みずほリース の歴史

更新:

1969年、日本興業銀行系のパシフィック・リースとして設立し1981年に興銀リースへ改称。みずほFG・丸紅との資本提携、米エアキャッスルの共同買収までの沿革と経緯を執筆。

創業

1969年

母体

日本興業銀行系

創業地

東京都

直近売上高(2026/3)

9,216億円

長期業績と転換点(1997/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1969年に日本興業銀行は単独参入せず、16社の共同出資でリース会社を作ったのか
A 出資者の幅広さは、そのまま取引先の幅広さに直結する。1社の銀行が抱える顧客は限られるが、産業界を代表する事業会社と生命保険会社を相乗りさせれば、各株主の取引網がそのまま案件発掘の入口になり、一行に縛られない顧客基盤を最初から内に持てる。日本興業銀行は1969年12月、計16社で資本金5億円を出し合い株式会社パシフィック・リースを東京に設立した。1964年設立のオリエント・リースが普及を先導していたいざなぎ景気下の参入で、興銀は単独参入を選ばず複数株主を束ねる形で出発した
Q なぜ2010年代、新しい事業領域に入るとき自前で会社を起こさず、承継や合弁で参入したのか
A 航空機のような大型資産は1機あたり数十億円から100億円超を要し、機体の残価リスクと航空会社の信用リスクを単独で抱えれば中堅リース会社の体力を超える。承継や合弁なら、相手の与信能力・資金調達力・運営ノウハウを取り込みつつ自前投資を抑えられる。2012年2月に東芝が手放した法人金融部門を90%出資でティーファスとして承継し、2016年には上場済みのAircastleとの合弁で航空機オペレーティング・リースに入った。リース料だけで稼ぐ会社から、出資・運用を束ねる総合金融サービス会社へ収益源を広げる選び方である。
Q なぜ2024年にみずほリースは丸紅の20%出資を受け入れ、第二の親会社を迎えたのか
A みずほFGの金融網だけでは不動産・環境エネルギー・国際といったグロース領域の案件供給に限りがあり、商社の事業網を取り込めば組成できる案件の幅が広がる。丸紅とは2013年からAircastleを共同運営した実績があり、その協業を上場親会社級の資本関係へ拡張する選択だった。2024年5月14日に資本業務提携を結び、丸紅は同年6月に出資比率20.0%でみずほFGに次ぐ第二位株主となった。両社は環境・エネルギー、不動産、航空・船舶などで地域・事業領域を限定しない協業を掲げ、銀行系と商社系の境界をまたぐ事業構造の組み立てに入った

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1969年〜 16社の共同出資で生まれた興銀系総合リース会社

  1. 1969年 パシフィック・リースを設立
  2. 1981年 商号を興銀リースに変更
  3. 1987年 IBJ Leasing (UK) Ltd. を設立

日本興業銀行が音頭を取った16社連合

1969年12月、日本興業銀行(現みずほ銀行)の主導で[1]、産業界を代表する事業会社・生命保険会社など計16社が資本金5億円を出し合い、株式会社パシフィック・リース[2]が東京で設立された。リース事業協会が1969年7月に8社で発足した直後で[3]、いざなぎ景気下のリース第一次設立ラッシュに位置する銀行系総合リース会社の一社だった。当時のリース業は1964年設立のオリエント・リース(現オリックス)が先行して普及を進めていた段階で、興銀は単独で参入する道を選ばず、複数の事業会社・生保を相乗りさせる形で出発した。出資者の幅広さは取引顧客の幅広さを意味し、銀行のシンジケート融資と同様に多数の株主を抱えるリース会社の運営手法は、案件発掘から与信判断までを共有する枠組みとして1970年代の事業拡大を支えた。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [1]日本興業銀行は現みずほ銀行
    • [2]1969年12月、日本興業銀行主導で16社が資本金5億円を出資し株式会社パシフィック・リースを東京で設立
  • リース事業協会沿革資料
    • [3]リース事業協会は1969年7月に8社で発足

