじさんじ/にじさんじゲーマーズ/にじさんじSEEDs)を「にじさんじ」に統合

2019年2月、配信スケジュール管理サイト「いつから.link」のウェブブラウザ版を提供開始、同年4月にはiOS・Androidアプリ版を公開した。ファン向けの自前ITプロダクトを早期に整備し、配信プラットフォーム(YouTube等)依存を緩和する仕組みを内製した。同月、中国向けVTuberグループ「VirtuaReal Project」の始動を発表、海外展開の第一歩を投じた。さらに同年7月にインドネシア向け「NIJISANJI ID」、11月にインド向け「NIJISANJI IN」、12月に韓国向け「NIJISANJI KR」と、創業からわずか2年半でアジア4ヶ国(中国・インドネシア・インド・韓国)のローカルVTuberグループを並行立ち上げた。各国市場の文化的特性に合わせたローカルキャストを擁する「多地域分散型VTuber事務所」のモデルを業界内で先行して打ち立てた段階である。 [11][12][13][14][15]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2019年2月、「いつから.link」ウェブブラウザ版を提供開始
    • [12]2019年4月、iOS・Androidアプリ版を公開
    • [13]2019年4月、中国向け「VirtuaReal Project」始動を発表
    • [14]2019年7月インドネシア「NIJISANJI ID」・11月インド「NIJISANJI IN」・12月韓国「NIJISANJI KR」を立ち上げ
    • [15]創業(2017年5月)から韓国KR始動(2019年12月)まで約2年7ヶ月=「わずか2年半」と整合、アジア4ヶ国(中国・インドネシア・インド・韓国)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [8]2018年5月、「にじさんじゲーマーズ」開始
    • [9]2018年6月、候補生による「にじさんじSEEDs」始動
    • [10]2018年12月、3グループ(にじさんじ/にじさんじゲーマーズ/にじさんじSEEDs)を「にじさんじ」に統合
    • [11]2019年2月、「いつから.link」ウェブブラウザ版を提供開始
    • [12]2019年4月、iOS・Androidアプリ版を公開
    • [13]2019年4月、中国向け「VirtuaReal Project」始動を発表
    • [14]2019年7月インドネシア「NIJISANJI ID」・11月インド「NIJISANJI IN」・12月韓国「NIJISANJI KR」を立ち上げ
    • [15]創業(2017年5月)から韓国KR始動(2019年12月)まで約2年7ヶ月=「わずか2年半」と整合、アジア4ヶ国(中国・インドネシア・インド・韓国)

2020年〜 コロナ特需とIPO──「ANYCOLOR」への商号変更と東証グロース上場

ANYCOLORの業績推移:単体

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2020年 「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
  2. 2020年 「にじさんじ」専用オンラインショップ「にじさんじオフィシャルストア」を開設
  3. 2021年 インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
  4. 2021年 英語圏「NIJISANJI EN」始動 + 商号をいちからからANYCOLORに変更
  5. 2021年 タレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始
  6. 2022年 海外4極から2極への絞り込み——インド休止とインドネシア・韓国グループの本体統合 9か月で4つの国・言語圏へ広げた事務所を、田角陸氏はなぜ3年で英語圏と中国に絞ったか
  7. 2022年 東京証券取引所グロース市場に株式を上場

コロナ禍のライブ配信需要と「にじさんじ」の収益化加速

2020年3月、東京都渋谷区から千代田区へ本店を移転、同年6月に「にじさんじ」英語圏向け公式YouTubeチャンネルを開設し、英語圏ファン層への発信を開始した(後のNIJISANJI EN設立の伏線)。同年9月には「にじさんじ」専用オンラインショップ「にじさんじオフィシャルストア」を開設し、グッズ販売(コマース)事業を本格化、同年10月に有料会員サービス「にじさんじ FAN CLUB」を提供開始した。配信収益(スーパーチャット等の投げ銭・チャンネルメンバーシップ)に加え、コマース・継続課金型ファンビジネス・ライブイベント等の複合収益構造を、2020年3月から10月までの8ヶ月で並行して整備した。 [16][17][18][19]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [16]2020年3月、東京都渋谷区から千代田区へ本店移転
    • [17]2020年6月、英語圏向け公式YouTubeチャンネルを開設
    • [18]2020年9月、「にじさんじオフィシャルストア」開設
    • [19]2020年10月、有料会員サービス「にじさんじ FAN CLUB」を提供開始

