ローツェ の歴史

創業

1985年

創業者

崎谷文雄

創業地

広島県福山市

直近売上高(2026/2)

1,288億円

長期業績と転換点(1997/2〜2026/2)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1985年に地方都市で創業したモータ制御ベンチャーが、半導体ウエハ搬送ロボットの世界トップシェアへ育ったのか
A 競合のいない無塵搬送のニッチへ、崎谷文雄氏の横断的な技術と「世界的にニュースとなる製品のみを商品化する」という創業の方針を集中させたからである。崎谷氏は太洋無線で電子回路を磨き、8回の転職で半導体の前工程・後工程を一通り経験していた。1986年12月のクリーンロボットは、自社のドライバとコントローラを他社品の20分の1に収め、磁性流体シールで発塵を抑えて平均故障間隔8年超の評価を得た。「占有率50%になったら放っておく」とニッチに徹する戦略が、地方発の独立系ベンチャーを世界トップシェアへ導いた
Q なぜ1996年、ローツェは中国ではなくベトナムを量産拠点に選んだのか
A 半導体投資の振れを低い費用で吸収するには、勤勉な労働力と世界有数に安い素材が要ると崎谷文雄氏が見極めたからである。崎谷氏は中国とベトナムを比べ、よく働き納期を守る人材と、世界一安いアルミ素材をベトナムに見いだした。1996年10月にハイフォン市へRORZE ROBOTECH INC.を設け、設計と営業を福山本社に、量産をベトナムに置く機能別の分業を組んだ。低コストの生産網が半導体投資の急縮小にも耐える体質を生み、店頭登録時の中堅メーカーを高い営業利益率で世界トップシェアへ押し上げた。
Q なぜリーマンショックで売上が4分の1に沈んだローツェが、装置単売からM&Aによる多角化へ動いたのか
A 装置を売って終わる収益構造の弱点が、2010年2月期の急縮小で突かれたからである。ピークの2008年2月期に136億円あった売上は、リーマンショックで2010年2月期に36億円・経常損失10億円まで沈み、保守・消耗品による安定収益の薄さが弱点として表れた。受注変動に左右されない収益源を周辺へ広げる必要から、創業家を継いだ藤代祥之社長は2023年に半導体ウエハ洗浄装置のイアスを子会社化し、ライフサイエンスを含む4件のM&Aで事業の幅を広げた

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1985年〜 崎谷文雄氏が「縁の下の力持ち」を期して創業したモータ制御ベンチャーの12年

  1. 1985年 ローツェ(資本金10000千円)を設立しモータ制御機器の開発を開始
  2. 1986年 クリーンロボットの製造販売を開始
  3. 1989年 真空用クリーンロボットの製造販売を開始
  4. 1992年 デュアルアームクリーンロボットの製造販売を開始
  5. 1993年 大型ガラス基板クリーン搬送ロボットの製造販売を開始
  6. 1996年 ベトナム・ハイフォンへの量産拠点設立と、開発・量産を分ける国際分業体制の構築 中国ではなくベトナムに量産を置き、福山の工場には何を残そうとしたか
  7. 1997年 韓国京畿道に子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONを設立

崎谷文雄氏の半生と社名ローツェに託した「縁の下の力持ち」の思想

ローツェ創業者の崎谷文雄氏は、1945年4月に岡山県井原市の農家の長男として生まれ、中学時代のラジオ修理をきっかけに電気回路の技術一筋で歩んだ。近畿大学工学部電気工学科を中退したのち東京の太洋無線に入り、船舶用の高精度なロラン受信機を開発して特許も取得した。28歳で郷里に戻ってからは、半導体の前工程・後工程を担う地元企業を渡り歩き、自ら開発した2,500分の1の分解能を持つ電子天秤の事業や、液晶製造のスピン塗布技術で知られるタツモの取締役開発課長などを務めた。合わせて8回に及ぶ転職で半導体製造を一通り手がけた経歴が、のちのローツェの製品設計を支えた。 [1][2][3]