1972年に建設機械と船舶のリース事業を始め[4]、1981年11月には商号を興銀リース株式会社へ変更した[5]。「パシフィック」という汎用名から、出自である日本興業銀行の冠を掲げる名称への切り替えで、興銀の取引法人を顧客基盤として明示する選択だった。1982年に航空機レバレッジドリースを[6]、1985年には国内初の鉄道車両リースを手掛[7]けて専門領域を広げた。リース業はこの時期、設備投資の節税効果と簿外化を求める法人需要で二桁成長が続き、興銀リースは興銀の大企業取引網に乗る形でファイナンスリース料収入を伸ばした。長銀系の日本リースが本業のリースよりも長銀の別働隊としてのファイナンス業に傾き、1998年に負債2兆3,000億円で会社更生法の適用を申請[8]する事例が後に出るが、興銀リースは主力事業のリース・割賦に経営資源を寄せ続け、銀行系リース会社の分岐を分けた。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [4]1972年に建設機械と船舶のリース事業を開始
    • [5]1981年11月に商号を興銀リース株式会社へ変更
    • [6]1982年に航空機レバレッジドリースを開始
    • [7]1985年に国内初の鉄道車両リースを手掛けた(序数: 国内初)
    • [8]長銀系の日本リースは1998年に負債2兆3,000億円で会社更生法の適用を申請
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [1]日本興業銀行は現みずほ銀行
    • [2]1969年12月、日本興業銀行主導で16社が資本金5億円を出資し株式会社パシフィック・リースを東京で設立
    • [4]1972年に建設機械と船舶のリース事業を開始
    • [5]1981年11月に商号を興銀リース株式会社へ変更
    • [6]1982年に航空機レバレッジドリースを開始
    • [7]1985年に国内初の鉄道車両リースを手掛けた(序数: 国内初)
    • [8]長銀系の日本リースは1998年に負債2兆3,000億円で会社更生法の適用を申請
  • リース事業協会沿革資料
    • [3]リース事業協会は1969年7月に8社で発足

海外進出第一波 ── 英国・タイ・フィリピン

1987年2月、興銀リースは英国にIBJ Leasing (UK) Ltd[9].(現Mizuho Leasing (UK) Ltd.)を設立し、日系企業の欧州進出に伴う設備リース需要を取り込む拠点を整えた。1992年2月にはタイのKrung Thai IBJ Leasing Co., Ltd.の持分を取得し[10]、1998年1月にフィリピンのJapan PNB[11] Leasing and Finance Corporationへの出資を行うなど、東南アジアと欧州に拠点を相次いで設けた。プラザ合意後の円高で日系メーカーがアジア現地生産を広げ、現地法人の機械設備・社用車のリース需要が立ち上がった時期と重なる。興銀リースは興銀の海外現地法人や、合弁先の現地金融機関との二人三脚で参入する手法を採り、自前の海外網を一から構築する道は選ばなかった。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [9]1987年2月、英国にIBJ Leasing (UK) Ltd.(現Mizuho Leasing (UK) Ltd.)を設立
    • [10]1992年2月、タイのKrung Thai IBJ Leasing Co., Ltd.の持分を取得
    • [11]1998年1月、フィリピンのJapan PNB Leasing and Finance Corporationへ出資

