ソシオネクスト の歴史

更新:

創業

2014年

創業者

※富士通+パナソニック

創業地

神奈川県横浜市

直近売上高(2026/3)

2,008億円

長期業績と転換点(2021/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ2015年に富士通とパナソニックは半導体(SoC)事業を切り出して統合させたのか
A 設計から製造まで自社の系列で抱える日本の大手電機は、先端プロセスの巨額投資を単独でまかなえず、汎用半導体で台湾・韓国勢に押されていた。富士通とパナソニックのSoC部門も同じ事情を抱え、片方だけでは先端設計を続ける体力を欠いていた。エルピーダメモリの破綻、ルネサスの公的再建、東芝メモリの分社化と国内の半導体再編が相次ぐなか、2014年9月に受け皿の準備会社を横浜市に置き、翌2015年3月の会社分割で両社のシステムLSI部門を一つに束ねた。日本政策投資銀行の出資を仰いだ合流である
Q なぜ2018年に親会社から引き継いだ汎用品を捨ててカスタムSoC専業へ絞り込んだのか
A 従来型の汎用半導体は規模で値段が決まり、台湾・韓国・中国の大手にコストで歯が立たないため、親会社から引き継いだ汎用品を延命させ続けることは構造的に成り立たなかった。一方で、データセンターや車載の先進運転支援など、独自チップを最先端プロセスで設計してほしい顧客は世界で増えていた。そこでソシオネクストは2018年4月、顧客ごとに上流設計から量産までを一気通貫で請け負うSolution SoCへ営業・開発を寄せ、量で戦う土俵を降りて設計の対価で稼ぐ業態へ移った。2023年のカスタムSoC市場では米Appleに次ぐ世界2位、シェア12%を占めた
Q なぜ2024年に最高益を出した直後、ソシオネクストはチップレットと3nmへ先行開発費を厚くしたのか
A 一つのチップに機能を詰める従来の作り方は、製造で取れる面積の上限、チップを広げるほど不良が増える歩留り、熱の逃がしにくさという物理と採算の壁に突き当たり、性能を伸ばす余地が細っていた。受託設計で勝ち残るには、この壁の先へ顧客を導ける技術を先に握る必要がある。そこでソシオネクストは2025年10月にチップレット設計ライブラリ「Flexlets」を公表し、複数の小さなダイを束ねて高性能計算・ネットワーク・車載向けに性能を最適化する手法を打ち出した。3nmの先端品量産準備とあわせ、足元の利益を削ってでも次世代の受託基盤へ研究開発費を投じる構えである

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2014年〜 富士通とパナソニックの半導体を統合して発足させた時代

親会社の撤退を前提とした受け皿会社の発足

2014年9月にソシオネクストは準備会社として神奈川県横浜市に設立された。翌2015年3月に富士通セミコンダクターとパナソニックの会社分割で両社のSoC事業が統合され、事業が正式にスタートした。2010年代を通じて日本の大手電機メーカーが半導体事業から次々と撤退・再編していた時期に重なる。2012年のエルピーダメモリの経営破綻、ルネサスエレクトロニクスの公的資金を使った再建、東芝メモリの分社化と外部売却といった動きのなかで、富士通とパナソニックのシステムLSI部門も単独での競争力を維持しにくくなっていた。系列の垂直統合に支えられてきた日本の半導体事業は、ファブレスかファンドリーかを迫られる時代に直面していた。 [1][2][3]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [1]2014年9月 ソシオネクスト設立(準備会社として神奈川県横浜市に設立)
    • [2]2015年3月 富士通セミコンダクターとパナソニックの会社分割により両社のSoC事業を統合し事業を開始
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)
    • [3]本店所在地は神奈川県横浜市(港北区新横浜)。準備会社として横浜に設立は表紙の本店所在地と整合