  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [1]崎谷文雄氏は1945年4月生まれ、岡山県井原市の農家の長男
    • [2]太洋無線で船舶用の高精度ロラン受信機を開発し特許を取得
    • [3]2,500分の1分解能の電子天秤の事業、液晶スピン塗布技術のタツモ取締役開発課長などを経験、転職8回

1985年3月、崎谷文雄氏は40歳で広島県福山市に資本金1,000万円のローツェを設立し、モータ制御機器の開発に乗り出した。本社を構えた備後地区は半導体の集積地でも首都圏のベンチャー密集地でもなく、ローツェは地方発の独立系制御技術ベンチャーとして出発した。社名のローツェは、世界最高峰エベレスト(8,848m)に連なるヒマラヤの高峰ローツェ(8,516m)に由来する。目立たないがエベレストを引き立てる山のように、世界の先端企業を支える縁の下の力持ちでありたいという思いを込めた命名で、崎谷文雄氏は「技術に自信をもって、楽しみながら仕事のできる集団」を会社の理念に掲げた。 [4][5][6]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [4]1985年3月 広島県福山市に資本金1,000万円でローツェを設立しモータ制御機器の開発を開始
  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [5]社名ローツェの由来はエベレスト(8,848m)に連なるローツェ(8,516m)、世界の先端企業を支える縁の下の力持ちの思い
    • [6]会社の理念は「技術に自信をもって、楽しみながら仕事のできる集団」
  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [1]崎谷文雄氏は1945年4月生まれ、岡山県井原市の農家の長男
    • [2]太洋無線で船舶用の高精度ロラン受信機を開発し特許を取得
    • [3]2,500分の1分解能の電子天秤の事業、液晶スピン塗布技術のタツモ取締役開発課長などを経験、転職8回
    • [5]社名ローツェの由来はエベレスト(8,848m)に連なるローツェ(8,516m)、世界の先端企業を支える縁の下の力持ちの思い
    • [6]会社の理念は「技術に自信をもって、楽しみながら仕事のできる集団」
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [4]1985年3月 広島県福山市に資本金1,000万円でローツェを設立しモータ制御機器の開発を開始

「世界的にニュースとなる製品」のモータ制御3製品と資金繰りの突破

創業の翌年から、ローツェは自社開発のモータ制御技術を立て続けに製品化した。1985年9月にステッピングモータドライバ、1986年5月に超小型コントローラ、1986年12月にクリーンロボットの製造販売を順に開始した。崎谷文雄氏は「他社が販売している同等品は製品にしない、世界的にニュースとなる製品のみを商品化する」を創業の合言葉に据え、競合がひしめく市場ではなく誰も手がけない領域を選んだ。半導体製造工程ではタバコの煙の粒子より小さな塵の付着が不良品を生むため、人手を介さずウエハを運ぶ無塵のロボットが求められており、ローツェのクリーンロボットがこの需要に応えた。 [7][8][9]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [7]1985年9月 ステッピングモータドライバ/1986年5月 超小型コントローラ/1986年12月 クリーンロボットの製造販売を開始
  • 季報ほくとう 41号(北海道東北開発公庫調査情報部、1996年10月)
    • [8]創業の合言葉「他社の同等品は製品にしない、世界的にニュースとなる製品のみを商品化する」
    • [9]半導体製造工程ではタバコの煙の粒子より小さな塵が不良品を生むため無塵搬送ロボットが必要

クリーンロボットは、自社のステッピングモータドライバとコントローラを他社品の20分の1の大きさに収め、電気部と機械部を一体化したブロックごと交換できる単純な構成を取った。アームの回転部には磁性流体シールを採用して内部からの発塵を抑え、平均故障間隔(MTBF)8年超という評価を顧客から得た。もっとも創業からの2期は、ドライバ・コントローラの販売が伸びず売上6,000万円台にとどまる連続赤字だった。流れが変わったのは1986年12月のクリーンロボット投入で、半導体製造装置メーカーがウエハ搬送の自動化に採用したのを機に、3期目の1988年2月期に売上は1.3億円へ倍増した。 [10][11]

