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歴史概要 — 現在に至るあゆみ 主要な意思決定と帰結のまとめ

創業地神奈川県綾瀬市
創業年1975
上場年2000
創業者名取勝也
現代表名屋佑一郎
従業員数12,706

独立系・個人創業ニッチ・大手の手薄を突く1975年11月、名屋佑一郎氏は31歳で昭和無線工業から独立し、神奈川県綾瀬市で名幸電子工業を設立した。設立目的を「プリント配線板の製造販売」と定め、創業時はVHSやカラーテレビ、電卓、初期パソコンの中核部品である両面プリント配線板を、首都圏近郊から関東の電機メーカーへ供給した。後に多層板からビルドアップ、車載向け厚銅、データセンター向け高多層基板へと製品は高度化していくが、どれも同じ一枚の基板を作り込む延長線上にあり、専業という自己定義は最初から動かなかった。

海外展開・グローバル化専業集中・一点突破国内で工法を固め、量産は海外で担う分業が、メイコーの成長を支えた。1997年に山形工場でビルドアップ新工法の建屋を新設し、開発の中核を国内に置いたうえで、1998年に中国広東省、2005年に武漢、2007年にベトナムへと量産拠点を広げた。なかでも2006年に稼働した武漢工場は連結売上の3割超を占める基幹拠点に育ち、車載や産業機器向け基板の主力供給源となる。この分業で、海外売上比率は8割を超える水準まで伸びた。

メイコー:売上高の内訳と営業利益率(PL 分解 × 営業利益率)
営業利益(億円)販管費(億円)売上原価(億円)営業利益率(%)
歴代社長
FY01
FY03
FY05
FY07
FY09
FY11
FY13
FY15
FY17
FY19
FY21
FY23
FY25
FY27
FY29
歴代社長
メイコー:投資CF(M&A・設備投資ほか/事業施策と紐付き)
投資CF(億円)
ベトナムホアビン省にMeiko Electronics Hoa Binh Co. Ltd.を設立2023
ベトナムのEMS会社の出資持分を取得しMeiko Towada Vietnamとして子会社化2019
ベトナムハノイ市にMeiko Electronics Thang Long Co. Ltd.を設立2014
ベトナムハノイ市にMeiko Electronics Vietnam Co. Ltd.を設立2007
宮城工場新工場棟建設2005

決断の理由 — クリティカルな歴史の転換点を読み解く

Q なぜ1975年に名屋佑一郎氏は、勤め先の昭和無線工業を辞めてまでプリント配線板の専業を選んだのか
A 一つの部品に絞れば、家電が高性能化するたびに同じ基板を作り込む技術が深まり、品種が変わっても蓄積が効く。名屋佑一郎氏は昭和無線工業の技術者として基板開発に携わるなかで、今後より高性能なプリント配線板が要ると見て、当時の先端品だった両面基板の需要拡大に商機を見出した。1974年に自宅の庭の約10坪の小屋で基板のパターン設計と製造を始め、翌1975年11月に神奈川県綾瀬市で名幸電子工業を設立、設立目的を「プリント配線板の製造販売」一本に定めた
Q なぜ1985年のプラザ合意で痛手を負ったメイコーは、2001年に同業他社へ先駆けて中国へ量産拠点を移したのか
A 国内だけで作る限り、円高が進むたびに顧客が生産を海外へ移し、受注が為替に振り回される。名屋佑一郎氏は1985年のプラザ合意後の急速な円高で顧客の海外生産移転が進み、創業来初の赤字を計上した苦境を、創業50年で最も苦しかったと振り返っている。為替変動に左右されない経営を実現するため、2001年に中国広州工場を稼働させて同業他社に先駆けて海外進出を果たし、国内で固めた工法を海外の量産拠点へ展開する分業を組み上げた。これが海外売上比率8割超という事業構造を生んだ。
Q なぜ2010年代後半以降、連結売上の3割超を担う武漢工場を抱えながらベトナムへ生産を移してきたのか
A 顧客の電子部品サプライチェーンが中国一極から分散へ動き、武漢一極依存は受注変動の振れをそのまま事業構造に持ち込むため、生産地の偏りを解く必要があった。連結売上の3割超を占めた武漢工場は、米中貿易摩擦で受注が一時的に縮小し、収益のもろさを露わにした。メイコーは顧客のスマートフォン大手が供給網の脱中国を進めるのに合わせ、2026年3月期の設備投資を当初の300億円から510億円へ7割積み増してベトナム工場の増築に充てている

