1960年8月、積水化学工業のハウス事業部を母体に積水ハウス産業が資本金1億円で発足したが、高価で品質も劣るとみられたプレハブは売れず、発足3年で累積赤字9000万円を抱えた。1963年6月、積水化学工業専務から転じた田鍋健は「沈没寸前の船」と語って社長に就き、同年10月に社名を積水ハウスへ改め、販売も施工も自社社員が担う直接販売・責任施工方式を導入した。エコノミーのE型と高級のF型を並行投入してプレハブ=安物の評価に挑み、1964年に単年度黒字化、翌65年に累積赤字を一掃して初配当に踏み切った。需要を自ら創る攻めの営業で1979年1月期には15年連続増収増益・売上高3,040億円に達し、赤字子会社は住宅産業の主役へ転じた。
1991年1月期、積水ハウスは住宅業界で初めて売上高1兆円を達成し、1993年には累積住宅販売戸数も業界初の100万戸に到達した。バブル崩壊後は新設住宅着工が170万戸超から100万戸割れまで縮み、1995年に積水ハウス木造を吸収合併、2005年にはリフォーム事業を分社化して住宅の一生を担う体制へ広げた。2008年のリーマンショックは直撃となり、2010年1月期に純損失292億円を計上、1964年以来45年間続いた無赤字記録が途切れた。だが翌期は営業利益563億円で黒字へ復し、賃貸住宅とリフォームのストック型収益が業績を支えた。国際事業の売上高もFY12の548億円からFY16には1,821億円へ伸び、連結営業利益は1,841億円と過去最高を更新した。
2017年3月、積水ハウスは米国ユタ州の戸建ビルダーWoodside Homesを完全子会社化し、日本で培った施工品質や設計技術を現地へ移すテクノロジー・トランスファーを成長戦略の核に据えた。国内の新設住宅着工が90万戸台に沈む一方、米国では年間130万戸超の需要が見込めた。阿部俊則社長は2021年にHolt Homes、2022年にChesmar Homesを相次ぎ取得し、米国事業を西部から南部へ広げた。国内では2019年10月に総合建設会社の鴻池組を傘下に収め、住宅メーカーが準大手ゼネコンを抱える業界初の体制を築いた。FY23の国際事業売上高は5,110億円と連結売上の16%を占め、過去最大級のMDC Holdings買収へ続いた。
決断の理由 — クリティカルな歴史の転換点を読み解く
- Q なぜ1963年に田鍋健は代理店制度を廃して直接販売・責任施工へ切り替えたのか
- A 住宅という高額で一生に一度の買い物を代理店任せにすれば、顧客と直につながる接点も、現場の品質を確かめる手立ても社外に置いたままになる。プレハブを安物として売らずに済ませるにはその両方を社内へ抱えるほかないと田鍋健は見ていた。1963年6月、累積赤字9,000万円の積水ハウス産業の社長に積水化学工業専務から転じた田鍋健は、翌10月の商号変更とあわせ販売も施工も自社の社員が担う直接販売・責任施工へ切り替えた。販売コスト増を嫌って他社が避けた方式だったが、品質を単価に映せたことで1964年に黒字へ転じた。
- Q なぜ2017年にWoodside Homes買収で米国戸建市場へ出たのか
- A 国内の新設住宅着工が90万戸台へ落ち込む一方、米国は人口増と住宅不足で年間130万戸超の需要が続き、工業化の遅れた現地の戸建には日本の施工品質や高耐久部材を移す余地があった。田鍋健が国内で実証したプレハブ高級化を米国へ移し替える戦略であり、積水ハウスは2017年3月にユタ州の戸建ビルダーWoodside Homesを約533億円で完全子会社化し、その実証の場とした。国内市場の成熟を補う柱を、買収先へ技術を移植する手順で築く狙いだった。
- Q なぜ2024年にMDC Holdingsを約7,200億円で買ったのか
- A Woodside買収から6年でグループ売上の16%を海外で稼ぐ構造に変わり、米国を本業の柱へ引き上げる段階に入った。地域分散と現地経営層の取り込みを重ねた延長で、積水ハウスは2024年4月、コロラド州の大手ビルダーMDC Holdingsを約7,200億円(49.4億米ドル)で完全子会社化し、全米16州で年約1.5万戸を引き渡す体制を得た。米国引渡規模を一気に3倍超へ広げ、2025年にはWoodside・Holt・Chesmarとあわせ4社をSEKISUI HOUSE U.S.へ統合した。
- 歴史詳細 3章・6,396字
メインコンテンツ。一次資料をベースに歴史を紐解く
- 沿革年表 51件
主要な出来事を重要度別に時系列で整理
- 長期業績 1971〜2026年(56カ年)
有価証券報告書などの公開データに基づく長期データ
- 直近の業績
業績推移と経営体制
- セグメント情報 2012〜2025年(14カ年)
各事業の売上・営業利益・利益率の推移
- 歴代社長 3名
代表取締役社長・CEO の在任期間・経歴・在任中の施策
- 取締役一覧 2010〜2025年(16カ年)
取締役の構成バランスと社外独立性
- 大株主・株主構成 1969〜2025年(57カ年)
上位10名の入れ替わりと所有者区分7区分の推移
- 組織と給料 2006〜2025年(20カ年)
連結/単体の年次変化と業界他社の平均給与比較