統合直後の会社は、両親会社から引き継いだ汎用SoC製品とカスタム設計受託の双方を抱え、事業の性格は混在していた。親会社の既存顧客を引き継ぐ受け皿の色彩が濃く、ファブレスとしての自立したビジネスモデルは確立途上だった。米国・欧州・アジアに子会社を展開していたが、どの事業領域に経営資源を集中させるかの方向性は定まっていなかった。発足した会社が独立企業として成立できるかは市場から懐疑的に見られ、統合の経済合理性を示すことが経営の最大の課題だった。肥塚雅博は後年、富士通・パナソニックの半導体部門を統合したソシオネクストは協力し合ってきた関係の延長線上にある会社だと説明しており、両社のSoC部門が実務レベルで接点を持っていた背景が、統合を受け入れやすくした土台となった。 [4][5][6]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [4]ソシオネクストは汎用SoCとカスタム設計受託の双方を抱え、ファブレスの半導体ベンダーとして発足(事業内容と整合)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [5]米国・欧州・アジアに子会社を展開(Socionext America/Taiwan、Austria子会社等の存在と整合)
    • [6]肥塚雅博が富士通・パナソニックの半導体部門を統合したソシオネクストを『協力し合ってきた』関係の延長線上にある会社と説明
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [1]2014年9月 ソシオネクスト設立(準備会社として神奈川県横浜市に設立)
    • [2]2015年3月 富士通セミコンダクターとパナソニックの会社分割により両社のSoC事業を統合し事業を開始
    • [5]米国・欧州・アジアに子会社を展開(Socionext America/Taiwan、Austria子会社等の存在と整合)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)
    • [3]本店所在地は神奈川県横浜市(港北区新横浜)。準備会社として横浜に設立は表紙の本店所在地と整合
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [4]ソシオネクストは汎用SoCとカスタム設計受託の双方を抱え、ファブレスの半導体ベンダーとして発足(事業内容と整合)
    • [6]肥塚雅博が富士通・パナソニックの半導体部門を統合したソシオネクストを『協力し合ってきた』関係の延長線上にある会社と説明

米国と台湾の子会社を起点とする設計力の強化

2016年1月に子会社のSocionext America Inc.が米国のBayside Design Inc.の全株式を取得した。統合後最初のM&A案件で、北米での設計開発能力の強化が狙いだった。同年4月に台湾支店を法人化してSocionext Taiwan Inc.を設立し、アジア地域のカスタマーサポート体制を整えた。2017年8月には映像処理技術のXVTEC Ltd.と投資契約を結び、同社を持分法適用関連会社として迎え入れて動画圧縮分野の技術補強を図った(2018年4月にSocionext America Inc.がBayside Design Inc.を吸収合併し、XVTECは2021年8月に全株式を譲渡して関係を解消した)。規模は小さいが、設計力の集約先を海外に分散して配置する姿勢は、統合初期から一貫していた。日本発のファブレスSoC企業としては異例の早さで、国際的な開発拠点網の骨格が整った。 [7][8][9][10]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [7]2016年1月 子会社Socionext America Inc.がBayside Design Inc.の全株式を取得
    • [8]2016年4月 台湾支店を法人化しSocionext Taiwan Inc.を設立
    • [9]2017年8月 XVTEC Ltd.と投資契約を締結し持分法適用関連会社化
    • [10]2018年4月 Socionext America Inc.がBayside Design Inc.を吸収合併/XVTECは2021年8月に全株式譲渡し関係解消

単独では小規模な補強だったが、設計力の集約先を海外に配置する姿勢は明確だった。日本発のファブレスSoC企業でありながら、最先端設計ノウハウを米国・台湾・欧州に分散して保持する体制が、統合から3年ほどで輪郭を整えた。この時期の経営は、親会社から引き継いだ汎用品の縮退と、新たなカスタム設計受託案件の獲得を同時に進める課題に直面した。最先端ノード向けのSoC設計には数十億円規模の開発費が必要で、日本国内だけでは採算を取れず、米国や欧州のハイパースケーラーを相手に戦える体制の構築が急務だった。旧富士通と旧パナソニック出身の設計者が海外拠点に合流し、グローバル顧客対応の実務を統合初期から積み上げた。

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [7]2016年1月 子会社Socionext America Inc.がBayside Design Inc.の全株式を取得
    • [8]2016年4月 台湾支店を法人化しSocionext Taiwan Inc.を設立
    • [9]2017年8月 XVTEC Ltd.と投資契約を締結し持分法適用関連会社化
    • [10]2018年4月 Socionext America Inc.がBayside Design Inc.を吸収合併/XVTECは2021年8月に全株式譲渡し関係解消

2018年〜 カスタムSoC専業への転換と東証プライム上場の時代

ソシオネクストの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2018年 汎用ASSPからカスタムSoC専業への転換と「ソリューションSoC」ビジネスモデルへの絞り込み 親会社から引き継いだ汎用品を手放し独自SoCの受託設計へ絞ったソシオネクストは、量を追わない事業へどう組み替えたか
  2. 2019年 Socionext Embedded Software Austria GmbH株式を譲渡

