アルバック の歴史

創業

1952年

創業者

増井明治

創業地

神奈川県茅ヶ崎市

直近売上高(2025/6)

2,512億円

長期業績と転換点(1997/6〜2026/6)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1952年に「真空」を社名に冠した輸入商社が、創業10年で国産専業メーカーへ転じたのか
A 真空装置は研究室ごとに用途も仕様も異なり、輸入品をそのまま納めるだけでは注文に合わせきれず、保守も部品供給も海外任せでは専業として商いが続かない。1952年8月、米国NRC Equipment Corporationとの総代理店契約で各種真空装置の輸入販売から事業を起こした日本真空技術は、設計・製造を自前で持たねば専業メーカーとして立てないと見た。1955年に大森工場で国産装置の製造に着手し、翌年に東洋精機真空研究所を合併して真空ポンプ・化学装置の規格品づくりへ移り、1962年には材料・計測機器まで自前で揃えた。英文社名「ULVAC」は真空の可能性を追う「ULtimate in VACuum」に由来する
Q なぜ1990年に、半導体製造装置という装置単価も顧客投資額も桁違いの市場へ参入したのか
A 真空ポンプや科学装置で築いた専業の応用先は研究室規模に収まり、装置単価も顧客の投資額も小さく、市場の伸びしろが限られていた。一方で半導体製造装置は成膜・エッチングに真空技術が中核プロセスとして組み込まれ、装置単価と顧客あたり投資額が桁違いに大きい量産市場であった。アルバックは1974年に国産初のイオン注入装置、1985年に世界初のマルチチャンバ型スパッタリング装置を世に出し、量産装置を担う技術を蓄えていた。1990年5月、静岡県裾野市に富士裾野工場を新設して別スケールの工場機能を備え、専業の対象を研究室規模の応用から成長産業の量産設備へ広げた。1995年以降は韓国・中国・台湾へ生産販売網を厚く張った
Q なぜ2010年代後半の半導体・FPD投資が落ちる時期に、研究開発費を削らずSiC・EV電池・有機ELへ先行投資したのか
A 半導体製造装置はシリコンサイクルで需要が数年周期で振れ、投資が落ちる時期に開発を止めれば、回復したときに次の量産装置を持たず受注を取り逃がす。岩下節生氏は装置事業の循環変動を真空応用事業(材料・部品・サービス)の安定収益で受け止めつつ、市況の底でも開発原資を確保する資金配分を採った。アルバックは2008年に世界初の薄膜リチウム二次電池の一貫量産技術を開発し、IGBTやSiCのパワーデバイス製造装置で国内最多の納入実績を持つなど、新しい最終市場の量産装置を仕込める技術を蓄えていた。2018年には合肥に愛発科成膜技術(合肥)を設立し、FPD用マスクブランクス材料を中国で現地供給する体制も加えた

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1952年〜 真空技術専業の輸入販売から国産化への転換と高度成長期の事業基盤確立

  1. 1952年 日本真空技術を創業
  2. 1955年 大森工場を新設し国産装置の製造に着手
  3. 1956年 東洋精機真空研究所を合併
  4. 1961年 真空冶金事業に参入
  5. 1963年 新生産業に吸収合併され日本真空技術に商号変更
  6. 1964年 Reliance Electric and Engineering Co.と共同出資で日本リライアンスを設立
  7. 1964年 香港万豊有限公司と共同出資でHong Kong ULVAC Co. Ltd.を設立

「真空」を社名に冠した輸入商社が10年で国産専業メーカーへ

1952年8月、東京都中央区において日本真空技術株式会社が設立された。設立目的は「各種真空装置の輸入販売」で、資本金は600万円の小規模な出発であった。創業期の日本産業界には半導体・ディスプレイ・電子部品といった現在の真空応用領域はまだ存在せず、真空技術は研究室レベルの応用が主であった。日本真空技術は黎明期の真空装置市場に対し、まず米国・欧州からの装置輸入販売で事業を立ち上げた。社名に「真空」を冠した日本最初の専業メーカーで、この選択が以後70年以上にわたる事業の方向性を定めた。 [1][2]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1952年8月 東京都中央区で日本真空技術株式会社を設立(各種真空装置の輸入販売を目的)
    • [2]設立時の資本金は600万円