新型コロナウイルス感染症の世界的流行(2020年〜)に伴うライブストリーミング配信需要の急増は、にじさんじ所属ライバーのチャンネル登録者数・再生数を爆発的に押し上げた。FY19(2020年4月期)売上高3,479百万円・経常利益42百万円から、FY20(2021年4月期)売上高7,636百万円・営業利益1,452百万円・経常利益1,451百万円へと、コロナ初年度に売上2.2倍・営業利益で黒字転換を達成した。営業利益率は約19%と、配信・コマース・イベント等の収益源の組み合わせが構造的に高い収益性を実現する事業モデルであることが明らかになった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [16]2020年3月、東京都渋谷区から千代田区へ本店移転
    • [17]2020年6月、英語圏向け公式YouTubeチャンネルを開設
    • [18]2020年9月、「にじさんじオフィシャルストア」開設
    • [19]2020年10月、有料会員サービス「にじさんじ FAN CLUB」を提供開始

「ANYCOLOR」への商号変更とプレIPO期の事業整理

2021年4月、インド向け「NIJISANJI IN」を活動休止と、海外戦略の選択と集中を実施。インド市場の事業継続性より、英語圏(NIJISANJI EN)・東南アジア(NIJISANJI ID/KR)・中国(VirtuaReal)への資源集中を選んだ判断である。同年5月には東京都千代田区から港区へ本店を移転、商号を「いちから株式会社」から「ANYCOLOR株式会社」へ変更、英語圏向け「NIJISANJI EN」の活動を開始した。社名変更は「いちから(事業の出発点としての社名)」から「ANYCOLOR(多様な色=個性のライバーが集う場)」への象徴的な転換であり、IPO準備とブランドのグローバル化を同時に進める意思表示であった。同年6月、ライバー育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始、ライバー人材獲得競争が激化する業界環境の中で、内製育成パイプラインを整備した。 [20][21][22]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2021年4月、インド向け「NIJISANJI IN」を活動休止
    • [21]2021年5月、千代田区から港区へ本店移転、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社へ変更、NIJISANJI EN活動開始
    • [22]2021年6月、ライバー育成「バーチャル・タレント・アカデミー」開始

FY21(2022年4月期)の単体売上高は14,164百万円(前期比+85.5%)、営業利益4,191百万円・経常利益4,149百万円と、コロナ特需の2期目で売上規模が一段階引き上がった。同期、創業者・田角陸氏の保有株式比率は46.86%(14,031,810株)と、創業者個人で発行済株式の約半数を保有する非分散型の資本構造で上場準備期を迎えた。続く第2位はLC FUND VIII(11.18%)、第3位はHODE HK(7.98%)、第4位はSkyland Ventures2号投資事業有限責任組合(7.51%)、第5位は株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(5.59%)と、VCとソニー・ミュージックエンタテインメントが上位を占めるベンチャー型の株主構成である。 [23][24]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [23]田角陸の保有株式比率46.86%(14,031,810株)=FY21時点
    • [24]第2位LC FUND VIII 11.18%・第3位HODE HK 7.98%・第4位Skyland Ventures2号 7.51%・第5位ソニー・ミュージックエンタテインメント 5.59%
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [20]2021年4月、インド向け「NIJISANJI IN」を活動休止
    • [21]2021年5月、千代田区から港区へ本店移転、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社へ変更、NIJISANJI EN活動開始
    • [22]2021年6月、ライバー育成「バーチャル・タレント・アカデミー」開始
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [23]田角陸の保有株式比率46.86%(14,031,810株)=FY21時点
    • [24]第2位LC FUND VIII 11.18%・第3位HODE HK 7.98%・第4位Skyland Ventures2号 7.51%・第5位ソニー・ミュージックエンタテインメント 5.59%

東証グロース市場上場と初値4.67倍の市場評価

2022年4月、インドネシア向け「NIJISANJI ID」と韓国向け「NIJISANJI KR」を本体「にじさんじ」へ統合、海外グループのブランド統一を完了した(2019年7-12月の海外グループ立ち上げから3年弱での統合決断)。同年6月、東京証券取引所グロース市場に株式を上場した。公開価格1,530円に対し初値7,150円(4.67倍)の高値でデビュー、上場後の時価総額は一時2,000億円を超えた。創業からわずか5年1ヶ月での上場であり、東証グロース市場上場企業の中でも短期間(同期間中央値は10年以上)での創業者個人主導のIPOに該当する。 [25][26][27][28][29]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2022年4月、「NIJISANJI ID」と「NIJISANJI KR」を本体「にじさんじ」へ統合
    • [26]2022年6月、東京証券取引所グロース市場に上場
    • [27]公開価格1,530円・初値7,150円(4.67倍)
    • [29]創業(2017年5月)から上場(2022年6月)まで5年1ヶ月
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [28]上場後の時価総額が一時2,000億円超