国内でも事業会社の連結子会社化を進め、1993年12月に八重洲リース(現エムエル・エステート[12])、1996年7月にケイエル・レンタルを設立した[13]。1998年4月の興銀オートリース設立、1999年2月の日産リース株式取得[14]、2000年6月のセゾンオートリースシステムズ(現みずほオートリース)の株式取得と続き、オートリース分野では2002年10月にセゾンオートリースシステムズを存続会社[15]として興銀オートリースを合併させ、自動車関連の連結子会社群をオートリース機能に集約した。多角化というよりも、リース・割賦・オートリースという同心円内のサブ機能を子会社として並列に並べる構造だった。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [12]1993年12月、八重洲リース(現エムエル・エステート)を設立
    • [13]1996年7月、ケイエル・レンタルを設立
    • [14]1998年4月の興銀オートリース設立、1999年2月の日産リース株式取得、2000年6月のセゾンオートリースシステムズ(現みずほオートリース)株式取得
    • [15]2002年10月、セゾンオートリースシステムズを存続会社として興銀オートリースを合併
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [9]1987年2月、英国にIBJ Leasing (UK) Ltd.(現Mizuho Leasing (UK) Ltd.)を設立
    • [10]1992年2月、タイのKrung Thai IBJ Leasing Co., Ltd.の持分を取得
    • [11]1998年1月、フィリピンのJapan PNB Leasing and Finance Corporationへ出資
    • [12]1993年12月、八重洲リース(現エムエル・エステート)を設立
    • [13]1996年7月、ケイエル・レンタルを設立
    • [14]1998年4月の興銀オートリース設立、1999年2月の日産リース株式取得、2000年6月のセゾンオートリースシステムズ(現みずほオートリース)株式取得
    • [15]2002年10月、セゾンオートリースシステムズを存続会社として興銀オートリースを合併

1990年〜 上場後の海外深掘りと「興銀リース」最終期

みずほリースの業績推移

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1992年 Krung Thai IBJ Leasing Co., Ltd.の持分を取得
  2. 1993年 八重洲リースを設立
  3. 1996年 ケイエル・レンタルを設立
  4. 1998年 Japan PNB Leasing and Finance Corporationの持分を取得
  5. 2002年 セゾンオートリースシステムズを存続会社として興銀オートリースと合併
  6. 2012年 東芝ファイナンスの法人向け金融サービス事業を承継しティーファスを設立
  7. 2016年 バミューダに米 Aircastle Limited との合弁で IBJ Air Leasing Limited を設立

東証一部指定と東芝ファイナンス子会社化

2004年10月、興銀リースは東京証券取引所市場第二部に上場し[16]、翌2005年9月に第一部へ銘柄指定された[17]。設立から35年を経ての上場で、当時のリース業界では、オリックス(1970年大証上場)、日本リース(1971年大証上場、1998年破綻)に比べて遅い上場時期となった。リース業界の店頭登録や株式公開が1990年代後半に進んだ流れの末尾に位置し、興銀リースは長く非上場のまま興銀系の取引網に密着して事業を進めた構造を残していた。上場後の興銀リースは、グループ会社の整理統合を加速させ、2005年10月に丸の内商事(現エムエル商事)、[18]2006年3月に第一リース株式取得[19]、2007年4月にケイエル・レンタル吸収合併と[20]、毎年のように連結子会社の再編を実施した。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [16]2004年10月、東京証券取引所市場第二部に上場
    • [17]2005年9月、東証第一部へ銘柄指定
    • [18]2005年10月、丸の内商事(現エムエル商事)を設立
    • [19]2006年3月、第一リース株式取得
    • [20]2007年4月、ケイエル・レンタルを吸収合併

