歴史概要 — 現在に至るあゆみ 主要な意思決定と帰結のまとめ
創業1978年、須田忠雄氏が群馬県桐生市で株式会社やすらぎを石材業として創業した。墓石・建材の販売から不動産業へ業態を入れ替えるなか、1998年の改正民事執行法で不動産競売が個人以外にも開かれた。やすらぎは桐生に営業店を構え、地方の戸建中古住宅を競売で安く落札し、リフォームのうえ販売する事業を始めた。地方圏の使い古された一戸建てを安く仕入れて再生し、売り直す手法を地場の不動産業者として組み上げていった。
決断桐生で組んだ再販事業は、多角化に走るうち売上を760億円から274億円へ縮め、2012年にPEファンド系の日本住宅再生によるTOBで非公開化された。同年就いた新井健資社長は、競売頼みの仕入を不動産仲介経由65%・直接買取35%へ組み替え、地方の年収200〜500万円世帯を狙いに据えた。売価を先に決めて原価を逆算し、仕入から販売まで一人が通す体制で再生販売を磨いた。2013年に商号をカチタスへ改め、2016年のリプライス買収で業界1位に立った。
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歴史詳細 - 3つの時代区分で読み解く
1978年〜2011年 群馬の石材店から中古住宅再生モデル確立まで
創業から20年で本業を3度入れ替えた経緯
1978年9月、創業者の須田忠雄氏は群馬県桐生市で資本金1,000万円の株式会社やすらぎを設立した[1]。当初の事業目的は石材業で、墓石・建材の販売を主としていた[2]。創業者の須田忠雄氏は1946年2月生まれの桐生市出身で、地元産業を地盤とする地域密着型の事業として石材業を選択した経緯がある[3]。1988年12月、宅地建物取引業の免許を取得し、不動産売買・代理業を開始した[4]。翌1989年1月には建築部・不動産部を開設して戸建住宅の販売業に進出し、1990年2月には賃貸部を開設して賃貸業も加えた[5]。創業から12年で石材業からは事実上撤退し、地方の不動産業者として再起動する経緯となった。
不動産業への転換が定まる契機は、1998年の中古住宅再生事業の立ち上げである[6]。同年に施行された改正民事執行法(1996年改正・1998年施行)で不動産競売手続が短期化・透明化され、個人投資家以外も競売市場に参入しやすくなった[7]。やすらぎは制度変更を受け、不動産競売物件を落札してリフォーム後に販売する事業形態を確立した。営業店舗を桐生市に開設し、地方圏の戸建中古住宅を低コストで取得して再生販売するモデルが起点となった[8]。後年カチタスを業界1位に押し上げる中核ビジネスは、創業から20年後の桐生で形になった。
中古住宅再生事業の立ち上げから5年後の2003年、事務処理能力の拡充のため群馬県みどり市笠懸町にマネジメントセンターを開設し、同年10月には子会社・株式会社プロパティーを設立した[9][10]。2004年2月、株式会社名古屋証券取引所セントレックス市場に上場し、公開市場での資金調達と人材採用の足場を確保した[11]。2004年8月にはYUTORI債権回収、9月にはバリュー・ローンを相次いで設立し、債権回収・住宅ローン融資を含む金融サービス周辺領域へも事業を広げた[12]。中核の中古住宅再生から派生事業へ手を広げる多角化の局面に入った。
売上660億円から274億円への半減 ── 多角化と景気循環の代償
2004年のセントレックス上場後、やすらぎの連結売上高はFY05(2006年1月期)に663億円、FY06に760億円とピークを迎えた。中古住宅再生に加え、子会社プロパティーが担う収益物件(テナントビル・マンション等)の販売事業が前年比7.9倍に伸び、本格稼働期へ移行したことが寄与した[13]。しかしFY07(2008年1月期)には売上537億円・純損失16.4億円へ転落した。サブプライムショックを契機とする不動産市況の急冷で、収益物件販売事業の収益が前年比で消滅したためである。多角化で広げた事業領域が景気循環の影響を直接受ける構造が露わになった。