設立から3年弱の1955年4月、大森工場を新設して国産装置の製造に着手した。輸入販売から国産設計・製造への転換である。続く1956年11月には株式会社東洋精機真空研究所を合併し、尼崎工場として真空化学装置・真空ポンプの規格品製造を始めた。1961年7月には真空冶金事業を開始、1962年9月に真空材料株式会社、同年10月に熱分析機器メーカー真空理工株式会社を設立し、周辺領域へ事業を広げた。創業10年で、輸入商社から国産化を経て、材料・計測機器までを擁する真空技術専業グループへ発展した。 [3][4][5][6]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [3]1955年4月 大森工場を新設し国産装置の製造に着手
    • [4]1956年11月 株式会社東洋精機真空研究所を合併(尼崎工場として真空化学装置・真空ポンプの規格品製造)
    • [5]1961年7月 真空冶金事業を開始
    • [6]1962年9月 真空材料株式会社を設立/1962年10月 真空理工株式会社を設立

1963年10月、創業者個人による経営から、1929年創立の旧会社・新生産業株式会社による吸収合併へと組織を再編した。旧会社が吸収し、合併後の社名は日本真空技術株式会社のまま継続した。戦後復興期の創業企業が、戦前から続く老舗法人格との結合によって財務基盤と組織格の引き上げを図った組織変更であり、創業期の単独経営から戦後復興企業としての形を整えた。1968年5月には本社・横浜工場を神奈川県茅ヶ崎市に移転し、以後現在に至るまで本社所在地は茅ヶ崎市で固定された。東京中央区での創業から首都圏外延部への本拠地集約であり、製造拠点と本社機能の一体化を狙う立地選定だった。 [7][8][9]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [7]1963年10月 1929年創立の新生産業株式会社による吸収合併へ組織再編(合併後の社名は日本真空技術のまま継続)
    • [8]新生産業は1929年創立の旧会社(戦前法人格)
    • [9]1968年5月 本社及び横浜工場を神奈川県茅ヶ崎市に移転
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1952年8月 東京都中央区で日本真空技術株式会社を設立(各種真空装置の輸入販売を目的)
    • [2]設立時の資本金は600万円
    • [3]1955年4月 大森工場を新設し国産装置の製造に着手
    • [4]1956年11月 株式会社東洋精機真空研究所を合併(尼崎工場として真空化学装置・真空ポンプの規格品製造)
    • [5]1961年7月 真空冶金事業を開始
    • [6]1962年9月 真空材料株式会社を設立/1962年10月 真空理工株式会社を設立
    • [7]1963年10月 1929年創立の新生産業株式会社による吸収合併へ組織再編(合併後の社名は日本真空技術のまま継続)
    • [8]新生産業は1929年創立の旧会社(戦前法人格)
    • [9]1968年5月 本社及び横浜工場を神奈川県茅ヶ崎市に移転

国産化の次に選んだのは合弁による海外拠点の連続設立

1964年1月、米国Reliance Electric and Engineering Co.と共同出資で日本リライアンス株式会社を設立した。米国企業との合弁開始で、米国の真空技術・電気機器技術を国内に取り込む狙いがある。同年7月には香港万豊有限公司と共同出資でHong Kong ULVAC Co. Ltd.を設立、アジア展開の起点とした。1975年12月には北米現地法人ULVAC North America Corp.を設立、対米輸出の拠点として米国市場での販売・サービス体制を整えた。創業から25年で米国・アジアへの拠点展開を完了した。 [10][11][12]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [10]1964年1月 米国Reliance Electric and Engineering Co.と共同出資で日本リライアンス株式会社を設立
    • [11]1964年7月 香港万豊有限公司と共同出資でHong Kong ULVAC Co. Ltd.を設立
    • [12]1975年12月 北米現地法人ULVAC North America Corp.を設立(対米輸出の拠点)