歴史詳細 - 3つの時代区分で読み解く

1975年〜1997年 1975年創業──プリント配線板専業の出発と国内一貫生産体制

売上高と利益率の推移
売上高(億円

名屋佑一郎氏による創業──昭和無線工業からの独立

1975年11月、神奈川県綾瀬市において名幸電子工業株式会社(メイコーの旧社名)が設立された[1][2]。創業者の名屋佑一郎氏(1943年12月生まれ、当時31歳)は、少年期からゲルマニウムラジオを自作するなど電機に親しみ、1973年に技術者として昭和無線工業株式会社(現SMK)に入社した[3][4][5]。基板の開発に携わるなかで、今後はさらに高性能なプリント配線板が必要になると見て、当時の先端品であった両面基板の需要拡大に商機を見出し独立を決意する。1974年に自宅の庭の10坪ほどの小屋を整備して基板のパターン設計と製造を始め、翌1975年に法人化したのが同社の出発点である[6]。設立目的は「プリント配線板の製造販売」で、創業時は両面プリント配線板の販売を中心とした。

1978年4月、電子応用機器製品の開発を目的にシステム開発部を設置した[7]。これは現在の自社テクノ・自社テックの前身となるグループ会社の出発点である。創業3年目で本業のプリント配線板に加えて電子応用機器の事業領域に進出した格好で、専業メーカーとしての主軸は維持しつつ、周辺領域への展開を始動した。1978年10月には基板の最終検査工程用にメイコー専用の基板検査機を開発、自社開発技術の確立にも着手した[8]

1979年に国内で大流行したシューティングゲーム「スペースインベーダー」向けのゲーム基板の製造・販売を皮切りに、同社の業績は拡大した[9]。創業以来一度も後退することなく1985年に創業10周年を迎えたものの、同年のプラザ合意を機とする急速な円高で顧客の海外生産移転が進み、受注が激減して創業来初の赤字を計上する[10][11]。取引先だけでなく競合他社にも発注を頼み込むほど追い込まれたが、家庭用ゲーム機向けの受注と車載基板の将来性への着目によって立て直した[12]。名屋佑一郎社長は、この時期を創業50年で最も苦しかったと振り返っている。

国内一貫生産体制と多層板への進出

1980年9月、神奈川県綾瀬市の新本社事務所・工場を新設し、設計から最終製品までの一貫生産体制を整えた[13]。創業から5年目で国内生産の中核拠点が固まった。同年12月には多層プレス機を導入し、多層プリント配線板(多層板)の製造を開始した[14]。両面板(2層)から多層板への進出は、プリント配線板業界における高付加価値化の典型的なステップで、メイコーは創業5年目で高密度実装が要求される高付加価値領域に進出した。1981年12月には世界で初めてマルチビデオプロセッサーを開発、研究開発を通じた独自技術の確立にも取り組んだ[15]

1982年3月、片面プリント配線板の製造を目的にマルチテック株式会社を設立(現メイコーテック)した[16]。事業領域の拡張に伴うグループ会社の分社化である。同年9月にはコスミック・コモドールジャパンとの合弁で山形名幸電子株式会社を設立、プリント配線板の製造合弁会社として生産体制を拡張した[17]。1990年6月には福島工場を新設、国内生産能力を増強した[18]。1991年4月、商号を株式会社メイコーに変更、現社名(メイコー)が確立された[19]。創業16年で「名幸電子工業」から「メイコー」への商号変更を経て、ブランドの統一を完了した。

1997年ビルドアップ新工法と国内R&D拠点

1997年11月、山形工場敷地内に「ビルドアップ新工法」(多層基板を順次積層して製造する高密度実装技術)による基板製造のための建屋を新築した[20]。ビルドアップ基板は、当時の携帯電話・ノートPCの小型化・高性能化に対応するための高密度実装技術で、メイコーは国内プリント配線板メーカーとして新工法の生産能力を整えた。創業22年で、両面板(2層)→多層板→ビルドアップ基板という製品ポートフォリオを順次積み上げた。

山形工場の前史として、1982年9月に山形名幸電子(プリント配線板の製造合弁会社)が設立されており、東北地方が国内生産の拠点に加わっていた[21]。1990年6月には福島工場が新設され、首都圏近郊の神奈川県綾瀬市本社・工場と、東北の山形・福島とに国内の生産拠点が広がった[22]。1997年のビルドアップ基板の建屋はその山形に置かれている。