2008年7月に中国・上海に興銀融資租賃(中国)有限公司[21](現瑞穂融資租賃(中国)有限公司)を設立し、2010年8月にはインドネシアの自動車ファイナンス事業会社との合弁でPT. IBJ VERENA FINANCE[22](現PT MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk)を設立した。2012年2月には、東芝が手放した東芝ファイナンスの法人向け金融サービス事業を、興銀リース[23]が90%出資で承継してティーファス(現みずほ東芝リース)を設立した。東芝は当時、米WHののれん負担を抱えてノンコア資産の売却を進めており、興銀リースは東芝の法人金融部門を取り込んで東芝グループのリース・割賦需要を確保した。2012年から2015年にかけてリース・割賦のセグメント残高は積み増され、2015年4月には日産リースを吸収合併[24]して国内オートリース機能をさらに集約した。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [21]2008年7月、中国・上海に興銀融資租賃(中国)有限公司(現瑞穂融資租賃(中国)有限公司)を設立
    • [22]2010年8月、インドネシアにPT. IBJ VERENA FINANCE(現PT MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk)を設立
    • [23]2012年2月、東芝ファイナンスの法人向け金融サービス事業を90%出資で承継しティーファス(現みずほ東芝リース)を設立
    • [24]2015年4月、日産リースを吸収合併
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [16]2004年10月、東京証券取引所市場第二部に上場
    • [17]2005年9月、東証第一部へ銘柄指定
    • [18]2005年10月、丸の内商事(現エムエル商事)を設立
    • [19]2006年3月、第一リース株式取得
    • [20]2007年4月、ケイエル・レンタルを吸収合併
    • [21]2008年7月、中国・上海に興銀融資租賃(中国)有限公司(現瑞穂融資租賃(中国)有限公司)を設立
    • [22]2010年8月、インドネシアにPT. IBJ VERENA FINANCE(現PT MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk)を設立
    • [23]2012年2月、東芝ファイナンスの法人向け金融サービス事業を90%出資で承継しティーファス(現みずほ東芝リース)を設立
    • [24]2015年4月、日産リースを吸収合併

航空機リース ── Aircastle合弁という構造的選択

2016年2月と8月、興銀リースはバミューダと米国に米Aircastle Limitedとの合弁会社IBJ Air Leasing Limited[25]とIBJ Air Leasing (US) Corp.を相次いで設立し、航空機オペレーティング・リース専業の事業を開始した。航空機リースは1機あたり数十億円〜100億円超の長期資産投資を要し、機体価値の残価リスクと航空会社の信用リスクを抱える構造で、国内の機械リースとは別次元の与信能力と資金調達力を要する事業領域である。興銀リースは自前で航空機リース会社を作る道を選ばず、上場済みのAircastleとの合弁で参入した。リース・割賦のセグメント資産は2017年3月期(FY16)の1兆1,679億円から2019年3月期(FY18)の1兆3,207億円へ拡大し、ファイナンスセグメントも同期間に5,591億円から8,421億円へ伸びた。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2016年2月と8月、バミューダと米国に米Aircastle Limitedとの合弁会社IBJ Air Leasing LimitedとIBJ Air Leasing (US) Corp.を設立

事業領域の多様化はリース・割賦の枠を越え、海外金融・不動産ノンリコース・再生可能エネルギー出資へと広がった。2019年3月期(FY18)の連結売上高は3,849億円、経常利益242億円、親会社株主に帰属する当期純利益166億円で、興銀リース時代の最高益を更新する直前段階に達した。FY18期末の従業員数は連結1,627人・単体661人、平均年間給与は751万円、平均勤続年数15年、平均年齢42.7歳で、業界中堅の銀行系総合リース会社としての規模を確保していた。一方で第一生命が筆頭株主(6.87%)、みずほ銀行が3.81[26]%にとどまる株主構成のまま、興銀系出自の事業会社・生保が大株主に名を連ねる構成は1969年の設立から大筋変わらなかった。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [26]FY18期末 第一生命が筆頭株主6.87%、みずほ銀行3.81%
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [25]2016年2月と8月、バミューダと米国に米Aircastle Limitedとの合弁会社IBJ Air Leasing LimitedとIBJ Air Leasing (US) Corp.を設立
  • みずほリース 有価証券報告書
    • [26]FY18期末 第一生命が筆頭株主6.87%、みずほ銀行3.81%

興銀リースという看板の最終期 ── みずほFG入りの直前

2016年6月、みずほ証券代表取締役社長を経て本山博史氏が興銀リースの代表取締役社長兼CEOに就任し[27]、興銀リース最後の社長期が始まった。本山社長はみずほコーポレート銀行・みずほFG・みずほ証券で経歴を積んだ銀行系のトップで、興銀リースの経営にみずほグループの戦略を直接導入する人事だった。本山社長は顧客起点でありつつ一定のリスクを取りながら顧客とともに価値を生み出す経営姿勢を打ち出し、単純なファイナンス・リースに留まる限り銀行や同業リース会社との競合から抜け出せないとの認識のうえで、データのリースや顧客の商流全体をとらえた提案力で差別化を目指す方針を示した。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [27]2016年6月、本山博史氏が興銀リース代表取締役社長兼CEOに就任