1981年10月、米国Helix Technology Corp.と共同出資でアルバック・クライオ株式会社を設立し、クライオポンプ(極低温ポンプ)事業を立ち上げた。1982年1月には台湾にULVAC TAIWAN Co. Ltd.、同年11月には米国The Perkin Elmer社との共同出資でアルバック・ファイ株式会社を設立して計測分析事業を強化した。1982年12月には茨城県つくば市に筑波超材料研究所を設立、1985年3月には核融合臨界プラズマ実験装置「JT-60」の真空排気系を納入し、科学装置への参入を果たした。1987年2月には西独にULVAC GmbHを設立して欧州市場へ進出、同年9月には英文社名をULVAC JAPAN Ltd.に変更してブランドを統一した。創業30〜40年で米国・台湾・欧州への拠点配置を完了し、世界市場での事業展開の素地を整えた。 [13][14][15][16][17]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [13]1981年10月 米国Helix Technology Corp.と共同出資でアルバック・クライオ株式会社を設立(クライオポンプ事業)
    • [14]1982年1月 台湾にULVAC TAIWAN Co. Ltd.を設立/1982年11月 米国The Perkin Elmer社と共同出資でアルバック・ファイ株式会社を設立
    • [15]1982年12月 茨城県つくば市に筑波超材料研究所を設立
    • [16]1985年3月 核融合臨界プラズマ実験装置「JT-60」の真空排気系を納入
    • [17]1987年2月 西独にULVAC GmbHを設立(欧州市場進出)/1987年9月 英文社名をULVAC JAPAN Ltd.に変更
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [10]1964年1月 米国Reliance Electric and Engineering Co.と共同出資で日本リライアンス株式会社を設立
    • [11]1964年7月 香港万豊有限公司と共同出資でHong Kong ULVAC Co. Ltd.を設立
    • [12]1975年12月 北米現地法人ULVAC North America Corp.を設立(対米輸出の拠点)
    • [13]1981年10月 米国Helix Technology Corp.と共同出資でアルバック・クライオ株式会社を設立(クライオポンプ事業)
    • [14]1982年1月 台湾にULVAC TAIWAN Co. Ltd.を設立/1982年11月 米国The Perkin Elmer社と共同出資でアルバック・ファイ株式会社を設立
    • [15]1982年12月 茨城県つくば市に筑波超材料研究所を設立
    • [16]1985年3月 核融合臨界プラズマ実験装置「JT-60」の真空排気系を納入
    • [17]1987年2月 西独にULVAC GmbHを設立(欧州市場進出)/1987年9月 英文社名をULVAC JAPAN Ltd.に変更

富士裾野工場新設が示す半導体製造装置という別スケールの市場

1990年5月、静岡県裾野市に富士裾野工場を新設した。半導体製造装置の生産体制強化を目的としたもので、創業期からの真空応用領域に半導体製造装置という成長市場を加えた転換点にあたる。1952年の創業から1980年代までのアルバックは、真空ポンプ・真空化学装置・クライオポンプ・計測分析装置・スパッタリングターゲットといった真空応用機器の専業メーカーとして事業を組み立てていた。半導体製造装置は装置単価と顧客あたり投資額が桁違いに大きい市場で、創業期からの応用領域とは異なるスケールの工場機能を必要とした。 [18]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [18]1990年5月 静岡県裾野市に富士裾野工場を新設(半導体製造装置の生産体制強化)

富士裾野工場の新設は、半導体製造装置市場の規模感に対応する生産能力の確保を狙ったもので、東京都中央区創業・茅ヶ崎本社の体制に半導体製造装置の専用拠点を加えた。1990年代の日本半導体産業はDRAM市場のピークを通過しつつあったが、ロジック半導体・SoC・ファウンドリ市場の立ち上がりが続き、真空技術を中核プロセスに組み込む成膜・エッチング装置の需要は1990年から2000年にかけて拡大した。富士裾野工場は1995年以降の韓国・台湾・中国向け輸出の生産母基地としても機能し、後年のFY17(2018年6月期)売上高2,492億円・営業利益354億円のピーク水準を支える生産基盤となった。

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [18]1990年5月 静岡県裾野市に富士裾野工場を新設(半導体製造装置の生産体制強化)

1991年〜 海外展開の本格化と「アルバック」への商号変更

アルバックの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1995年 ULVAC KOREA Ltd.を設立
  2. 1995年 中国寧波で寧波愛発科真空技術有限公司を設立
  3. 1998年 シンガポールCSセンター・台湾新竹R&Dセンターを開設
  4. 2001年 アルバックに商号変更
  5. 2003年 愛発科真空技術(蘇州)有限公司を設立
  6. 2004年 東証一部上場で集めた資本を半導体・FPD製造装置の生産能力へ積み増した資本政策 創業52年で得た公開市場の資金を、手元に置くか装置産業の増産能力に投じるか
  7. 2005年 富士通ヴィエルエスアイより設備事業譲受

