東京センチュリー自動車リース子会社をNTTとの50対50合弁へ組み替えた対等合併

100%子会社を手放し、管理台数15万台の合弁会社を選んだ2005年の判断

時期 2005年1月
意思決定者(推定) 福田光昭 社長
論点 自動車リース事業の規模と持分
概要
2005年1月31日、日本電信電話(NTT)・エヌ・ティ・ティ・オートリース・センチュリー・リーシング・システム・センチュリー・オート・リースの4社が合併覚書を締結し、同年10月1日にNTTオートリースとセンチュリー・オート・リースが合併して日本カーソリューションズが発足した。
背景
センチュリー・オート・リースは1985年に自動車リース部門を分離して設けた会社で、2004年3月期の売上高は283億円・総資産517億円であった。オートリース市場では業界内のM&Aと提携が進み、規模の二極化が起きていた。
内容
対等な立場での合併とし、法手続上はNTTオートリースを存続会社とした。合併比率はNTTオートリース1に対しセンチュリー・オート・リース0.2936。新会社の議決権はNTTとセンチュリー・リーシング・システムが50%ずつ持ち、管理台数は約15万台となった。
含意
100%連結子会社を50%の持分法適用関連会社へ組み替えたため、連結売上高からは自動車リースの計上が外れた。一方でNTTグループとの取引関係が生まれ、2013年の再合併で持株比率59.5%の連結子会社へ戻り、2020年にはNTTが東京センチュリー本体の第3位株主となった。
筆者の見解

持分を半分にして、相手を増やす

2005年の判断は、事業を売ったわけでも買ったわけでもない。100%持っていた売上283億円の会社を、50%しか持たない売上660億円規模の会社へ組み替えた取引であった。連結売上高は267億円減り、従業員は196名減った。数字の上では縮小に見えるが、扱う車両は約15万台となり、単独では届かなかった上位グループの位置に入った。持分の比率と事業の規模のどちらを取るかを問われて、この会社は規模を取った。

選んだ相手がNTTであったことが、後になって効いた。系列の需要を土台にする点で似た2社が、それぞれの親会社を対等な出資者として横に並べる。この形は2013年に東京センチュリーリース側が59.5%を握るまで8年続き、そのあいだに両グループのあいだには車両以外の取引が積み上がった。合併から15年後の2020年、NTTは約700億円を払って東京センチュリー本体の第3位株主になった。1985年に伊藤忠商事らと切り出した自動車リース会社は、相手を替えながら、親会社の株主名簿の側へ回っている。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

背景

1985年に切り出し、2000年に買い戻した自動車リース

センチュリー・オート・リースは1985年4月、センチュリー・リーシング・システムが自社の自動車リース部門を分離し、伊藤忠商事・伊藤忠燃料・大成火災海上保険と共同で設けた会社であった。設立の形も親会社と同じく、商社・燃料・損保という取引の相手を株主として並べる合弁であった。自動車リースは車両の調達・整備・保険・売却までを一体で引き受ける事業で、機械設備の賃貸とは必要な機能が異なる。分離はその違いに合わせた措置であった[1]

2000年3月、センチュリー・リーシング・システムは伊藤忠商事からセンチュリー・オート・リース株式を取得して同社を子会社化し、あわせて朝日オートリースを買収した。同年10月には両社を合併させ、存続会社をセンチュリー・オート・リースとした。2001年12月にはセンチュリー・クレジットの会社分割により自動車ローン部門の業務も移している。15年かけて自動車まわりの機能を1社へ寄せ、100%に近い持分で抱える体制がここでできあがった[2]

規模の二極化が進むオートリース市場

2000年代前半のオートリース市場では、企業が本業へ経営資源を戻し効率を追う動きに合わせて、車両管理の外部委託とコスト削減の需要が伸びていた。市場そのものは順調に拡大していたが、同時に業界内のM&Aや提携が進み、規模の大きい会社と小さい会社に分かれる傾向が現れていた。中位にとどまる会社が単独で走り続けることの難しさは、当事者4社が合併覚書で共有した認識であった[3]