  • 通産ジャーナル 30巻9号(通商産業調査会、1997年9月)
    • [10]ドライバ・コントローラを他社品の20分の1に小型化、平均故障間隔(MTBF)8年超の評価
  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [11]創業からの2期は売上6,000万円台で連続赤字、1986年12月のクリーンロボットを機に3期目の1988年2月期は売上1.3億円へ倍増

創業期の資金繰りは綱渡りだった。設立当初は崎谷文雄氏の人物を見込んだ東京の経営者が銀行融資1億円の保証を引き受けたが、2年後の1987年に当の経営者が倒産し、銀行は担保の差し入れを求めてきた。崎谷文雄氏の人柄と技術力を高く評価する銀行員が父の田畑などの不動産を目いっぱい評価し、融資につなげて窮地を脱した。受注交渉でも、製品の水準を世界レベルとする代わりに代金を前払いで受け取る取り決めを引き出すなど、乏しい運転資金を補う工夫を重ねた。設立4年目には民間最大のベンチャーキャピタル日本合同ファイナンスが出資に加わり、のちに約4割を握る筆頭級の株主となった。 [12][13]

  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [12]設立当初に東京の経営者が銀行融資1億円を保証、1987年にその経営者が倒産し銀行が担保を要求、銀行員が父の不動産を評価して融資につなぎ窮地を脱した
    • [13]設立4年目に民間最大のベンチャーキャピタル日本合同ファイナンスが出資、のちに約4割を保有する筆頭級株主に
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [7]1985年9月 ステッピングモータドライバ/1986年5月 超小型コントローラ/1986年12月 クリーンロボットの製造販売を開始
  • 季報ほくとう 41号(北海道東北開発公庫調査情報部、1996年10月)
    • [8]創業の合言葉「他社の同等品は製品にしない、世界的にニュースとなる製品のみを商品化する」
    • [9]半導体製造工程ではタバコの煙の粒子より小さな塵が不良品を生むため無塵搬送ロボットが必要
  • 通産ジャーナル 30巻9号(通商産業調査会、1997年9月)
    • [10]ドライバ・コントローラを他社品の20分の1に小型化、平均故障間隔(MTBF)8年超の評価
  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [11]創業からの2期は売上6,000万円台で連続赤字、1986年12月のクリーンロボットを機に3期目の1988年2月期は売上1.3億円へ倍増
    • [12]設立当初に東京の経営者が銀行融資1億円を保証、1987年にその経営者が倒産し銀行が担保を要求、銀行員が父の不動産を評価して融資につなぎ窮地を脱した
    • [13]設立4年目に民間最大のベンチャーキャピタル日本合同ファイナンスが出資、のちに約4割を保有する筆頭級株主に

製品の多軸化と1996年の海外展開、BISTEC・店頭登録

製品ラインの多軸化は1990年前後から加速した。1989年11月に真空用クリーンロボット、1992年11月にデュアルアームクリーンロボットの製造販売を開始し、半導体の真空プロセスへの対応と搬送スループットの向上を実現した。1993年12月にはFPD(フラットパネルディスプレイ)向けの大型ガラス基板クリーン搬送ロボット、1994年7月にそのデュアルアーム型を投入し、半導体ウエハより大判の液晶用ガラス基板の搬送へ領域を広げた。液晶では搬送が最大の難所で、トラブルの8割が基板の搬送で起きるとされ、顧客の要請がローツェの参入を後押しした。1995年10月には液晶ガラス基板搬送ロボット・装置の製造工場を福山市神辺町道上に新設した。 [14][15][16]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [14]1989年11月 真空用クリーンロボット/1992年11月 デュアルアームクリーンロボットの製造販売を開始
    • [15]1993年12月 FPD向け大型ガラス基板クリーン搬送ロボット/1994年7月 同デュアルアーム型/1995年10月 福山市神辺町道上に製造工場を新設
  • 通産ジャーナル 30巻9号(通商産業調査会、1997年9月)
    • [16]液晶では搬送が最大の難所でトラブルの8割が基板搬送で発生、顧客要請でローツェが参入

