現在の安藤・間の法人格と上場は、1889年に間猛馬が福岡県門司で創業した間組を母体とする。間猛馬は日本鉄道を辞した技術者で、官庁工事を一般競争入札に付す会計法が公布された年に鉄道建設の請負で事業を起こした。間組は1917年に合資会社へ改組し、1930年に資本金50万円で株式会社間組を設立した。戦前にはアジア最大の出力70万kWの朝鮮・水豊発電所などを手がけ、発電所やダムの建設で土木技術を蓄えた。戦後は中興の祖と呼ばれる神部社長が進駐軍工事で経営を立て直した。1953年着工の天竜川・佐久間ダムでは米アトキンソン社と技術提携して当時日本最大の重力式ダムを約3年で完成させ、黒部川第四発電所など難工事を相次いで引き受けて間組は土木の名門としての地歩を固めた。
間組は1992年に呼称をハザマへ改め、1990年代後半に海外工事の損失と国内不採算案件で経営が悪化した。2000年5月、ハザマは主力4行に総額1,050億円の債権放棄を要請し、2001年3月期に約1,200億円の特別損失を計上する計画を示した。2003年10月、会社分割で建設事業部門の承継会社として株式会社間組が設立され、東証一部へ上場して歴史的な間組の社名を継いだ。承継会社の連結売上高はFY03の1,403億円からFY06の2,372億円へ拡大したが、リーマンショック後のFY09には純利益17億円の赤字となった。そこで2003年に資本業務提携した安藤建設と2013年4月に間組を存続会社として統合し、株式会社安藤・間が発足した。
2013年4月、土木に強い間組を存続会社として安藤建設を統合し、安藤・間が発足した。連結売上高はFY13に3,712億円と間組単独の約1.9倍へ拡大し、初代社長に旧ハザマ系の野村俊明が就いた。FY16には売上高4,079億円・営業利益370億円のピークを記録したが、土木の利益率20.1%に対し建築は5.5%と二極化し、FY18は特別損失95億円で純利益は88億円へ落ちた。2018年4月就任の福富正人社長は建築事業の利益率改善を最優先に据えた。2023年4月就任の国谷一彦社長は「建設業界で最も従業員を大切にする会社」を掲げ、FY24は売上4,251億円・純利益264億円とFY16並みへ回復し、建築事業の利益率がFY18以来初の2桁10.3%へ戻った。
決断の理由 — クリティカルな歴史の転換点を読み解く
- Q なぜ1889年に間猛馬は門司で間組を起こし、土木の名門になれたのか
- A 官庁工事を原則一般競争入札に付す会計法の公布が、技術と見積もりで実績を競う余地を開いたためである。1889年、日本鉄道を辞した技術者・間猛馬は福岡県門司で間組を創業し、鉄道建設の請負を足がかりとした。土木は1案件が数十億円から数百億円規模に達し、地質と工法の読みが採算を左右する。ゆえに難工事を完遂する施工力そのものが信用となり、間組は次の難工事を呼び込んで土木の名門としての地歩を固めていった。
- Q なぜ2013年に間組は安藤建設と合併したのか
- A 土木に偏った間組は準大手ゼネコンとして単独では規模も価格競争力も足りず、それを建築で補える相手が安藤建設だったためである。2003年の会社分割で健全な建設事業へ再建していた間組は、2003年に締結した安藤建設との資本業務提携を布石に、2013年4月、土木に強い間組を存続会社として建築に強い安藤建設を統合した。合併後のFY13売上高3,712億円は単独のFY12から87.6%増へ広がり、土木で利益率を稼ぎ建築で売上の量を取る相互補完で、独力では届かなかった水準へ事業を引き上げた。
- Q なぜ2023年に国谷体制は人的資本経営を最優先に据えたのか
- A 合併由来の補完が一巡し、案件不足ではなく人材の確保と定着が事業継続そのものを左右するためである。2023年4月に3代目社長へ就いた国谷一彦氏は「建設業界で最も従業員を大切にする会社」を掲げ、若年層離れと現場の高齢化が進むなかで人材確保と定着を事業継続の前提に位置づけた。実際にFY24の連結平均年収はFY18の848万円から1,005万円へ上昇している。残業規制が建設業に及ぶ2024年問題とも相まって、現場の生産性改革を中期経営計画BEYOND2025の根幹に据えた。
- 歴史詳細 3章・4,080字
メインコンテンツ。一次資料をベースに歴史を紐解く
- 沿革年表 53件
主要な出来事を重要度別に時系列で整理
- 長期業績 1960〜2025年(66カ年)
有価証券報告書などの公開データに基づく長期データ
- 直近の業績
業績推移と経営体制
- セグメント情報 2005〜2025年(21カ年)
各事業の売上・営業利益・利益率の推移
- 歴代社長 5名
代表取締役社長・CEO の在任期間・経歴・在任中の施策
- 取締役一覧 2018〜2025年(8カ年)
取締役の構成バランスと社外独立性
- 大株主・株主構成 1980〜2024年(45カ年)
上位10名の入れ替わりと所有者区分7区分の推移
- 組織と給料 2011〜2025年(15カ年)
連結/単体の年次変化と業界他社の平均給与比較