2006年に設立した株式会社バンカー及びやすらぎ共済株式会社は早期に撤退となり、共済は2006年11月、バンカーは2008年8月にそれぞれ解散した[14][15]。2008年3月にはYUTORI債権回収を売却し、2012年10月にはバリュー・ローンも売却した[16]。2004年前後に立ち上げた金融周辺事業は5〜8年でほぼ全てが整理対象となり、中古住宅再生のみが残る事業構成へ収斂していった。FY11(2012年1月期)の連結売上高は274億円で、FY06の760億円から3分の1強の水準まで縮小していた。多角化で築いた売上規模は、コア事業の取捨選択を進める過程で486億円分が消失した。
業績悪化が続くなか、2008年4月に創業者の須田忠雄氏は代表取締役社長を退任し、取締役会長に移った[17]。2代目社長には2005年入社で取締役管理本部長を務めていた根岸宏之氏(当時42歳・山一証券出身)が昇格した[18]。創業から30年で経営トップが交代したが、収益物件販売の不振と派生事業の整理が並行して進む過渡期となり、根岸社長の在任中は本業の収益基盤を再構築するための判断を迫られ続けた。後年のTOBによる非公開化と新井健資氏体制への移行は、この時期の事業整理と経営課題の延長線上に位置する。
セントレックス上場廃止 ── PEファンド傘下入りという選択
2012年3月、日本住宅再生株式会社による株式公開買付(TOB)が成立し、やすらぎは同社の連結子会社となった[19]。日本住宅再生はアドバンテッジパートナーズ系のプライベートエクイティファンドが組成した買収目的会社で、中古住宅再生事業の単独事業会社化と経営再生を狙ったMBO型の取引だった。同年7月、株式会社名古屋証券取引所セントレックス市場の上場を廃止し、2004年の上場から8年で再び非公開企業へ戻った[20]。新興市場での株価低迷と中長期の事業再構築の必要性が、非公開化を選ぶ判断につながった。
2013年1月、日本住宅再生株式会社をやすらぎが吸収合併する逆さ合併が完了した[21]。買収主体だった親会社を被買収側の事業会社が呑み込む形で、中古住宅再生事業の単一会社体制が確立した。逆さ合併はPEファンド組成の買収目的会社を事業会社内部に解消する標準的な手法で、組織のフラット化と意思決定の単純化が同時に達成された。2013年7月には商号を株式会社カチタスへ変更した[22]。「カチ=価値」「タス=足す」の合成で、中古住宅に価値を足すという事業の本質を社名そのものに置く転換となった[23]。新井健資氏は後年「中古住宅に価値を足す、カチタスという社名の由来です」(ポーター賞 第17回受賞企業インタビュー)と述べている。
非公開化と社名変更を経た2012〜2013年は、事業整理の総仕上げと次の成長フェーズへの助走が重なる転換点となった。2012年6月、新井健資氏(当時43歳)が代表取締役社長に就任した[24]。新井社長は東京大学法学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)からベイン・アンド・カンパニー、コロンビアMBA、リクルートで住宅関連事業を経た経歴を持ち、外部から招聘されたプロ経営者だった[25]。後年のインタビューで本人が振り返ったとおり、V字回復の実現は入社時点から課された明確な経営ミッションであり、再建のために選ばれた人選であった。
2012年〜2017年 V字回復とプロ経営者による中古再生モデルの磨き直し
競売中心モデルからの脱却 ── 仕入チャネルの組み替え
新井健資社長が2012年6月の就任直後に着手したのは、創業以来の競売中心の仕入モデルからの転換だった[26]。やすらぎ時代に確立した競売物件の取得モデルは低価格で物件を仕入れる強みがある一方、競売件数の減少と参加者の増加で取得競争が激化していた。新井社長は競売基盤の仕入手法を根幹から見直し、仕入の主軸を不動産仲介経由の任意売買へ移すと同時に、CMによる直接買取の流入経路も追加した[27]。これにより仕入物件の質と量の両方が安定する構造が見えてきた。創業期からの取得チャネル一本足を捨て、多チャネル化と仕入価格コントロールを並走させ、その後の収益回復につなげた。
