1910年〜 日本酸素・国内産業ガス首位の100年
日本酸素ホールディングスの業績推移
- 1983年 特殊ガス事業を買収しマチソン・ガス・プロダクツ社を設立
- 1995年 東洋酸素と合併
- 2001年 家庭用品事業部門を会社分割し日酸サーモと統合してサーモスを設立
- 2004年 大陽東洋酸素と合併
- 2014年 三菱ケミカルHDによる公開買付の成立により同社の子会社に
- 2016年 エア・リキード社の米国産業ガス事業の一部を買収
- 2018年 独リンデ・プラクスエア統合が生んだ欧州産業ガス事業の巨額買収 国内頭打ちの産業ガス最大手は、なぜ財務悪化を賭してまで欧州へ踏み込んだか
在日米国人技師が始めた酸素製造の創業期
日本酸素株式会社は1910年に東京で創業した、日本初の本格的な酸素製造会社である。在日米国人技師が酸素の工業的製造技術を国内へ持ち込み、邦人実業家との共同で設立された。創業時の主力商品は溶接・切断用の工業用酸素で、当時拡大しつつあった造船・鉄工業の需要を取り込んだ。1930年代に入ると鉄鋼業の発展に伴って酸素需要が急増した。戦時下では軍需向けの酸素・水素供給で生産能力を拡大し、戦後の復興期には国内産業ガス市場の最大シェアを長期にわたり保持する地位を占めた。 [1]
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1910年10月 日本酸素合資会社を創立)
- [1]1910年(明治43年)に東京で日本酸素(合資会社)を創業
創業の中心となったのは、山武商会の創立者である山口武彦氏と、その協力を得た当時の日本銀行副総裁・高橋是清氏で、資本金5万円の日本酸素合資会社として発足した。同社は1918年に株式会社へ改組したのち装置製作にも乗り出し、1935年には本邦初の空気分離装置の製作に成功、1937年には商号を日本理化工業株式会社へ改めてガス製造と装置製作を兼業した。戦時下の1945年には日本アセチレン工業の鶴見工場を吸収して溶解アセチレンの製造を始め、1954年には川崎にわが国最初の液体酸素製造工場を建設して、酸素供給の合理化を進めた。 [2][3][4][5][6][7]
- 企業の歴史 : 明治百年(経済春秋社, 1968)
- [2]山武商会の創立者・山口武彦氏が日本銀行副総裁・高橋是清氏の協力を得て資本金5万円の日本酸素合資会社を設立
- [4]1935年(昭和10年)本邦最初の空気分離装置の製作に成功
- [6]1945年(昭和20年)日本アセチレン工業(株)の鶴見工場を吸収し、溶解アセチレンの製造を開始
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1918年7月 合資会社を株式会社に改組)
- [3]1918年 合資会社を株式会社に改組
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1937年6月 商号を日本理化工業株式会社と改称)
- [5]1937年 商号を日本理化工業株式会社に改称(ガス製造及び装置製作の両部門を兼業)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1954年12月 川崎工場を新設し液化酸素の製造を開始)
- [7]1954年(昭和29年)川崎にわが国最初の液体酸素製造工場を建設(川崎工場で液化酸素・液化窒素・液化アルゴンの製造を開始)
戦後の高度成長期、日本酸素は鉄鋼・造船・自動車・電力・化学プラントへの酸素・窒素・アルゴン供給網を全国に張り巡らした。1949年5月に東京証券取引所市場第一部へ株式を上場し、1950年代から1970年代にかけては国内の高炉メーカー(新日鉄、川崎製鉄、神戸製鋼など)と長期供給契約を結んで鉄鋼・化学・電力各分野からの旺盛な需要を取り込んだ。同社の収益基盤は「オンサイト型」と呼ばれる、顧客プラントに併設した深冷分離装置による現地供給と、ボンベ・液化ガスの広域配送網による「ローカル型」の二本柱で構成され、産業ガスのストック型ビジネスモデルが定着した。半導体・液晶産業の勃興期である1980年代後半からは、超高純度の窒素・水素・アルゴン・特殊ガスの安定供給能力が新たな競争優位の源泉となった。 [8]
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1949年5月 東京証券取引所に株式を上場)
- [8]1949年5月 東京証券取引所に株式を上場
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1910年10月 日本酸素合資会社を創立)
- [1]1910年(明治43年)に東京で日本酸素(合資会社)を創業
- 企業の歴史 : 明治百年(経済春秋社, 1968)
- [2]山武商会の創立者・山口武彦氏が日本銀行副総裁・高橋是清氏の協力を得て資本金5万円の日本酸素合資会社を設立
- [4]1935年(昭和10年)本邦最初の空気分離装置の製作に成功
- [6]1945年(昭和20年)日本アセチレン工業(株)の鶴見工場を吸収し、溶解アセチレンの製造を開始
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1918年7月 合資会社を株式会社に改組)
- [3]1918年 合資会社を株式会社に改組
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1937年6月 商号を日本理化工業株式会社と改称)
- [5]1937年 商号を日本理化工業株式会社に改称(ガス製造及び装置製作の両部門を兼業)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1954年12月 川崎工場を新設し液化酸素の製造を開始)
