【筆者所感】 マッキンゼーで35歳のパートナーになった谷村格は、ヘルスケアコンサルタントとして見続けてきた業界課題を解くため2000年9月に独立した。その課題とは、製薬MR8万5千人と医師との非効率なマッチングをインターネットで解消することだった。ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)の出資を受けたソネット・エムスリー株式会社として東京都品川区に設立した。最初の主力サービスMR君は、複数の製薬会社が1つのプラットフォームを共有する世界的にも例のない設計で、ネットを介したビジネスモデル特許まで取得するに至った。創業から4年後にあたる2004年9月には東京証券取引所マザーズ市場への株式上場を果たし、医師と製薬会社をつなぐ独自のプラットフォーム事業者として、本格的な成長フェーズへと踏み出した。
そこから25年、エムスリーは日本の医師の半数以上を会員化した医師ポータルを軸に、治験・電子カルテ・人材・欧米の医薬品情報データベースへ領域を広げた。2011年の英Doctors.net.uk買収を皮切りに現地ポータルを買い集めるM&Aモデルも確立した。コロナ禍では連結売上2,082億円・営業利益951億円を記録し、営業利益率は45.7%という事業会社としては極端な水準に達したが、対面営業の回復とともに反動が訪れ、利益はピークから3割以上落ちた。現在は予防医療と患者サポートを次の柱に据えて買収による領域拡大を続けており、医師を軸にしたこれまでの事業構造を患者・生活者側にまで広げようとする新しい局面に差し掛かっている。国内医師ポータルから海外医薬品情報基盤、生活者向け予防医療まで、収益源を組み替えてきた歩みが同社の耐性を示している。
歴史概略
2000年〜2006年マッキンゼーから医療コンサル卒業と独立起業
35歳のパートナーが選んだ「実業」
谷村格は1987年にマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社に入り、ヘルスケア領域のコンサルタントとして製薬・医療業界を担当し、1999年12月に同社パートナーへ昇格した。パートナー就任後に投資ファンドや別ファームへ移るのが通例のなかで、谷村が選んだ道は事業会社としての起業だった。2000年9月、ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)の出資を受けて「ソネット・エムスリー株式会社」を東京都品川区に設立し、自ら代表取締役兼CEOに就任した。事業構想の中心には、医師と製薬会社の情報流通に横たわる構造的な非効率を突くという問題意識が据えられた。ソニー系列の通信子会社と組んで始動した点も、当時の事業モデル作りの特徴を示している。
谷村は後年、転身の動機について「面白いことができそうだと思ったからです」(キャリアインキュベーション 2014)と振り返っている。マッキンゼー時代に医師から繰り返し聞いた、薬の効能や副作用の最新データを限られた時間で集めたいという切実な声と、製薬メーカー側の非効率なMR体制の双方を同時に見ていた体験が、起業の出発点となった。コンサルタントの立場からは解けない課題を、自ら事業を立ち上げて解決するという選択で、当時のマッキンゼー出身者の進路として主流とは言い難い。谷村は「私自身、35歳でエムスリーを起業したわけですが、『もっと早くすればよかった』と思っているほどです」(同)とも語っている。ヘルスケア領域にコンサルタントとして深く関わった経験と、業界人脈の蓄積が、事業化の環境を支えた。
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製薬MRの非効率を突いた「MR君」
設立翌月の2000年10月、エムスリーは最初の主力サービス「MR君」を立ち上げた。当時の日本には製薬会社のMRが約5万5千人、医薬品卸のMSが3万人で合計8万5千人が活動しており、医師との比率は3対1。米国の7対1と比べて効率が悪く、医師1人あたりの面談コストが大きい構造が業界全体の課題となっていた。谷村はこの仕組みの独自性について「複数の製薬会社が1つのプラットフォームを通じて、多数の医師と情報を流通できるようなサービスは、たしかに世界でも例がありません」(キャリアインキュベーション 2014)と語っている。従来は製薬会社ごとに個別のMRが医師を訪問する世界だったが、エムスリーが提案したのは複数社の情報を同じ窓口から届ける共通基盤であり、業界構造への挑戦としての色合いが濃い取り組みだった。
