住友ベークライト の歴史

創業

1932年

創業者

※三共合資会社

創業地

東京都品川区

直近売上高(2026/3)

3,199億円

長期業績と転換点(1997/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1932年に三共からフェノール樹脂事業を引き継いで独立したのか
A 住友ベークライトが素材そのものでなく用途で稼ぐ性格をもったのは、引き継いだフェノール樹脂が原料の安い汎用素材で、素材を作るだけでは値崩れに巻き込まれたからである。1932年1月、電気・自動車産業が拡大するなか、三共からフェノール系合成樹脂事業を分離独立させて日本ベークライト株式会社が設立された。レオ・ベークランド氏の特許は当時失効に近く同種樹脂は各社が手がけたため、配電盤・電話機の絶縁材など産業ごとに使い道を開拓し、加工形態で付加価値を載せる事業を早くから選んだ
Q なぜ1984年に宇都宮工場を構えて半導体封止材に経営資源を集中したのか
A 半導体封止材で世界首位を取れたのは、技術の優劣に加え、封止材が1個あたり単価の低い素材で輸送費を載せると採算が崩れ、顧客の組立工場の近傍で作って届ける現地供給が競争条件だったからである。住友ベークライトは1970年代以降エポキシ樹脂封止材へ経営資源を集中投下し、1984年11月に宇都宮工場を量産拠点として開設、続けてシンガポール・蘇州・台湾とアジアの半導体集積地に工場を並べた。後発が同じ品質と短納期を再現しにくい立地そのもので世界首位を固めた。
Q なぜ2020年に川澄化学工業を完全子会社化し医療を第三領域に据えたのか
A 完全子会社化に踏み切ったのは、半導体封止材の単一事業に収益を依存する構造では、2009年3月期に営業損益16億円・最終損益79億円の赤字へ沈んだような半導体サイクルの振れを避けきれなかったからである。住友ベークライトは2019年3月に約35億円で川澄化学工業へ2割出資し、2020年10月に株式公開買付などで完全子会社化、2021年10月に医療機器事業をSBカワスミへ承継した。内視鏡・血管内治療の低侵襲分野を半導体に次ぐ第三領域へ育てる狙いである

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1932年〜 フェノール樹脂専業から住友化学グループ素材企業への出発

  1. 1932年 日本ベークライトを設立
  2. 1932年 三共からフェノール系合成樹脂事業を継承
  3. 1949年 株式上場
  4. 1955年 日本ベークライトと住友化工材工業の合併、住友化学傘下での住友ベークライト発足 国産フェノール樹脂の草分けは、なぜ住友化学の系列で一本化される道を選んだか
  5. 1962年 中央研究所(基礎研究所)発足
  6. 1962年 静岡工場を新設

三共からの事業継承・1955年住友化工材工業合併と機能材料担当への過渡期

住友ベークライトの源流は、ベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が特許権実施の許諾を受け、その関係していた三共(第一三共の前身)の品川工場で1911年にベークライトの試作を開始した点にある。試作はやがて事業化し、1914年に製造販売を始め、1919年には向島に工場を新設した。素材であるベークライト(フェノール樹脂)は、アメリカのレオ・ベークランド(Leo Baekeland)が1907年に発明した合成樹脂で、電気絶縁性と耐熱性に優れる点が当時の電気・自動車産業の急速な拡大と直結した。そして1932年1月、三共からフェノール系合成樹脂事業を分離独立させて日本ベークライト株式会社が設立された。日本ベークライトはこの素材を国内産業に供給する位置づけで出発し、戦前期の電気部品・配電盤・電話機・絶縁ベースとして用途を広げた。 [1][2][3][4]

