1993年〜 文具メーカーの新規流通事業部から始まる中小事業所翌日配送
アスクルの業績推移:単体
- 1993年 アスクル事業開始(プラスアスクル事業部において事業開始)
- 1993年 リンクスに商号変更。併せて、営業目的を不動産の売買、賃貸借・管理に変更
- 1997年 商号をアスクルに変更
- 1997年 インターネットによる受注を開始
- 1997年 プラスよりアスクル事業の営業を譲受け、本社を開設し営業を開始
- 2000年 アスクル、インターネット受注による法人向けBtoB EC先駆モデルの確立 ファクス受注中心だった中小事業所向け通販は、いかにしてBtoB EC先駆モデルへ育っていったか
- 2001年 アスクル、「EC先駆者」評価の反動と岩田社長の原点回帰 PER100倍の高株価はなぜ崩れたか——業績下方修正が問い直した「顧客第一主義」の実像
プラス株式会社内の新規事業として生まれた「明日来る」事業部
1993年3月、文具メーカーであるプラス株式会社の社内に「アスクル事業部」が社内ベンチャーとして発足し、中小事業所向けにオフィス用品のカタログ通信販売を開始した。立ち上げ当初はわずか4人という小所帯で、プラス製品を中心に500アイテムほどの品揃えからの出発だった。プラスは1948年設立の文具メーカーで、コクヨが業界首位として大手企業向けの直接販売・量販店経由販売を主戦場としていたなかで、中小事業所に大企業並みのサービスを提供することを掲げて新規事業を立ち上げた。アスクル事業推進室の責任者として室長に着任したのが、1986年にライオン油脂からプラスへ転じていた岩田彰一郎氏であり、1973年から13年間勤めたライオンでの消費財マーケティング経験を活かす形で、文具流通という業態の組み換えを試みた。 [1][2][3]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [1]1993年3月 プラス株式会社アスクル事業部においてアスクル事業を開始(中小事業所向けオフィス用品カタログ通信販売)
- 証券アナリストジャーナル38巻12号(日本証券アナリスト協会, 2000年12月)
- [2]アスクル事業部はプラス株式会社内の「社内ベンチャー」として発足した(経営者本人の証言)
- [3]立ち上げ当初は4人、プラス製品中心に約500アイテムの品揃えでスタート
1990年代前半の日本の文具流通は、大手企業向けには文具卸売の大塚商会や日本紙パルプ商事が、中小事業所向けにはコクヨなどの量販店が販売チャネルを支配しており、中小事業所が望む「カタログでまとめ買いし翌日に届く」ような購買体験を提供する仕組みは存在しなかった。アスクル事業部は社名そのものに「明日来る」を冠し、注文から翌日配送までを一貫させることを基本サービスとして設計した。事業部発足初年度に整備したのは、商品カタログの配布網、ファクス・電話の受発注体制、そして所沢物流センターからの全国出荷ルートであった。プラスの自社製品に加え他社製品も含めた多領域の品揃えで「中小事業所のオフィス用品調達を一括代行する」業態を立ち上げ、発足当初500アイテムだった品揃えは、コクヨなど他社製品も加えて2000年時点で約11,000アイテムまで広がった。 [4][5][6]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [4]社名「アスクル」に「明日来る」を冠し、注文から翌日配送までを基本サービスとした
- 証券アナリストジャーナル38巻12号(日本証券アナリスト協会, 2000年12月)
- [5]「アスクル」の名称が「明日来る」という翌日配送の約束を意味することは経営者本人も講演で述べている
- [6]発足当初500アイテムほどだった品揃えが、コクヨなど競合他社製品も含め2000年時点で約11,000アイテムに拡大
事業立ち上げから3年で売上高は急成長し、1997年2月、アスクル事業部はオフィス関連用品の翌日配送サービスを目的として独自の商号を取得した。同年3月にインターネットによる受注を開始し、5月にプラス株式会社よりアスクル事業の営業を譲り受けて東京都文京区に本社を設置、独立した株式会社として正式に営業を開始した。プラス株式会社の社内事業部として4年間運用するなかで、メーカー資本ではなく流通独立資本として再起動する判断が下された。同時に埼玉県入間郡に所沢物流センターを開設し、文具メーカーとは別の物流網を自社で構築する起点となった。 [7][8][9][10]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [7]1997年2月 オフィス関連用品の翌日配送サービスを目的として商号をアスクル株式会社に変更
- [8]1997年3月 インターネットによる受注を開始
- [9]1997年5月 プラス株式会社よりアスクル事業の営業を譲受け、東京都文京区に本社を設置し営業を開始
- [10]1997年5月 埼玉県入間郡に所沢物流センターを開設
