ENEOS HD の歴史

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創業 1888年
創業者 内藤久寛・山口権三郎
創業地 新潟県
創業
源流は1888年5月に新潟県で創立された日本石油である。1996年の特定石油製品輸入暫定措置法の廃止で製品輸入が自由化されると、10社前後が並立していた国内元売は合併と系列再編を繰り返し、燃料油需要も1999年度を頂点に減少へ転じた。日本石油は1999年4月に三菱石油と合併して日石三菱となり、2002年6月に新日本石油へ商号を改めている。2008年12月、新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合の基本覚書を締結し、2010年4月にJXホールディングス株式会社が設立されて東京・大阪・名古屋の3取引所へ上場した。初代社長には、売上規模で劣る新日鉱ホールディングス社長の高萩光紀氏が就任した。
決断
統合で規模を作り、その規模を自ら縮めてきた。発足初年度の2011年3月期は連結売上高9兆6,343億円・営業利益3,344億円で、売上の84%を石油精製販売、10%を金属が占めた。だが2015年3月期は営業損失2,189億円・当期純損失2,772億円、翌2016年3月期も営業損失622億円・当期純損失2,785億円と2期連続の赤字に終わる。2017年4月、東燃ゼネラル石油を株式交換で完全子会社とし、国内元売の5割超を握る寡占が生まれた。2020年6月にはENEOSホールディングスへ商号を変更し、統合から3年で旧JX・旧東燃ゼネラルの双方の名を外している。2022年1月に和歌山製油所の閉鎖を決めると、国内原油処理能力は193万BDから164万BDへ減った。
現況
異質な事業を切り離し、残した石油で稼ぐ形へ戻っている。2026年3月期の連結売上収益は11兆7,655億円、営業利益4,666億円。石油製品ほかが売上の88.4%にあたる10兆3,953億円を占め、セグメント利益2,924億円でも最大である。2024年4月には電気・都市ガス事業をENEOS Power、機能材事業をENEOSマテリアルへ吸収分割で移して持株会社の直下に並べたが、この非石油4セグメントの利益合計は830億円で、石油製品ほかの3分の1に達しない。2025年2月にJX金属を分離上場したことで、世界シェア6割のスパッタリングターゲットも連結から外れた。2021年10月に約2,000億円で取得したジャパン・リニューアブル・エナジーを含む再生可能エネルギーは、取得から4年を経ても9億円の赤字を出している。
競合
同業との競争より、需要そのものの減少が精製能力の配分を決めている。国内燃料油販売の5割超を握る同社に対し、昭和シェル石油との統合で規模を作った出光興産が2社目として並ぶ。規模の差は売上で11兆7,655億円と8兆1,059億円、営業利益で4,666億円と2,122億円になる。シェアで先行するENEOSは先に設備を減らす立場でもあり、和歌山に続いて2023年10月にも精製機能を止め、国内原油処理能力を29万BD減らした。非石油では両社の位置が入れ替わる。出光が高機能材で348億円のセグメント利益を出す一方、ENEOSの機能材は111億円にとどまる。JX金属という最大の非石油事業を手放したことが、石油の外側を作り直しの段階へ戻した。
ENEOS HDにおける経営の転換点(その1) Q なぜ2010年のJXホールディングスは、同業の石油元売ではなく非鉄金属を抱えた新日鉱ホールディングスとの統合で生まれたのか
A 2010年4月、新日本石油と新日鉱ホールディングスが株式移転でJXホールディングス(現ENEOSホールディングス)を設立し、両社は完全子会社となった。リーマンショック直後の原油価格急落が重なるなか、成熟した石油精製販売だけでは価格変動を吸収できず、伸びる上流開発と非鉄金属へ資金を振り向ける必要があると両社の経営陣が判断したためである。初代社長には旧新日鉱ホールディングス社長の高萩光紀氏が就き、石油・天然ガス開発・非鉄金属を三本柱に据えた。非鉄金属は2025年3月のJX金属上場まで、15年にわたり収益の一角を占めた
ENEOS HDにおける経営の転換点(その2) Q なぜ2017年にJXホールディングスは東燃ゼネラル石油まで取り込み、国内元売の5割超を握る寡占を築いたのか
A 1999年の日本石油と三菱石油の合併が集約の号砲となり、並立した元売各社は数社へ収斂した。JXが動いたのは、2015年3月期・2016年3月期と2期連続の赤字を計上し、規模を広げて精製能力を削らなければ需要縮小と価格変動を吸収できないと経営陣が判断したためである。2017年4月、株式交換で東燃ゼネラル石油を完全子会社化してJXTGホールディングスへ商号を変更し、JXエネルギーが東燃ゼネラルを吸収合併して精製・販売シェアは5割を超えた。統合効果は2018年3月期の営業利益4,875億円、翌期の5,370億円に表れた
ENEOS HDにおける経営の転換点(その3) Q なぜ2025年にENEOSは寡占で抱えた組織と資産を資本効率で選び直す経営へ切り替えたのか
A 長期のPBR1倍割れという市場の評価に対し、寡占を築く過程で抱え込んだ会社と資産を採算で選び直す必要があると経営陣が判断したためである。2025年に第4次中期経営計画を始動し、筋肉質な経営体質への転換とポートフォリオ再編を掲げてROIC経営をグループ全体へ敷いた。2025年3月にはJX金属を上場させてコングロマリットディスカウントを解消し、海運事業も一部譲渡してノンコアを手放した。集約を主導した会社が、いまは自らの組織と資産を資本効率で選び直している。