サービスは当初、各MRが担当医師に発信する形式で始まったが、医師がMRを指名して情報を取り出せる方式に切り替えた結果、トラフィックが伸び、3万人以上の医師が登録する「カリスマMR」も生まれた。この切り替えは、情報流通の主導権を発信側から受信側へ移すという点で、医療情報マーケティングを一段進める転換となった。2005年1月にはネットを介したビジネスモデル特許を取得し、後発の参入に対する法的な防壁も押さえた。発信型から需要駆動型へ方式を転換できた柔軟さは、後のプラットフォームビジネス全体の土台となった。医師側が能動的に情報を選び取る体験を設計した結果、会員の定着と、製薬会社から見た広告価値の向上が同時に引き出された。
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マザーズ上場までの4年間の急成長
2003年7月、社内で並行運営してきた医療情報サイト「MyMedipro」と「so-netm3.com」を統合し、医師向けポータル「m3.com」として一本化した。同年10月には米国子会社So-net M3 USA Corporationを設立し、海外展開の足場を早い時期から作っている。創業から4年後の2004年9月には東京証券取引所マザーズ市場へ株式を上場し、資本市場からの成長資金調達という手段を手に入れた。FY01(2002/3期)の連結売上15億6千万円は、上場後のFY04(2005/3期)には38億5千万円まで拡大した(有価証券報告書)。上場前後で売上規模が倍以上になった伸びが、財務データから読み取れる。インターネット黎明期の医療情報サービスとしては例外的なスピードでの規模拡大であり、業界に新しいプレーヤーを根付かせた最初のマイルストーンとなった。上場時の調達資金は、その後の海外展開と子会社化戦略の原資となった。
2005年12月には、m3.com登録医師の一部が一般消費者の質問に回答する「AskDoctors」を開始した。当時日本でセカンドオピニオンの重要性が叫ばれ始めた流れに乗り、医師ネットワークを医療従事者以外にも転用できると示した最初の事例となった。医師というネットワーク資産を複数のビジネスモデルへ展開する発想は、その後の治験支援・人材紹介・電子カルテといった多角化の基本パターンとなった。医師会員基盤を軸にしたプラットフォーム事業という同社のアイデンティティも、この頃から姿を現した。一度築いた医師ネットワークをどこまで多様なサービスへ転用できるかという問いは、その後の経営判断の中心となり、会員基盤そのものを中長期の競争優位の源泉と見なす発想が社内に浸透していった。
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2007年〜2015年国内医師の過半数を囲い込むプラットフォーム形成
ソニー系から自立した「エムスリー」へ
2007年3月、創業から7年目で東京証券取引所市場第一部へ上場市場を変更した。FY06(2007/3期)の売上は57億円、営業利益は26億円で、上場時から3年で売上1.5倍・利益2倍の成長フェーズに入っていた。2009年12月には医師・薬剤師向けの求人広告と人材紹介を行うエムスリーキャリア株式会社を設立し、ポータルから派生する人材ビジネスを子会社化した。医師ネットワークを情報流通だけでなく人材マッチングへも展開するという方向性が、この時期から経営の柱として前面に出始め、複数のマネタイズ経路を同一会員基盤から引き出すモデルが形を整えた。医師会員というネットワーク資産は複数の収益源を同時に支える共通基盤となり、経営の重心はポータル事業単体から会員ネットワーク全体の活用へ移っていった。
2010年1月、商号を「ソネット・エムスリー」から「エムスリー株式会社」に改めた。ソニー系列の冠を外し、医療従事者ネットワークを軸とした独立ブランドとして市場に立つ判断で、以後の海外M&Aや多角化はこの「エムスリー」の名で進めていった。ソニー系のプラットフォーム企業から医療系プラットフォーム企業への移行を社名として対外的に示した瞬間でもあり、投資家に対しても独立した事業会社としての自己定義を示す節目となった。医療従事者を軸とするグローバルなプラットフォーム企業として自らを置き直す宣言でもあり、海外展開を進めるうえでのブランドの一貫性を保つ基盤整備でもあった。