国内でビルドアップ新工法の建屋を設けた1997年11月に続き、1998年8月には香港拠点を設立、同年12月には中国広東省(番禺南沙)へ進出した[23][24]。国内で新工法を立ち上げた時期と海外展開の本格化が前後しており、国内で開発した工法を海外の生産拠点に展開していく流れの起点と読むこともできる。

1998年〜2015年 中国・ベトナム生産拠点の確立と市場上場

売上高と利益率の推移
売上高(億円

中国広東省・武漢への進出

1998年8月、香港に名幸電子香港有限公司を設立し、海外メーカー取引の拡大を目的とした拠点を構えた[25]。同年12月には中国広東省に名幸電子(番禺南沙)有限公司を設立、プリント配線板の中国生産拠点を設けた[26]。創業から23年で中国生産拠点の出発点を構築し、ここから海外売上比率の拡大が始まった。2001年1月には中国広州工場が稼働、中国生産が開始された[27]

2005年7月、中国湖北省武漢市に名幸電子(武漢)有限公司を設立し、中国第二生産拠点を設けた[28]。2006年7月には武漢工場が稼働、2009年7月には武漢第二工場が完成し稼働した[29][30]。中国広東・武漢の2大拠点体制は、メイコーの中国生産戦略の中軸となり、世界の電子機器メーカー(携帯電話・自動車電装品・産業機器)向けプリント配線板の主要供給拠点であった。

広東省(番禺南沙)と武漢の2拠点配置は、華南の集積回路・電子機器組立クラスタへの近接と、華中の内陸生産コスト優位を組み合わせた地理的分散戦略の表れである。1998年8月の香港拠点設立から始まり、創業から23年で組み上げた中国生産体制が、以後20年近くにわたりメイコーの海外売上比率の拡大を支えた[31]。後にベトナム工場群への戦略的シフトが進むが、それまでは中国2大拠点が同社の事業構造の中軸を占めた。

2000年──株式公開と東証への上場

2000年12月、日本証券業協会に株式を登録し、公開市場への移行を開始した[32]。創業25年での公開市場入りである。2004年12月には株式会社ジャスダック証券取引所に株式を上場、2010年10月の大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)への移行、2013年7月の東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)への移行を経て、2014年4月から東証一部相当の市場区分での上場が継続している[33][34][35]。2022年4月の東証市場区分見直しでプライム市場へ移行した[36]

2000年12月の株式登録は、1998年8月の香港拠点設立、同年12月の中国広東省(番禺南沙)進出という海外展開の本格化と同じ局面で実施された[37]。創業者・名屋家による同族支配を維持しながら公開市場の資本基盤を取り入れる構造で、以後の2005年7月の中国武漢進出、2007年1月のベトナムハノイ進出といった海外生産拠点拡張に向けた資金調達の素地を整えた[38]。創業時の「プリント配線板の製造販売」という単一事業を維持したまま、国内専業から海外多拠点へと事業構造を切り替える節目となった。

ジャスダックから東証一部相当区分、東証プライム市場への市場区分の段階的な移行は、企業規模の拡大とコーポレートガバナンス要請の高度化に沿った歩みである。創業者・名屋佑一郎氏が代表取締役社長を務め続けながら、上場企業としての開示・ガバナンス体制を整える二重構造で、創業家保有株式(名屋佑一郎氏単独で発行済株式の約18%、同族・関連会社を合算しても約24〜25%)を軸とする同族支配と、公開市場の株主構成とを併存させてきた[39]

ベトナム進出と日本ビクター サーキット事業買収

2007年1月、ベトナムハノイ市にMeiko Electronics Vietnam Co. Ltd.を設立し、ベトナム生産拠点を設けた[40]。中国に続くアジア生産拠点として、後にベトナム工場群は中国武漢工場からの戦略的シフト先となる重要拠点へと成長する。2009年4月にはベトナムEMS工場が稼働、2009年5月のメイコー研究開発センター開設、2011年11月のベトナムPCB工場稼働など、ベトナムでのプリント配線板・EMS(電子機器受託製造)の生産体制を順次強化した[41][42][43]

