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  "title": "直近の動向と展望",
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      "title": "医師を束ねる型は生活者にも効くのか（筆者所感）",
      "text": "1987年にマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社へ入った谷村格氏は、ヘルスケア領域のコンサルタントとして製薬・医療業界を担当した。1999年12月に35歳でパートナーへ昇格した後、医師から繰り返し聞いた薬効データを限られた時間で集めたいという声と、製薬会社のMR非効率を同時に見ていた経験が事業化の動機となった。コンサルタントの立場では解けない課題を自ら事業として解くという選択で、2000年9月にSo-netの出資を受けて品川区に「ソネット・エムスリー」を立ち上げた。\n\nこうして始まったMR君は、当時5万5千人のMRと3万人のMSが医師に対し3対1という非効率な比率で配置された業界構造を、複数製薬会社が共有する単一プラットフォームで置き換える設計だった。エムスリーは医師という免許制ネットワークを単一会員基盤として押さえ、そこに製薬マーケティング・人材・治験・電子カルテと収益経路を重ねていく。2011年8月の英Doctors.net.uk買収を皮切りに、自前で海外医師を集めるのではなく現地ポータルを束ねる型で、中国Kingyee・仏Vidal・米Wake Researchを傘下に置き、海外売上はFY10の15億円からFY23の698億円へ伸びた。\n\nだがこの束ねる効率は、コロナ禍で極限まで引き出された後に剥落した。対面MR訪問の制限とオンライン医療情報需要の急増が同時に起き、FY21の連結売上は2,082億円・営業利益951億円・営業利益率45.7%という事業会社として極端な水準に達した。しかし対面営業の回復とともに、営業利益はFY22の720億円、FY23の644億円、FY24の630億円と3年連続で縮小し、営業利益率もFY24の22.1%へ半減した。投資家との対話の主題は、特需後の本来の成長率をどう見積もるかへ移り、医師プラットフォーム単独で利益水準を戻す絵が描きにくくなった。\n\n次の柱として、同社は医師軸から生活者側へ事業対象を広げる業態転換に入っている。2022年7月の「ホワイト・ジャック・プロジェクト」で予防医療への拡張を宣言し、2024年10月に患者サポートのエランを公開買付けで子会社化、2025年4月には福利厚生サービスのイーウェルも傘下に収めた。ただし、医師の免許制ネットワークと違い、生活者には参入障壁がない。FY24の連結売上2,849億円のうち、新設のペイシェントソリューションは219億円を占める。",
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