1996年、ローツェの海外展開が一気に進んだ。同年2月にシンガポール、3月に台湾新竹科学工業園区の関連会社RORZE TECHNOLOGY, INC.(現連結子会社)、11月に米国カリフォルニア州の子会社を相次いで設け、10月にはベトナム・ハイフォン市にRORZE ROBOTECH INC.を設立して生産拠点を構えた。崎谷文雄氏が中国ではなくベトナムを選んだのは、勤勉な労働力と世界有数に安いアルミ素材を評価したためで、設計・営業を日本に、量産をベトナムに置く機能別の分業を構想した。この体制が、半導体投資の変動に耐える低コストの収益構造を生んだ。1997年11月には韓国京畿道にも子会社を設けた。 [17][18][19]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [17]1996年2月 シンガポール/3月 台湾新竹のRORZE TECHNOLOGY, INC.(現連結子会社)/10月 ベトナム・ハイフォン市のRORZE ROBOTECH INC./11月 米国カリフォルニアの子会社を設立
    • [19]1997年11月 韓国京畿道に子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONを設立
  • 通産ジャーナル 30巻9号(通商産業調査会、1997年9月)
    • [18]ベトナムを中国でなく選んだ理由は勤勉な労働力と世界有数に安いアルミ素材、設計・営業を日本/量産をベトナムに置く機能別分業を構想

崎谷文雄氏は地域ぐるみの技術集積も主導した。1992年4月にローツェ本社の食堂で始めた土曜の勉強会を母体に、1993年9月、地元の34の法人・個人による備後半導体技術推進連合会(BISTEC)が発足し、崎谷文雄氏が会長を務めた。繊維と機械の集積地である福山を日本のシリコンバレーになぞらえ、半導体の人材育成と異業種連携を地域に根付かせる狙いがあった。事業の土台がそろった1997年12月、ローツェは株式を日本証券業協会に店頭銘柄として登録し、創業12年で資本市場にデビューした。2002年2月期の連結売上高は66億円(米国会計基準)で、中堅規模の独立系装置メーカーの位置にあった。 [20][21]

  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [20]1992年4月のローツェ本社食堂の勉強会を母体に、1993年9月 地元34の法人・個人による備後半導体技術推進連合会(BISTEC)が発足、崎谷文雄氏が会長
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [21]1997年12月 株式を日本証券業協会に店頭銘柄として登録(創業12年で資本市場へ)
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [14]1989年11月 真空用クリーンロボット/1992年11月 デュアルアームクリーンロボットの製造販売を開始
    • [15]1993年12月 FPD向け大型ガラス基板クリーン搬送ロボット/1994年7月 同デュアルアーム型/1995年10月 福山市神辺町道上に製造工場を新設
    • [17]1996年2月 シンガポール/3月 台湾新竹のRORZE TECHNOLOGY, INC.(現連結子会社)/10月 ベトナム・ハイフォン市のRORZE ROBOTECH INC./11月 米国カリフォルニアの子会社を設立
    • [19]1997年11月 韓国京畿道に子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONを設立
    • [21]1997年12月 株式を日本証券業協会に店頭銘柄として登録(創業12年で資本市場へ)
  • 通産ジャーナル 30巻9号(通商産業調査会、1997年9月)
    • [16]液晶では搬送が最大の難所でトラブルの8割が基板搬送で発生、顧客要請でローツェが参入
    • [18]ベトナムを中国でなく選んだ理由は勤勉な労働力と世界有数に安いアルミ素材、設計・営業を日本/量産をベトナムに置く機能別分業を構想
  • 長銀総研L 13巻3号(長銀総合研究所、1996年3月)
    • [20]1992年4月のローツェ本社食堂の勉強会を母体に、1993年9月 地元34の法人・個人による備後半導体技術推進連合会(BISTEC)が発足、崎谷文雄氏が会長

1998年〜 ジャスダック上場とベトナム量産によるグローバル分業、リーマンショックの試練

ローツェの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2000年 300mmウエハ対応キャリアストックステーションを開発
  2. 2000年 九州工場を新設し九州FAセンターを移転統合
  3. 2003年 子会社RORZE TECHNOLOGY SINGAPORE PTE.LTD.を設立
  4. 2003年 子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONが韓国店頭株式市場(KOSDAQ)に上場
  5. 2004年 ジャスダック証券取引所に上場
  6. 2012年 ロボット・ロードポート・アライナ・ウエハ搬送システムを発表