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ポータル一本足からの脱却と多角化
2012年10月、電子カルテの開発・販売を行う株式会社シィ・エム・エス(現エムスリーソリューションズ)を子会社化し、医療機関の現場ITに足を踏み入れた。続く2014年2月には治験業務支援の株式会社メディサイエンスプラニングを株式交換で子会社化し、製薬向けマーケティングに次ぐ収益源として治験ソリューション事業を立ち上げた。同年8月には医療機関の運営サポートを行うエムスリードクターサポート(現株式会社シーユーシー)を設立し、本業のポータル事業とは異なる現場オペレーションへも事業領域を広げた。医療現場に近い領域へ踏み込むほど求められる業務知識は深くなるが、子会社化で現場ノウハウを取り込みつつ本業との相乗効果を狙う構成は、この時期の多角化の基本パターンとなった。
セグメント開示でもこの変化は明瞭だった。FY09(2010/3期)に「医療ポータル」と分けて初めて「エビデンスソリューション」セグメントが立ち上がった。続くFY12(2013/3期)には「診療プラットフォーム」、FY14(2015/3期)には「営業プラットフォーム」が加わった(有価証券報告書)。ポータル一本足だった収益構造は、医師会員ネットワークを核とする複数セグメントのポートフォリオへ変わっていった。単一サービスへの依存から脱却する多角化戦略は、開示上の数字としても投資家から見える形で積み上がっていった。複数のセグメントが相次いで誕生する過程は、会員ネットワークをどの事業領域へも転用できるという仮説が、財務データの裏付けを得て実証されていく過程でもあった。セグメントごとの粗利と成長速度の違いも、投資家との対話の論点となった。
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英Doctors.net.uk買収という海外モデル確立
2011年8月、エムスリーは英国の医師向けポータル運営会社Doctors.net.uk Limited(現M3 (EU) Limited)を連結子会社化した。自前で海外医師を集めるのではなく、現地で既に医師ネットワークを持つポータルを買収して傘下に入れるというモデルだった。この型は、以後の中国Kingyee(2013年11月、現Medlive Technology)、フランス・ドイツ・スペインのVidal Group(2016年11月、現M3 Medical Holdings)へと繰り返す海外展開パターンの最初の事例となった。ゼロから海外ネットワークを立ち上げるのではなく、既存プレーヤーを束ねるという成長の型が、同社の海外展開の核となった。医師という国ごとの免許制のネットワークは、国境を越えて自前で集めることが極めて難しいという実務的な制約があり、既に現地で信頼を築いているプラットフォームを取り込む選択は合理的な判断として機能した。
海外セグメントは2010年度には売上15億円・利益5,500万円の小事業にすぎなかったが、FY15(2016/3期)には売上138億円・利益16億円まで拡大した。海外現地ポータルを買い集めて束ねる戦略が、国内ポータルとは別の独立した収益柱を作り上げ、M&Aを事業成長のエンジンに据えるエムスリーのスタイルがこの時期に固まった。買収対象を選ぶ基準として、既存の医師ネットワーク資産と現地での実績を重んじる姿勢が繰り返し現れ、その後の欧米買収へ直接つながった。自前主義にこだわらず、世界各地で既に機能するプラットフォームを取り込んで連携させるこの型は、同社のグローバル戦略を支える中核思想として、以後も一貫して守られた。
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2016年〜2023年欧米買収の加速とコロナ特需の反落を経た成長局面
Vidal・Wake Research による欧米治験ネットワークの構築