仕入構成は不動産仲介経由が65%、CM経由などの直接買取が35%という比率に組み替わり、競売依存から脱却した[28]。仕入チャネルの組み替えに加え、ターゲット顧客層も具体的に定義し直した。狙いは地方在住の年収200万〜500万円層であり、その世帯数は約900万世帯にのぼる[29]。新井社長はこの層を主要購買層と捉え、地方の戸建中古住宅を年収中下位層に届ける価格設定を事業設計の起点に置いた。大手新築ハウスメーカーの主戦場と重ならず、同社が量的に展開できる地方マーケットを取りに行く戦略が、再建期の事業ドメインとして固まっていった。
価格設定の手順自体も発想が異なった。原価を積み上げて売価を決める従来の不動産業界の常識を反転させ、最初に地域の顧客が払える売価を決めてから、許容できるリフォーム費と確保したい利益を逆算して仕入価格を絞り込む手順を採用した[30]。一人の担当者が仕入・リフォーム企画・販売・クレーム対応まで一気通貫で行う体制と組み合わさり、年間3,000件規模のリノベーション経験が個社のノウハウとして蓄積される構造になった[31]。FY13(2014年3月期)に単体売上397億円・経常利益14.3億円、FY15(2016年3月期)には連結売上393億円・経常利益33.4億円・純利益19.96億円へ回復した。
リプライス買収による業界1位ポジションの確立
2016年3月、新井社長体制で経営するカチタスは株式会社リプライスの株式を全部取得し、連結子会社化した[32]。リプライスは中古住宅再生事業を手掛ける同業他社で、買収によりカチタスは業界1位の事業規模を獲得した[33]。リプライスの子会社であった総合都市開発株式会社及び株式会社アークティブも同時に連結対象となったが、コア事業との関連性が薄い両社は同年9月に売却された[34]。買収はリプライス本体の中古再生事業の取り込みに目的を絞り、付随事業は速やかに切り離す判断が示された。リプライス取得後の連結売上高はFY16(2017年3月期)に618億円・営業利益50.2億円となり、FY15からほぼ倍増した。
同年2月には経済産業省より「先進的なリフォーム事業者表彰経済産業大臣賞」を受賞し、2017年10月には一橋大学大学院国際企業戦略研究科主催の第17回ポーター賞を受賞した[35][36]。ポーター賞は独自の戦略により業界平均を上回る収益性を持続する企業を選定する賞で、地方戸建中古住宅という大手新築ハウスメーカーが手薄なポジションを年間3,000件規模の処理量と一気通貫の業務設計で押さえる戦略が学術的な評価対象となった[37]。新井社長は当時「年間3,000件のリノベーションを行っていると、例えば、ある時期にある建材を使った家に共通する注意点が見えてきます」(ポーター賞 第17回受賞企業インタビュー)と語り、規模の蓄積が品質判断のノウハウへ転化する循環を説明している。
業界内での評価と並んで、再上場前の安定株主構造の準備も同時に進行した。2017年4月、カチタスは株式会社ニトリホールディングスと資本・業務提携契約を締結し、ニトリHDが筆頭株主として安定持株を保有する関係に入った[38]。住宅と家具という補完的な事業領域での連携と、再上場後の浮動株比率を意識した株主構成設計の両面で、ニトリとの提携は重要な意味を持った。FY17(2018年3月期)末時点でニトリHDは発行済株式の35.73%を保有し、以降FY24(2025年3月期)末まで一貫して34%台の持株比率を維持している[39][40]。
東証一部再上場 ── 5年で再評価された中古再生モデル
2017年12月、カチタスは東京証券取引所市場第一部に株式を上場した[41]。2012年7月のセントレックス上場廃止から5年4ヶ月での再上場で、新興市場から東証一部本則市場への直接再登場という形を取った。非公開化期間の事業整理とV字回復、リプライス買収による業界1位ポジションの確立、ニトリHDとの提携による安定株主構造、これらの揃ったタイミングでの公開市場復帰だった。FY17(2018年3月期)の連結売上高は692億円・営業利益73.7億円・純利益45.5億円となり、再上場初年度から増収増益基調を維持した。
