1897年〜 関西圏のガスインフラ構築と15年の天然ガス転換完遂
大阪ガスの業績推移:単体
- 1897年 大阪瓦斯を設立
- 1905年 大阪市内にガス供給を開始
- 1945年 神戸・京都など14ガス会社の合併吸収と近畿2府4県一元供給への移行 戦時下の企業統合を、大阪瓦斯はいかにして関西一社体制へつなげたか
- 1949年 大阪ガスケミカルを設立
- 1972年 泉北製造所へブルネイLNG導入開始
- 1975年 ブルネイLNGの導入と全供給エリアの天然ガス転換 石油系ガスの供給網を、15年かけて全需要家の機器ごと天然ガスへ切り替えるか——関西の都市ガスの原料転換をめぐる選択
- 1990年 天然ガス転換完了
戦時統合で近畿全域をカバーした都市ガス会社
1897年4月、資本金35万円をもって大阪瓦斯が設立された。1905年10月に大阪市内でガス供給を開始し、石炭ガスを原料とするガス灯・ガスかまどの時代から事業が始まっている。大阪の急速な都市化にともないガス需要は拡大を続け、大阪ガスは供給エリアを市内から周辺部へと広げた。1933年には本社ビルが竣工し、大阪を代表する公益企業としての地位を確立している。都市ガス事業は原料の輸送・貯蔵・製造設備の維持という重いオペレーションを前提とし、需要家の機器にまで踏み込んだ面倒を見る事業形態として関西の生活インフラに深く組み込まれた。電気と並ぶ都市インフラでありながら、原料調達から機器点検までを自前で抱え込む重装備の事業モデルが、関西経済圏の拡大と並走する形で育った時期だった。 [1][2][3]
- 大阪ガス 有価証券報告書【沿革】
- [1]1897年4月 資本金35万円で大阪瓦斯を設立
- [2]1905年10月 大阪市内でガス供給を開始
- [3]1933年 本社ビル(大阪瓦斯ビルヂング/ガスビル・安井武雄設計)が竣工
1945年10月、戦時統合により神戸ガス、京都ガスなど14のガス会社を合併吸収した。この合併で供給区域は大阪府だけでなく京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県を含む近畿2府4県へ拡大し、東京ガスに次ぐ国内第2位の都市ガス会社となった。東京ガスが首都圏を、大阪ガスが関西圏をカバーするという日本の都市ガス二大体制がここに成立している。戦後の1949年には大阪ガスケミカルを設立してコークス製造の副産物を活用した化学事業に進出し、1965年には大阪ガス都市開発を設立して不動産事業の種も蒔いた。ガス本業の周辺にBtoBの素材・BtoCの不動産という多角化の芽を置く経営スタイルは、形を整えつつあった。 [4][5][6]
- 大阪ガス 有価証券報告書【沿革】
- [4]1945年10月 戦時統合で神戸・京都など14のガス会社を合併吸収、供給区域が近畿2府4県(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山)に拡大
- [5]1949年 大阪ガスケミカルを設立(コークス副産物を活用した化学事業)
- [6]1965年 大阪ガス都市開発を設立(不動産事業)
- 大阪ガス 有価証券報告書【沿革】
- [1]1897年4月 資本金35万円で大阪瓦斯を設立
- [2]1905年10月 大阪市内でガス供給を開始
- [4]1945年10月 戦時統合で神戸・京都など14のガス会社を合併吸収、供給区域が近畿2府4県(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山)に拡大
- [5]1949年 大阪ガスケミカルを設立(コークス副産物を活用した化学事業)
- [6]1965年 大阪ガス都市開発を設立(不動産事業)
- [3]1933年 本社ビル(大阪瓦斯ビルヂング/ガスビル・安井武雄設計)が竣工
ブルネイLNG導入と15年の天然ガス転換
1970年代初頭、大気汚染対策とガス需要の急増への対応として、大阪ガスはLNG(液化天然ガス)への転換を決断した。1971年10月に泉北製造所第一工場が稼働し、1972年12月にブルネイからLNG船「ガディニア号」が到着している。東京電力・東京ガスと共同で契約したブルネイLNGの受入が、関西の都市ガス需要に対する新しい原料供給ラインとして動き始めた。東京ガスの1969年に続く日本の都市ガス会社として2番目のLNG導入であり、タンカー・基地・パイプラインなど巨大設備への先行投資を前提とする重い経営判断だった。大気汚染が社会問題化するなかで低硫黄エネルギーへ切り替える政策的な意味合いも、20〜25年スパンの長期契約を結んで原料を確保するLNG事業の枠組みそのものが関西のエネルギー供給のかたちを決めた時期でもあった。 [7][8][9]
- 大阪ガス 有価証券報告書【沿革】
- [7]1971年10月 泉北製造所第一工場が稼働開始
- [8]1972年12月 ブルネイからのLNGを泉北で受入開始。LNG船「ガディニア号」が1972年12月15日に泉北製造所へ到着
- [9]東京ガス(1969年)に続く日本の都市ガス会社として2番目のLNG導入。東京電力・東京ガスと共同でブルネイLNGを契約
1975年5月から天然ガス転換作業が始まった。石油系ガスから天然ガスへの熱量変更にともない、供給エリア内の全顧客のガス機器を一台ずつ天然ガス対応へ交換する必要があった。近畿2府4県にまたがる膨大な供給エリアを地区ごとに順次切り替えていく作業は、東京ガスの16年間と同等の難度をもつプロジェクトである。1977年には泉北製造所第二工場、1984年には姫路製造所を稼働させてLNG受入能力を増強しながら、機器の交換と地区別切替を並行で実施した。1990年12月、全供給エリアの天然ガス転換が完了。約15年をかけたこの事業は無事故で完遂され、SO2やNOx排出の低減と供給効率の向上を達成した。原料・製造・需要家機器の三位一体で事業構造を作り替えた経験は、以後の経営判断の基礎である。 [10][11][12][13][14]
- 大阪ガス 有価証券報告書【沿革】
- [10]1975年5月 天然ガス転換(石油系ガスから天然ガスへの熱量変更)を開始
- [12]1977年 泉北製造所第二工場が稼働開始
- [13]1984年 姫路製造所が稼働開始
- [14]1990年12月 全供給エリアの天然ガス転換が完了(約15年)
- [11]東京ガスの熱量変更(1972〜1988年)は約16年を要した
- 大阪ガス 有価証券報告書【沿革】
- [7]1971年10月 泉北製造所第一工場が稼働開始
- [10]1975年5月 天然ガス転換(石油系ガスから天然ガスへの熱量変更)を開始
- [12]1977年 泉北製造所第二工場が稼働開始
- [13]1984年 姫路製造所が稼働開始
- [14]1990年12月 全供給エリアの天然ガス転換が完了(約15年)
- [8]1972年12月 ブルネイからのLNGを泉北で受入開始。LNG船「ガディニア号」が1972年12月15日に泉北製造所へ到着
- [9]東京ガス(1969年)に続く日本の都市ガス会社として2番目のLNG導入。東京電力・東京ガスと共同でブルネイLNGを契約
- [11]東京ガスの熱量変更(1972〜1988年)は約16年を要した