ANYCOLOR の歴史

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田角陸氏の起業からにじさんじ運営まで

創業 2017年
創業者 田角陸
創業地 東京都新宿区
創業 2017年5月、田角陸氏が東京都新宿区にいちから株式会社を資本金100万円で設立
2017年5月、田角陸氏が東京都新宿区にいちから株式会社を資本金100万円で設立した。早稲田大学を休学しての創業で、当時21歳、社員は本人1名である。在学前にガイアックスでマーケティングのインターンを経験し、そのまま起業へ向かった。初代の事業はVR元年と呼ばれた当時のVR・MRデバイス向けアプリ開発で、同年11月には本店を渋谷区へ移している。守るべき顧客も設備も持たない小資本の会社であり、事業を入れ替える速さだけが手元にあった。
決断 宣伝のために採用した演者が、宣伝する商品より先に支持を得た。2018年1月にVT
宣伝のために採用した演者が、宣伝する商品より先に支持を得た。2018年1月にVTuberグループ"にじさんじ"の始動を発表し、翌2月にiPhone X向けアプリを公開する。顔認識で利用者の表情をキャラクターへ反映して配信できる仕組みで、同じ2月にはオーディションで採用した1期生8名が活動を始めた。支持を集めたのは売り物のアプリではなく、宣伝役の8名だった。いちからはアプリの提供を主力から外し、創業から1年足らずでタレントの運営を主力に据える。2018年5月と6月に派生グループを設けたものの、12月には3グループを"にじさんじ"へ統合し、国内の所属ライバーを一つの名の下へ集約した。配信の場を自ら持たず他社の動画サービスに載せたことが、費用を演者の採用と育成へ集中させる構成を可能にした。
現況 売っているのは配信そのものではなく、配信で名を売った演者に付く物である。2020
売っているのは配信そのものではなく、配信で名を売った演者に付く物である。2020年9月に専用オンラインショップ、10月に有料ファンクラブを開設し、無料の配信で集めた視聴者から別の形で代金を回収する構成を作った。2020年4月期には国内コマース領域の15億円が国内ライブストリーミング領域の12億円を上回り、2022年4月期には66億円と全体の47%を占める。2026年4月期の売上高は556億円、営業利益は201億円で、営業利益率は36.2%にあたる。上場直前期にあたる2022年4月期の141億円・41億円からは4期で3.9倍・4.8倍となった。無料の配信を宣伝に使い、その先の物販と有料会員で代金を回収する順序が、従業員677名の会社に200億円の営業利益を残している。
競合 相手は同業の事務所だけでなく、事務所に属さない個人の演者でもある。2018年当時
相手は同業の事務所だけでなく、事務所に属さない個人の演者でもある。2018年当時、VTuberは個人で活動するのが常だった。ANYCOLORはマネジメント・配信・グッズ・海外展開までを事務所が一手に担い、制作と宣伝の費用を会社側へ移している。同じ運営を採るカバーが国内で並び、演者の獲得と育成が競争の焦点になった。2021年6月には自社で演者を育てるバーチャル・タレント・アカデミーを始めた。海外は2019年に4つの国・言語圏へ広げたが、2021年4月にインドを休止し、2022年2月に発表して同年4月にインドネシアと韓国のグループを本体へ統合した。英語圏は2024年4月期第3四半期に売上が前年同期比40.3%減となった。演者が個人でも配信できる以上、事務所が取り分を受け取れるのは、個人では負えない費用を肩代わりしている間にかぎられる。
長期業績の推移 2022〜2026年
ANYCOLOR:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2022年4月期2025年4月期

第1章 2017年〜 学生起業からVTuber事務所モデルの確立まで──「いちから」の事業転換

筆者考察y.sugiura, author

いちからが2018年に行ったのは、売れない製品からの撤退ではない。会社が本業として売るつもりで作ったアプリ"にじさんじ"を下ろし、その販促のために採用した8名のライバーのほうを本業へ引き上げた入れ替えであった。宣伝の手段が売り物を追い越したとき、多くの会社は本業を守りながら副次的な人気を使おうとする。田角陸氏は逆の順序を採った。設立から1年に満たず、2018年4月期の売上高が1,662万円、経常損益が396万円の赤字という規模であったことが、この入れ替えを軽くした。守るものが無い時期にしか通らない判断であった。

この選択は、会社の資産の置き場所も決めている。ツールを売る会社であれば資産はソフトウェアに宿るが、ライバーを預かる会社では、資産はキャラクターの設計と演者個人との関係の上に置かれる。いちからはアバターと名称と配信アカウントを自社に残し、演者へは貸与した。この型は複製が利く。2019年4月から12月までの9か月間で中国・インドネシア・インド・韓国へ同じ形を敷けたのは、工場も店舗も要らなかったからである。ただし従業員は2019年4月期で48人にとどまり、広げた枠を支える手は伴っていなかった。速さと薄さは同じ型から生まれている。

いちからの売上高 2018年4月期〜2019年4月期(単体)(百万円)