上場の意義は、(1) ライバー・社員に対する長期的な経営基盤の明示、(2) 創業初期VC(LC FUND・Skyland Ventures等)の出口提供、(3) ブランド認知拡大による広告効果の3軸である。創業者・田角氏は上場後も大株主として議決権の支配比率を維持する設計(売出株式は限定的)で、創業者の長期視点での経営継続を選んだ。上場後の株価は2022年6月の上場直後に高値8,910円を付けた後、半年で半値以下に下落するなど短期的な乱高下を経験したが、創業者は短期株価変動より「ライバーが安心して活動できる長期経営」を優先する姿勢を一貫して維持した。 [30][31]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [30]創業初期VCはLC FUND・Skyland Ventures等(FY21大株主に実在)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【株価の推移】
    • [31]上場直後2022年6月に高値8,910円を付けた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2022年4月、「NIJISANJI ID」と「NIJISANJI KR」を本体「にじさんじ」へ統合
    • [26]2022年6月、東京証券取引所グロース市場に上場
    • [27]公開価格1,530円・初値7,150円(4.67倍)
    • [29]創業(2017年5月)から上場(2022年6月)まで5年1ヶ月
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [28]上場後の時価総額が一時2,000億円超
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [30]創業初期VCはLC FUND・Skyland Ventures等(FY21大株主に実在)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【株価の推移】
    • [31]上場直後2022年6月に高値8,910円を付けた

2023年〜 プライム市場昇格と「日本発VTuberグローバル企業」への進化

ANYCOLORの業績推移:単体

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2023年 東京証券取引所プライム市場に指定替え

プライム市場区分変更と継続的高成長

2023年6月、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更を実施した。グロース市場上場から1年での市場昇格は、(1) 流通株式時価総額・流通株式比率の充足、(2) コーポレートガバナンスコード(プライム版)への適合、(3) 株主層拡大の経営戦略の3条件を満たした結果である。プライム移行に伴い機関投資家の保有比率が上昇、日本マスタートラスト信託銀行・日本カストディ銀行などの信託銀行が上位株主に進出した。FY24(2025年4月期)時点の大株主構成は、田角陸氏43.88%(26,794,020株)、日本マスタートラスト信託銀行9.01%、株式会社日本カストディ銀行5.50%、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント5.48%と、創業者個人の支配比率を維持しながら機関投資家の保有比率が高まる構造変化を示す。 [32][33][34]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [32]2023年6月、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [33]FY24(2025年4月期)田角陸 43.88%(26,794,020株)
    • [34]FY24 日本マスタートラスト信託銀行9.01%・日本カストディ銀行5.50%・ソニー・ミュージックエンタテインメント5.48%

FY22(2023年4月期)売上高25,341百万円(前期比+78.9%)・営業利益9,410百万円(+124.5%)・経常利益9,448百万円、FY23(2024年4月期)売上高31,995百万円(+26.3%)・営業利益12,361百万円(+31.4%)・経常利益12,341百万円、FY24(2025年4月期)売上高42,876百万円(+34.0%)・営業利益16,279百万円(+31.7%)・経常利益16,214百万円と、上場後3期連続で前期比+25%超の成長を継続した。営業利益率はFY22 37.1% → FY23 38.6% → FY24 38.0%と高位安定、ライバー事業の収益化モデルが業界内で先行優位を握ったフェーズに入った。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [32]2023年6月、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [33]FY24(2025年4月期)田角陸 43.88%(26,794,020株)
    • [34]FY24 日本マスタートラスト信託銀行9.01%・日本カストディ銀行5.50%・ソニー・ミュージックエンタテインメント5.48%