  • 企業の歴史(明治百年)(経済春秋社, 1968)
    • [1]ベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が特許権実施の許諾を受け、三共の品川工場で1911年(明治44年)に試作を開始した
    • [2]1914年(大正3年)に製造販売を始め、1919年(大正8年)に向島に工場を新設した
    • [3]ベークライト(フェノール樹脂)はアメリカのレオ・ベークランド博士が1907年に発明した合成樹脂である
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [4]1932年1月 三共よりフェノール系合成樹脂事業を分離独立させて日本ベークライト株式会社を設立

戦後は1949年3月に株式上場を果たし、住友化学工業(現・住友化学)の傘下に入った。合併相手となる住友化工材工業の起こりは、1938年8月に日本ベークライトが住友化学と共同出資で尼崎に設立した合成樹脂工業所にあり、これがのちに住友化工材工業となった。もともと住友化学の系列下にあった両社は、1955年3月に合併し、社名も住友ベークライト株式会社へ改めた。この合併によって住友財閥系企業の一員に組み込まれ、住友本流の住友化学が原料・基礎化学を担い、住友ベークライトが川下の機能材料・加工樹脂を担う棲み分けが、合併以後の事業構造の出発点となった。1962年1月の中央研究所(基礎研究所)設置と1962年10月の静岡工場開設で、フェノール樹脂を主力としつつ、ノボラック樹脂・成形コンパウンド・積層板へと品種を広げる体制が整った。 [5][6][7][8][9][10]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [5]1949年3月 株式上場
    • [8]1955年3月 日本ベークライト㈱と住友化工材工業㈱が合併して住友ベークライト㈱となる
    • [9]1962年1月 中央研究所(基礎研究所)発足
    • [10]1962年10月 静岡工場開設
  • 企業の歴史(明治百年)(経済春秋社, 1968)
    • [6]1938年(昭和13年)8月 日本ベークライトが住友化学と共同出資で尼崎に合成樹脂工業所を設立し、これがのちに住友化工材工業となった
    • [7]住友化工材工業は住友化学の系列下にあった

この期間に住友ベークライトは、フェノール樹脂専業から住友化学グループの機能材料担当へ転換する過渡期であった。素材のコモディティ性ゆえに事業規模は中堅にとどまったが、住友化学グループ内での川下分業によって、半導体・電子部品・自動車部品向けの技術蓄積が始まる土台が形成された。

  • 企業の歴史(明治百年)(経済春秋社, 1968)
    • [1]ベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が特許権実施の許諾を受け、三共の品川工場で1911年(明治44年)に試作を開始した
    • [2]1914年(大正3年)に製造販売を始め、1919年(大正8年)に向島に工場を新設した
    • [3]ベークライト(フェノール樹脂)はアメリカのレオ・ベークランド博士が1907年に発明した合成樹脂である
    • [6]1938年(昭和13年)8月 日本ベークライトが住友化学と共同出資で尼崎に合成樹脂工業所を設立し、これがのちに住友化工材工業となった
    • [7]住友化工材工業は住友化学の系列下にあった
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [4]1932年1月 三共よりフェノール系合成樹脂事業を分離独立させて日本ベークライト株式会社を設立
    • [5]1949年3月 株式上場
    • [8]1955年3月 日本ベークライト㈱と住友化工材工業㈱が合併して住友ベークライト㈱となる
    • [9]1962年1月 中央研究所(基礎研究所)発足
    • [10]1962年10月 静岡工場開設

コモディティ素材ゆえに用途開拓で生き残る中堅化学の出発点

創業期の住友ベークライトが扱ったフェノール樹脂は、原料が安価で製法が公開済みの汎用素材であり、素材そのもので差をつけにくい性質をもつ。レオ・ベークランド(Leo Baekeland)の特許も1932年の日本ベークライト設立時点では失効に近く、同種樹脂は国内外の化学各社が手がけられた。素材を作るだけでは値崩れに巻き込まれるため、日本ベークライトは絶縁材・成形材・積層板といった「使い道」を産業ごとに開拓し、加工形態で付加価値を載せる事業の組み立てを早くから選んだ。この用途開拓を軸とする収益の作り方が、後年の半導体封止材や医療素材まで一貫する性格となる。 [11]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [11]1932年 日本ベークライト設立(本段落の年次基点)