16.62 18年4月期 866.52 19年4月期
  • 出所は ANYCOLOR 有価証券報告書(2018年4月期・2019年4月期・単体)。

2017年〜田角陸氏の創業──VR・MRアプリ開発からの出発

2017年5月、田角陸氏が東京都新宿区にいちから株式会社を資本金100万円で設立した。田角氏は1996年2月3日の生まれで、設立の時点では21歳であった。早稲田大学に在学しており、休学しての創業であった。在学中にガイアックスでマーケティングのインターンを経験し、そのまま起業へ向かった。最初に手がけた事業は、VR元年と呼ばれた当時のVR・MRデバイス向けアプリの開発であった資本金100万円という規模は、外部からの大型調達を前提としない出発であったことを示している。同年11月、本店を新宿区から渋谷区へ移した

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2017年5月、東京都新宿区においていちから株式会社を資本金100万円で設立
    • [6]2017年11月、東京都新宿区から東京都渋谷区に本店移転
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [2]田角陸氏は1996年2月3日生まれ
  • Business Insider Japan(2022年6月8日)
    • [3]2017年に早稲田大学の学生であった田角陸氏がいちから株式会社を設立した
  • THE BRIDGE(2019年9月)
    • [4]田角陸氏は学生時代にガイアックスでマーケティングのインターンを経験した
    • [5]いちから株式会社は創業当初、VR・MRデバイス向けアプリの開発を手がけた

田角陸氏がVTuber事業への参入を決めた読みは、配信の時代がアニメ的な表現にも及ぶというものであった。参入の判断は、アニメ業界にもYouTube配信の時代がやってくるという見立てに立っていた。手段としてライブ配信を選んだ理由も同じ見立ての延長にあり、同じ時間を共有できればファン同士も一緒に盛り上がれるという読みであった。インターネットを通じて誰もが発信者となり、ライブストリーミングによって視聴者がリアルタイムで反応を返せる双方向のメディアが、新しい形態として現れていた収録済みの動画ではなく配信の同時性に価値を置いた点が、参入の時期を決めたとみられる。

  • Forbes JAPAN(2020年11月16日)
    • [7]田角陸氏は「アニメ業界にも、YouTube配信の時代がやってくる」と確信してVTuber事業への参入を決めた
    • [8]ファンの熱量を得る手段としてライブ配信を採用し、同じ時間を共有することでファン同士も一緒に盛り上がれると考えた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [9]インターネットを通じて誰もが発信者となり、ライブストリーミングによって視聴者がリアルタイムで反応できる双方向性のメディアが新しいメディアの形態として出現したと会社は説明している

2018年1月、いちからはVTuberグループ"にじさんじ"の始動を発表し、ライバーの募集を開始した。翌2月8日には、iPhone Xの顔認識機能を使って利用者の表情をキャラクターへ反映させ、そのまま配信できるアプリ"にじさんじ"を公開した。誰でもVTuberになれる道具を売る構想であり、売り物はアプリのほうであった。同じ2月、そのアプリの宣伝役として、オーディションで採用したライバーを"にじさんじ1期生"として起用した。第1期の所属VTuber8名は、公式バーチャルYouTuberとして動画投稿とライブ配信を始めた。会社にとっては販促の手段であり、事業の中心ではなかった。

参考文献[1]-[13]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2017年5月、東京都新宿区においていちから株式会社を資本金100万円で設立
    • [6]2017年11月、東京都新宿区から東京都渋谷区に本店移転
    • [10]2018年1月、VTuberグループ「にじさんじ」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [13]2018年2月、第1期の「にじさんじ」所属VTuber8名が活動を開始
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [2]田角陸氏は1996年2月3日生まれ
  • Business Insider Japan(2022年6月8日)
    • [3]2017年に早稲田大学の学生であった田角陸氏がいちから株式会社を設立した
    • [12]アプリの宣伝のためオーディションで採用したライバーを「にじさんじ1期生」として起用した
  • THE BRIDGE(2019年9月)
    • [4]田角陸氏は学生時代にガイアックスでマーケティングのインターンを経験した
    • [5]いちから株式会社は創業当初、VR・MRデバイス向けアプリの開発を手がけた
  • Forbes JAPAN(2020年11月16日)
    • [7]田角陸氏は「アニメ業界にも、YouTube配信の時代がやってくる」と確信してVTuber事業への参入を決めた
    • [8]ファンの熱量を得る手段としてライブ配信を採用し、同じ時間を共有することでファン同士も一緒に盛り上がれると考えた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [9]インターネットを通じて誰もが発信者となり、ライブストリーミングによって視聴者がリアルタイムで反応できる双方向性のメディアが新しいメディアの形態として出現したと会社は説明している
    • [11]2018年2月8日、iPhone Xの顔認識機能で表情をキャラクターに反映させ配信できるアプリ「にじさんじ」を公開した