韓国・中国・東南アジアへの拠点展開

1995年5月、韓国ソウル市にULVAC KOREA Ltd.を設立し、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の韓国市場への本格展開を開始した。同年9月には中国寧波で寧波愛発科真空技術有限公司を設立、寧波中策動力との合弁による中国進出の出発点となった。1998年1月にはシンガポールCSセンター・台湾新竹R&Dセンターを開設、アジアネットワークを拡大した。創業から45年で東アジア・東南アジアの主要市場への拠点配置を完了し、真空技術専業メーカーとして世界の半導体・FPD製造装置市場の主要プレイヤーとしての地位を得た。 [19][20][21]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [19]1995年5月 韓国ソウル市にULVAC KOREA Ltd.を設立
    • [20]1995年9月 中国寧波で寧波愛発科真空技術有限公司を設立(寧波中策動力との合弁)
    • [21]1998年1月 シンガポールCSセンター・台湾新竹R&Dセンターを開設

2001年7月、商号を株式会社アルバックへ変更した。英文社名はULVAC Inc.とし、日本語社名と英文社名の整合を取った。創業から49年で「日本真空技術」という創業期の社名から、グローバルブランド「アルバック」への商号統一を果たした。1987年9月に英文社名をULVAC JAPAN Ltd.へ変更して以来、海外拠点ではULVACブランドが先行していたが、日本語の正式社名は「日本真空技術」のまま残っていた。商号変更は、創業期の輸入商社・国産メーカーから、海外売上の比重を増すグローバル真空技術メーカーへと自己定義を改める区切りにあたり、半導体・FPD製造装置の輸出拡大期に日本語社名を世界共通ブランドへ揃える組織判断だった。 [22][23]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [22]2001年7月 商号を株式会社アルバックへ変更(英文社名ULVAC Inc.)
    • [23]1987年9月 英文社名をULVAC JAPAN Ltd.に変更(既出・本段落でも参照)
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [19]1995年5月 韓国ソウル市にULVAC KOREA Ltd.を設立
    • [20]1995年9月 中国寧波で寧波愛発科真空技術有限公司を設立(寧波中策動力との合弁)
    • [21]1998年1月 シンガポールCSセンター・台湾新竹R&Dセンターを開設
    • [22]2001年7月 商号を株式会社アルバックへ変更(英文社名ULVAC Inc.)
    • [23]1987年9月 英文社名をULVAC JAPAN Ltd.に変更(既出・本段落でも参照)

計測子会社の完全子会社化と中国本格生産

2002年12月、アルバック・ファイ株式会社(1982年設立、米国Physical Electronicsとの合弁)の米国側保有株式50%を取得し、100%子会社化を完了した。計測分析事業の完全子会社化により、表面分析装置事業(XPS、Auger、SIMS等)を独自ブランドで展開する体制を整えた。1982年の合弁設立から20年を経て、計測分析事業を真空装置事業の周辺領域から独自の収益単位へ位置づけ直す組織判断にあたる。2003年7月には愛発科真空技術(蘇州)有限公司を設立し、中国の生産工場として中国市場での生産・販売体制を整えた。中国半導体・FPD産業の成長を直接取り込む拠点配置である。 [24][25][26]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [24]2002年12月 アルバック・ファイ株式会社の米国側保有株式50%を取得し100%子会社化(米国Physical Electronics保有株式)
    • [25]1982年 アルバック・ファイ設立(合弁設立年・本段落参照)
    • [26]2003年7月 愛発科真空技術(蘇州)有限公司を設立(中国本格生産工場)