1955年の住友化工材工業との合併で住友化学グループに入った後も、規模では住友化学本体に遠く及ばず、住友ベークライトは中堅化学にとどまった。フェノール樹脂は鉄鋼・電機の汎用部材として景気に連動して数量が振れ、価格も原燃料市況に押される。グループ内で原料・基礎化学を住友化学が担う分業のもとで、住友ベークライトは川下の成形・加工に経営資源を寄せ、特定用途で深掘りする方向に活路を求めた。この時期の主力製品はフェノール樹脂、メラミン樹脂のデコラ、樹脂成形材料で、なかでもメラミン化粧板「デコラ」は同種製品として企業化が早く、技術上の優位を背景に堅い地盤を確保した。1962年の中央研究所設置と静岡工場開設は、汎用樹脂を量で売る発想から、用途別の機能材料を研究開発で生み出す発想へ主力を切り替える布石にあたる。 [12][13][14]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [12]1955年 住友化工材工業との合併(住友化学グループ編入)
    • [14]1962年 中央研究所設置と静岡工場開設
  • 企業の歴史(明治百年)(経済春秋社, 1968)
    • [13]主力製品はフェノール樹脂・メラミン樹脂のデコラ・樹脂成形材料で、デコラは同種製品として企業化が早く技術上も優位にあって堅い地盤を確保していた
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [11]1932年 日本ベークライト設立(本段落の年次基点)
    • [12]1955年 住友化工材工業との合併(住友化学グループ編入)
    • [14]1962年 中央研究所設置と静岡工場開設
  • 企業の歴史(明治百年)(経済春秋社, 1968)
    • [13]主力製品はフェノール樹脂・メラミン樹脂のデコラ・樹脂成形材料で、デコラは同種製品として企業化が早く技術上も優位にあって堅い地盤を確保していた

1962年〜 半導体封止材世界首位の確立と海外展開

住友ベークライトの業績推移

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 1962年 中央研究所(基礎研究所)発足
  2. 1962年 静岡工場を新設
  3. 1984年 宇都宮工場を新設
  4. 1989年 SumiDurez Singapore Pte. Ltd.に出資
  5. 1989年 Sumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.工場を新設
  6. 1990年 SNC Industrial Laminates Sdn. Bhd.を設立
  7. 2000年 米国 Occidental Chemical Corporation のフェノール樹脂事業を買収

EME集中投下・アジア現地法人と欧米樹脂事業買収による世界首位確立

第二期の起点は半導体産業の勃興期にある。1970年代以降、エポキシ樹脂封止材(EME, Epoxy Molding Compound)が IC・LSI のパッケージング素材として世界的需要を拡大する局面で、住友ベークライトは EME 領域に経営資源を集中投下した。1984年11月の宇都宮工場開設はこの集中投下の象徴で、半導体封止材の量産拠点として整備された。半導体封止材は、シリコンチップを湿気・衝撃から保護しつつ電気的特性を維持する素材で、半導体パッケージ1個あたりの単価は低いが、世界の半導体製造拠点の集積地にローカル供給する必要性から、グローバル展開が事業競争力に直結した。 [15]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [15]1984年11月 宇都宮工場開設(半導体封止材の量産拠点)