東証一部再上場は、PEファンド出口戦略の典型的な完成形でもあった。アドバンテッジパートナーズ系の日本住宅再生がTOBで取得・吸収合併・経営再生・再上場まで5年で進めた事例として、後年のPE業界における中型MBO案件の参照例となった。再上場時の主要株主構成にはニトリHDに加え、信託銀行・外資系運用機関などの機関投資家が並び、新興市場時代とは異なる安定的な株主基盤が築かれた。FY18(2019年3月期)末のニトリHD保有株は1,335万株(35.09%)で、再上場後の追加買付は行われていない[42]。
新井社長は就任2年目の段階で、再建フェーズの守りから攻めへ局面が移ったとの認識を社外にも示し、売上拡大による第2創業期を経営の主軸命題に据えた[43]。2012年6月の就任から2017年12月の再上場まで5年半、就任時に掲げたV字回復と再上場という二つの目標を順次達成した[44]。同社の中古再生事業は、地方戸建中古住宅という大手新築ハウスメーカーが手薄なセグメントを、一気通貫の業務設計と年間処理量の積み上げで占有する戦略として、ポーター賞受賞を機に業界外部からも認知された。後年の業績拡大はこの再上場時点で築いた基盤の上に積み上がっていく。
2018年〜2025年 連続最高益と地方戸建空き家という構造機会の取り込み
売上692億円から1,295億円へ ── 8年連続の二桁成長
東証一部再上場後のカチタスは、FY17(2018年3月期)の連結売上高692億円からFY24(2025年3月期)の1,295億円まで、8年で1.87倍へ拡大した。営業利益は同期間に73.7億円から142.2億円へ1.93倍となり、売上成長率を上回る利益成長を示した。FY18の売上813億円・営業利益91.0億円、FY19の899億円・101.2億円、FY20の977億円・113.4億円、FY21の1,012億円・131.2億円と毎期着実な増収増益を続け、コロナ期間中の郊外戸建需要の高まりも事業構造に取り込んだ。FY22には売上1,213億円・営業利益140.6億円を計上し、第2次中期経営計画(2019〜2021)の営業利益130億円を超過達成した。
成長の中核を占めたのは、年間販売件数の積み上げである。新井社長は2019年5月時点で、年間販売件数1万棟を5〜10年以内に達成する構想を示し、年率10%の伸びで7年程度の射程に入る数字として中期目標化していた[45][46]。コロナ禍を経た時期にはリモートワーク定着で郊外戸建中古住宅への需要が構造的に強まり、郊外で広い家を従来の家賃水準で確保したいという潜在ニーズが顕在化した。外部環境の追い風と販売件数積み上げの内的取り組みが重なり、買取再販事業の規模拡大が加速度を増した。地方の戸建中古市場という参入余地の大きい領域で、量的な地位の固定化が進む局面に入った。
連結従業員数もFY16の620名からFY24の922名へ1.49倍に拡大し、平均年収はFY18の436万円からFY24の542万円へ24.3%上昇した。営業人員の増強がそのまま販売件数の伸びに直結する事業特性のなか、人員拡大と給与水準の引き上げを並行する形で進めた。中古住宅再生という業務集約型事業では規模拡大は人員拡大と同義であり、新井社長は2025年8月のFY26 第1四半期決算QAで「営業人員+8.9%」を翌期目標とした増員計画を示している[47]。再上場後の業績拡大は、地方戸建中古という個別性の高い物件を一件ずつ仕入・再生・販売する人員集約モデルを、年間処理量で押し切る形で実現された。
「空き家850万軒」を取り込む構造的機会
空き家市場の規模は年間60万軒の新規発生、ストックベースで850万軒に上るとされ、買取再販事業にとっては母市場が構造的に拡大する局面となった[48]。2014年に成立した空き家対策特別措置法(2015年施行)の運用が進展し、自治体側も空き家所有者との接続を模索する局面に入った[49]。新井社長は、空き家対策制度の運用初期に自治体への直接アプローチが受け入れられにくかった状況から、共同で空き家活用を考える協調姿勢へと自治体側の対応が変化したことを業界視点で評価していた。制度の浸透が買取機会の供給源となり、自治体経由の物件流入チャネルが整い始めた段階に当たる。
