筆者の見解
過大な期待とその代償
この株価急落の核心は、財務内容そのものの破綻ではなく、メディアと市場が作り上げた"EC先駆者"という像と、カタログとファクスに支えられた地道な通販事業という実態との差にあったのだろう。岩田彰一郎社長が新オフィスに据えたコールセンター中心の空間づくりは、株価が先行して評価していた"ネット企業"というイメージとは異なる、地に足の着いた顧客対応という原点を象徴していたといえる。
もっとも、株価急落を招いた計数管理や情報開示の甘さは、非公開の親会社のもとで育った企業が、公開企業としての規律をどこまで内面化できていたかという、より根の深い課題も映し出していた。同じ年にエコマーク表示の不備が再発した経緯を踏まえると、原点回帰という理念だけでは埋まらない組織運営上の課題が、なお残っていたことがうかがえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月