2018年4月のSolution SoC宣言と事業モデルの絞り込み

2018年4月にソシオネクストは事業モデルを絞り込む決断を下した。汎用品中心の事業構成から、顧客ごとに設計するSolution SoCと呼ぶカスタムSoCビジネスへの特化を宣言し、営業部門・開発部門のリソースをシフトした。従来型のASICは上流設計を顧客自身が担う必要があり、ASSPベースのASICはベンダーロックインの警戒感を生むのに対し、Solution SoCは外部ベンダーの最先端技術を組み合わせて上流設計から量産までを一気通貫で請け負う点に新しさがあった。独自SoCを求める顧客に向けた受託設計へ経営資源を集中する判断で、親会社から引き継いだ汎用品依存からの離脱を意味する戦略転換だった。 [11][12]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [11]2018年4月以降 独自SoCを求める顧客向け『ソリューションSoC』ビジネスモデルによるカスタムSoC事業を注力事業とし、営業・開発のリソースシフトを実施
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [12]ソリューションSoCは従来型ASIC(上流設計を顧客が担当)やASSPベースのASIC(ベンダーロックイン警戒)と異なり、外部ベンダーの最先端技術を組み合わせ上流設計から請け負うモデル

この戦略転換は製品ラインアップの見直しに留まらなかった。従来型の汎用半導体は台湾・韓国・中国のメガプレイヤーに対してコスト競争力で歯が立たなくなり、親会社から引き継いだ汎用品を延命させ続けることは構造的に不可能と判断された。顧客ごとにSoCを設計する受託モデルはボリューム勝負ではなく、データセンター・自動車の先進運転支援システム・産業機器など特定アプリケーション向けに独自チップを求める顧客が世界的に増え始めていた。ソシオネクストはその需要に応える会社として自らを再定義し、最先端プロセスを使う設計受託の専業化に組織の全リソースを振り向けた。ファブレス専業化は、当時の市場の要請でもあった。 [13][14]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [13]注力事業領域をテレビ等のコンシューマ向け中心からオートモーティブ・データセンター/ネットワーク・スマートデバイス等の先端分野へ転換
    • [14]工場を持たないファブレスの事業形態を採用(ファブレス専業化)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [11]2018年4月以降 独自SoCを求める顧客向け『ソリューションSoC』ビジネスモデルによるカスタムSoC事業を注力事業とし、営業・開発のリソースシフトを実施
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [12]ソリューションSoCは従来型ASIC(上流設計を顧客が担当)やASSPベースのASIC(ベンダーロックイン警戒)と異なり、外部ベンダーの最先端技術を組み合わせ上流設計から請け負うモデル
    • [13]注力事業領域をテレビ等のコンシューマ向け中心からオートモーティブ・データセンター/ネットワーク・スマートデバイス等の先端分野へ転換
    • [14]工場を持たないファブレスの事業形態を採用(ファブレス専業化)

東証プライム上場と統合7年目の資本独立

2019年1月にSocionext Embedded Software Austria GmbHの全株式を他社に譲渡してオーストリアの組込みソフト子会社から撤退し、2021年3月にSocionext Global Platform Inc.の合弁を解消・解散するなど、事業領域の絞り込みを順に行った。2021年5月に京都地区の4拠点に分散していた開発機能を京都リサーチパーク(京都市下京区)内に集約し、分散していた設計リソースを一箇所に束ねて量産前工程の効率化を図った。2022年3月に監査等委員会設置会社へ移行してガバナンス体制の整備を進め、上場会社として求められる内部統制と社外取締役の比率要件に先行対応した。カスタムSoC専業という事業モデルに合わせて、組織の形態そのものも再設計された時期である。親会社依存の時代から独立したファブレス企業へ脱皮する制度的な準備が、順を追って積み上がった。 [15][16][17][18]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [15]2019年1月 Socionext Embedded Software Austria GmbHの全株式を他社に譲渡
    • [16]2021年3月 Socionext Global Platform Inc.の合弁を解消・解散
    • [17]2021年5月 京都地区の従来4拠点の開発拠点を京都リサーチパーク(京都市下京区)内に集約
    • [18]2022年3月 監査等委員会設置会社へ移行