第5次中期経営計画(2017〜2018年度)期間の興銀リースは、航空機・船舶・不動産・環境エネルギーといった成長分野で出資・合弁を増やし、コアのリース・割賦を量で伸ばすよりもファイナンス領域の利益寄与を厚くする方向で経営資源を傾けた。2019年3月期(FY18)の経常利益242億円のうち、ファイナンスのセグメント利益は95億円に達し、リース・割賦の180億円に次ぐ第二の利益源となった。興銀リースとして50年弱を歩んだ会社の事業構造は、リース料収入だけで稼ぐ伝統的なリース会社から、出資・貸付・運用を組み合わせた「総合金融サービス会社」へ移っていた。1969年に16社の共同出資から始まった会社が、興銀という1行を冠する社名のまま到達した経営構造の限界が、次の商号変更の前提となった。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [27]2016年6月、本山博史氏が興銀リース代表取締役社長兼CEOに就任

2019年〜 みずほFG入りと丸紅資本提携 ── プラットフォームカンパニーへの転換

みずほリースの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2019年 オートファイナンス事業会社PT. VERENA MULTI FINANCE Tbkの株式を取得
  2. 2019年 みずほ銀行との資本業務提携によるみずほFG持分法適用関連会社化と商号変更 興銀リースという50年の看板を、みずほの顧客基盤とどう引き換えたか
  3. 2019年 商号をみずほリースに変更
  4. 2020年 丸紅との共同買収による米Aircastleの議決権25%取得 合弁相手を丸ごと買うとき、主導権を取るか資金の側に回るか
  5. 2020年 リコーリースの株式を取得
  6. 2021年 みずほキャピタルの株式を取得
  7. 2024年 丸紅への第三者割当増資による20%出資の受け入れと丸紅の持分法適用関連会社化 みずほに続いて商社を株主に迎えるとき、どちらの系列にも属さない位置は保てるか

商号変更とみずほFGの23%持分

2019年2月、みずほ銀行は興銀リース普通株式を当時の筆頭株主・第一生命などから取得する第三者割当を含む資本業務提携契約を締結した。同年3月にみずほFGはグループ全体で興銀リース株式の22.2%を保有し[28]、興銀リースは正式にみずほFGの持分法適用関連会社となった。FY18期末の大株主構成は、みずほ銀行が23.03%(1,128万株)で第一生命を抜いて筆頭株主に交代した[29]。1969年の設立時に「16社連合」の幹事行として座っていた興銀の役回りが、50年後にみずほFGによる持分法関連会社化で連結度合いを一段高める結果となった。同年10月1日、商号を興銀リース株式会社[30]からみずほリース株式会社へ変更し、興銀の冠を外してみずほグループの一員としての対外発信を始めた。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [28]2019年3月、みずほFGがグループ全体で興銀リース株式の22.2%を保有し持分法適用関連会社化
    • [29]FY18期末 みずほ銀行が23.03%(1,128万株)で筆頭株主に交代
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [30]2019年10月1日、商号を興銀リース株式会社からみずほリース株式会社へ変更