2016年11月、フランス・ドイツ・スペインを中心に医薬品情報データベース事業を行うVidal Groupの持株会社AXIO Medical Holdingsを連結子会社化した。欧州大陸の医薬品情報データベースという、日本のm3.comとは異なるレイヤーの資産を取り込んだ買収で、欧州事業の中核となった。続く2018年2月には、米国で治験支援を行うWake Research Holdings(現M3 Wake Research)を子会社化し、北米の治験ネットワークを獲得した。医師ポータルから医薬品情報データベース、治験ネットワークへと、海外でのレイヤーが順に広がる構図が鮮明になった。単なる情報提供から、研究開発と直結する治験支援まで、同社が提供できる価値の幅が国境を越えて広がり始めた時期でもあり、製薬会社から見た取引機会の多様化にも直接つながった。
これらの欧米買収を経て、海外セグメントの売上はFY17(2018/3期)に224億円、FY23(2024/3期)には698億円へ拡大し、連結売上の3割近くを海外が占める構造へ変わっていった。2019年3月にはインドのDailyRoundsも子会社化し、新興国の医学教育領域にも踏み込んだ。国内ポータルから出発した会社の収益構造が、欧米・新興国の複数レイヤーの買収を通じて国際的なポートフォリオへ転換していく様子が、この時期のセグメント開示から読み取れるようになった。海外部門は単なる国外売上の積み上げではなく、異なる事業モデルの束として理解する必要のある構造へ変わりつつあり、投資家との対話でも、国別ではなく事業レイヤー別の説明が求められるようになった。
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コロナで営業利益率45%、そしてその反動
2020年からのコロナ禍は、対面MR訪問の制限とオンライン医療情報需要の急増を同時に引き起こし、エムスリーのプラットフォーム事業にとって異常な追い風となった。FY20(2021/3期)の連結売上は1,692億円・営業利益580億円、続くFY21(2022/3期)には売上2,082億円・営業利益951億円と過去最高を記録した。営業利益率は45.7%で、事業会社としては極端な水準に達した(有価証券報告書)。製薬会社のデジタル販促需要が同社のプラットフォームへ流れ込んだ結果で、コロナ禍は既存事業モデルの価値を最大限に引き出す環境となった。対面でのMR訪問が制限されるほどに、医師向けオンライン情報流通の相対的な価値は高まり、もともと同社が持っていた基盤の優位性が市場全体の追い風と重なって、業績上の極端な山を形成した。
しかし対面営業の回復とともに追い風はやがて剥がれた。FY22(2023/3期)の営業利益は720億円、FY23(2024/3期)は644億円、FY24(2025/3期)は630億円へと3年連続で縮小し、利益はピークから3割以上落ちた。コロナ特需に乗った分だけ反動も大きく、投資家との対話では「特需後の本来の成長率」が中心テーマとして浮上した。利益水準がFY20程度まで戻る見通しが読みにくくなるなかで、会社は次の収益柱の確立を強く求められる場面へ入った。特需の高い利益率から平常時のマージンへの回帰をどう投資家へ説明するかが経営課題となり、成長戦略の語り口そのものを見直す必要に迫られた時期でもあった。コロナ後の世界でプラットフォーム価値をどう再定義するかが、経営陣に重い問いとして残った。
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子会社シーユーシーの上場と価値顕在化
2014年8月にエムスリードクターサポートとして設立した子会社シーユーシーは、医療機関の運営サポート事業を9年かけて育て、東証グロース市場への上場にまで到達した。2023年6月の上場により、グループ内で育てた事業を切り出して市場価値として顕在化させる手法を実証した形となった。単に事業多角化を進めるだけでなく、育成した子会社を資本市場で評価させるというエムスリー流のやり方が、ポートフォリオ経営の一つの完成形として投資家にも示された。内部で育てた事業の価値を、親会社の連結決算のなかだけで語るのではなく、独立した株式公開として社会全体に可視化した点で、同社のM&A戦略に新しい局面を加えた。