2018年〜売り物と宣伝役の入れ替え、そしてブランドの集約

支持を集めたのは、売り物のアプリではなく宣伝役の1期生のほうであった。いちからはこの結果を受けてアプリの提供を主力から外し、ライバーを預かるタレント事業へ主力を移した。配信の道具を供給する立場から、演者個人の力に依拠するマネジメントへ移す判断であった。アプリの提供は会社の沿革からも姿を消し、そこに残されたのはVTuberグループの始動とライバーの活動開始の記録だけであった。会社は各VTuberのチャンネルから稼得された収益のうち一部をライバーへ支払うこととし、演者を抱える費用を稼ぎに連動させた2018年4月期の売上高は1,662万円、経常損益は396万円の赤字にとどまっており、守るべき既存事業も雇用も小さかったことが入れ替えを容易にしたと推察される。

  • Business Insider Japan(2022年6月8日)
    • [14]アプリの宣伝役であった「にじさんじ1期生」がアプリ本体を上回る支持を集めた
    • [15]1期生が人気を集めたためアプリの提供を主力から外し、タレント事業の運営へ切り替えた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [16]有価証券報告書【沿革】には2018年1月の「にじさんじ」始動発表とライバー募集開始、2018年2月の第1期所属VTuber8名の活動開始が記載され、アプリ「にじさんじ」の提供についての記載はない
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [17]ライバーに対しては、各VTuberのYouTubeチャンネルから稼得された収益のうち一部を支払う
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2018年4月期・単体)
    • [18]2018年4月期(第1期)の売上高は16.62百万円、経常損益は3.96百万円の赤字であった

2018年5月、いちからはゲーム配信に特化したVTuberグループ"にじさんじゲーマーズ"を開始し、6月には候補生で構成する"にじさんじSEEDs"を加えた。対象を分けた枠を並べ、募集と育成の間口を広げる狙いであった。ところが同年12月、"にじさんじ""にじさんじゲーマーズ""にじさんじSEEDs"の3グループを"にじさんじ"へ統合し、国内の所属ライバーを単一のブランドの下に置いた。派生グループを設けてから統合までは7か月であった枠を分けて広げるより、一つの名前へ視聴者を集めるほうが回遊を生むと判じたのであろう。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [19]2018年5月、ゲーム配信者に特化したVTuberグループ「にじさんじゲーマーズ」を開始
    • [20]2018年6月、「にじさんじ」の候補生により構成される「にじさんじSEEDs」を開始
    • [21]2018年12月、「にじさんじ」「にじさんじゲーマーズ」「にじさんじSEEDs」の3グループを「にじさんじ」に統合
    • [22]派生グループの開始は2018年5月・6月、3グループの統合は2018年12月であった

単一ブランドへの集約は、業績の立ち上がりと重なった。2019年4月期の売上高は8億6,652万円、経常利益は4,726万円となり、前期の赤字から転じた。事務所としての形もこの時期に定まった。会社はVTuberの容姿を含むキャラクター設定を自ら設計し、オーディションで選んだライバーと業務委託契約を結んだうえで、アバター・VTuberの名称・自宅から配信できるツール・配信アカウントを貸与する仕組みを採った。演者は個人として活動しながら、キャラクターの権利と配信の基盤は会社の側に残る。この構造が、翌年からの海外展開で国ごとに複製される型となった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2019年4月期・単体)
    • [23]2019年4月期の売上高は866.52百万円、経常利益は47.26百万円であった
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [24]新規VTuberのデビューにあたり会社がキャラクター設定を設計し、オーディションで選ばれたライバーと業務委託契約を締結したうえで、アバター・VTuberの名称・自宅から2Dおよび3Dでの配信を可能にするツール・配信アカウントおよびSNSアカウントを貸与している
参考文献[14]-[24]
  • Business Insider Japan(2022年6月8日)
    • [14]アプリの宣伝役であった「にじさんじ1期生」がアプリ本体を上回る支持を集めた
    • [15]1期生が人気を集めたためアプリの提供を主力から外し、タレント事業の運営へ切り替えた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [16]有価証券報告書【沿革】には2018年1月の「にじさんじ」始動発表とライバー募集開始、2018年2月の第1期所属VTuber8名の活動開始が記載され、アプリ「にじさんじ」の提供についての記載はない
    • [19]2018年5月、ゲーム配信者に特化したVTuberグループ「にじさんじゲーマーズ」を開始
    • [20]2018年6月、「にじさんじ」の候補生により構成される「にじさんじSEEDs」を開始
    • [21]2018年12月、「にじさんじ」「にじさんじゲーマーズ」「にじさんじSEEDs」の3グループを「にじさんじ」に統合
    • [22]派生グループの開始は2018年5月・6月、3グループの統合は2018年12月であった
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [17]ライバーに対しては、各VTuberのYouTubeチャンネルから稼得された収益のうち一部を支払う
    • [24]新規VTuberのデビューにあたり会社がキャラクター設定を設計し、オーディションで選ばれたライバーと業務委託契約を締結したうえで、アバター・VTuberの名称・自宅から2Dおよび3Dでの配信を可能にするツール・配信アカウントおよびSNSアカウントを貸与している
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2018年4月期・単体)
    • [18]2018年4月期(第1期)の売上高は16.62百万円、経常損益は3.96百万円の赤字であった
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2019年4月期・単体)
    • [23]2019年4月期の売上高は866.52百万円、経常利益は47.26百万円であった