経営理念も2021年に「ニーズをつなぎ、未来を創る」へ改定された。本山社長期の興銀リースが掲げた「お客様と共に挑戦を続ける、価値創造カンパニー」を引き継ぎながら、みずほグループ内の役割を意識した文言へ書き換えた。2020年3月期(FY19)の連結売上高は5,392億円、営業利益263億円、経常利益267億円、親会社株主に帰属する当期純利益175億円と、いずれも興銀リース時代を上回る水準に到達した。みずほFG入り後の最初の年度で、みずほ銀行のシンジケート・ローン案件や大企業取引網へのアクセスが拡大し、リース・割賦のセグメント資産は1兆5,589億円まで膨らんだ。みずほFG入りは、設立時の出資16社による「銀行系総合リース会社」というガバナンスから、みずほFG連結内の戦略リース会社という位置づけへ、約50年を経た構造転換だった。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [28]2019年3月、みずほFGがグループ全体で興銀リース株式の22.2%を保有し持分法適用関連会社化
    • [29]FY18期末 みずほ銀行が23.03%(1,128万株)で筆頭株主に交代
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [30]2019年10月1日、商号を興銀リース株式会社からみずほリース株式会社へ変更

Aircastle共同買収と丸紅との二人三脚

2019年11月、丸紅とみずほリースは米国航空機リース会社Aircastle Limitedの全株式を共同で取得する契約を発表し、2020年3月に約672億円でみずほリースが議決権所有割合25[31]%を取得して買収を完了した。Aircastleは丸紅との共同運営会社となった。同2020年3月にはPLM Fleet, LLC(米国の冷凍・冷蔵[32]トレーラーリース)、2020年4月にはVietnam International Leasing、リコーリースの株式を相次いで取得した[33]。シンガポール現地法人の営業開始(2021年3月)、みずほキャピタル株式取得(2021年5[34]月)、日鉄興和不動産株式取得(2021年8月)と、出資・合弁を立て続けに実行した。第6次中期経営計画(2019〜2023年度)の柱はインオーガニック戦略で[35]、出資・M&Aを通じてリース・割賦の枠を越えた事業領域を取り込む方針だった。

  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [31]2020年3月、Aircastle Limitedの全株式取得を丸紅と共同で完了し、みずほリースは約672億円で議決権所有割合25%を取得
    • [32]2020年3月、PLM Fleet, LLC(米国の冷凍・冷蔵トレーラーリース)の持分を取得
    • [33]2020年4月、Vietnam International Leasingとリコーリースの株式を取得
    • [34]2021年3月シンガポール現地法人営業開始、2021年5月みずほキャピタル株式取得、2021年8月日鉄興和不動産株式取得
  • みずほリース 第6次中期経営計画(2019〜2023年度)
    • [35]第6次中期経営計画は2019〜2023年度を対象とし、インオーガニック戦略を柱とした

FY21(2022年3月期)にはAircastleののれん相当額▲107億円[36]を全額減損処理し、航空業界回復を保守的に評価した。FY22(2023年3月期)にはロシア[37]のウクライナ侵攻に伴うロシア向け航空機リースの回収不能損失なども含めて▲161億円の一時要因が顕在化した。リース・割賦のセグメント利益はFY21の237億円からFY22の214億円へ低下し、ファイナンスのセグメント利益もFY20の89億円→FY21の2.6億円へ急落するなど、航空機・不動産関連の出資先で減損が連続した。津原周作社長(2020年6月就任)は[38]出資先のリスク管理を見直したが、事業ポートフォリオ転換の方向は変えなかった。FY23(2024年3月期)にはAircastle関連の追加減損もなく、ファイナンスのセグメント利益は201億円まで回復し、減損吸収後の連結純利益は352億円と過去最高を更新した。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [36]FY21(2022年3月期)にAircastleののれん相当額▲107億円を全額減損処理
    • [37]FY22(2023年3月期)にロシア向け航空機リース回収不能損失等を含め▲161億円の一時要因
    • [38]津原周作社長は2020年6月就任
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [31]2020年3月、Aircastle Limitedの全株式取得を丸紅と共同で完了し、みずほリースは約672億円で議決権所有割合25%を取得
    • [32]2020年3月、PLM Fleet, LLC(米国の冷凍・冷蔵トレーラーリース)の持分を取得
    • [33]2020年4月、Vietnam International Leasingとリコーリースの株式を取得
    • [34]2021年3月シンガポール現地法人営業開始、2021年5月みずほキャピタル株式取得、2021年8月日鉄興和不動産株式取得
  • みずほリース 第6次中期経営計画(2019〜2023年度)
    • [35]第6次中期経営計画は2019〜2023年度を対象とし、インオーガニック戦略を柱とした
  • みずほリース 有価証券報告書
    • [36]FY21(2022年3月期)にAircastleののれん相当額▲107億円を全額減損処理
    • [37]FY22(2023年3月期)にロシア向け航空機リース回収不能損失等を含め▲161億円の一時要因
    • [38]津原周作社長は2020年6月就任

