16.4%の株を保有しながら、統合の話を10日前にしか聞かされなかった——新日本石油が167億円を追加で投じたのは、移転比率を有利に書き換えるためというより、説明を求める席を確保するためであったと思われる。渡文明会長は買い増しをここで止めると明言し、株主提案も白紙とした。社内には否決できるという読みもあったのに、5分の1を超える株主は、統合を壊す立場には転じなかった。異議の強さと、打った手の慎ましさが、ここでは食い違っている。
ただ、株主としての損得と事業戦略上の損失は、分けて数えたほうがよい。出資比率が20%超から3.8%へ薄まったことは金額で測れるが、痛かったのは自主開発原油を積み増す道筋のほうであった。2007年度に日量18万バレルを目指していた会社の隣に、100万バレルを掲げる連合が生まれた。その穴を、新日本石油は上流ではなく下流で埋めにいった。下流同士の大同合併を疑問視していた渡会長が水島の一体運営を主導したのは、上流で描いた絵が帝石の離脱で成り立たなくなったからである。