2019年〜配信予定の集約と、9か月で4つの国・言語圏へ

2019年2月、いちからは"にじさんじ"の配信スケジュールサイト"いつから.link"のウェブブラウザ版の提供を開始し、4月にはiOS・Android向けのアプリ版を加えた。所属ライバーが増えるほど、視聴者は誰がいつ配信するかを追いきれなくなる。配信予定を一か所へ集めるこの仕組みは、個々の演者のチャンネルを横断してグループ全体へ視聴を回す装置であった。かつて売り物であったアプリが配信を作る道具だったのに対し、ここで作られたアプリは配信を見つける道具であった。会社が投じる開発資源の向き先が、供給側から視聴側へ移った局面であった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2019年2月、「にじさんじ」の配信スケジュールサイト「いつから.link」のウェブブラウザ版の提供を開始
    • [26]2019年4月、「いつから.link」のiOS・Androidアプリ版の提供を開始

国内の型が固まると、いちからは同じ形を国外へ複製しにかかった。2019年4月、中国におけるVTuberグループ"VirtuaReal Project"の始動を発表し、ライバーの募集を開始した。デビュー後の主な活動の場には中国の動画共有サイト"bilibili"を想定し、国内とは別のグループ名で立ち上げた。続けて7月にインドネシアの"NIJISANJI ID"、11月にインドの"NIJISANJI IN"、12月に韓国の"NIJISANJI KR"を発表し、いずれもライバーの募集を始めた。4月から12月までの9か月間に、4つの国・言語圏へ枠を置いたことになる

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [27]2019年4月、中国におけるVTuberグループ「VirtuaReal Project」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [29]2019年7月、インドネシアにおけるVTuberグループ「NIJISANJI ID」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [30]2019年11月、インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [31]2019年12月、韓国におけるVTuberグループ「NIJISANJI KR」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [32]2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外VTuberグループを立ち上げた
  • いちから ニュースリリース 2019年4月19日「いちから、中国へ本格進出!「VirtuaReal Project」始動!」
    • [28]VirtuaReal Projectのライバーはデビュー後、中国の動画共有サイト「bilibili」を主な活動の場とする予定とされた

海外への展開は、国・言語圏ごとに別のブランドを置いて行われた。会社が担うのは演者の募集と育成だけではない。自宅から配信可能な機材の貸与、配信スタジオの提供、動画内で使用される社外の著作物に関する権利確認、各種ガイドラインに沿った研修の実施までが会社側の仕事であった。そのため各グループを支える体制も、国ごとに分かれて積み上がることとなった。従業員数は2019年4月期の時点で48人にとどまっており、4つの海外グループと国内のグループを同時に抱えるには薄い陣容であった。設立から2年半で、いちからはアプリの開発会社からVTuberの事務所へ姿を変え、その型を4つの国外市場へ同時に敷いた。広げる速さと、それを支える体制の薄さが、次の局面で同時に問われることとなる。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [33]海外のVTuberグループは国・言語圏ごとに「VirtuaReal」「NIJISANJI ID」「NIJISANJI IN」「NIJISANJI KR」と別のグループ名で設けられた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [34]会社は所属VTuberに対し、自宅から配信可能な機材の貸与や配信スタジオの提供、動画内で使用される社外の著作物に関する権利確認や各種ガイドラインに沿った研修の実施等を行っている
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [35]2019年4月期の従業員数は48人であった
参考文献[25]-[35]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2019年2月、「にじさんじ」の配信スケジュールサイト「いつから.link」のウェブブラウザ版の提供を開始
    • [26]2019年4月、「いつから.link」のiOS・Androidアプリ版の提供を開始
    • [27]2019年4月、中国におけるVTuberグループ「VirtuaReal Project」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [29]2019年7月、インドネシアにおけるVTuberグループ「NIJISANJI ID」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [30]2019年11月、インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [31]2019年12月、韓国におけるVTuberグループ「NIJISANJI KR」の始動を発表し、ライバー募集を開始
    • [32]2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外VTuberグループを立ち上げた
    • [33]海外のVTuberグループは国・言語圏ごとに「VirtuaReal」「NIJISANJI ID」「NIJISANJI IN」「NIJISANJI KR」と別のグループ名で設けられた
  • いちから ニュースリリース 2019年4月19日「いちから、中国へ本格進出!「VirtuaReal Project」始動!」
    • [28]VirtuaReal Projectのライバーはデビュー後、中国の動画共有サイト「bilibili」を主な活動の場とする予定とされた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [34]会社は所属VTuberに対し、自宅から配信可能な機材の貸与や配信スタジオの提供、動画内で使用される社外の著作物に関する権利確認や各種ガイドラインに沿った研修の実施等を行っている
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [35]2019年4月期の従業員数は48人であった

