創業地江戸神田鍛冶町
創業年1804
上場年1961
創業者清水喜助
1804年〜 大工業からスーパーゼネコンの基盤完成まで
1804 清水喜助が江戸神田鍛冶町に大工業を開業
1859 横浜開港に伴い横浜店を開設
1887 渋沢栄一を相談役に迎え民間建築方針を確定
1915 合資会社清水組を設立し会社組織に変更
1937 合資会社清水組を合併し全国支店網を整備
1937 株式会社清水組を設立

1804年、越中富山出身の大工・清水喜助が江戸神田鍛冶町で大工業を開業し、町家や商家の建築を請負った。1859年の横浜開港で外国商館を手がけ、1872年に2代清水喜助が第一国立銀行で擬洋風建築を示した。方針が固まったのは1887年に相談役へ就いた渋沢栄一が営業方針を「民間の建築工事」と定めてからで、清水組は官需に頼らず民間建築で実績を重ねた。1915年に合資会社清水組、1937年に株式会社清水組へと法人化し全国支店網を整えた。1948年には社名を清水建設へ改め、清水同族以外から初めて外部資本を導入する。1954年に土木部門を強化して総合建設業へ移行し、1962年に東証一部へ上場、建築と土木を二本柱とするスーパーゼネコンの基盤を1960年代前半に固めた

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1966年〜 堅実経営と機会損失の二面性から省力化改革へ
1966 量産住宅用PC板製造工場を新設
1966 非同族社長の就任
1973 ブラジル現地法人設立で海外本格進出
1978 EC化(エンジニアリング・コンストラクター化)を決定
1985 10年ビジョン「シミズスプリング計画」を策定
1989 業界トップの業績を回復
1971年3月期 単体
売上高 2,709億円
純利益 96億円
純利益率 3.5%
2009年3月期 連結
売上高 18,875億円
純利益 62億円
純利益率 0.3%

1966年に清水康雄が死去し吉川清一が清水同族以外から初の社長に就いた。1973年の石油危機で国内需要が冷え込むと、ブラジルを皮切りに海外34カ国へ営業網を広げた。1978年にはEC化で企画から維持保全までを一括して請け負う体制へ移る。だが創業以来の慎重さは根強く、石橋を叩いて壊すとも言われた。1985年、野村哲也社長は「堅実だけでは足りない」と認め「走りながら考えろ」を掲げて攻めへ転じる。バブル経済では民間建築の強みが噛み合い、1987年に総額500億円の無担保転換社債を初めて発行し、1989年度に業界トップへ返り咲いた。だがバブル崩壊で受注は細り、1989年から累計約500億円を省力化に投じて鉄骨溶接ロボットで省力化率40%を達成した

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2010年〜 過去最高営業益から上場来初の営業赤字へ
2010 初の連結純損失を計上
2020 鹿島建設・竹中工務店との技術連携を発表
2020 シミズ・アメリカ社を設立
2022 SEP船「BLUE WIND」完成
2022 日本道路を株式公開買付けにより連結子会社化
2023 潮見イノベーションセンター「温故創新の森 NOVARE」開業
2010年3月期 連結
売上高 15,892億円
純利益 -68億円
純利益率 -0.4%
2023年3月期 連結
売上高 19,338億円
純利益 490億円
純利益率 2.5%

リーマンショック後の2010年3月期、清水建設は創業以来初の連結純損失68.5億円を計上した。だが建設投資の回復は早く、都市再開発ブームと民間建築の強みで業績は急回復する。FY16には売上高1兆5,674億円・営業利益率8.2%を達成し、FY19(2020年3月期)には連結営業利益1,339億円とバブル期を超える過去最高を記録した。しかしFY18頃から受注時採算に陰りが出て、資材と労務費の高騰が原価を押し上げる。FY23(2024年3月期)には売上高2兆55億円と過去最高を更新しながら、上場来初の営業損失247億円を計上した。民間工事比率の高さが好不況の振れ幅を広げる一方、2022年に道路舗装大手の日本道路をTOBで連結子会社化した

