2013年〜 戸建分譲6社統合と年間4万棟超のパワービルダー連合の発足
飯田グループホールディングスの業績推移:連結
- 2013年 一建設・飯田産業・東栄住宅など6社が経営統合の株式移転契約を締結
- 2013年 パワービルダー6社の共同株式移転による経営統合と飯田グループホールディングス設立 同じ土地を競り合ってきた同根6社は、なぜ1つの持株会社の下へ戻ったか
- 2013年 東京証券取引所市場第一部に上場
- 2014年 ファーストウッド子会社化に始まる建材・木材の垂直統合 売値を市場に決められる量産モデルで、原価の側をどこまで自社へ取り込めるか
パワービルダー6社が共同株式移転で連合した経緯
2013年6月、戸建分譲市場で「パワービルダー」と呼ばれる有力6社が、共同持株会社方式での経営統合に係る株式移転契約[1]を締結した。一建設・飯田産業・東栄住宅・タクトホーム・アーネストワン・アイディホームの6社は[2]、首都圏を中心に低価格の建売住宅を量産する事業モデルを共有していた。統合前の上場市場は分かれており、飯田産業・東栄住宅[3]は東京証券取引所第一部、一建設・タクトホーム・アーネストワン・アイディホームはジャスダックに上場していた。6社は戸建分譲市場の量的トップ集団を形成していたが、各社単独では、用地仕入の競争と建材調達のスケール、人材確保のコストが採算上の負担となっていた。6社の経営者は、価格競争で消耗する代わりに、共同持株会社の傘下に入って規模の経済を獲得する統合スキームを選んだ。
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【沿革】
- [1]2013年6月、6社が経営統合に係る株式移転契約を締結
- [2]統合6社=一建設・飯田産業・東栄住宅・タクトホーム・アーネストワン・アイディホーム
- [3]統合前の上場市場は分かれ、飯田産業・東栄住宅は東証一部、一建設・タクトホーム・アーネストワン・アイディホームはジャスダックに上場
2013年7月に飯田産業の株主総会で株式移転計画書が承認され、続く2013年8月には一建設[4]・東栄住宅・タクトホーム・アーネストワン・アイディホームの株主総会でも統合計画が承認された。6社が同一持株会社の傘下に入ることが確定し、業界第1位連合の成立が定まった。同年11月、共同株式移転により6社の親会社として飯田[5]グループホールディングス株式会社が東京都西東京市に設立され、即日東京証券取引所市場第一部に上場した。6社は完全子会社化され、HD設立から即時の市場アクセスを確保する設計である。HD初代社長には西河洋一氏が就任し、[6]創業者の飯田一男氏が初代の代表取締役会長に就いた。だが飯田一男氏は設立直後の同年11月29日に逝去し、設立時に代表取締役副会長であった創業家の森和彦氏が、翌2014年2月に代表取締役会長へ就任して経営の中核を担った。[7]
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【沿革】
- [4]2013年7月 飯田産業株主総会で株式移転計画書承認、2013年8月 残り5社株主総会で承認
- [5]2013年11月 共同株式移転で飯田グループHDを東京都西東京市に設立、即日東証一部に上場、6社を完全子会社化
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【役員の状況】
- [6]HD初代社長に西河洋一が就任
- [7]設立時の代表取締役会長は創業者・飯田一男、2013年11月29日逝去。森和彦は設立時 代表取締役副会長で、2014年2月に代表取締役会長へ就任
統合の経済合理性は、用地仕入と建材調達の2点に集中していた。各社が個別に競合していた首都圏の戸建用地は、HD傘下で共通の仕入基準と価格交渉力を持つことが可能になり、ゼネコン・建材メーカーへの発注も6社分を束ねた一括交渉が可能となった。HD設立直後のFY13連結売上高は7,538億円、親会社株主当期純利益338億円で、6社合算ベースとの実質連結初年度を超えた水準で着地した。日本の戸建分譲市場は、6社統合により業界トップ連合が出現する構造変化を経験した。6社を束ねた供給戸数のスケールは、財閥系大手の不動産デベロッパーが個別に持つ住宅事業を一段超える規模で、価格を武器に郊外戸建市場を押さえる独自ポジションが定着した。
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【沿革】
- [1]2013年6月、6社が経営統合に係る株式移転契約を締結
- [2]統合6社=一建設・飯田産業・東栄住宅・タクトホーム・アーネストワン・アイディホーム