1989年9月のSumiDurez Singapore出資、1989年10月のSumitomo Bakelite Singapore工場開設、1995年12月の蘇州住友電木有限公司設立、1998年4月の台湾住友培科設立と、住友ベークライトはアジア半導体パッケージング拠点に並走するように現地法人を設立した。2000年10月の米国Occidental Chemical Corporation フェノール樹脂事業(現Durez Corporation)買収、2001年8月の米国Goodrich Corporation電子材料研究部門(現Promerus)買収、2003年8月のスペインFers Resins買収、2005年4月のVyncolit North America・Vyncolit NV(ベルギー)買収と、欧米の樹脂事業も次々と取り込んだ。2002年1月にはSB Durez Holding(現Sumitomo Bakelite North America Holding)として北米地域の持株会社を設立し、買収先の統合運営体制を整えた。 [16][17][18][19][20][21][22][23][24]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [16]1989年9月 SumiDurez Singapore Pte. Ltd.に出資(本文「設立」を「出資」へ訂正)
    • [17]1989年10月 Sumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.工場開設
    • [18]1995年12月 蘇州住友電木有限公司を設立
    • [19]1998年4月 台湾住友培科股份有限公司を設立
    • [20]2000年10月 米国Occidental Chemical Corporationのフェノール樹脂事業(現Durez Corporation)を買収
    • [21]2001年8月 米国Goodrich Corporationの電子材料研究部門(現Promerus, LLC)を買収
    • [22]2003年8月 Fers Resins, S.A.U.他2社を買収(現 Sumitomo Bakelite Europe (Barcelona))
    • [23]2005年4月 Vyncolit North America, Inc.およびVyncolit NVを買収
    • [24]2002年1月 北米地域の持株会社SB Durez Holding, Inc.(現 Sumitomo Bakelite North America Holding, Inc.)を設立

この第二期で、住友ベークライトは半導体封止材(EME)の世界シェア首位に到達した。エポキシ系封止材は半導体パッケージング工程の必須素材であり、世界の主要半導体メーカー(インテル・サムスン・TSMC・SMIC等)の生産ラインに住友ベークライト製品が組み込まれる構造ができた。営業利益のシクリカル性は半導体サイクルに振られるが、トップシェアであることから、サイクル底でも一定の収益を維持する事業基盤が定着した。

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [15]1984年11月 宇都宮工場開設(半導体封止材の量産拠点)
    • [16]1989年9月 SumiDurez Singapore Pte. Ltd.に出資(本文「設立」を「出資」へ訂正)
    • [17]1989年10月 Sumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.工場開設
    • [18]1995年12月 蘇州住友電木有限公司を設立
    • [19]1998年4月 台湾住友培科股份有限公司を設立
    • [20]2000年10月 米国Occidental Chemical Corporationのフェノール樹脂事業(現Durez Corporation)を買収
    • [21]2001年8月 米国Goodrich Corporationの電子材料研究部門(現Promerus, LLC)を買収
    • [22]2003年8月 Fers Resins, S.A.U.他2社を買収(現 Sumitomo Bakelite Europe (Barcelona))
    • [23]2005年4月 Vyncolit North America, Inc.およびVyncolit NVを買収
    • [24]2002年1月 北米地域の持株会社SB Durez Holding, Inc.(現 Sumitomo Bakelite North America Holding, Inc.)を設立

顧客の生産拠点に併走する現地供給と半導体サイクルへの収益感応

半導体封止材で世界首位を取れた理由は、技術の優劣だけでなく供給の地理にある。封止材は半導体パッケージ1個あたりの単価が低く、輸送費や在庫負担を載せると採算が崩れやすいため、顧客の組み立て工場の近傍で作って届ける現地供給が競争条件となる。住友ベークライトがシンガポール・蘇州・台湾とアジアの半導体集積地に工場を並べたのは、後発が同じ品質と短納期を再現しにくい参入障壁を、立地そのもので築く動きにあたる。素材の差別化が利きにくいフェノール樹脂で培った用途密着の事業観が、半導体という最先端用途でも現地併走として表れた。

一方で、首位の事業も半導体市況の波には抗えない。連結売上高は2006年3月期の2,410億円から、ITバブル崩壊とリーマン・ショックを挟む2010年3月期には1,708億円まで落ち込み、2009年3月期には営業損益が16億円の赤字、最終損益も79億円の赤字に沈んだ。封止材は半導体の生産数量に直結するため、設備投資の前倒しと需要急減が重なると固定費が一気に重くなる。トップシェアでも単一素材に収益を依存する構造では、サイクル底での赤字を避けきれないという課題が、第二期の終盤に表面化した。