2022年10月、統合から7年余りを経てソシオネクストは東京証券取引所プライム市場に株式を上場した。この上場は、大株主だった富士通・パナソニック・日本政策投資銀行からの独立と資本市場での自立を同時に意味した。旧親会社からの発注に依存した会社が、独立した設計会社として資本市場と向き合う体制に切り替わった。肥塚雅博が代表取締役会長兼社長兼CEOとしてIPOを主導した体制は、上場後もそのまま維持された。2022年11月に台湾支店を正式に開設し、TSMCをはじめとするファウンドリとの直接窓口を現地に持つグローバル生産・調達体制の整備も並行して行った。半導体業界で2010年代を通じて進んだ再編の到達点として、自立したファブレス設計受託会社が資本市場に送り出された。 [19][20][21][22]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [19]2022年10月 東京証券取引所プライム市場に株式を上場(統合から7年余り)
    • [20]上場は大株主の富士通・パナソニック・日本政策投資銀行からの独立を意味(JBIC出資を受けた統合)
    • [22]2022年11月 グローバルな生産・調達体制とするため台湾支店を開設(TSMC等ファウンドリとの窓口)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)
    • [21]肥塚雅博が代表取締役会長兼社長兼CEOとしてIPOを主導(表紙の代表者役職氏名と一致)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [15]2019年1月 Socionext Embedded Software Austria GmbHの全株式を他社に譲渡
    • [16]2021年3月 Socionext Global Platform Inc.の合弁を解消・解散
    • [17]2021年5月 京都地区の従来4拠点の開発拠点を京都リサーチパーク(京都市下京区)内に集約
    • [18]2022年3月 監査等委員会設置会社へ移行
    • [19]2022年10月 東京証券取引所プライム市場に株式を上場(統合から7年余り)
    • [20]上場は大株主の富士通・パナソニック・日本政策投資銀行からの独立を意味(JBIC出資を受けた統合)
    • [22]2022年11月 グローバルな生産・調達体制とするため台湾支店を開設(TSMC等ファウンドリとの窓口)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)
    • [21]肥塚雅博が代表取締役会長兼社長兼CEOとしてIPOを主導(表紙の代表者役職氏名と一致)

2022年〜 東証プライム上場直後のピークと2025年の反転の時代

ソシオネクストの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2022年 肥塚雅博氏が代表取締役会長兼社長兼CEOに就任
  2. 2022年 東京証券取引所プライム市場への上場と、富士通・パナソニック・日本政策投資銀行からの資本独立 親会社の受け皿として発足した会社は、統合から7年でどのように資本の独立を果たしたか
  3. 2023年 過去最高の売上高・営業利益を達成
  4. 2024年 過去最高益を更新
  5. 2025年 売上高・営業利益とも減少
  6. 2025年 通期予想を下方修正
  7. 2025年 チップレット設計ライブラリー「Flexlets」を公表

2024年3月期の営業利益355億円という最高業績の到達

上場直後の2023年3月期に売上高1927億円、営業利益217億円という統合以来の最高業績を記録した。前期の2022年3月期の売上高1170億円から65%増で、事業モデルの絞り込みが数字で裏付けられた。背景にはポストコロナの半導体需要の本格拡大、車載SoC需要の伸長、データセンター向け商談の積み上がりといった複数の要因があり、カスタムSoC事業に絞り込んだ戦略が業績に直結した。7nm以細の先端プロセスノードを活用する案件がNRE売上に占める割合が増え、単純な汎用品販売ではなく最先端設計の対価として売上が積み上がる構造が見えてきた。日本発のファブレスSoC企業としては異例の成長率で、統合当時の懐疑論を跳ね返す形で市場からの評価も高まった。 [23]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [23]7nm以細の先端プロセスノードを活用する案件がNRE売上に占める割合は2025年3月期に74%

続く2024年3月期には売上高2212億円、営業利益355億円と記録を更新した。粗利率は49.7%、営業利益率は16.0%に達し、ファブレスSoC企業として世界市場で一定の存在感を示す水準となった。2023年8月にSocionext America Inc.の支店としてインドのベンガルールに設計開発拠点を新たに開設し、設計リソースの国際分散を行った。2024年7月には国内でも高蔵寺事業所を移転して名古屋事業所を開設するなど、自動車産業集積地に近い設計拠点の整備も同時に行った。肥塚は2024年時点で、初心を基本に据えつつ2025年以降の第2の変革を見込んだ成長として企業価値の増加をどう実現するかを問う姿勢を示し、ピーク業績のなかでも次の変革局面を意識していた。 [24][25][26]

  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [24]2023年8月 Socionext America Inc.の支店としてインド・ベンガルールに設計開発拠点を開設
    • [25]2024年7月 高蔵寺事業所を移転し名古屋事業所を開設
    • [26]肥塚は2024年時点で初心を基本に2025年以降の第2の変革を見込んだ成長として企業価値の増加をどう実現するかを問う姿勢を示した
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [23]7nm以細の先端プロセスノードを活用する案件がNRE売上に占める割合は2025年3月期に74%
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
    • [24]2023年8月 Socionext America Inc.の支店としてインド・ベンガルールに設計開発拠点を開設
    • [25]2024年7月 高蔵寺事業所を移転し名古屋事業所を開設
    • [26]肥塚は2024年時点で初心を基本に2025年以降の第2の変革を見込んだ成長として企業価値の増加をどう実現するかを問う姿勢を示した