第2章 2020年〜 コロナ下の需要拡大と海外の絞り込み──ANYCOLORへの商号変更と東証グロース上場

筆者考察y.sugiura, author

2020年からの3年でANYCOLORが向き合ったのは、需要の不足ではなく需要の過多であった。2020年4月期に34億7,870万円だった売上高は2022年4月期に141億6,414万円となり、営業利益率は1.3%から29.6%へ上がった。伸ばしたのは演者の数ではない。国内で活動するVTuber数は2021年4月期103名、2022年4月期109人と微増にとどまり、会社は所属数の拡大よりもサポート体制の拡充を先に置いた。一人あたりから得られる収益を厚くする方向へ資源を向けたことが、この利益率の中身である。

同じ期間に、2019年に広げた海外の枠は2つへ減った。2021年4月にインドの"NIJISANJI IN"が止まり、2022年4月にはインドネシアと韓国のグループが国内の"にじさんじ"へ吸収された。残したのは英語圏の"NIJISANJI EN"と中国の"VirtuaReal"の2つである。国・言語圏ごとに別ブランドを置く方式は、始めるのも止めるのも軽い。だが絞ることは、残した市場への依存を深める行いでもあった。海外を含む"その他領域"が売上高の2.5%にすぎない段階で上場したANYCOLORは、以後この2極の成否を市場から直接に問われることになる。

ANYCOLORの売上高 2020年4月期〜2022年4月期(単体)(百万円)

3,478.7 20年4月期 7,636 21年4月期 14,164.1 22年4月期
  • 出所は ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】。

2020年〜オフラインの停止と、ゲーム配信の権利処理

2020年3月、いちからは本店を渋谷区から千代田区へ移した。その直後から、新型コロナウイルスの感染拡大が事業を両側から揺らした。会社は影響として、オフラインでのイベント開催の中止とそれに伴うグッズの販売中止、一部の企業案件の商談期間の長期化を挙げた。一方で、社会的な在宅勤務等の増加により動画の視聴時間が増えるというプラスの影響も同時に生じた。2020年4月期の売上高は34億7,870万円、経常利益は4,201万円であった。売上は前期の4倍に達したが、利益はほとんど残らなかった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [36]2020年3月、東京都渋谷区から東京都千代田区に本店移転
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業等のリスク】
    • [37]新型コロナウイルス感染症の事業への影響として、オフラインでのイベント開催の中止やそれに伴うグッズの販売中止、一部の企業案件の商談期間の長期化等があった
    • [38]社会的な在宅勤務等の増加により、動画視聴時間が増加する等のプラスの影響も生じていると会社は説明した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2020年4月期・単体)
    • [39]2020年4月期の売上高は3,478.7百万円、経常利益は42.01百万円であった

配信を主たる収益源とする事業は、他社の著作物の上に立つ。ゲームの実況配信がその代表であり、権利者の許諾なしに続ければ足元が崩れる。2020年6月1日、いちからは任天堂と著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結した任天堂は個人向けにゲーム実況のガイドラインを公開していたが法人団体は対象外であり、いちからは法人として初めて包括的許諾を受けたと自社で発表した。演者を預かる会社が個人の立場を離れた以上、個人向けの枠組みからは外れる。事業の規模が大きくなるほど権利処理を先に片づける必要が生じる構図が、この契約に表れていた。

  • いちから ニュースリリース 2020年6月1日「VTuberグループ「にじさんじ」を運営するいちからが、任天堂株式会社の著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結」
    • [40]2020年6月1日、いちからは任天堂と著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結した
    • [41]任天堂は個人向けにゲーム実況のガイドラインを公開していたが法人団体は対象外であり、いちからは法人として初めて包括的許諾を受けたと自社リリースで発表した

同じ2020年、いちからは配信の外側に収益の取り口を増やした。6月に"にじさんじ"の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設し、9月には専用のオンラインショップ"にじさんじオフィシャルストア"を設けた。10月からは公式ファンクラブ"にじさんじFAN CLUB"の提供を始め、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを備えた。2020年4月期の領域別売上高は、国内コマース領域が15億1,933万円、国内ライブストリーミング領域が12億3,871万円であった配信そのものより、配信の周辺で売る物のほうが大きい構造が、この時点で既にできていた。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [42]2020年6月、「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
    • [43]2020年9月、「にじさんじ」専用のオンラインショップである「にじさんじオフィシャルストア」を開設
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [44]2020年10月より提供を開始した公式ファンクラブ「にじさんじFAN CLUB」は、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを備える
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [45]2020年4月期の領域別売上高は国内コマース領域1,519,334千円、国内ライブストリーミング領域1,238,714千円
参考文献[36]-[45]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [36]2020年3月、東京都渋谷区から東京都千代田区に本店移転
    • [42]2020年6月、「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
    • [43]2020年9月、「にじさんじ」専用のオンラインショップである「にじさんじオフィシャルストア」を開設
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業等のリスク】
    • [37]新型コロナウイルス感染症の事業への影響として、オフラインでのイベント開催の中止やそれに伴うグッズの販売中止、一部の企業案件の商談期間の長期化等があった
    • [38]社会的な在宅勤務等の増加により、動画視聴時間が増加する等のプラスの影響も生じていると会社は説明した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2020年4月期・単体)
    • [39]2020年4月期の売上高は3,478.7百万円、経常利益は42.01百万円であった
  • いちから ニュースリリース 2020年6月1日「VTuberグループ「にじさんじ」を運営するいちからが、任天堂株式会社の著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結」
    • [40]2020年6月1日、いちからは任天堂と著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結した
    • [41]任天堂は個人向けにゲーム実況のガイドラインを公開していたが法人団体は対象外であり、いちからは法人として初めて包括的許諾を受けたと自社リリースで発表した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
    • [44]2020年10月より提供を開始した公式ファンクラブ「にじさんじFAN CLUB」は、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを備える
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [45]2020年4月期の領域別売上高は国内コマース領域1,519,334千円、国内ライブストリーミング領域1,238,714千円