2008年3月、日本ビクター株式会社のサーキット事業を買収した[44]。同事業はDVD・カーナビゲーション等の家電機器向けプリント配線板の生産・販売を担っており、メイコーの国内事業基盤を強化した。創業以来の独自成長路線に加え、外部からの事業買収を通じた事業ポートフォリオ拡張を組み合わせた成長戦略への転換である。2013年5月には石巻工場が稼働、2014年8月にはベトナムハノイ市にMeiko Electronics Thang Long Co. Ltd.(電子回路基板の製造販売目的)を設立、2015年8月には神奈川県大和市にメイコーテクノを設立(基板実装・映像機器・産業機器)するなど、国内外の生産・販売拠点の網を拡張した[45][46][47]

2016年〜2025年 車載・データセンター向け高多層基板への転換とプライム市場移行

売上高と利益率の推移
売上高(億円

FY18-FY19──売上高1,200億円台の安定収益期と中国武漢工場の重要性

FY18(2019年3月期)連結売上高1,189億円・営業利益89億円・純利益67億円、FY19(2020年3月期)売上高1,154億円・営業利益51億円・純利益25億円と、車載・産業機器向けプリント配線板の安定収益期が続いた。中国武漢・広東の2大生産拠点と、ベトナムの新興生産拠点を組み合わせた事業構造で、世界の電子機器メーカーへのプリント配線板供給を継続した。

FY18→FY19にかけて営業利益は89億円→51億円と38億円減(▲42.7%)に落ち込み、米中貿易摩擦の影響で中国武漢工場の受注が一時的に縮小したことが響いた。武漢工場は2005年7月設立・2006年7月稼働の中国第二生産拠点で、当時の連結売上の3割超を占める基幹工場だった[48]。FY19末時点で武漢工場依存度の高さが事業構造リスクとして明確化し、ベトナム工場群への分散投資の優先度が引き上げられた。

FY20-FY21──コロナ禍と新興国生産拠点の戦略的シフト

FY20(2021年3月期)売上高1,192億円・営業利益66億円・純利益46億円、FY21(2022年3月期)売上高1,512億円・営業利益132億円・純利益114億円と、コロナ禍からの回復局面で売上は増加した。FY21は車載電動化(EV化)に伴う車載向けプリント配線板の需要拡大とサーバー・データセンター向け高多層基板の需要急増が業績を押し上げた。中国武漢工場への依存度が高い事業構造から、ベトナム工場(Meiko Electronics Vietnam・Meiko Electronics Thang Long・Meiko Towada Vietnam・Meiko Electronics Hoa Binh)への戦略的シフトが進行する局面でもある。

2019年11月、ベトナムのEMS会社の出資持分を取得しMeiko Towada Vietnamとして子会社化、2021年6月の東証市場第一部への市場変更、2022年4月の東証市場区分見直しによるプライム市場への移行、2022年9月のメイコーエンベデッドプロダクツ・メイコーエンベデッドテクノロジーの子会社化(組み込み事業強化)、2023年10月の天童工場新設、2023年12月のMeiko Electronics Hoa Binh Co. Ltd.設立、2024年4月の石巻工場分社(宮城メイコー)など、東証プライム上場の事業構造へと制度的・地理的な再編が続いている[49][50][51][52][53][54][55]

FY22-FY24──車載電動化・データセンター需要と過去最高水準

FY22(2023年3月期)連結売上高1,672億円・営業利益95億円・純利益88億円、FY23(2024年3月期)売上高1,794億円・営業利益116億円・純利益113億円、FY24(2025年3月期)売上高2,068億円・営業利益190億円・純利益149億円と、車載電動化・データセンター向け高多層プリント配線板の需要拡大局面で業績は過去最高水準まで上昇した。FY24売上高2,068億円は、メイコー創業50年目の節目に達成された記録である。

50年にわたる名屋佑一郎社長の経営期において、創業期の「プリント配線板の製造販売」という単一事業から、両面板→多層板→ビルドアップ基板→車載向け厚銅基板→データセンター向け高多層基板という製品ポートフォリオの高度化を進めてきた[56]。地理的には日本国内(神奈川・山形・福島・宮城)→中国(広東・武漢・香港)→ベトナム(ハノイ・ホアビン)→米国販売拠点へと生産・販売網を拡張し、海外売上比率は8割を超える水準まで上昇した。創業者・名屋佑一郎氏(2025年時点で82歳)の在任50年は、日本の上場企業として稀な長期経営の事例であり、次世代承継(坂手敦副社長・名屋茂常務)の準備が進む段階にある[57]

参考文献・出所

API for AI Agents — 静的アセットのJSONで取得可能。API実行の認証不要

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