1998年〜 ヤフオク敗北からラグナロクオンライン国内運営権獲得まで
ガンホー・オンライン・エンターテイメントの業績推移:単体
- 1998年 オンセールを設立
- 2002年 主な事業内容をオンラインゲームサービスへ変更
- 2002年 ガンホー・オンライン・エンターテイメントに商号変更
- 2002年 オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」の正式サービスを開始
- 2004年 ゲームアーツとオンラインゲーム共同開発で業務提携
- 2005年 大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場
- 2005年 ポータルサイト運営配信を目的とする子会社ガンホー・モードを設立
ソフトバンク・OnSale合弁オンセールの4年間とヤフオクへの敗北
1998年7月、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの前身となるオンセール株式会社が東京都中央区日本橋箱崎に設立された[1]。資本金は650百万円で[2]、設立はソフトバンク株式会社の100%出資による。同月、ソフトバンクからの株式譲渡で米国の大手オークションサイト運営会社OnSale Inc.が株式40.0%を取得し[3]、合弁会社となった。ソフトバンク創業者の孫正義氏の弟である孫泰蔵氏は、2000年8月にオンセール[4]の代表取締役社長に就任し(2004年からは代表取締役会長)、オンライン事業の中心人物となった。事業内容はインターネットオークション運営で、当時の米国でのオークションサイト隆盛を日本市場に移植する事業設計だった。OnSaleが米国で運用していた個人間取引のオークションシステムをそのまま日本市場に展開する目論見である。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [1]1998年7月 オンセール株式会社を東京都中央区日本橋箱崎に設立(ネットオークション目的)
- [2]設立時資本金650百万円
- [3]ソフトバンク100%出資で設立、同月OnSale Inc.が株式40.0%取得し合弁化
- [4]孫泰蔵氏(孫正義氏の弟)が初代社長/2000年8月オンセール代表取締役社長就任
しかしオンセールは事業立ち上げ時から、1999年9月にサービスを開始したヤフー・ジャパンの「Yahoo!オークション」との競合に直面した。ヤフーのオークションサイトは検索エンジンYahoo!からの流入と無料出品でサービス開始2年以内に国内シェア9割を占める規模に拡大し[5]、オンセールのオークションは利用者数の獲得でシェア獲得が遅れた。2000年6月に本社を東京都渋谷区初台に移転し[6]、サービス改善を試みたが、ヤフオクとの差は埋まらないまま、2002年にはオークション事業からの撤退を決断した[7]。創業から4年で原型事業を失う厳しい状況だった。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [5]Yahoo!オークションがサービス開始2年以内に国内シェア9割を占める規模に拡大
- [6]2000年6月 本社を東京都渋谷区初台に移転
- [7]2002年 オークション事業から撤退を決断(創業4年)
オンセール時代の経験は2つの後遺症を残した。1つは先行者のいる市場でシェアを取る難しさを経営陣が痛感したことで、後に森下一喜社長が示した、先行者の後を追っても結果は限定的という経営観の起源となった。もう1つはソフトバンクとの資本関係で、孫泰蔵氏が経営の中心にいた時期はもちろん、2013年〜2016年の親会社化とその後の関係解消まで、ソフトバンクとの距離感がガンホーの経営に長期的に影響を残した。創業から最初の4年で原型事業を失った結果、ガンホーは異業種への業態転換を決断する。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [1]1998年7月 オンセール株式会社を東京都中央区日本橋箱崎に設立(ネットオークション目的)
- [2]設立時資本金650百万円
- [3]ソフトバンク100%出資で設立、同月OnSale Inc.が株式40.0%取得し合弁化
- [4]孫泰蔵氏(孫正義氏の弟)が初代社長/2000年8月オンセール代表取締役社長就任
- [5]Yahoo!オークションがサービス開始2年以内に国内シェア9割を占める規模に拡大
- [6]2000年6月 本社を東京都渋谷区初台に移転
- [7]2002年 オークション事業から撤退を決断(創業4年)
韓国Gravity「ラグナロクオンライン」国内運営権獲得という業態転換