2023年7月にはKantar Groupから欧米のヘルスケア調査関連2事業を譲受した。対象はKantar Profiles-HealthとKantar Media Healthcare Researchで、欧米でのマーケティング・データアナリティクス領域を補強した。買収による領域拡大という基本方針はコロナ後も止まらず、むしろ速度を上げた。コロナ特需による一過性の利益拡大とは別に、M&Aによる構造的な事業ポートフォリオの組み替えが並行して進んでいた点が、この時期の投資家向け説明の中心を占めた。短期の業績変動と長期の事業ポートフォリオの価値を同時に語る姿勢が経営陣に求められ、特需と反動という揺らぎを超えて次の成長の輪郭を対外的に示す努力が続いた。長期投資家との対話は質量ともに深まり、M&A後の統合成果を丁寧に説明する必要性も高まっていった。
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直近の動向と展望
治療領域から予防・患者サポートへ
2022年7月、エムスリーは予防医療分野への重点領域拡大を打ち出した「ホワイト・ジャック・プロジェクト」を開始した。診療現場の情報流通という治療領域の主戦場から、健康な人を対象とする予防領域へ事業対象を広げる戦略宣言で、コロナ特需後の成長軸に据えられた。これまで製薬会社と医師の間をつなぐレイヤーで競争力を築いてきた会社が、患者・生活者側にも事業領域を広げようとする方向転換にあたる。医療情報流通の基盤企業から、健康そのものを支える事業会社への脱皮を目指す動きとして、社外の投資家からも新しい視点での評価を求められる場面に入った。プロジェクト名には、これまでの治療中心のモデルから一歩踏み出す意志が込められている。
この延長線上で、2024年10月には入院患者・介護施設利用者向けの患者サポート事業を行う株式会社エランを公開買付けにより連結子会社化した。2025年4月には福利厚生サービス事業の株式会社イーウェルも子会社化した。FY24(2025/3期)には新たに「ペイシェントソリューション」セグメントが設けられ、初年度から219億円の売上を計上している(有価証券報告書)。治療と予防、医療従事者と患者の双方を同時に事業の対象とする構造への転換が、セグメント開示の形としても現れ始めた。買収した事業群はそれぞれ独自の会員基盤や顧客チャネルを持つ。既存の医師ポータルとの組み合わせからどのような新しい価値を引き出せるかが、次の成長の鍵として投資家向けの説明のなかでも繰り返し語られるようになった。
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海外売上805億円と営業利益の再拡大課題
FY24(2025/3期)の連結売上は2,849億円となった。内訳はメディカルプラットフォーム882億円、海外805億円、サイトソリューション470億円、エビデンスソリューション240億円、キャリアソリューション209億円、ペイシェントソリューション219億円で、海外と国内多角化事業の合計が国内主力ポータルを超える構造になっている。一方で営業利益はFY21の951億円というピークから630億円まで落ち込み、連結ベースの営業利益率は22.1%まで低下した。数字上は依然として高水準だが、特需期との比較で見れば課題は大きい。コロナ禍の追い風が剥がれた後の本来の収益力をどう定義するか、そして買収した新領域の収益寄与をどれだけ早期に顕在化させられるか。この問いは経営陣の主要な検討事項となり、四半期ごとの決算説明でも繰り返し論じられている。
会社は買収による領域拡大とFY21水準への利益回復を同時に追う局面にあり、コロナ後の「次の収益柱」を予防医療・患者サポート・欧米治験のどこから立ち上げるかが現在の経営課題となっている。医師会員基盤というコア資産を軸に、どの事業領域へどれだけの経営資源を振り向けるかが問われている。特需の記憶がまだ新しい投資家との対話でもこの判断が中心テーマとなり、谷村体制のもとで進む次の領域選択に注目が集まっている。短期の利益回復と長期のポートフォリオ再構築を同時に進めるバランス感覚が、直近の経営における最大の論点となる。予防医療を含む新領域の収益貢献がいつ本格化するかも、今後の投資家との対話の中心テーマとなる見込みだ。
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