1995年5月のULVAC KOREA Ltd.設立、同年9月の寧波愛発科真空技術有限公司設立に続く愛発科真空技術(蘇州)の設立は、韓国・中国における半導体・FPD製造装置市場への直接対応を拠点配置の面から固める動きで、1998年1月のシンガポールCSセンター・台湾新竹R&Dセンター開設と合わせ、創業から50年で東アジア・東南アジアの主要市場への拠点配置を完了した。アルバック・ファイの完全子会社化と蘇州工場の設立は、2001年7月の商号変更で「ULVAC」ブランドへの統一を済ませた直後の時期にあたり、グローバル展開のための組織・拠点・ブランドの3点を揃える動きだった。 [27]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [27]1995年5月 ULVAC KOREA設立・1995年9月 寧波愛発科設立・1998年1月 シンガポール/新竹開設(既出年の再掲整合)
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [24]2002年12月 アルバック・ファイ株式会社の米国側保有株式50%を取得し100%子会社化(米国Physical Electronics保有株式)
    • [25]1982年 アルバック・ファイ設立(合弁設立年・本段落参照)
    • [26]2003年7月 愛発科真空技術(蘇州)有限公司を設立(中国本格生産工場)
    • [27]1995年5月 ULVAC KOREA設立・1995年9月 寧波愛発科設立・1998年1月 シンガポール/新竹開設(既出年の再掲整合)

東証一部上場で得た資本を5年間の積層投資にどう振り向けたか

2004年4月、東京証券取引所市場第1部に株式を上場した。創業から52年、商号変更から3年での上場で、創業期の真空装置輸入商社から、グローバル真空技術メーカーとして公開市場へ移行した節目にあたる。上場と前後して、2005年4月に富士通ヴィエルエスアイ株式会社よりFPD設備事業を譲り受け、2005年11月に英国Cambridge Display TechnologyからLitrex Corporation株式を取得してインクジェット技術を獲得、2005年12月に台湾でULVAC Taiwan Manufacturing Corporationを設立してFPD製造装置の生産拠点を整えた。上場直後の企業買収と生産拠点拡張が、半導体・FPD製造装置メーカーとしての事業構成を厚くした。 [28][29][30][31]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [28]2004年4月 東京証券取引所市場第1部に株式を上場
    • [29]2005年4月 富士通ヴィエルエスアイ株式会社よりFPD設備事業を譲受
    • [30]2005年11月 英国Cambridge Display TechnologyからLitrex Corporation株式を取得(インクジェット技術獲得)
    • [31]2005年12月 台湾でULVAC Taiwan Manufacturing Corporationを設立(FPD製造装置生産拠点)

2006年8月には精密ステージ製造のシグマテクノス株式会社の株式70%を取得、2006年11月に愛知工場を新設してFPD製造装置の生産能力を拡充した。2007年6月にULVAC India Branchを設立してインド市場へ進出、2009年4月には愛発科電子材料(蘇州)有限公司を設立してスパッタリングターゲット製造を始めた。同じ2007年前後には太陽電池(薄膜)向け製造装置事業も本格化し、台湾の新興メーカー・ネクスパワー・テクノロジーへ製造ライン一式を納入・技術指導し、昭和シェル石油とは神奈川県厚木市のリサーチセンターで量産技術を共同開発する提携を結んだ。半導体・FPD製造装置の主力事業に、材料・部品・太陽電池という複数の周辺事業を組み合わせた事業構成が形をなし、上場後5年間で拡張投資が積み上がった。 [32][33][34][35][36][37]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [32]2006年8月 精密ステージ製造のシグマテクノス株式会社の株式70%を取得
    • [33]2006年11月 愛知工場を新設(FPD製造装置の生産能力拡充)
    • [34]2007年6月 ULVAC India Branchを設立(インド市場進出)
    • [35]2009年4月 愛発科電子材料(蘇州)有限公司を設立(スパッタリングターゲット製造)
  • 週刊東洋経済2008年8月16・23合併号「太陽電池バトル台頭するアジアメーカー」特集
    • [36]アルバックが2007年前後から薄膜太陽電池向け製造装置事業を本格化し、台湾ネクスパワー・テクノロジーへ製造ライン一式を納入・技術指導(変換効率7%保証)、昭和シェル石油とは厚木リサーチセンターで量産技術を共同開発
  • 週刊東洋経済2008年8月16・23合併号 TOP INTERVIEW 昭和シェル石油会長 新美春之
    • [37]昭和シェル石油が神奈川県厚木市のリサーチセンターでアルバックと太陽電池の量産技術を共同開発する提携を結んだ