2002年8月、オンセールは商号を「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社[8]」に変更し、主な事業内容をオンラインゲームサービスに切り替えた。新事業の中核は、韓国のゲーム開発会社グラビティ[9](Gravity Co., Ltd.)が開発したMMORPG「ラグナロクオンライン」の日本国内運営権の獲得である。「ラグナロクオンライン」は2002年8月に韓国で正式サービスを開始しており、2002年〜2003年にかけて東アジアの複数国でユーザー基盤を伸ばしていた人気タイトルだった。ガンホーは原作開発元と運営契約を結び、日本市場でのローカライズと運営を担う形でオンラインゲーム業界に参入した。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [8]2002年8月 商号を『ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社』に変更し主事業をオンラインゲームサービスへ転換
- [9]新事業の中核は韓国グラビティ(Gravity Co., Ltd.)開発のMMORPG『ラグナロクオンライン』の日本国内運営権獲得
ラグナロクオンラインは日本市場でも2002年12月の正式サービス開始後にユーザー数を伸ばし[10]、当時の国内MMORPG市場で代表的なタイトルの一つとなった。当時の日本のオンラインゲーム市場は黎明期で、PC向けMMORPGの月額課金モデルが主流の事業構造だった。ガンホーは2004年4月に株式会社ゲームアーツとオンラインゲーム共同開発業務提携を結び、2004年5月にはゲームアーツへの資本参加を実行[11]、2005年11月には追加取得で子会社化した。オンラインゲームの運営に加えて開発機能の取り込みを進める段階となった。2004年事業年度の売上高は約42億円に達し[12]、業態転換から2年でラグナロクオンラインを軸とする事業形態が確立した。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [10]2002年12月 ラグナロクオンライン日本正式サービス開始
- [11]2004年4月 ゲームアーツと共同開発業務提携/2004年5月 資本参加/2005年11月 子会社化
- [12]2004事業年度の売上高 約42億円
2005年3月、ガンホーは大阪証券取引所ヘラクレス市場[13](後の東証JASDAQ)に上場した。公募価格1株120万円に対し、上場後には一時2,000[14]万円台まで株価が高騰し、新興市場の代表的な高値銘柄として注目を集めた。上場直後の2005年5月に本社を東京都千代田区有楽町に移転[15]、同年10月にポータルサイト運営子会社ガンホー・モード株式会社を設立、2006年8月にはオンラインテーマパーク「ガンホーゲームズ」の正式サービスを開始し、事業領域の拡張を進めた。2005年度は売上高56億円・経常利益9.4億円と好調で、上場時は輸入ゲームの運営収入[16]への依存が大きかったが、自社コンテンツによるロイヤルティ収入が増え始めていた。森下一喜社長はこの時期、売上高100億円を通過点と位置づけたうえで、ゲームの中で音楽ダウンロードや映画視聴を楽しめるサービスを既に展開しつつ、将来的にネット空間上へディズニーランドのような「総合的なオンラインテーマパーク」を築く構想を語っており[17]、会員がどれだけ長く滞在し遊び続けるかを示す「ステイタイム」を経営上の合言葉とし、ゲーム以外の音楽・映像分野の拡充を急いでいた。2006年8月のガンホーゲームズ正式サービス開始は、この構想を先行して具体化したものである。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [13]2005年3月 大阪証券取引所ヘラクレス市場へ上場
- [14]公募価格1株120万円に対し上場後一時2,000万円弱まで高騰
- [15]2005年5月 本社を有楽町へ移転/2005年10月 ガンホー・モード設立/2006年8月 ガンホーゲームズ正式サービス開始
- 東洋経済(2006年5月20日号)
- [16]2005年度は売上高56億円・経常利益9.4億円と好調(上場時は輸入ゲーム運営収入に依存も自社コンテンツのロイヤルティ収入が増加)
- [17]森下社長が「総合的なオンラインテーマパーク」「ネット版ディズニーランド」構想と「ステイタイム」重視を語った
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [8]2002年8月 商号を『ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社』に変更し主事業をオンラインゲームサービスへ転換