地方戸建中古住宅市場におけるカチタスの参入障壁は、年間処理件数の蓄積に基づく物件評価ノウハウと一気通貫の業務体制である。2025年5月のFY25通期決算QAで新井社長は、買取再販事業の参入障壁を中古戸建の個別性に求め、累計8万戸の処理ノウハウが競争優位の源泉だと位置づけた[50]。バブル期に年間170万戸規模で建てられた住宅が築30年を迎える時期と、団塊世代の相続発生時期が重なり、地方の戸建空き家ストックは構造的に積み上がる時期にある[51]。年間170万戸規模で供給された住宅群が築30年超の段階に入り、この層のリフォームニーズが量・金額の両面で拡大していくという見方を、新井社長は早い段階から業界誌で示していた。
ニトリHDとの資本提携も継続して機能している。FY24(2025年3月期)末のニトリHD保有株は2,671万株(34.16%)で、2017年4月の提携契約以降、持株比率は34〜35%台で安定している[52]。第3次中期経営計画(2022〜2024)の最終年度であるFY24では営業利益142.2億円・純利益95.5億円を計上し、中期計画期間中の累積営業利益は所期の目標を上回る水準で着地した。配当政策も2022年5月発表の第3次中期経営計画で配当性向40%以上に引き上げ、2025年5月発表の第4次中期経営計画で50%以上+累進配当制度導入へさらに強化される変遷を辿った[53]。
消費税訴訟と次の10年 ── 中計目標営業利益200億円の前倒し達成
カチタスは中古住宅再生事業の取引構造上、仕入時の消費税控除可否をめぐる国税局見解との5年余の争いを抱えてきた。2020年に国税局から更正通知書を受領した件は、FY20(2021年3月期)の業績予想修正に反映された[54]。消費税訴訟第一審判決を受け、FY23(2024年3月期)から消費税等差額約21億円を販管費に計上する会計処理を導入した[55]。FY24(2025年3月期)の販管費164.8億円(前年151.4億円から+8.8%)には、この消費税等差額の計上が含まれる。2025年5月の最高裁敗訴を受けて消費税等差額の販管費計上が定着し、第4次中期経営計画(2025〜2027)の前提に織り込まれた。
FY25(2026年3月期)の業績推移は、訴訟敗訴という逆風下でも増益基調が継続することを示している。2025年8月のFY26第1四半期決算QAで「営業利益が過去最高益、調整後売上総利益率24.8%」、2025年11月のFY26第2四半期決算QAで「営業利益+26.0%で過去最高益、上半期計画を約10%上振れ」と報告された[56]。通期営業利益計画は当初の162億円から178億円へ上方修正された(修正前比+9.9%)。2026年2月のFY26第3四半期決算QAでは「営業利益+29.4%で過去最高益、販売件数+20.0%と過去最多」となり、第4次中期経営計画の最終年度目標である営業利益200億円について「2027年3月期は中計目標営業利益200億円の前倒し達成を目指す」方針が示された[57]。
第4次中期経営計画では、ROE下限20%を新たなKGIに設定し、年間販売件数1万件と営業利益成長CAGR12%を目標化した[58]。新井社長が2019年5月時点で語った「年間販売件数1万棟」目標は、当初想定の「7年」よりやや時間を要するものの、2027年3月期から2028年3月期にかけて到達する可能性が現実的視野に入った[59]。1998年に桐生で確立した「不動産競売物件を落札しリフォーム後に販売する」中古住宅再生モデルは、競売中心から仲介・直接買取の混合モデルへ仕入チャネルを再設計し、リプライス統合で業界1位の規模を獲得し、再上場で公開市場の評価を受け、空き家ストック850万軒という構造機会を取り込む形で四半世紀を経過した[60][61]。地方戸建空き家という大手新築ハウスメーカーが手薄なセグメントを、一気通貫の人員集約モデルで占有する戦略の輪郭は、業績数字よりも事業構造そのものに刻まれている。