丸紅の20%出資 ── 第二の親会社の登場

2024年5月14日、丸紅とみずほリースは資本業務提携契約を締結し[39]、丸紅が第三者割当増資の引受によりみずほリース株式の20%を取得し、みずほリースが丸紅の持分法適用関連会社となる枠組みを発表した。同年6月に丸紅は出資比率20.0%(5,653万株)でみずほFG[40](23.09%)に次ぐ第二位株主となった。みずほリースは1969年の設立時に16社連合で始まり、2019年にみずほFG持分法関連会社化、2024年に丸紅持分法関連会社化と、5年で二度の親会社級株主の入れ替わりを経験した。丸紅は2013年からAircastleの筆頭株主としてみずほリースと共同運営してきた経緯があり、2024年5月の出資はAircastle共同運営の経験を上場親会社レベルの資本関係に拡張したものだった。同時にジェコス(建設仮設材・鋼材リース最大手の一角)の株式取得[41]を発表し、不動産・建設領域の事業基盤を強化した。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [39]2024年5月14日、丸紅とみずほリースが資本業務提携契約を締結(丸紅が第三者割当増資引受で20%取得・みずほリースが丸紅の持分法適用関連会社化)
    • [40]2024年6月、丸紅が出資比率20.0%(5,653万株)でみずほFG(23.09%)に次ぐ第二位株主に
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [41]2024年5月、ジェコスの株式を取得(同時発表)

中村昭社長(2023年4月就任)は[42]「中期経営計画2025」(2023〜2025年度)で、コア(リース・割賦)/グロース(不動産・環境エネルギー・国際)/フロンティア(新規事業)の3分野ポートフォリオを掲げ、グロース・フロンティア領域への累計1,500億円[43]のインオーガニック投資を方針として示した。FY24(2025年3月期)の連結売上高は6,954億円、親会社株主に帰属する当期純利益420億円と、いずれも過去最高を更新した。丸紅出資の翌期となるFY24は、丸紅からマネジメント層・中堅・若手の人財19[44]名を受け入れ、丸紅の海外事業網とみずほリースのリース金融機能を組み合わせる体制が始まった。中村昭社長は「お客様と未来を共創するプラットフォームカンパニーとなることを目指す」(みずほリース公式 社長メッセージ)と述べ、リース会社の枠を越えた多機能金融商社への変身を明示した。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [42]中村昭社長は2023年4月就任
    • [44]FY24に丸紅からマネジメント層・中堅・若手の人財19名を受け入れ
  • 中期経営計画2025(みずほリース, 2023年5月)
    • [43]中期経営計画2025(2023〜2025年度)でグロース・フロンティア領域へ累計1,500億円のインオーガニック投資方針

2025年4月、みずほリースは日鉄興和不動産の発行済み株式14.85%を追加取得し、出資比率を15.29[45]%から30.14%へ引き上げた(取得額501億円)。1969年に「総合リース会社」として産業界の共同出資[46]で生まれた会社が、56年を経て、リース・割賦の枠内では完結しない事業ポートフォリオを抱え、みずほFGと丸紅という上場2社を主要株主に持つ複層構造の連結リース会社になった。リース業界は1980年代の参入競争、1990年代後半の長銀系日本リース破綻、2000年代の業界再編、2020年代のリース会計基準変更(IFRS第16号)と環境が変わるなかで、合従連衡を経て主要数社へ集約された。みずほリースは銀行系総合リース会社として残った数少ない一社で、丸紅の20%出資を契機に、商社系と銀行系の境界をまたぐ事業構造の組み立てに着手した。