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決断の理由 — クリティカルな歴史の転換点を読み解く

Q なぜ1859年の横浜開港が、清水組のその後の経営路線を決めたのか
A 横浜開港で生まれた居留地の建築は、発注するのが官庁ではなく外国商人で、図面も代金も相手と直に詰めなければ成立しなかった。官公需に寄りかかる同業の大手と違い、初代清水喜助氏はここで、発注者と直接向き合って仕事を取る商いを身につけた。1859年に横浜店を開いて外国商館を手がけ、現場で洋風建築の技術を覚えたこの経験が、官需ではなく民間建築を主戦場とする経営路線を創業期に決めた。この民間建築重視は強みになる一方、ダムや道路など官公需の土木は後回しとなり、土木部門の本格整備は1954年まで待つことになる
Q なぜ1887年に渋沢栄一が定めた「民間の建築工事」路線が、業界首位と損益の振れの両方を生んだのか
A 民間需要は官需より景気に振れるため、同じ顧客層への集中は、好況と不況で正反対の結果を出す。渋沢栄一氏は1887年に営業方針を「民間の建築工事」と定め、オフィス・工場・銀行を主な客に据えた。この強みはバブル期の都市建築ブームと噛み合い、1989年度に業界首位の業績を生んだ。一方でFY23(2024年3月期)には、スライド条項のない民間工事で資材高騰を自社が吸収し、上場来初の営業損失247億円を出した。つまり民間建築に強いという同じ特色が、好況には業界首位を、資材高のときには赤字をもたらした。
Q なぜ清水建設は2020年代に、新領域を自社開発から買収(日本道路など)へ切り替えたのか
A 1960年代後半に量産化を進めたPC住宅も、1985年に多角化を掲げたシミズスプリング計画も、自社で一から育てた新事業はいずれも定着せず、社内開発で第3の柱を立てるやり方には限界が見えていた。そこで清水建設は、既に技術と顧客を持つ会社を買って新領域を最短で取り込む方針へ改めた。2022年に道路舗装の日本道路をTOBで子会社化し、2026年には手薄だった海洋土木を補うためマリコンのあおみ建設を約250億円で買収した。狙いは、2030年度に非建設事業で収益の35%を稼ぐSHIMZ VISION 2030の達成にある

出典・参考文献

歴史概要

  • 清水建設 有価証券報告書【沿革】
    • [1] 1804年に清水喜助が江戸神田鍛冶町で大工業を開業した
    • [2] 1937年に株式会社清水組を設立し名古屋・大阪・九州支店を開設して全国展開した
    • [3] 1948年に社名を清水建設へ改称し清水同族以外から初めて外部資本を導入した
    • [4] 1962年に東京証券取引所第一部へ上場した
    • [12] 2022年に道路舗装大手の日本道路をTOBで連結子会社化した
  • 日本会社史総覧(東洋経済新報社, 1995)
    • [5] 1973年の石油危機を機にブラジルを皮切りに海外34カ国へ営業網を拡大した
    • [7] 1987年に総額500億円の無担保転換社債を初めて発行した
  • 日経ビジネス 1987年5月25日号
    • [6] 1985年に野村哲也社長が「堅実だけでは足りない」「走りながら考えろ」と述べた
  • 日経ビジネス 1992年2月10日号
    • [8] 1989年から累計約500億円を省力化投資に投じ鉄骨溶接ロボットで省力化率40%を達成した
  • 清水建設 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】
    • [9] 2010年3月期に創業以来初の連結純損失68.5億円を計上した
  • 清水建設 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [10] FY19(2020年3月期)に連結営業利益1,339億円と過去最高を記録した
    • [11] FY23(2024年3月期)に上場来初の営業損失247億円を計上した

決断の理由

  • 清水建設 有価証券報告書【沿革】
    • [1] 1859年の横浜開港に伴い横浜店を開設し外国商館を手がけて洋風建築の技術を習得し、民間建築を主戦場とする路線を創業期に決めた
    • [3] 清水建設は創業以来建築を主業とし、民間建築重視ゆえ土木は後発で、1954年に新清土木の吸収合併で土木部門を本格整備した
    • [4] 1887年に渋沢栄一が営業方針を「民間の建築工事」と定めオフィス・工場・銀行を主な客に据えた
    • [5] 1989年度に業界トップの業績を達成し民間建築路線の強みが収益面で現れた
    • [7] 1960年代後半に量産化したPC住宅、1985年策定のシミズスプリング計画など自社開発の新事業はいずれも定着しなかった
  • 日本会社史総覧(東洋経済新報社, 1995)
    • [2] 当時の建設業は官需が主流で大手組は官公需に依存したが、清水組は民間からの受注で実績を積み上げた
  • 清水建設 有価証券報告書(連結損益計算書)
    • [6] FY23(2024年3月期)に上場来初の営業損失247億円を計上し、民間工事ではスライド条項なしで資材コストを自社が吸収した
    • [8] 2022年に日本道路をTOBで子会社化し、2026年にあおみ建設を約250億円で買収して海洋土木のノウハウを取り込んだ
    • [9] SHIMZ VISION 2030は2030年度に非建設事業で連結収益の35%を稼ぐ目標を掲げる

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