初の減収減益と中国通信機器という特定要因の顕在化

2025年3月期にソシオネクストは初めて減収減益を記録した。売上高は1885億円(前期比14.8%減)、営業利益は250億円(同29.6%減)と水準を落とした。主因は中国通信機器向け製品の需要減少と顧客側の在庫調整の長期化である。特定の大口顧客が抱える在庫が解消されるまで次の発注が出ないという典型的なサイクルが、受託設計ビジネス特有の顧客集中リスクを表面化させた。単一商品・単一顧客への依存が業績を直撃し、カスタムSoC事業が抱えていた構造的脆弱性が浮かび上がった。汎用品からの撤退と受託設計への集中は正しい戦略だったが、副作用として顧客構成の偏りが利益の振幅をそのままする構造が、数字の上で見えてしまった時期である。 [27]

  • ソシオネクスト 2025年度第1四半期決算説明会(2025年7月31日)
    • [27]主因は中国通信機器向け製品の需要減少と顧客側の在庫調整の長期化

2025年7月末の第1四半期決算説明会で、同四半期が売上のボトムになるとの見方を示し、下期からの車載向け新規量産品立上げによる回復シナリオを提示した。中国顧客向けの自動車ADAS・自動運転用カスタムSoCの量産立上げを成長ドライバーとして打ち出し、年間計画の維持を強調する姿勢を崩さなかった。半導体製品は商談獲得から量産開始まで通常2年以上を必要とするため、数四半期先の業績を決めるのは直近の受注ではなく、過去に獲得済みの設計案件がいつ量産段に進むかだと経営陣は繰り返し説明した。しかし3か月後の第2四半期決算で、この回復シナリオは別の形で経営陣を追い詰めた。量産立上げそのものが歩留り問題と先行開発費増で利益を押し下げる構造が、IPO後初めて待ち受けていた。 [28][29][30]

  • ソシオネクスト 2025年度第1四半期決算説明会(2025年7月31日)
    • [28]2025年7月末(7月31日開催)の第1四半期決算説明会で当四半期が売上のボトムになるとの見方を示した
    • [29]中国顧客向けの自動車ADAS・自動運転用カスタムSoCの量産立上げを成長ドライバーとして打ち出した
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [30]半導体製品は商談獲得から量産開始まで通常2年以上を必要とする
  • ソシオネクスト 2025年度第1四半期決算説明会(2025年7月31日)
    • [27]主因は中国通信機器向け製品の需要減少と顧客側の在庫調整の長期化
    • [28]2025年7月末(7月31日開催)の第1四半期決算説明会で当四半期が売上のボトムになるとの見方を示した
    • [29]中国顧客向けの自動車ADAS・自動運転用カスタムSoCの量産立上げを成長ドライバーとして打ち出した
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
    • [30]半導体製品は商談獲得から量産開始まで通常2年以上を必要とする

ソシオネクストの沿革2014〜2025年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
ソシオネクスト設立(準備会社として設立)★★
富士通セミコンダクターとパナソニックのSoC事業の会社分割による統合とソシオネクストの発足親会社が抱えきれなくなったシステムLSI事業を、統合新会社は独立したファブレスとして自立させられるか 詳細を読む★★★
Bayside Design Inc.を買収
Socionext Taiwan Inc.を設立
汎用ASSPからカスタムSoC専業への転換と「ソリューションSoC」ビジネスモデルへの絞り込み親会社から引き継いだ汎用品を手放し独自SoCの受託設計へ絞ったソシオネクストは、量を追わない事業へどう組み替えたか 詳細を読む★★★
Socionext Embedded Software Austria GmbH株式を譲渡
肥塚雅博肥塚雅博氏が代表取締役会長兼社長兼CEOに就任
肥塚雅博東京証券取引所プライム市場への上場と、富士通・パナソニック・日本政策投資銀行からの資本独立親会社の受け皿として発足した会社は、統合から7年でどのように資本の独立を果たしたか 詳細を読む★★★
肥塚雅博過去最高の売上高・営業利益を達成
肥塚雅博過去最高益を更新
吉田久人売上高・営業利益とも減少
吉田久人通期予想を下方修正
吉田久人チップレット設計ライブラリー「Flexlets」を公表
出典・参考
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【沿革】
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)
  • ソシオネクスト 有価証券報告書 第11期(2025年3月期)【事業の内容】
  • 日本経済新聞(2022年)
  • 日刊工業新聞(2024年)
  • ソシオネクスト 2025年度第1四半期決算説明会(2025年7月31日)

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