2021年〜人を増やさぬ増益と、商号の変更

2021年4月期の売上高は76億3,604万円、経常利益は14億5,100万円となった。営業利益率は前期の1.3%から19.0%へ上がった。伸びを支えたのは人数の増加ではなかった。日本国内で活動するVTuber数は99名から103名へ4名増えたにとどまり、従業員数も150人から156人への増加であった。一方でYouTubeの再生時間(日本)は2億7,200万時間から4億9,600万時間へ倍近くに伸び、国内コマース領域の売上高も15億1,933万円から33億5,535万円へ増えた既にいる演者一人あたりから得られる収益が厚くなったことが、利益率の跳ね上がりの中身であった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [46]売上高は2020年4月期3,478,701千円から2021年4月期7,636,041千円へ、経常利益は42,014千円から1,451,000千円へ増加した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [47]営業利益は2020年4月期44,267千円(営業利益率1.3%)から2021年4月期1,452,015千円(営業利益率19.0%)へ増加した
    • [48]VTuber数(日本)は2020年4月期99名から2021年4月期103名、従業員数は150人から156人となった
    • [49]YouTube再生時間(日本)は2020年4月期272百万時間から2021年4月期496百万時間へ増加した
    • [50]国内コマース領域の売上高は2020年4月期1,519,334千円から2021年4月期3,355,358千円へ増加した

2021年4月、いちからはインドにおけるVTuberグループ"NIJISANJI IN"の活動を休止した。2019年11月に始動を発表してから1年5か月であった。2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外グループを立ち上げており、そのうち最初に止められた枠がインドであった。残る3つのうち韓国とインドネシアのグループも、翌2022年4月に国内の"にじさんじ"へ統合されることとなった国・言語圏ごとに別ブランドを置いた形は、始めるのも止めるのも軽い代わりに、支える体制を国ごとに抱え込むものでもあった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [51]2021年4月、インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
    • [52]2019年11月に始動を発表したインドのVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を2021年4月に休止した
    • [53]2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外VTuberグループを立ち上げた
    • [54]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合

2021年5月、いちからは本店を千代田区から港区へ移すとともに、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社へ変更した。同じ月、英語圏におけるVTuberグループ"NIJISANJI EN"が活動を開始した。翌6月には、VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト"バーチャル・タレント・アカデミー"を始めた。オーディションで選んで預かるだけでなく、育てる段階から手を入れる仕組みであった。商号の変更は、会社の名前を運営する特定のグループ名から切り離す手当てでもあった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [55]2021年5月、東京都千代田区から東京都港区に本店移転
    • [56]2021年5月、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社に変更
    • [57]2021年5月、英語圏におけるVTuberグループ「NIJISANJI EN」が活動を開始
    • [58]2021年6月、VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始
参考文献[46]-[58]
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [46]売上高は2020年4月期3,478,701千円から2021年4月期7,636,041千円へ、経常利益は42,014千円から1,451,000千円へ増加した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [47]営業利益は2020年4月期44,267千円(営業利益率1.3%)から2021年4月期1,452,015千円(営業利益率19.0%)へ増加した
    • [48]VTuber数(日本)は2020年4月期99名から2021年4月期103名、従業員数は150人から156人となった
    • [49]YouTube再生時間(日本)は2020年4月期272百万時間から2021年4月期496百万時間へ増加した
    • [50]国内コマース領域の売上高は2020年4月期1,519,334千円から2021年4月期3,355,358千円へ増加した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [51]2021年4月、インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
    • [52]2019年11月に始動を発表したインドのVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を2021年4月に休止した
    • [53]2019年4月から12月までの9か月間に中国・インドネシア・インド・韓国の4つの海外VTuberグループを立ち上げた
    • [54]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合
    • [55]2021年5月、東京都千代田区から東京都港区に本店移転
    • [56]2021年5月、商号をいちから株式会社からANYCOLOR株式会社に変更
    • [57]2021年5月、英語圏におけるVTuberグループ「NIJISANJI EN」が活動を開始
    • [58]2021年6月、VTuberとして活躍するためのタレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始

