創業1994年10月、羽鳥兼市氏が福島県郡山市に株式会社ガリバーインターナショナル・コーポレーションを設立した。中古車買取業を事業目的とし、消費者から直接買い取って業者間オークションで売却する独自モデルを構築した。創業初期について「だまされ、残った3億円の債務」(日経ビジネス)と公にした苦境からの再起を経て、1996年4月に商号を「ガリバーインターナショナル」へ変更、ドルフィネットシステム(1998年本格運営、後の自動査定特許)を核とした中古車流通DXを業界先行で確立した。
決断1998年12月日本証券業協会株式登録、2000年12月東証二部上場、2003年8月東証一部指定と、創業9年で東証一部の中古車買取専業大手へ駆け上がった。2008年5月に創業者退任、長男・羽鳥由宇介(戸籍名:羽鳥裕介)と次男・羽鳥貴夫の兄弟共同代表期を経て、2015年から由宇介氏の単独代表取締役社長期へ移行。2015年9月の豪州Buick Holdings取得(マルチブランド新車ディーラー)、2016年7月の社名変更(ガリバー→IDOM)、2016年8月のサブスク「NOREL」開始と、中古車買取専業からモビリティ事業への業容拡大を進めた。
課題2024年4月公表の中期経営計画(2023-2027、2027年2月期目標)は、営業利益300億円目標、現在53店舗ある大型店を100店舗まで拡大、500店舗出店計画を骨子に据える。FY24(2025年2月期)連結売上高4,967億円・営業利益199億円(営業利益率4.0%)・経常利益191億円・当期純利益134億円とV字回復局面にあり、創業家集中保有構造(フォワード3社+羽鳥家2名の合計41.59%)を維持しつつ、資本効率重視へ経営方針を見直す局面に立つ。
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歴史概略
1994年〜2007年福島県郡山市のガリバー創業と中古車流通DXの確立
福島県郡山市の中古車買取専業──「だまされ、残った3億円の債務」からの再起
1994年10月、羽鳥兼市氏が福島県郡山市に株式会社ガリバーインターナショナル・コーポレーションを設立した。中古車買取業を事業目的とし、当時の業界慣行であった販売店経由の流通ではなく、消費者から直接買い取って業者間オークションで売却する独自モデルを構築した。創業初期について創業者は「だまされ、残った3億円の債務」(日経ビジネス)と振り返り、苦境からの再起を経たことを公にしている。中古車業界の従来商習慣に対する独立した買取専業者の参入は、当時としては挑戦的なポジショニングであった。
1996年2月、千葉県浦安市に東京本社を開設し、フランチャイズチェーン拡大に伴うFC本部機能の中央集約を完了した。同年4月には商号を「株式会社ガリバーインターナショナル」へ変更し、主力ブランド名へ社名統一を果たした。郡山市発祥の地場中古車買取専業から、関東圏のFC本部を持つ全国チェーンへの移行が、創業2年で完了した。後年の中古車流通DXの基盤となる事業ノウハウが、関東圏のFC展開を通じて蓄積された時期である。
ドルフィネットシステムと自動査定特許──中古車流通DXの起点
1997年9月、ドルフィネットシステムを試験的に導入開始した。1998年2月には本格運営を開始し、査定・在庫管理ITインフラを稼働させた。中古車買取専業のスケール拡大には、現場査定の標準化と本部での在庫管理の効率化が不可欠で、ドルフィネットシステムは両者を一体的に支える業界先行の中古車流通DXであった。2005年11月には自動査定システムに関する特許を取得(第3738160号)し、査定システムの知財化に踏み込んだ。
1998年12月、日本証券業協会に株式を登録し公開市場入りを果たした。2000年12月には東京証券取引所市場第二部に上場、2003年8月には市場第一部指定と上場昇格を経て、創業9年で東証一部の中古車買取専業大手へと駆け上がった。2001年11月の査定価格算出業務でのISO9001取得、2006年11月のポーター賞受賞と、事業戦略の外部評価も継続的に獲得した。創業者・羽鳥兼市氏が「だまされ、残った3億円の債務」から東証一部上場まで導いた約14年間が、ガリバーの基礎期を形作った。
2008年〜2015年創業者退任後の兄弟共同代表期と海外展開の試行
創業者退任と兄弟共同代表期──羽鳥由宇介・羽鳥貴夫の二頭体制
2008年5月、創業者・羽鳥兼市氏が代表取締役社長を退任し、長男・羽鳥由宇介(戸籍名:羽鳥裕介、1971年生)と次男・羽鳥貴夫(1972年生)の兄弟共同代表期に移行した。創業者は名誉会長として経営に関与を続け、共同代表期下での重要な経営判断を補完する役回りとなった。兄弟2名の共同代表という構成は、上場企業としては珍しく、創業家の意思決定における兄弟間の調整が事業展開の安定性を支える設計であった。