2010年1月、資本金を134億68百万円から208億73百万円へ、74億円増資した。リーマンショック後の事業基盤強化と将来投資のための資本拡充である。FY09(2010年6月期)の連結売上高は2,218億円・経常利益84億円、FY10(2011年6月期)は2,320億円・経常利益14億円と、市場調整のなかで売上高は2,000億円台を維持したが収益性は低下した。同年10月にはアルバックマテリアル株式会社を吸収合併してグループ会社を集約した。増資と吸収合併は、上場後5年間の積層投資を財務面・組織面で受け止め直す動きで、続くFY11(2012年6月期)に純損失500億円へ下振れする直前の組織整備にあたる。 [38][39]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [38]2010年1月 資本金を134億68百万円から208億73百万円へ74億円増資
    • [39]2010年10月 アルバックマテリアル株式会社を吸収合併(グループ会社の集約)
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [28]2004年4月 東京証券取引所市場第1部に株式を上場
    • [29]2005年4月 富士通ヴィエルエスアイ株式会社よりFPD設備事業を譲受
    • [30]2005年11月 英国Cambridge Display TechnologyからLitrex Corporation株式を取得(インクジェット技術獲得)
    • [31]2005年12月 台湾でULVAC Taiwan Manufacturing Corporationを設立(FPD製造装置生産拠点)
    • [32]2006年8月 精密ステージ製造のシグマテクノス株式会社の株式70%を取得
    • [33]2006年11月 愛知工場を新設(FPD製造装置の生産能力拡充)
    • [34]2007年6月 ULVAC India Branchを設立(インド市場進出)
    • [35]2009年4月 愛発科電子材料(蘇州)有限公司を設立(スパッタリングターゲット製造)
    • [38]2010年1月 資本金を134億68百万円から208億73百万円へ74億円増資
    • [39]2010年10月 アルバックマテリアル株式会社を吸収合併(グループ会社の集約)
  • 週刊東洋経済2008年8月16・23合併号「太陽電池バトル台頭するアジアメーカー」特集
    • [36]アルバックが2007年前後から薄膜太陽電池向け製造装置事業を本格化し、台湾ネクスパワー・テクノロジーへ製造ライン一式を納入・技術指導(変換効率7%保証)、昭和シェル石油とは厚木リサーチセンターで量産技術を共同開発
  • 週刊東洋経済2008年8月16・23合併号 TOP INTERVIEW 昭和シェル石油会長 新美春之
    • [37]昭和シェル石油が神奈川県厚木市のリサーチセンターでアルバックと太陽電池の量産技術を共同開発する提携を結んだ

2011年〜 半導体・FPD製造装置の世界市場展開とSiCパワー半導体・EV電池への先行投資

アルバックの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2012年 純損失499億円を受けた創立以来初めての事業構造改革と、半導体・中小型パネルへの絞り込み 大型液晶テレビ向けの装置需要が消えたとき、何を畳み、どこに人と設備を残すか
  2. 2018年 愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立

FY11-FY13──リーマン後の調整期と2期連続純損失

FY11(2012年6月期)の連結売上高は1,968億円、経常損失65億円、純損失500億円と、リーマンショック後の市場縮小と固定費の重さが業績を直撃した。FY12(2013年6月期)も売上高1,634億円・純損失38億円、FY13(2014年6月期)売上高1,739億円・純利益115億円と、3期にわたる業績下振れ期を経た。アルバックは事業ポートフォリオの再整理を進め、不採算事業の縮小・撤退と、半導体・FPD製造装置の核事業への集中を強化した。当時の社長・小日向久治氏(FY11〜FY15)は代表取締役執行役員社長制下で市場調整期を担当し、技術系専業メーカーとしての事業の根幹を維持した。 [40]

  • アルバック 有価証券報告書【役員の状況】
    • [40]小日向久治氏は代表取締役執行役員社長としてFY11〜FY15に在任

FY11の純損失500億円は、2010年1月に134億円から208億円へ拡充した自己資本(増資額74億円)を1期で取り崩す規模で、上場後5年間の積層投資が市場縮小のなかで減損として表面化した。半導体・FPD製造装置の設備投資需要が後退し、拡張してきた生産能力が固定費負担として収益を圧迫した。アルバックは2012年から2014年にかけて国内製造拠点の集約と海外子会社の再編を進め、不採算事業の縮小・撤退と半導体・FPD製造装置の核事業への集中を強化することで、FY13で純利益115億円までの回復軌道を引いた。装置事業の循環的な収益変動を生産体制の見直しで吸収する、その後の事業設計の出発点にあたる。 [41]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [41]FY11の純損失500億円・2010年1月に資本金を134億円から208億円へ拡充(増資額74億円)
  • アルバック 有価証券報告書【役員の状況】
    • [40]小日向久治氏は代表取締役執行役員社長としてFY11〜FY15に在任
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [41]FY11の純損失500億円・2010年1月に資本金を134億円から208億円へ拡充(増資額74億円)