- [7]1954年(昭和29年)川崎にわが国最初の液体酸素製造工場を建設(川崎工場で液化酸素・液化窒素・液化アルゴンの製造を開始)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1949年5月 東京証券取引所に株式を上場)
- [8]1949年5月 東京証券取引所に株式を上場
大陽東洋酸素との合併で「大陽日酸」発足
2004年10月、日本酸素は東京・大阪を地盤とする大陽東洋酸素株式会社と対等合併し、商号を「大陽日酸株式会社」と改めた。大陽東洋酸素は1907年創業の東洋酸素と1946年設立の大陽酸素という二つの老舗酸素メーカーが合併した会社で、関西・中部地区で日本酸素に次ぐ第二位の地位を持っていた。大陽日酸の発足によって国内産業ガス業界における日本酸素グループのシェアは40%超に達し、エア・ウォーター・大陽日酸の二強体制と、海外メジャー(エアプロダクツ、リンデ、エア・リキード)との競合構図が固まる。同合併は産業ガス業界における国内最大の再編案件として記録され、以後の20年間の業界構造を方向づけた。 [9][10][11][12]
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(2004年10月 大陽東洋酸素と合併し大陽日酸に商号変更)
- [9]2004年10月 大陽東洋酸素と合併し、大陽日酸株式会社に商号を変更(本文「2000年4月」を訂正)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書/公式沿革(系譜図)
- [10]東洋酸素は1907年創業の酸素メーカー
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1946年12月 大陽酸素株式会社を設立)
- [11]大陽酸素は1946年12月設立(本文「1920年代創業」を訂正)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1995年4月 東洋酸素と合併し大陽東洋酸素に商号変更)
- [12]大陽東洋酸素は東洋酸素と大陽酸素が合併して成立した会社(1995年4月 東洋酸素と合併し大陽東洋酸素に商号変更)
2004年8月には三菱化学(現三菱ケミカル)の出資を受け入れ、三菱グループの一員として産業ガス事業のグローバル展開を推進する体制を整えた。大陽日酸時代は2000年代から2010年代にかけて、米国・欧州・東南アジアの産業ガス会社を相次いで買収し、海外売上比率を50%超に引き上げる積極的なグローバル化戦略を実行した。2014年には米国子会社マチソン・トライガス社を通じて米国のコンティネンタル・カーボニック社を買収し、北米市場の地位を固めた。2018年には米国の産業ガス大手プラクスエアの欧州事業を取得し、欧州での足場を広げた。創業から110年を経て、国内首位から「世界の産業ガスメジャー」の一角へと位置取りを変える組み替えが進んだ。 [13][14]
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(2014年2月 マチソン・トライガス社を通じてコンティネンタル・カーボニック社を買収)
- [13]2014年2月 マチソン・トライガス社を通じて米国のコンティネンタル・カーボニック社を買収(本文「2014年にMatheson Tri-Gasを完全子会社化」を訂正。同社は1983年設立のマチソン・ガス・プロダクツ社と1992年買収のトライガス社を1999年に統合した既存子会社)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(2018年12月 プラックス・エア社の欧州事業の一部を取得)
- [14]2018年12月 プラックス・エア社の欧州事業の一部を運営する法人の株式を取得
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(2004年10月 大陽東洋酸素と合併し大陽日酸に商号変更)
- [9]2004年10月 大陽東洋酸素と合併し、大陽日酸株式会社に商号を変更(本文「2000年4月」を訂正)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書/公式沿革(系譜図)
- [10]東洋酸素は1907年創業の酸素メーカー
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1946年12月 大陽酸素株式会社を設立)
- [11]大陽酸素は1946年12月設立(本文「1920年代創業」を訂正)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(1995年4月 東洋酸素と合併し大陽東洋酸素に商号変更)
- [12]大陽東洋酸素は東洋酸素と大陽酸素が合併して成立した会社(1995年4月 東洋酸素と合併し大陽東洋酸素に商号変更)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(2014年2月 マチソン・トライガス社を通じてコンティネンタル・カーボニック社を買収)
- [13]2014年2月 マチソン・トライガス社を通じて米国のコンティネンタル・カーボニック社を買収(本文「2014年にMatheson Tri-Gasを完全子会社化」を訂正。同社は1983年設立のマチソン・ガス・プロダクツ社と1992年買収のトライガス社を1999年に統合した既存子会社)
- 日本酸素ホールディングス 有価証券報告書【沿革】(2018年12月 プラックス・エア社の欧州事業の一部を取得)
- [14]2018年12月 プラックス・エア社の欧州事業の一部を運営する法人の株式を取得