  • みずほリース 有価証券報告書
    • [45]2025年4月、日鉄興和不動産の発行済株式14.85%を追加取得し出資比率を15.29%から30.14%へ引き上げ(取得額501億円)
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [46]みずほリースは1969年に産業界の共同出資で「総合リース会社」として設立され、56年を経た(2025年時点)
  • みずほリース 有価証券報告書
    • [39]2024年5月14日、丸紅とみずほリースが資本業務提携契約を締結(丸紅が第三者割当増資引受で20%取得・みずほリースが丸紅の持分法適用関連会社化)
    • [40]2024年6月、丸紅が出資比率20.0%(5,653万株)でみずほFG(23.09%)に次ぐ第二位株主に
    • [42]中村昭社長は2023年4月就任
    • [44]FY24に丸紅からマネジメント層・中堅・若手の人財19名を受け入れ
    • [45]2025年4月、日鉄興和不動産の発行済株式14.85%を追加取得し出資比率を15.29%から30.14%へ引き上げ(取得額501億円)
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
    • [41]2024年5月、ジェコスの株式を取得(同時発表)
    • [46]みずほリースは1969年に産業界の共同出資で「総合リース会社」として設立され、56年を経た(2025年時点)
  • 中期経営計画2025(みずほリース, 2023年5月)
    • [43]中期経営計画2025(2023〜2025年度)でグロース・フロンティア領域へ累計1,500億円のインオーガニック投資方針

みずほリースの沿革1969〜2024年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
パシフィック・リースを設立★★
商号を興銀リースに変更
IBJ Leasing (UK) Ltd. を設立
Krung Thai IBJ Leasing Co., Ltd.の持分を取得
八重洲リースを設立
ケイエル・レンタルを設立
Japan PNB Leasing and Finance Corporationの持分を取得
興銀オートリースを設立
日産リースの株式を取得
セゾンオートリースシステムズの株式を取得
奥本洋三セゾンオートリースシステムズを存続会社として興銀オートリースと合併★★
奥本洋三東京証券取引所市場第二部に株式を上場
奥本洋三東京証券取引所市場第一部に銘柄指定
奥本洋三丸の内商事を設立
奥本洋三第一リースの株式を取得
阿部勗ケイエル・レンタルを吸収合併
阿部勗興銀融資租賃有限公司を設立
阿部勗PT. IBJ VERENA FINANCEを設立
阿部勗東芝ファイナンスの法人向け金融サービス事業を承継しティーファスを設立★★
大西節日産リースを吸収合併
本山博史バミューダに米 Aircastle Limited との合弁で IBJ Air Leasing Limited を設立★★
本山博史オートファイナンス事業会社PT. VERENA MULTI FINANCE Tbkの株式を取得
本山博史みずほ銀行との資本業務提携によるみずほFG持分法適用関連会社化と商号変更興銀リースという50年の看板を、みずほの顧客基盤とどう引き換えたか 詳細を読む★★★
本山博史商号をみずほリースに変更
津原周作丸紅との共同買収による米Aircastleの議決権25%取得合弁相手を丸ごと買うとき、主導権を取るか資金の側に回るか 詳細を読む★★★
津原周作リコーリースの株式を取得
津原周作みずほキャピタルの株式を取得
津原周作日鉄興和不動産の株式を取得
中村昭ジェコスの株式を取得
中村昭丸紅への第三者割当増資による20%出資の受け入れと丸紅の持分法適用関連会社化みずほに続いて商社を株主に迎えるとき、どちらの系列にも属さない位置は保てるか 詳細を読む★★★
出典・参考
  • みずほリース 有価証券報告書【沿革】
  • リース事業協会沿革資料
  • みずほリース 有価証券報告書
  • みずほリース 第6次中期経営計画(2019〜2023年度)
  • 中期経営計画2025(みずほリース, 2023年5月)

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