3億円の債務から再起してきた経験が、IDOMの事業モデルの原点になっている。中古車流通の業界慣行を変えるという発想は、自分が業界の外側から入った人間だったから生まれた。
2004年11月にGulliver USA, Inc.を設立(米州事業の足掛かり)、2011年8月の株式会社ハコボー吸収合併(グループ整理)、2013年11月の東京マイカー販売株式会社完全子会社化(新車ディーラー業態への参入準備)と、創業者退任後の海外進出と業態拡大の試行が続いた。だが米州事業は十分なスケール拡大に至らず、新車ディーラー業態の本格立ち上げは2015年9月の豪州Buick Holdings取得まで待つことになる。
2015年豪州Buick取得──マルチブランド新車ディーラーへの転機
2015年9月、Gulliver Australia Holdings経由で豪州Buick Holdings Pty Ltd.の株式67.0%を取得し子会社化した。豪州のマルチブランド新車ディーラーを取得することで、中古車買取専業から新車ディーラー業態への業容拡大に踏み込んだ。同年は共同代表期から羽鳥由宇介氏の単独代表取締役社長期への移行も並行し、創業者・羽鳥兼市氏の系列から第二世代の単独経営体制への切り替えが進んだ年でもある。創業20年目を迎えた節目の年に、海外マルチブランド新車ディーラー業態という新たな事業の柱が加わった。
2016年〜2025年モビリティ事業への業容拡大と中期経営計画(2023-2027)の起動
2016年「IDOM」社名変更とサブスク「NOREL」開始
2016年7月、商号を「株式会社IDOM」に変更した。中古車買取専業からモビリティ事業への業容拡大に合わせた社名刷新であり、「ガリバー」というブランド名は店舗看板に維持しつつ、企業名としては事業拡張の方向性を象徴する新名称を採用した。同年8月には月額定額クルマ乗り換え放題サービス「NOREL」を開始し、サブスク型モビリティサービスに参入した。所有から利用への自動車市場の構造変化を捉えた事業設計で、業界先行の試みであった。
2016年12月には宜多梦(江蘇)商貿有限公司を100%出資子会社として設立し中国市場へ参入した。豪州(マルチブランド新車ディーラー)・中国(新規参入)の海外二軸が同時進行する局面である。創業者・羽鳥兼市氏が確立した「中古車流通の業界慣行を変える」発想を、第二世代の羽鳥由宇介氏は中古車・新車・サブスク・海外の多軸モビリティ事業へと拡張した。「なぜ、『ガリバー』という社名を変えたか」(ダイヤモンド)と題されたインタビューで、由宇介氏は社名変更の意図を業容拡大の象徴として説明している。
中古車買取専業の事業ステージから、モビリティ事業へ広がる新ステージに移行する。社名変更はその象徴で、店舗看板の「ガリバー」ブランドは維持しつつ、企業名としては事業拡張の方向性を示す新名称を採用した。
コロナ禍V字回復と中期経営計画(2023-2027)
コロナ禍のFY19(2020年2月期)は連結売上高3,805億円・営業利益106億円と縮減局面にあったが、FY20(2021年2月期)売上4,595億円・営業利益185億円、FY21(2022年2月期)売上4,165億円・営業利益187億円、FY22(2023年2月期)売上4,199億円・営業利益161億円と回復軌道に乗った。FY23(2024年2月期)売上4,199億円・営業利益161億円、FY24(2025年2月期)売上4,967億円・営業利益199億円(前期比23.4%増)・経常利益191億円・親会社株主に帰属する当期純利益134億円と、4年連続の増収増益局面が継続している。
2024年4月公表の中期経営計画(2023-2027、2027年2月期目標)は、営業利益300億円目標、現在53店舗ある大型店を2027年2月までに100店舗まで拡大、500店舗出店計画を骨子に据える。柔軟な立地選定(主要路線にこだわらない)と海外市場展開を継続し、豪州事業を中心に整備工場の出店も推進する。資本効率重視へ経営方針を見直したことが2024年12月の統合報告書2024で公表されており、中期経営計画の2年目報告でも「販売店の出店フェーズ(転換中期)からの新ステージに移行、資本効率と成長戦略を策定」と表現されている。創業家集中保有構造(フォワード3社経由33.87%+羽鳥家2名直接7.72%=合計41.59%、FY24)を維持しつつ、創業者個人持分から資産管理会社経由への保有形態移行で世代承継の準備を進めている点も、第二世代経営の特徴である。