中国半導体投資が作ったピークと2期で半減した装置事業の振れ幅

FY15(2016年6月期)売上高1,924億円・営業利益179億円、FY16(2017年6月期)売上高2,318億円・営業利益295億円、FY17(2018年6月期)売上高2,492億円・営業利益354億円と、中国半導体投資の本格化を受けて業績は急回復した。FY17は売上高・営業利益ともにアルバック創業以来の最高水準で、半導体製造装置の中国向け輸出が業績拡大の中核を担った。岩下節生社長(FY16就任)は中国事業統括の経験を生かし、半導体・FPD製造装置の海外売上比率拡大を主導した。1995年9月設立の寧波愛発科真空技術と2003年7月設立の愛発科真空技術(蘇州)を中核とする中国生産・販売網が、SMIC・YMTC・CXMT等の中国半導体メーカー設備投資の立ち上がりを直接受けた。 [42]

  • アルバック 有価証券報告書【役員の状況】
    • [42]岩下節生氏はFY16に社長就任(中国事業統括の経験)

FY18(2019年6月期)売上高2,207億円・営業利益238億円、FY19(2020年6月期)売上高1,854億円・営業利益160億円と、半導体・FPD設備投資の調整を受けて業績は後退した。半導体製造装置市場のシリコンサイクル変動と、FPD製造装置市場の有機EL投資鈍化が直撃した。FY17ピークから2期で売上高は638億円減(▲25.6%)、営業利益は194億円減(▲54.8%)と、装置事業の振れ幅の大きさが数字に表れた。2018年7月には合肥で愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立し、FPD用マスクブランクス材料の現地供給体制を加えた。 [43]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [43]2018年7月 合肥で愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立(FPD用マスクブランクス材料)

一方で真空応用事業(材料・部品・サービス)はFY19売上306億円・営業利益16億円と相対的に安定し、装置事業の変動を緩和する役割を果たした。真空機器事業・真空応用事業の2本柱が、市場調整期に収益の振れを抑える意義を持った。岩下社長はFY18〜FY19の調整期に、固定費削減よりも次世代装置(SiCパワー半導体・EV電池・有機EL)への先行投資配分を優先し、研究開発費を維持する方針を採った。装置事業の循環的な変動を、材料・部品事業の安定収益と次世代装置への投資継続で受け止める設計だった。

  • アルバック 有価証券報告書【役員の状況】
    • [42]岩下節生氏はFY16に社長就任(中国事業統括の経験)
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [43]2018年7月 合肥で愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立(FPD用マスクブランクス材料)

コロナ禍後の回復期に何へ先行投資したか

FY20(2021年6月期)売上高1,830億円・営業利益172億円、FY21(2022年6月期)売上高2,412億円・営業利益301億円、FY22(2023年6月期)売上高2,275億円・営業利益199億円、FY23(2024年6月期)売上高2,611億円・営業利益298億円、FY24(2025年6月期)売上高2,512億円・営業利益265億円と、コロナ禍後の半導体投資回復を受けて業績は高水準を維持している。2018年7月設立の愛発科成膜技術(合肥)有限公司を中核に、中国FPD用マスクブランクス材料事業を強化、SiCパワー半導体・EV電池・有機EL向け装置の投資を継続している。 [44]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [44]2018年7月 愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立(中国FPD用マスクブランクス材料事業)

コロナ後の業績回復を支えた柱の一つが、2012年に着手した最先端ロジック半導体向け製造装置の開発である。顧客企業からの打診がきっかけで、当時普及し始めたEUV(極端紫外線)露光という新技術に対応する製造装置の開発は大手装置メーカーも手探りの状態だった。メモリー向けでは実績があったがロジック向けは出遅れており、「顧客の役員から、達成できなければ開発を終了すると厳しい言葉を突きつけられた」(岩下節生社長)という難航のなか、開発部隊を社長直轄にして海外拠点へ責任者を派遣するなど体制を強化し、約6年をかけて2018年にロジック半導体製造に必須のメタルハードマスク(MHM)工程対応装置の開発に成功した。実用化しているのは世界で同社のみで、2019年度に2割程度だったロジック向け受注比率は2022年度に半分近くまで拡大する見通しとなった。 [45][46]