ジャスダック上場と300mmウエハ対応・中国進出による国際化

上場前のローツェは、半導体の世代交代に合わせて製品と生産網を整えた。2000年7月、ウエハの口径が200mmから300mmへ大型化する業界の転換に対応し、300mmウエハ対応キャリアストックステーションを開発した。同年11月には熊本県菊池郡合志町に九州工場を新設して九州FAセンターを統合し、ベトナム・国内九州・福山本社の三拠点で量産と保守を分担する体制を整えた。半導体ウエハの大口径化は搬送機にも寸法対応を迫る変化で、ローツェは大口径世代への移行へ技術投資で追随した。 [22][23]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [22]2000年7月 300mmウエハ対応キャリアストックステーションを開発
    • [23]2000年11月 熊本県菊池郡合志町に九州工場を新設し九州FAセンターを統合

2003年6月にシンガポール、同年11月には韓国子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONが韓国店頭株式市場(KOSDAQ)に上場し、海外子会社が現地資本市場へ足場を広げた。2004年12月、ローツェ本体はジャスダック証券取引所に上場し、1997年の店頭登録から7年で取引所市場へ昇格した。2008年6月には中国上海市に子会社(現RORZE CREATECH)を設けて中国市場に布石を打った。業績は半導体投資の拡大を取り込み、2004年2月期の売上73億円から2008年2月期の売上136億円・経常利益18億円まで増収を続けた。 [24][25]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [24]2003年6月 シンガポール子会社設立/2003年11月 韓国子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONがKOSDAQに上場
    • [25]2004年12月 ジャスダック証券取引所に上場(店頭登録から7年)/2008年6月 中国上海市に子会社(現RORZE CREATECH)を設立
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [22]2000年7月 300mmウエハ対応キャリアストックステーションを開発
    • [23]2000年11月 熊本県菊池郡合志町に九州工場を新設し九州FAセンターを統合
    • [24]2003年6月 シンガポール子会社設立/2003年11月 韓国子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONがKOSDAQに上場
    • [25]2004年12月 ジャスダック証券取引所に上場(店頭登録から7年)/2008年6月 中国上海市に子会社(現RORZE CREATECH)を設立

リーマン後の売上4分の1への縮小と崎谷文雄社長にとって最大の試練

2008年9月のリーマンショックは、ローツェの半導体・FPD関連装置事業を直撃した。ピークの2008年2月期に売上136億円・経常利益18億円を計上したのち、2009年2月期は売上84億円・経常利益2億円へ縮み、続く2010年2月期は売上36億円・経常損失10億円・純損失7億円と、創業以来最大の落ち込みに陥った。装置の受注を主体とする収益構造は、世界半導体投資が急縮小すると振れ幅の出やすい特性を抱えており、それが数字に表れた。半導体メーカーが設備投資を一斉に止めると、製造装置に組み込まれるローツェのウエハ搬送ロボットの受注も同時に細る連鎖が働いた。

売上が4分の1に縮んだ2010年2月期は、装置を売って終わりとなりがちな事業構造の弱点を浮き彫りにした。装置の稼働後に保守・部品交換で安定収益を得るモデルへの転換は半導体製造装置業界に共通する課題で、ローツェも長期的な収益基盤の整備に取りかかった。製品面では2008年12月に真空プラットフォームと単軸ロボットを発表し、半導体製造装置向けの真空搬送機の品ぞろえを広げた。創業者の崎谷文雄氏は1985年以来この時期まで代表取締役社長を務め、縮小期の経営判断を担った。 [26][27]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [26]2008年12月 真空プラットフォーム及び単軸ロボットを発表
    • [27]崎谷文雄氏は1985年の創業以来この時期まで代表取締役社長を務め縮小期の経営判断を担った
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [26]2008年12月 真空プラットフォーム及び単軸ロボットを発表
    • [27]崎谷文雄氏は1985年の創業以来この時期まで代表取締役社長を務め縮小期の経営判断を担った