2022年〜海外2極化と、東証グロース市場への上場

2022年2月17日、ANYCOLORはインドネシアの"NIJISANJI ID"と韓国の"NIJISANJI KR"を国内の"にじさんじ"へ統合すると発表した。掲げた理由は、グループのサポート体制を強固でより効率の良いものにすることであった。両グループは国内の"にじさんじ"とは別のグループとして運営されており、統合にあたっては両グループの公式アカウントの更新停止を要した。統合は2022年4月に実施された。英語圏の"NIJISANJI EN"と中国の"VirtuaReal"は統合の対象から外れて別グループとして運営が続き、海外の枠は4極から2極へ絞られた。

  • ANYCOLOR ニュースリリース 2022年2月17日「海外VTuberグループ「NIJISANJI ID」「NIJISANJI KR」、国内VTuberグループ「にじさんじ」への統合に関するお知らせ」
    • [59]2022年2月17日、NIJISANJI ID・KRを「にじさんじ」へ統合すると発表した
    • [60]統合の理由として「グループのサポート体制を、強固でより効率の良いものにするため。」と説明した
    • [61]NIJISANJI ID・KRは国内「にじさんじ」とは別のグループとして運営され、統合にあたっては両グループの公式アカウントの更新停止を要した
    • [63]NIJISANJI EN(英語圏中心)とVirtuaReal(中国VTuberグループ)は統合対象外とされ、別グループとして今後も運営を継続するとされた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [62]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合

2022年4月期の売上高は141億6,414万円で前期比85.5%増、営業利益は41億9,107万円で同188.6%増となり、営業利益率は29.6%に達した。当期純利益は27億9,306万円であった。この期の運営は所属VTuber数の増加よりもサポート体制の拡充を優先しており、日本国内で活動するVTuber数は前期比6名増の109人にとどまった。演者を増やさずに売上を8割伸ばしたことになる。従業員数は230人まで増え、平均年齢は30.1歳、平均勤続年数は1.6年、平均年間給与は516万6千円であった。海外を含む"その他領域"の売上高は3億5,130万円で、売上高合計の2.5%にすぎなかった

  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [64]2022年4月期の売上高14,164,140千円(前期比85.5%増)、営業利益4,191,075千円(前期比188.6%増)、営業利益率29.6%
    • [66]所属VTuber数の増加よりもVTuberサポート体制の拡充を優先した運営を行い、日本国内で活動するVTuber数は109人(前期比6名増)となった
    • [67]2022年4月30日現在の従業員数230人、平均年齢30.1歳、平均勤続年数1.6年、平均年間給与5,166千円
    • [68]2022年4月期の「その他領域」(インドネシア、韓国、中国でのVTuberビジネス等を含む)の売上高は351,307千円で、売上高合計14,164,140千円の2.5%
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [65]2022年4月期の経常利益は4,149,013千円、当期純利益は2,793,063千円であった

2022年6月8日、ANYCOLORは東京証券取引所グロース市場へ株式を上場した。設立は2017年5月であり、5年1か月での上場であった。上場にあたっては一般募集(ブックビルディング方式)で普通株式50,000株を発行し、発行価格は1株につき1,530円とした。上場の時点で田角陸氏は26歳であり、2017年5月の設立時から代表取締役CEOを務めていた。2022年4月30日現在の大株主は田角陸氏が46.86%を保有し、LC FUND VIII, L.Pが11.18%、HODE HK Limitedが7.98%、Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合が7.51%、ソニー・ミュージックエンタテインメントが5.59%と続いた創業者が過半に近い持分を握ったままの上場であった。