この赤字経験が、半導体一本足から事業の幅を広げる第三期の動機となる。2010年6月に社長へ就いた林茂氏は新興国市場の深耕を掲げ、「日本の化学メーカーは高付加価値かつ最先端分野で世界をリードしてきた。だが、中国をはじめアジア新興国市場(の開拓が課題だ)」(日刊工業新聞 2010/11/8)と述べている。半導体封止材で世界シェア首位を保ちながら、その収益の振れをどこで吸収するかという問いが、医療機器・モビリティ素材への拡張を後押しした。 [25]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [25]2010年6月 林茂氏が社長に就任
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [25]2010年6月 林茂氏が社長に就任

2011年〜 医療機器・モビリティへの第三領域拡張と生成AI需要(2010〜現在)

住友ベークライトの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2011年 基礎研究所と神戸基礎研究所を統合
  2. 2011年 神戸事業所内に先進技術開発研究所を新設
  3. 2014年 Vaupell Holdings(米国)の買収と川澄化学工業の子会社化による医療機器・航空機部品事業の構築 半導体封止材への依存をどう和らげるか——医療機器・航空機部品という第三領域の置き方
  4. 2019年 川澄化学工業と資本業務提携
  5. 2019年 川澄化学工業を持分法適用関連会社化
  6. 2020年 関連会社の川澄化学工業を株式公開買付と株式売渡請求により完全子会社化
  7. 2021年 医療機器事業を会社分割によりSBカワスミへ事業承継

Vaupell・川澄化学買収と藤原在任中の機能性領域シフト

第三期は、半導体封止材一本足の収益構造を医療機器・モビリティ素材の第三領域で補強する局面である。2014年6月のVaupell Holdings買収(航空宇宙・医療向けエンジニアリングプラスチック成形)と、2019年3月の川澄化学工業(カテーテル・人工腎臓回路の医療機器メーカー)との資本業務提携・持分法適用関連会社化、2020年10月の完全子会社化、2021年10月の医療機器事業を会社分割によるSBカワスミへの承継と、医療領域の事業基盤を組み上げた。 [26][27][28][29]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [26]2014年6月 Vaupell Holdings, Inc.を買収
    • [27]2019年3月 川澄化学工業㈱と資本業務提携契約を締結し持分法適用関連会社とする
    • [28]2020年10月 川澄化学工業㈱を完全子会社化
    • [29]2021年10月 医療機器事業を会社分割によりSBカワスミ㈱へ事業承継

2017年6月には藤原一彦が代表取締役社長に就任した。藤原はバイオ・高機能樹脂技術系の生え抜きで、HPP(High Performance Plastics、高機能プラスチック)事業本部長を経て社長椅子に到達した経歴をもつ。藤原在任中には、半導体封止材で稼ぐ収益を、医療機器(カテーテル・透析回路)とモビリティ(自動車向け熱硬化性樹脂・電動化部品)の高付加価値領域に再投資する経営方針が打ち出された。フェノール樹脂・成形コンパウンドのコモディティ系から、機能材料・医療素材の機能性領域へとポートフォリオの主力を移す転換である。 [30][31]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [30]2017年6月 藤原一彦が代表取締役社長に就任
    • [31]藤原一彦はバイオ・高機能樹脂技術系の生え抜きでHPP事業本部長を経て社長に就いた
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [26]2014年6月 Vaupell Holdings, Inc.を買収
    • [27]2019年3月 川澄化学工業㈱と資本業務提携契約を締結し持分法適用関連会社とする
    • [28]2020年10月 川澄化学工業㈱を完全子会社化
    • [29]2021年10月 医療機器事業を会社分割によりSBカワスミ㈱へ事業承継
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【役員の状況】
    • [30]2017年6月 藤原一彦が代表取締役社長に就任
    • [31]藤原一彦はバイオ・高機能樹脂技術系の生え抜きでHPP事業本部長を経て社長に就いた