取締役会の整備と若手経営層によるオーナー経営

2022年6月の上場前後で、創業期から関わる前川俊策氏(2020年3月就任の常勤監査役からの継続、住友商事ケミカル取締役内部監査部長出身、1953年生まれ)、山岡佑氏(2019年7月就任の社外監査役からの継続、トーマツ出身公認会計士、1986年生まれ)、飯野泰子氏(旧姓・梅田、2020年7月就任、東芝→アフラック→飯野法律事務所、1968年生まれ)に加え、有富丈之氏(2022年7月就任、長島・大野・常松法律事務所出身の企業法務弁護士)を社外取締役として迎え、IPO前後のガバナンス整備を完了した。社内取締役は田角陸CEO・釣井慎也CFO(2019年5月入社、PwC税理士法人→三菱UFJモルガン・スタンレー証券出身、1987年生まれ)の2名で、社外4名・社内2名の構成は若年経営層を社外監査機能で支える設計を取った。鈴木貴都氏(2019年6月入社、Cygames→DMMGAMES→セガゲームス出身、1992年生まれ)は2020年5月に執行役員へ就任し、2024年7月に取締役へ昇格して取締役会に加わっている。 [35][36][37][38][39][40][41]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [35]前川俊策 2020年3月に常勤監査役就任(住友商事ケミカル取締役内部監査部長出身・1953年生まれ)
    • [36]山岡佑 2019年7月に社外監査役就任(トーマツ出身公認会計士・1986年生まれ)
    • [37]飯野泰子(旧姓・梅田)は2020年7月に社外監査役就任(東芝→アフラック→飯野法律事務所・1968年生まれ)。有報上は2023年3月期まで「梅田泰子」、2024年3月期以降「飯野泰子」表記で同一人物
    • [38]有富丈之は2022年7月にANYCOLOR社外取締役就任(長島・大野・常松法律事務所出身の企業法務弁護士)
    • [39]釣井慎也CFO 2019年5月入社(PwC税理士法人→三菱UFJモルガン・スタンレー証券出身・1987年生まれ)
    • [41]鈴木貴都 2019年6月入社(Cygames→DMMGAMES→セガゲームス出身・1992年生まれ)、2020年5月執行役員、2024年7月に取締役へ昇格
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【コーポレート・ガバナンスの状況等】
    • [40]2022年6月上場前後(FY22時点)の取締役会は社外4名(前川・山岡・飯野〔梅田〕・有富)・社内2名(田角・釣井)の構成

社内3名のうち田角CEO(1996年生まれ)・鈴木貴都取締役(1992年生まれ)・釣井CFO(1987年生まれ)は全員30代と、上場企業の社内取締役としては若年層中心の構成である。創業者の田角氏とCFOの釣井氏は上場時点でそれぞれ筆頭株主(46.86%)・主要株主(637,500株)として個人資産を会社に賭けるオーナー経営を取り、創業からわずか8年でプライム上場企業の取締役会を組み立てた経緯が、ガバナンス体制の急成長を物語る。一方で社外取締役4名は法務・会計・内部監査・IT/金融出身者で専門領域を分散させ、30代の社内取締役の意思決定を多角的にレビューする補強関係を取る。同社のガバナンス設計は、若年オーナー社長+若手CFO+シニア社外監査の三層構造で、創業期VC(LC FUND・Skyland Ventures)が抜けた後の継続性を担保する設計とも読める。 [42][43][44][45]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [42]社内3名(田角1996・鈴木1992・釣井1987)は全員30代
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [43]田角氏は上場時に筆頭株主46.86%・釣井CFOは主要株主637,500株
    • [45]創業期VCはLC FUND・Skyland Ventures(FY21大株主に実在)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [44]創業(2017年5月)からプライム上場企業の取締役会構築まで約8年
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [35]前川俊策 2020年3月に常勤監査役就任(住友商事ケミカル取締役内部監査部長出身・1953年生まれ)
    • [36]山岡佑 2019年7月に社外監査役就任(トーマツ出身公認会計士・1986年生まれ)
    • [37]飯野泰子(旧姓・梅田)は2020年7月に社外監査役就任(東芝→アフラック→飯野法律事務所・1968年生まれ)。有報上は2023年3月期まで「梅田泰子」、2024年3月期以降「飯野泰子」表記で同一人物
    • [38]有富丈之は2022年7月にANYCOLOR社外取締役就任(長島・大野・常松法律事務所出身の企業法務弁護士)
    • [39]釣井慎也CFO 2019年5月入社(PwC税理士法人→三菱UFJモルガン・スタンレー証券出身・1987年生まれ)
    • [41]鈴木貴都 2019年6月入社(Cygames→DMMGAMES→セガゲームス出身・1992年生まれ)、2020年5月執行役員、2024年7月に取締役へ昇格
    • [42]社内3名(田角1996・鈴木1992・釣井1987)は全員30代
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【コーポレート・ガバナンスの状況等】
    • [40]2022年6月上場前後(FY22時点)の取締役会は社外4名(前川・山岡・飯野〔梅田〕・有富)・社内2名(田角・釣井)の構成
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [43]田角氏は上場時に筆頭株主46.86%・釣井CFOは主要株主637,500株
    • [45]創業期VCはLC FUND・Skyland Ventures(FY21大株主に実在)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [44]創業(2017年5月)からプライム上場企業の取締役会構築まで約8年