  • 週刊東洋経済2022年6月25日号「発見!成長企業」
    • [45]アルバックが2012年に顧客企業からの打診をきっかけにロジック半導体向け製造装置の開発に着手し、約6年をかけて2018年にメタルハードマスク(MHM)工程対応装置の開発に成功(世界で同社のみが実用化)
    • [46]ロジック半導体向け受注比率が2019年度の約2割から2022年度には半分近くまで拡大する見通し

FY24時点の事業セグメントは真空機器事業(売上1,991億円・営業利益219億円)と真空応用事業(売上521億円・営業利益45億円)の2区分で、真空機器事業が全社売上の8割を占める。海外売上比率は8割を超え、中国・韓国・台湾・東南アジアの半導体・FPD産業向けが収益の中核を担う構造である。創業から70年を経たアルバックは、半導体・FPD製造装置の循環的な需要変動を真空応用事業(材料・部品・サービス)の安定収益で吸収しつつ、SiCパワー半導体・EV電池・有機ELという次世代装置の開発原資をシリコンサイクルの底でも削らない、真空技術専業メーカーとしての事業設計を採っている。 [47]

  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [47]創業(1952年)から70年余を経たアルバック
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
    • [44]2018年7月 愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立(中国FPD用マスクブランクス材料事業)
    • [47]創業(1952年)から70年余を経たアルバック
  • 週刊東洋経済2022年6月25日号「発見!成長企業」
    • [45]アルバックが2012年に顧客企業からの打診をきっかけにロジック半導体向け製造装置の開発に着手し、約6年をかけて2018年にメタルハードマスク(MHM)工程対応装置の開発に成功(世界で同社のみが実用化)
    • [46]ロジック半導体向け受注比率が2019年度の約2割から2022年度には半分近くまで拡大する見通し

アルバックの沿革1952〜2018年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
日本真空技術を創業★★
大森工場を新設し国産装置の製造に着手
東洋精機真空研究所を合併
真空冶金事業に参入★★
新生産業に吸収合併され日本真空技術に商号変更★★
Reliance Electric and Engineering Co.と共同出資で日本リライアンスを設立
香港万豊有限公司と共同出資でHong Kong ULVAC Co. Ltd.を設立
真空冶金事業部を分離し真空冶金を設立
超材料研究所を新設
ULVAC North America Corp.を設立
Helix Technology Corp.と共同出資でアルバック・クライオを設立
ULVAC TAIWAN Co. Ltd.を設立
The Perkin Elmerと共同出資でアルバック・ファイを設立
西独にULVAC GmbHを設立
英文社名をULVAC JAPAN Ltd.に変更
富士裾野工場を新設
ULVAC KOREA Ltd.を設立
中国寧波で寧波愛発科真空技術有限公司を設立
諏訪秀則シンガポールCSセンター・台湾新竹R&Dセンターを開設
諏訪秀則アルバックに商号変更
諏訪秀則愛発科真空技術(蘇州)有限公司を設立
諏訪秀則東証一部上場で集めた資本を半導体・FPD製造装置の生産能力へ積み増した資本政策創業52年で得た公開市場の資金を、手元に置くか装置産業の増産能力に投じるか 詳細を読む★★★
諏訪秀則富士通ヴィエルエスアイより設備事業譲受
諏訪秀則愛知工場を新設
諏訪秀則資本金134億68百万円より208億73百万円に増資
諏訪秀則アルバックマテリアルを吸収合併
小日向久治純損失499億円を受けた創立以来初めての事業構造改革と、半導体・中小型パネルへの絞り込み大型液晶テレビ向けの装置需要が消えたとき、何を畳み、どこに人と設備を残すか 詳細を読む★★★
岩下節生愛発科成膜技術(合肥)有限公司を設立
出典・参考
  • アルバック 有価証券報告書【沿革】
  • 週刊東洋経済2008年8月16・23合併号「太陽電池バトル台頭するアジアメーカー」特集
  • 週刊東洋経済2008年8月16・23合併号 TOP INTERVIEW 昭和シェル石油会長 新美春之
  • アルバック 有価証券報告書【役員の状況】
  • 週刊東洋経済2022年6月25日号「発見!成長企業」

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