この合併を対等な企業結合とみるのは、実態から遠い。日本ベークライトは国産フェノール樹脂の草分けだったが、戦後はすでに住友化学工業の傘下にあり、相手の住友化工材工業も、自らが住友化学と設けた合成樹脂工業所を源流とする系列会社であった。むしろこれは、原料と基礎化学を握る住友化学が、川下の成形・加工を担う会社を一社へまとめ直す系列内の整理統合だったとみられる。同じ親会社を戴き、資本と原料でつながっていたからこそ統合された合併であった。
もっとも、系列への合流が住友ベークライトの性格を決めたと言い切れるのは、その後の歩みを知っているからにすぎない。合併時の主力フェノール樹脂は電気絶縁材の汎用素材で、価格は市況に左右され、素材そのもので差をつけにくかった。それでも同社は、メラミン化粧板デコラのように用途と加工で付加価値を載せる作り方を早くから選んでいた。素材を量で売るのではなく使い道で稼ぐ骨格は、この系列統合の時点で据えられ、後年の半導体封止材にまで一貫したと読むことができる。