  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [69]2022年6月8日付で東京証券取引所グロース市場に株式を上場した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [70]設立は2017年5月、東京証券取引所グロース市場への上場は2022年6月8日であった
    • [71]上場にあたり一般募集(ブックビルディング方式)で普通株式50,000株を発行、発行価格は1株につき1,530円
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [72]田角陸氏は1996年2月3日生まれで、上場日の2022年6月8日時点では26歳であった
    • [73]田角陸氏は2017年5月の当社設立時に代表取締役CEOへ就任し、現任である
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [74]2022年4月30日現在の大株主は田角陸46.86%(14,031,810株)、LC FUND VIII, L.P 11.18%、HODE HK Limited 7.98%、Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合 7.51%、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 5.59%
参考文献[59]-[74]
  • ANYCOLOR ニュースリリース 2022年2月17日「海外VTuberグループ「NIJISANJI ID」「NIJISANJI KR」、国内VTuberグループ「にじさんじ」への統合に関するお知らせ」
    • [59]2022年2月17日、NIJISANJI ID・KRを「にじさんじ」へ統合すると発表した
    • [60]統合の理由として「グループのサポート体制を、強固でより効率の良いものにするため。」と説明した
    • [61]NIJISANJI ID・KRは国内「にじさんじ」とは別のグループとして運営され、統合にあたっては両グループの公式アカウントの更新停止を要した
    • [63]NIJISANJI EN(英語圏中心)とVirtuaReal(中国VTuberグループ)は統合対象外とされ、別グループとして今後も運営を継続するとされた
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
    • [62]2022年4月、インドネシアの「NIJISANJI ID」と韓国の「NIJISANJI KR」を、VTuberグループ「にじさんじ」に統合
    • [69]2022年6月8日付で東京証券取引所グロース市場に株式を上場した
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
    • [64]2022年4月期の売上高14,164,140千円(前期比85.5%増)、営業利益4,191,075千円(前期比188.6%増)、営業利益率29.6%
    • [66]所属VTuber数の増加よりもVTuberサポート体制の拡充を優先した運営を行い、日本国内で活動するVTuber数は109人(前期比6名増)となった
    • [67]2022年4月30日現在の従業員数230人、平均年齢30.1歳、平均勤続年数1.6年、平均年間給与5,166千円
    • [68]2022年4月期の「その他領域」(インドネシア、韓国、中国でのVTuberビジネス等を含む)の売上高は351,307千円で、売上高合計14,164,140千円の2.5%
    • [70]設立は2017年5月、東京証券取引所グロース市場への上場は2022年6月8日であった
    • [71]上場にあたり一般募集(ブックビルディング方式)で普通株式50,000株を発行、発行価格は1株につき1,530円
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [65]2022年4月期の経常利益は4,149,013千円、当期純利益は2,793,063千円であった
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
    • [72]田角陸氏は1996年2月3日生まれで、上場日の2022年6月8日時点では26歳であった
    • [73]田角陸氏は2017年5月の当社設立時に代表取締役CEOへ就任し、現任である
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
    • [74]2022年4月30日現在の大株主は田角陸46.86%(14,031,810株)、LC FUND VIII, L.P 11.18%、HODE HK Limited 7.98%、Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合 7.51%、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 5.59%

第3章 2023-2026 (気が向いたら執筆します!) プライム市場への区分変更と、配当を始めた成熟期

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歴史年表 2017〜2023年

ANYCOLORの沿革2017〜2023年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
2017〜2019年学生起業からVTuber事務所モデルの確立まで──「いちから」の事業転換田角陸いちからを設立
田角陸VTuberグループ「にじさんじ」の始動を発表★★
田角陸アプリ事業から所属ライバーの運営へ——創業1年での主力事業の入れ替え

2018年、いちから株式会社(現ANYCOLOR)が、誰でもVTuberになれるiPhone向けアプリ"にじさんじ"を売る事業から、そのアプリの宣伝のために採用したライバーを預かるタレント事業へ主力を移した経営判断。創業者の田角陸氏が主導し、同年末までに派生グループを"にじさんじ"の単一ブランドへ集約した。

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★★★
2020〜2022年コロナ下の需要拡大と海外の絞り込み──ANYCOLORへの商号変更と東証グロース上場田角陸「にじさんじ」の英語圏に向けた公式YouTubeチャンネルを開設
田角陸「にじさんじ」専用オンラインショップ「にじさんじオフィシャルストア」を開設
田角陸インドにおけるVTuberグループ「NIJISANJI IN」の活動を休止
田角陸英語圏「NIJISANJI EN」始動 + 商号をいちからからANYCOLORに変更★★
田角陸タレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」を開始
田角陸海外4極から2極への絞り込みと、インドネシア・韓国グループの本体統合

2022年2月17日、ANYCOLORが、インドネシアの"NIJISANJI ID"と韓国の"NIJISANJI KR"を国内の"にじさんじ"へ統合すると発表した経営判断。前年のインド"NIJISANJI IN"活動休止と合わせ、2019年に4つの国・言語圏へ同時に広げた海外グループを、英語圏の"NIJISANJI EN"と中国の"VirtuaReal"の2つに絞った。

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★★★
田角陸東京証券取引所グロース市場に株式を上場★★
2023〜2026年プライム市場への区分変更と、配当を始めた成熟期田角陸東京証券取引所プライム市場に指定替え
出典・参考 17件
出典・参考
  • いちから ニュースリリース 2018年2月8日「iPhoneXのAnimojiで簡単バーチャルYouTuberの「にじさんじ」から公式バーチャルYouTuber8人始動!!」
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2018年4月期・単体)
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2019年4月期・単体)
  • いちから ニュースリリース 2019年4月19日「いちから、中国へ本格進出!「VirtuaReal Project」始動!」
  • ANYCOLOR 有価証券報告書(2020年4月期・単体)
  • いちから ニュースリリース 2020年6月1日「VTuberグループ「にじさんじ」を運営するいちからが、任天堂株式会社の著作物の利用に関する包括的許諾契約を締結」
  • ANYCOLOR ニュースリリース 2022年2月17日「海外VTuberグループ「NIJISANJI ID」「NIJISANJI KR」、国内VTuberグループ「にじさんじ」への統合に関するお知らせ」
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【沿革】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【役員の状況】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業の内容】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【事業等のリスク】
  • ANYCOLOR 有価証券報告書
  • ANYCOLOR 有価証券報告書【大株主の状況】
  • THE BRIDGE(2019年9月)
  • Forbes JAPAN(2020年11月16日)
  • Business Insider Japan(2022年6月8日)

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