両社の規模は近く、どちらも単独では上位に届かなかった。2004年3月期でセンチュリー・オート・リースは売上高283億円・経常利益8億円・総資産517億円・従業員194名、NTTオートリースは売上高380億円・経常利益7億円・総資産654億円・従業員227名であった。株主は前者がセンチュリー・リーシング・システム95.6%と伊藤忠エネクス4.4%、後者は日本電信電話100%で、どちらも親会社の系列需要を土台にしていた点も似ていた[4]

決断

0.2936という比率と、50対50の議決権

2005年1月31日、日本電信電話・NTTオートリース・センチュリー・リーシング・システム・センチュリー・オート・リースの4社は、同日それぞれの取締役会で決議したうえで合併覚書を締結した。合併期日は同年10月1日。対等な立場での合併としつつ、法手続上はNTTオートリースを存続会社、センチュリー・オート・リースを解散会社とした。合併比率はNTTオートリース1に対しセンチュリー・オート・リース0.2936で、合併交付金は支払わないとされた[5]

比率の数字とは別に、覚書はNTTとセンチュリー・リーシング・システムがそれぞれ新会社の総株主の議決権の50%を保有すると定めた。新会社の資本金は9億8,100万円を予定し、商号・本店・代表者は別途決定とされた。管理台数は合併により約15万台となり、オートリース業界の上位グループに入る。4社は業界トップ3を目標に掲げ、早期の株式公開を目指すことまで覚書に書き込んだ[6]

手放す前に、いったん100%へ買い上げる

覚書の締結に先立つ2005年1月25日、センチュリー・リーシング・システムは伊藤忠エネクスが保有するセンチュリー・オート・リース株式の全部を取得し、持株比率を95.6%から100%へ引き上げた。持分を半分に薄める合併の直前に、いったん全株を自社へ集めている。1985年の設立時から続いた伊藤忠側の少数株主をここで整理したことで、NTTとの二者による50対50という単純な株主構成を作ることができた[7]

手続はその後、覚書どおりに進んだ。センチュリー・オート・リースは2005年6月8日の取締役会で合併を決議して合併契約書を締結し、同月23日の定時株主総会で両社の承認を得た。NTTオートリースは合併に際して普通株式4,000株を発行し、センチュリー・オート・リースの普通株式13,625株に対して割り当てた。増加すべき資本金は6億8,125万円とされ、10月1日に新会社が日本カーソリューションズの商号で発足した[8]

結果

連結売上から消え、持分法投資利益として戻る

会計上の影響はその期のうちに表れた。連結子会社が持分法適用関連会社へ変わったため、賃貸事業の売上高は2005年度下期から日本カーソリューションズの分が計上されなくなり、2006年3月期の連結売上高は前期の3,338億円から3,071億円へ減った。代わりに営業外収益が日本カーソリューションズに対する持分法投資利益などで増え、経常利益は102億円から115億円へ、当期純利益は61億円から72億円へ伸びている。連結従業員数も650名から454名へ減った[9][10]

会社側はこの交換を積極的に説明した。2006年3月期の有価証券報告書は、合併により「業界トップクラスのオートリース会社を有することとなり、グループ営業基盤の強化・拡大を図ることができました」と記している。翌期以降の経営課題でも、業界上位の基盤を持つ日本カーソリューションズとの連携強化によって双方の基盤を広げる方針が、コア事業に続く柱づくりと並べて掲げられた。持分は半分になったが、扱う台数は倍近くになったという整理であった[11][12]

8年で連結へ戻り、15年でNTTが親会社側の株主になる

覚書が掲げた早期の株式公開は実現しなかったが、規模の拡大は続いた。2013年10月、日本カーソリューションズは東京センチュリーリース傘下の東京オートリースと合併し、東京センチュリーリースの持株比率は59.5%となって連結子会社へ戻った。同じ2013年6月にはニッポンレンタカーサービスの株式を追加取得して連結子会社としており、法人向け車両管理・レンタカー・カーシェアを束ねる国内オート事業の骨格が、この年に組み上がった[13][14]

NTTとの関係はその後、子会社の株主という段から親会社の株主という段へ移った。2020年2月6日、東京センチュリーはNTTとの資本業務提携を発表し、総額約938億円の第三者割当増資のうち約700億円をNTTが引き受けて持株比率約10%の第3位株主となった。同年7月にはNTTファイナンスのリース・グローバル事業を分社化したNTT・TCリースが発足し、東京センチュリーが50%を出資する持分法適用関連会社となっている[15]

出典・参考

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