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ENEOS HDの沿革1999〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
日本石油と三菱石油の合併「日石三菱」(1999年成立)

1999年4月、石油元売り大手の日本石油が三菱石油を吸収合併し、日石三菱が発足した案件。石油製品全体で約25%のシェアを握る国内最大の元売りが生まれた。

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新日本石油と新日鉱HDが経営統合の基本覚書を締結
両社が株式移転による経営統合契約を締結★★
2010〜2016年JXホールディングス発足と2期連続赤字高萩光紀新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合とJXホールディングス設立

2008年12月、石油元売り最大手の新日本石油と、石油・金属を手掛ける新日鉱ホールディングスが経営統合で合意し、2010年4月に共同持株会社JXホールディングスを設立した経営判断。1999年の日本石油・三菱石油合併以来、10年ぶりの大型再編となった。

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★★★
高萩光紀高萩光紀が初代社長に就任
高萩光紀事業会社3社を設立(JX日鉱日石エネルギー、同開発、同金属)
松下功夫松下功夫が2代社長に就任
松下功夫通期で初の大規模赤字転落★★
内田幸雄内田幸雄が3代社長に就任
内田幸雄2期連続の赤字
2017〜2020年JXTG統合による寡占体制とENEOSへの商号変更内田幸雄東燃ゼネラル石油との統合とJXTGホールディングス発足

2015年12月、石油元売首位のJXホールディングスと同3位の東燃ゼネラル石油が経営統合の基本合意を締結し、2017年4月にJXホールディングスが株式交換で東燃ゼネラル石油を完全子会社化してJXTGホールディングスが発足した。国内石油製品の販売シェアが50%を超える巨大元売が誕生した経営判断。

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★★★
杉森務杉森務が4代社長に就任
大田勝幸大田勝幸が5代社長に就任
大田勝幸JXTGHDがENEOSHDに商号変更
2021〜2025年縮小と組み替え ── 精製能力の削減とグループの分解大田勝幸再エネ専業ジャパン・リニューアブル・エナジーの2000億円買収——石油依存からの脱炭素シフト

2021年10月11日、ENEOSホールディングスが子会社のENEOS株式会社を通じ、再生可能エネルギー発電専業のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)の全株式を約2000億円で取得すると発表した買収。売主はゴールドマン・サックス系のインフラファンドとシンガポール政府投資公社(GIC)で、大田勝幸社長のもとで進めた脱炭素シフトの中核となる判断であった。

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★★★
齊藤猛和歌山製油所の閉鎖と次世代燃料拠点への転換

2022年1月、ENEOSホールディングスは和歌山製油所を2023年10月をめどに閉鎖すると発表し、予定どおり稼働を止めた。国内需要の縮小と脱炭素に対応して精製能力を絞り込み、跡地を次世代航空燃料などの拠点に転換する事業構造改革の一環にあたる。

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★★★
齊藤猛齊藤猛社長を不祥事により解任★★
宮田知秀グループ運営体制変更、電気・都市ガス・機能材等を分社化
宮田知秀宮田知秀が新社長CEOに就任
宮田知秀JX金属の分離上場——石油元売りが抱えた半導体材料の切り出し

2025年3月19日、ENEOSホールディングスが100%子会社の半導体材料大手JX金属を東証プライム市場へ新規上場させ、保有株の50.1%を売り出したカーブアウトIPO。初値は843円、市場からの資金吸収額は4400億円弱で、2018年のソフトバンク以来6年ぶりの大型上場となった。

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★★★
宮田知秀Par Pacific・三菱商事とバイオ燃料製造販売事業に参入合意★★
出典・参考
  • ENEOSホールディングス 決算説明会資料(2023年度第2四半期)
  • ENEOSホールディングス 決算説明会資料(2024年度通期・2025年5月12日)
  • ENEOSホールディングス 有価証券報告書 第15期(2025年3月期)【沿革】
  • ENEOSホールディングス 2025年3月期第2四半期 決算説明会 質疑応答
  • ENEOSホールディングス 有価証券報告書【役員の状況】
  • ENEOSホールディングス/JXホールディングス 有価証券報告書【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】
  • ENEOSホールディングス/JXホールディングス 有価証券報告書【セグメント情報】
  • ENEOSホールディングス「当社子会社によるジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社の株式取得(連結子会社の異動を伴う孫会社化)に関するお知らせ」2021年10月11日
  • 一般社団法人環境金融研究機構(2023年3月)「ENEOS、買収で子会社化したJREにグループの再エネ資産を統合化」
  • ENEOS「石油便覧 石油産業の歴史 第2章第7節 規制緩和と業界再編の時代」

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