縮小からの回復と装置受注変動に耐える収益基盤づくり

2011年2月期は売上110億円・経常利益10億円・純利益6億円と一度持ち直したが、回復は長続きしなかった。2012年2月期は売上103億円・経常利益5億円、2013年2月期は売上94億円・経常利益5億円・純損失1億円と、業績は数期にわたり伸び悩んだ。装置の受注に連動して1〜2年周期で売上が上下する半導体製造装置の特性が、ローツェの数字に繰り返し表れた。装置を納めた後の保守・消耗品による収益が薄く、受注が細るとそのまま業績が沈む体質も、伸び悩みの底流にあった。

伸び悩みを抜けたのは2014年2月期で、売上は142億円・経常利益10億円・純利益4億円へ回復した。ベトナム量産による低コストの生産網と、保守・消耗品を含む収益基盤の整備が、受注変動への耐性を少しずつ高めた。折しも世界の半導体メーカーが微細化と大口径ウエハへの投資を再び増やし、ウエハ搬送ロボットの需要が戻ったことも回復を後押しした。創業から30年を控え、崎谷文雄社長のもとで築いた事業の土台を次の世代へ引き継ぐ準備が整いつつあった。

2015年〜 創業家第二世代・藤代祥之社長への承継とAI・先端半導体投資ピークの取り込み

ローツェの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2015年 自動培地交換機能搭載細胞培養装置「CellKeeper」を発表
  2. 2017年 アイエス・テクノロジー・ジャパンを完全子会社化
  3. 2017年 ローツェライフサイエンスに商号変更
  4. 2017年 バクニン省に子会社RORZE SYSTEMS VINA CO.,LTD.を設立
  5. 2020年 子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONが京畿道龍仁市に新工場を新設
  6. 2023年 イアス子会社化を含む連続買収による半導体周辺装置とライフサイエンスへの多角化 半導体搬送が最高益のさなか、なぜ周辺・異分野の買収で幅を広げたか——藤代祥之社長の多角化
  7. 2024年 Nanoverse Technologies, Ltd.を第三者割当増資により子会社化

崎谷文雄氏から娘婿・藤代祥之氏への創業家第二世代承継と東証一部指定

2015年5月、創業者の崎谷文雄氏が代表取締役会長に退き、藤代祥之氏が代表取締役社長に就任した。藤代祥之氏は1980年3月生まれで、2006年9月にローツェへ入社し、2009年11月にソフトウエアソリューション部長、2013年5月に専務取締役と昇進したのち経営トップに立った。崎谷文雄氏の娘婿にあたる姻族への承継は、オーナーベンチャーとしては独特の形を取った。崎谷文雄氏は2017年5月に取締役相談役へ退き、創業家のバトンタッチは2段階で進んだ。 [28][29][30]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [28]2015年5月 崎谷文雄氏が代表取締役会長に退き藤代祥之氏(1980年3月生)が代表取締役社長に就任
    • [29]藤代祥之氏の経歴は2006年9月入社→2009年11月ソフトウエアソリューション部長→2013年5月専務取締役→2015年5月代表取締役社長
    • [30]藤代祥之氏は崎谷文雄氏の娘婿(姻族承継)、崎谷文雄氏は2017年5月に取締役相談役へ退き承継は2段階で進行