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [1]1993年3月 プラス株式会社アスクル事業部においてアスクル事業を開始(中小事業所向けオフィス用品カタログ通信販売)
- [4]社名「アスクル」に「明日来る」を冠し、注文から翌日配送までを基本サービスとした
- [7]1997年2月 オフィス関連用品の翌日配送サービスを目的として商号をアスクル株式会社に変更
- [8]1997年3月 インターネットによる受注を開始
- [9]1997年5月 プラス株式会社よりアスクル事業の営業を譲受け、東京都文京区に本社を設置し営業を開始
- [10]1997年5月 埼玉県入間郡に所沢物流センターを開設
- 証券アナリストジャーナル38巻12号(日本証券アナリスト協会, 2000年12月)
- [2]アスクル事業部はプラス株式会社内の「社内ベンチャー」として発足した(経営者本人の証言)
- [3]立ち上げ当初は4人、プラス製品中心に約500アイテムの品揃えでスタート
- [5]「アスクル」の名称が「明日来る」という翌日配送の約束を意味することは経営者本人も講演で述べている
- [6]発足当初500アイテムほどだった品揃えが、コクヨなど競合他社製品も含め2000年時点で約11,000アイテムに拡大
インターネット注文の早期導入と当日配送への進化
1997年3月のインターネット受注開始は、日本国内のBtoB EC黎明期における先行事例の一つであった。当時の日本のインターネット普及率は10%未満で、企業がインターネット経由で文具を発注する習慣は確立していなかった。アスクルが受発注をWebに早期から接続したのは、ファクス・電話で受注した注文情報を物流センターのオペレーションへ即時接続するための内部システムを、最初からインターネット技術で設計したことの副産物でもあった。1998年3月にはインターネット注文に限り当日配送(東京23区内)を開始し、翌日配送を基本としつつ近距離は当日対応で差別化する二段構えを始動させた。 [11][12]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [11]1997年3月 インターネットによる受注を開始
- [12]1998年3月 インターネットによる受注分のみ当日配送(東京23区内限定)を開始
1999年7月には所沢物流センターを東京都江東区へ移転して東京センターを設置、2000年9月には福岡県糟屋郡に福岡センターを開設し、配送網の全国カバー化を本格化した。2000年11月、JASDAQ市場に株式上場を果たし、プラス株式会社からの資本独立を株式市場ベースでも進めた。上場で調達した資金は、文具メーカーとして文房具中心の品揃えから、OA・PC用品、生活用品、家具、医療用品まで取扱領域を拡張する商品開発と、全国物流網の整備に振り向けられた。 [13][14][15]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [13]1999年7月 東京都江東区に東京センターを設置し、所沢物流センターを移転
- [14]2000年9月 福岡県糟屋郡に福岡センターを開設
- [15]2000年11月 JASDAQ市場に株式上場
2001年1月には東京センター内に「e-tailing center」を開設し、本社事務所を文京区から江東区へ移転、Eコマースとロジスティクスが一体化した運営体制を整えた。「e-tailing」は当時の社内造語で、eコマースとリテーリング(小売)を組み合わせ、インターネット受注と全国物流網が一体になった事業形態をそう呼んだ。2003年9月には法人向けインターネット一括購買システム「アスクルアリーナ」(後のソロエルアリーナ)のサービスを開始し、中小事業所向けに加えて、購買管理機能を必要とする中堅・大企業向けの集約購買サービスへも事業を拡張した。 [16][17]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [16]2001年1月 東京センター内に「e-tailing center」を開設、本社事務所を東京都文京区から東京都江東区へ移転
- [17]2003年9月 法人向けインターネット一括購買システム「アスクルアリーナ(現 ソロエルアリーナ)」サービスを開始
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [11]1997年3月 インターネットによる受注を開始
- [12]1998年3月 インターネットによる受注分のみ当日配送(東京23区内限定)を開始
- [13]1999年7月 東京都江東区に東京センターを設置し、所沢物流センターを移転
- [14]2000年9月 福岡県糟屋郡に福岡センターを開設
- [15]2000年11月 JASDAQ市場に株式上場
- [16]2001年1月 東京センター内に「e-tailing center」を開設、本社事務所を東京都文京区から東京都江東区へ移転
- [17]2003年9月 法人向けインターネット一括購買システム「アスクルアリーナ(現 ソロエルアリーナ)」サービスを開始