海外戦略の選択と集中──「NIJISANJI EN」の比重

2023年4月以降、英語圏「NIJISANJI EN」の収益化進捗が事業説明の中心話題となった。日本国内のVTuber市場は先発優位が確立しているが、英語圏市場は競合(米Hololive Productionの英語圏事業など)との競争環境にあり、ライバーの収益化スピード・ファン基盤の厚みが日本市場とは異なる成長曲線を辿る。決算説明会の質疑応答で繰り返し挙がる論点は、(1) 海外(特にNIJISANJI EN)の収益化進捗、(2) グッズ販売の季節性、(3) ライバー人材獲得競争、(4) PERバリュエーション、(5) 配当方針への質問が中心である。 [46]

  • ANYCOLOR FY23通期決算説明資料 / 決算説明会QA
    • [46]英語圏競合として米Hololive Productionの英語圏事業が存在(決算説明会の論点)

2024年〜2025年にかけて、新規プロジェクト「VOLTACTION」(メンズ4人組ユニット)など複数の新コンテンツが立ち上がり、にじさんじ単一ブランドから多ユニット運営型への進化が進行した。FY24(2025年4月期)の決算(売上429億円・営業利益163億円)は上場初年度のFY21(売上142億円・営業利益42億円)から3期で売上3.0倍・営業利益3.9倍と、IPO当初の高成長を3期連続で更新した。同時期、海外(特にNIJISANJI EN)の通期成長率は国内本体(にじさんじ日本)より緩やかとされ、海外事業を別ブランド(VOLTACTION等)の英語圏発信と組み合わせて収益化スピードを引き上げる戦略を採用している。海外売上比率の上昇は中期成長戦略の中核論点となり、決算説明会でも繰り返し言及される。

2025年5月現在の経営課題は、(1) 国内VTuber市場での先発優位の維持、(2) 英語圏(NIJISANJI EN)の収益化加速、(3) ライバー人材獲得・育成パイプラインの拡張、(4) 配信プラットフォーム(YouTube等)依存度の低減、(5) 短期PERバリュエーションと長期事業価値の整合──の5軸である。創業者・田角陸氏(2025年時点で29歳)は社長就任から9期目を迎え、創業から続く「ライバーが安心して活動できる経営基盤」というメッセージを軸に、VTuber業界の構造的成長への長期投資を続ける経営フェーズに入っている。 [47][48]

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [47]田角陸は2025年時点で29歳(1996年2月3日生まれ)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [48]田角陸は社長就任(2017年5月)から9期目(2025年5月時点)
  • ANYCOLOR FY23通期決算説明資料 / 決算説明会QA
    • [46]英語圏競合として米Hololive Productionの英語圏事業が存在(決算説明会の論点)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [47]田角陸は2025年時点で29歳(1996年2月3日生まれ)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [48]田角陸は社長就任(2017年5月)から9期目(2025年5月時点)

ANYCOLORの沿革2017〜2023年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
田角陸いちからを設立
田角陸VTuberグループ「にじさんじ」の始動を発表★★
田角陸アプリ事業から所属ライバーの運営へ——創業1年での主力事業の入れ替え売るはずのアプリと、その宣伝役に採ったタレント——どちらを本業にするかを田角陸氏はどう決めたか 詳細を読む★★★
田角陸「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
田角陸「にじさんじ」専用オンラインショップ「にじさんじオフィシャルストア」を開設
田角陸インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
田角陸英語圏「NIJISANJI EN」始動 + 商号をいちからからANYCOLORに変更★★
田角陸タレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始
田角陸海外4極から2極への絞り込み——インド休止とインドネシア・韓国グループの本体統合9か月で4つの国・言語圏へ広げた事務所を、田角陸氏はなぜ3年で英語圏と中国に絞ったか 詳細を読む★★★
田角陸東京証券取引所グロース市場に株式を上場★★
田角陸東京証券取引所プライム市場に指定替え
出典・参考
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【株価の推移】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【コーポレート・ガバナンスの状況等】
  • ANYCOLOR FY23通期決算説明資料 / 決算説明会QA

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