- [3]統合前の上場市場は分かれ、飯田産業・東栄住宅は東証一部、一建設・タクトホーム・アーネストワン・アイディホームはジャスダックに上場
- [4]2013年7月 飯田産業株主総会で株式移転計画書承認、2013年8月 残り5社株主総会で承認
- [5]2013年11月 共同株式移転で飯田グループHDを東京都西東京市に設立、即日東証一部に上場、6社を完全子会社化
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第1期(2014年3月期)【役員の状況】
- [6]HD初代社長に西河洋一が就任
- [7]設立時の代表取締役会長は創業者・飯田一男、2013年11月29日逝去。森和彦は設立時 代表取締役副会長で、2014年2月に代表取締役会長へ就任
ファーストウッド子会社化とロシア進出──垂直統合戦略の第一歩
2014年5月、飯田グループHDはファーストウッド株式会社を子会社化した[8]。ファーストウッドは木材・建材の調達を担う商社で、戸建分譲のコスト構造の上流を内製化する垂直統合の第一歩である。建売住宅の建材コストは1棟あたり数百万円規模で、ゼネコンや商社経由で調達するよりも自社グループで原木から流通まで持つほうがコストを下げられる。戸建分譲の事業構造上、用地仕入と建材調達がコストの2大要素であり、HD化で用地仕入を統合した次の手として建材内製化が選ばれた。ファーストウッド子会社化は、HD設立から半年での最初のグループ拡張M&Aで、以後の垂直統合策の先例となった。
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第3期(2016年3月期)【沿革】
- [8]2014年5月 ファーストウッド株式会社を子会社化(木材・建材調達を担う商社)
ファーストウッド子会社化に前後して、飯田グループHDはロシア極東を木材調達の拠点に据える動きを進めた[9]。ロシア産の構造用木材(主にSPF材:スプルース・パイン・ファー)は日本の戸建住宅市場で広く使われており、戸建分譲6社の年間建材需要をロシア木材で賄う構想が背景にあった。このロシア極東での木材調達の足場は、後年の2022年1月のRFPグループ買収[10]へつながった。木材自給率を高める戦略は、戸建分譲業界の中でも珍しい垂直統合への踏み込みで、建売住宅の量産モデルにおける原価管理の足場を提供した。
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第3期(2016年3月期)【沿革】
- [9]ロシア極東を木材調達の拠点とする動き(2014年9月 Iida Group RUS LLC設立)
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第10期(2023年3月期)【沿革】
- [10]ロシア極東での木材調達の足場は2022年1月のRFPグループ買収へつながった
HD設立後は海外進出と建材内製化の動きも続いた。木材調達のためのロシア極東のほか、米国・東南アジアにも事業拠点を広げる海外展開を進め[11]、窓・サッシなど建材内製化の対象も建材流通ルートへと拡張した。HD設立後の数年間で、用地仕入・建材調達・木材自給という3方向で垂直統合を試行した。
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第4期(2017年3月期)【沿革】
- [11]米国・東南アジアへの事業拠点拡大(2016/1 IIDA GROUP HOLDINGS, INC.設立/2016/7 PT IIDA GROUP HOLDINGS設立)と窓・サッシなど建材内製化(2016/7 IGウインドウズ子会社化)
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第3期(2016年3月期)【沿革】
- [8]2014年5月 ファーストウッド株式会社を子会社化(木材・建材調達を担う商社)
- [9]ロシア極東を木材調達の拠点とする動き(2014年9月 Iida Group RUS LLC設立)
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第10期(2023年3月期)【沿革】
- [10]ロシア極東での木材調達の足場は2022年1月のRFPグループ買収へつながった
- 飯田グループホールディングス 有価証券報告書 第4期(2017年3月期)【沿革】
- [11]米国・東南アジアへの事業拠点拡大(2016/1 IIDA GROUP HOLDINGS, INC.設立/2016/7 PT IIDA GROUP HOLDINGS設立)と窓・サッシなど建材内製化(2016/7 IGウインドウズ子会社化)