- [9]新事業の中核は韓国グラビティ(Gravity Co., Ltd.)開発のMMORPG『ラグナロクオンライン』の日本国内運営権獲得
- [10]2002年12月 ラグナロクオンライン日本正式サービス開始
- [11]2004年4月 ゲームアーツと共同開発業務提携/2004年5月 資本参加/2005年11月 子会社化
- [12]2004事業年度の売上高 約42億円
- [13]2005年3月 大阪証券取引所ヘラクレス市場へ上場
- [14]公募価格1株120万円に対し上場後一時2,000万円弱まで高騰
- [15]2005年5月 本社を有楽町へ移転/2005年10月 ガンホー・モード設立/2006年8月 ガンホーゲームズ正式サービス開始
- 東洋経済(2006年5月20日号)
- [16]2005年度は売上高56億円・経常利益9.4億円と好調(上場時は輸入ゲーム運営収入に依存も自社コンテンツのロイヤルティ収入が増加)
- [17]森下社長が「総合的なオンラインテーマパーク」「ネット版ディズニーランド」構想と「ステイタイム」重視を語った
2008年Gravity完全子会社化と「ラグナロク2」延期の業績低迷期
2007年10月にはコンシューマゲーム事業を目的とするガンホー・ワークス株式会社を設立し[18]、コンシューマゲーム領域への進出も図った。しかし2007年12月期は「ラグナロクオンライン2」の商用サービス延期とポータル事業の影響で営業赤字を計上した。ガンホー・モードを100%子会社化(2008年5月吸収合併)してジー・モード[19]との合弁を解消し、ポータル事業を整理縮小、第三者割当増資により財務体質改善を進める非常体制を取った。新興ベンチャーの拡大期から、事業選択と組織再編を迫られる転換点となった。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [18]2007年10月 ガンホー・ワークス株式会社を設立(コンシューマゲーム事業)
- [19]2008年5月 ガンホー・モードを吸収合併(100%子会社化・ジー・モード合弁解消)
2008年4月、ガンホーは現物出資による第三者割当増資により、ラグナロクオンラインの開発元である韓国Gravity Co., Ltd.の株式を取得し[20]、子会社化した。日本国内の運営権保有者から、原作開発元を傘下に置く垂直統合企業への転換である。Gravityの完全子会社化により、ラグナロクオンラインの開発・運営をガンホーグループで一体管理する体制となった。後に展開する海外向けラグナロクシリーズ展開(特に2024年以降のRagnarok Origin / Ragnarok Rebirthのグローバル配信)の組織基盤がこの時点で整った。2009年12月期のガンホーは、効率化と最適化により営業利益17億円を計上し、業績を黒字化した。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [20]2008年4月 現物出資による第三者割当増資で韓国Gravity Co., Ltd.株式を取得し子会社化
ラグナロクオンライン国内運営権獲得から約10年、ガンホーは韓国Gravityの完全子会社化と組織のスリム化を経て、オンラインゲーム運営企業として一定の地位を築いた。しかし2010年代のガンホーの業績は、年間売上100億円前後・営業利益10〜20億円の中堅企業規模にとどまっており、創業から10年以上が経過した時点では新興ベンチャーの域を出ていなかった。事業構造の根本的な転換は、2010年代に入ってからの新規事業から生まれた。2011年10月にはコンシューマゲーム開発会社の株式会社アクワイアを子会社化(2023年12月に全株式売却)し[21]、コンシューマゲーム領域への進出も進めたが、ガンホーの業績を一変させる出来事は別の領域から起きた。
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [21]2011年10月 株式会社アクワイアを子会社化(2023年12月に全株式売却)
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント 有価証券報告書【沿革】
- [18]2007年10月 ガンホー・ワークス株式会社を設立(コンシューマゲーム事業)
- [19]2008年5月 ガンホー・モードを吸収合併(100%子会社化・ジー・モード合弁解消)
- [20]2008年4月 現物出資による第三者割当増資で韓国Gravity Co., Ltd.株式を取得し子会社化
- [21]2011年10月 株式会社アクワイアを子会社化(2023年12月に全株式売却)