直営物流網への集中投資とアルファパーチェス取得による多角化
2004年4月、東京証券取引所市場第一部へ上場を果たし、ジャスダックからの2回目の上場でアスクル本体の資本市場での地位を確立した。2004年9月に名古屋センター、2006年9月に大阪DMC(大阪物流センター)、2007年8月に仙台DMC(仙台物流センター)を相次いで開設し、全国主要都市に直営物流センターを配置する物流ネットワーク戦略を加速させた。2004年1月には「アスクル メディカル&ケア カタログ」、2005年11月には医療施設向け「ASKUL for Medical Professionals」を発刊し、業種別カタログによる取扱領域の細分化を進めた。 [18][19][20][21][22][23]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [18]2004年4月 東京証券取引所市場第一部へ上場
- [19]2004年9月 名古屋センター(現 ASKUL名古屋DC)を愛知県東海市に開設
- [20]2006年9月 物流センター「大阪DMC」(現 ASKUL大阪DC)を大阪府大阪市に開設
- [21]2007年8月 物流センター「仙台DMC」(現 ASKUL仙台DC)を宮城県仙台市に開設
- [22]2004年1月 医療・介護施設向け用品カタログ「アスクル メディカル&ケア カタログ」を発刊
- [23]2005年11月 医療施設向け医療材料専門カタログ「ASKUL for Medical Professionals」を発刊
2009年3月、長らく親会社の位置にあったプラス株式会社が、アスクルの自己株式公開買付に応じて保有株式の一部を売却した結果、親会社からその他の関係会社へ異動した。1997年の分社独立から12年を経て、持株比率の面でもプラスからの資本独立を達成した。同年4月には配送・物流業務の一部を担うBizex株式会社(後のASKUL LOGIST株式会社)の発行済全株式を取得し、物流業務の内製化をさらに推し進めた。 [24][25]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [24]2009年3月 プラス株式会社が自己株式公開買付に応じて保有株式の一部を売却した結果、親会社からその他の関係会社へ異動
- [25]2009年4月 配送・物流業務の一部を担うBizex株式会社(2016年5月にASKUL LOGIST株式会社に商号変更)の発行済全株式を取得
2010年11月、株式会社アルファパーチェス株式の78.8%を取得し連結子会社化した。アルファパーチェスは消耗品・補修用品等の間接材(MRO=Maintenance, Repair and Operations)購買代行に特化した企業で、アスクル本体のオフィス用品取扱に加え、製造業向けの間接材調達領域を取り込んだ。同時期、2009年11月にアスマル株式会社を設立し、個人向けネット通販事業「ぽちっとアスクル」を翌2010年2月に簡易吸収分割で承継した。BtoCへの本格進出に向けたインフラ整備として、企業向け事業から独立した個人向け事業のためのオペレーションを並行で立ち上げた。 [26][27][28]
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [26]2010年11月 取扱商材拡大を目的として株式会社アルファパーチェスの株式を取得し連結子会社化
- [27]2009年11月 個人向けネット通販事業の強化を目的にアスマル株式会社を設立
- [28]2010年2月 個人向けネット通販事業「ぽちっとアスクル」を簡易吸収分割によりアスマル株式会社へ承継
- アスクル 有価証券報告書【沿革】
- [18]2004年4月 東京証券取引所市場第一部へ上場
- [19]2004年9月 名古屋センター(現 ASKUL名古屋DC)を愛知県東海市に開設
- [20]2006年9月 物流センター「大阪DMC」(現 ASKUL大阪DC)を大阪府大阪市に開設
- [21]2007年8月 物流センター「仙台DMC」(現 ASKUL仙台DC)を宮城県仙台市に開設
- [22]2004年1月 医療・介護施設向け用品カタログ「アスクル メディカル&ケア カタログ」を発刊
- [23]2005年11月 医療施設向け医療材料専門カタログ「ASKUL for Medical Professionals」を発刊
- [24]2009年3月 プラス株式会社が自己株式公開買付に応じて保有株式の一部を売却した結果、親会社からその他の関係会社へ異動
- [25]2009年4月 配送・物流業務の一部を担うBizex株式会社(2016年5月にASKUL LOGIST株式会社に商号変更)の発行済全株式を取得
- [26]2010年11月 取扱商材拡大を目的として株式会社アルファパーチェスの株式を取得し連結子会社化
- [27]2009年11月 個人向けネット通販事業の強化を目的にアスマル株式会社を設立
- [28]2010年2月 個人向けネット通販事業「ぽちっとアスクル」を簡易吸収分割によりアスマル株式会社へ承継