生成AI半導体需要による2025年3月期過去最高益とサイクル後の構造課題

2024年以降は生成AI向け半導体需要の急拡大が EME 事業を牽引した。生成AI のトレーニング向け先端パッケージング(HBM・CoWoS・FOPLP等)の需要が拡大し、2025年3月期の連結売上収益は3,048億円と過去最高を更新したが、営業利益はその他費用の計上などにより248億円と前期の272億円から減益となった。中期経営計画では2027年3月期に営業利益600億円を掲げ、シンガポール・台湾・中国などアジア半導体拠点への設備投資を集中投下する方針である。

第三期の課題は、半導体サイクルの上下波動に左右される単独事業構造を、医療機器・モビリティの安定収益基盤でどこまで均すかにある。医療機器事業のSBカワスミは2021年の事業承継以降、カテーテル・人工腎臓回路の世界展開を加速しているが、グローバル医療機器市場における規模感はまだ中堅水準。Vaupell の航空宇宙・医療向けエンジニアリングプラスチック事業も収益貢献は限定的で、第三領域が EME 事業並みの収益柱になるまでには時間軸を要する。住友化学グループ内での川下機能材料担当としての位置づけを維持しつつ、生成AI需要のピークアウト後の局面に備えた事業構造再設計が、今後の経営課題である。 [32]

  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [32]2021年 SBカワスミへの医療機器事業承継(本段落の年次基点)
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
    • [32]2021年 SBカワスミへの医療機器事業承継(本段落の年次基点)

住友ベークライトの沿革1932〜2021年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
三共からフェノール系合成樹脂事業を継承
日本ベークライトを設立★★
株式上場
原田珍重日本ベークライトと住友化工材工業の合併、住友化学傘下での住友ベークライト発足国産フェノール樹脂の草分けは、なぜ住友化学の系列で一本化される道を選んだか 詳細を読む★★★
原田珍重中央研究所(基礎研究所)発足
原田珍重静岡工場を新設
宇都宮工場を新設
SumiDurez Singapore Pte. Ltd.に出資
Sumitomo Bakelite Singapore Pte. Ltd.工場を新設
SNC Industrial Laminates Sdn. Bhd.を設立
円田直人神戸基礎研究所を新設
円田直人エスエフシイと秋田地区3子会社(秋田ベークライト他)を合併し秋田住友ベークを設立
円田直人蘇州住友電木有限公司を設立
守谷恒夫台湾住友培科股份有限公司を設立
守谷恒夫米国 Occidental Chemical Corporation のフェノール樹脂事業を買収★★
守谷恒夫Goodrich Corporationの電子材料研究部門を買収
小川富太郎Fers Resins, S.A.U. ほか2社を買収
小川富太郎Vyncolit North America, Inc. と同 NV を買収
小川富太郎南通住友電木有限公司を設立
林茂基礎研究所と神戸基礎研究所を統合
林茂神戸事業所内に先進技術開発研究所を新設
林茂Vaupell Holdings(米国)の買収と川澄化学工業の子会社化による医療機器・航空機部品事業の構築半導体封止材への依存をどう和らげるか——医療機器・航空機部品という第三領域の置き方 詳細を読む★★★
藤原一彦川澄化学工業と資本業務提携★★
藤原一彦川澄化学工業を持分法適用関連会社化
藤原一彦関連会社の川澄化学工業を株式公開買付と株式売渡請求により完全子会社化
藤原一彦医療機器事業を会社分割によりSBカワスミへ事業承継★★
出典・参考
  • 企業の歴史(明治百年)(経済春秋社, 1968)
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【沿革】
  • 住友ベークライト 有価証券報告書 第134期(2025年3月期)【役員の状況】

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