承継後の業績は、半導体投資の世界的な拡大を追い風に伸びた。2016年2月期は売上199億円・営業利益29億円・純利益22億円、2017年2月期は売上247億円・営業利益46億円・純利益31億円と増収増益が続いた。市場区分でも、2016年1月に東京証券取引所市場第二部へ移り、同年8月に市場第一部銘柄へ指定された。2004年のジャスダック上場から11年で東証一部への指定を果たし、機関投資家の保有比率の高まりに上場区分が追いついた。1997年の店頭登録から数えれば19年を経ての一部指定で、地方発のベンチャーが全国の投資家層へ届く段階に入った。 [31]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [31]2016年1月 東証市場第二部へ市場変更/2016年8月 市場第一部銘柄に指定(ジャスダック上場2004年から11年)
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [28]2015年5月 崎谷文雄氏が代表取締役会長に退き藤代祥之氏(1980年3月生)が代表取締役社長に就任
    • [29]藤代祥之氏の経歴は2006年9月入社→2009年11月ソフトウエアソリューション部長→2013年5月専務取締役→2015年5月代表取締役社長
    • [31]2016年1月 東証市場第二部へ市場変更/2016年8月 市場第一部銘柄に指定(ジャスダック上場2004年から11年)
    • [30]藤代祥之氏は崎谷文雄氏の娘婿(姻族承継)、崎谷文雄氏は2017年5月に取締役相談役へ退き承継は2段階で進行

AI・先端半導体投資ピークの取り込みとライフサイエンス事業の育成

承継期のローツェは、半導体で培ったクリーン搬送・精密制御の技術を医療分野へ転用した。2015年10月に自動培地交換機能を備えた細胞培養装置「CellKeeper」、2016年11月に細胞自動培養CO2インキュベータ「SCALE48」を発表し、2017年3月には茨城県つくば市の関連会社を完全子会社化してローツェライフサイエンスへ改称した。これにより事業は半導体・FPD関連装置とライフサイエンスの二軸となったが、2018年2月期のライフサイエンスは連結売上の1%に満たず、育成の段階にあった。 [32][33]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [32]2015年10月 細胞培養装置「CellKeeper」/2016年11月 細胞自動培養CO2インキュベータ「SCALE48」を発表
    • [33]2017年3月 茨城県つくば市の関連会社を完全子会社化しローツェライフサイエンスへ改称(半導体・FPD関連装置とライフサイエンスの二軸)

主力の半導体・FPD関連装置は、世界的な投資の波に合わせて売上が上下した。2018年2月期は売上522億円と前期の2.1倍へ急増したが、翌2019年2月期は314億円へ4割減り、半導体製造装置に特有の投資循環がそのまま表れた。供給網の面では、2017年11月にベトナム・バクニン省へ第二の生産拠点、2019年4月にドイツ・ザクセン州へ欧州拠点を設け、米国・台湾・韓国・中国・東南アジア・欧州に及ぶ多極の生産・販売・開発の網を整えた。受注は先端ロジックとメモリ双方のメーカーの投資判断に左右され、年ごとの振れは避けられなかった。 [34]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [34]2017年11月 ベトナム・バクニン省に第二の生産拠点RORZE SYSTEMS VINA/2019年4月 ドイツ・ザクセン州に欧州拠点RORZE ENGINEERING GmbHを設立

AI・先端半導体への投資が世界で加速すると、ローツェの業績は上場以来の高水準へ駆け上がった。2020年2月期の売上371億円から、2021年2月期508億円、2022年2月期670億円、2023年2月期945億円へと4期続けて増収増益となり、2023年2月期の営業利益率は28%に達した。2024年2月期は売上932億円へ一度減速したが、2025年2月期は売上1,244億円・営業利益320億円・純利益236億円と上場後の最高を更新した。多極の生産網が、先端半導体投資のピークを取りこぼさず受け止めた。

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [32]2015年10月 細胞培養装置「CellKeeper」/2016年11月 細胞自動培養CO2インキュベータ「SCALE48」を発表
    • [33]2017年3月 茨城県つくば市の関連会社を完全子会社化しローツェライフサイエンスへ改称(半導体・FPD関連装置とライフサイエンスの二軸)
    • [34]2017年11月 ベトナム・バクニン省に第二の生産拠点RORZE SYSTEMS VINA/2019年4月 ドイツ・ザクセン州に欧州拠点RORZE ENGINEERING GmbHを設立

M&Aによる多角化と創業者が筆頭株主であり続ける所有構造

高収益を背景に、藤代祥之社長は周辺領域のM&Aで事業の幅を広げた。2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しでプライム市場へ移り、2023年3月には半導体ウエハ洗浄装置メーカーのイアス(東京都日野市、現ローツェイアス)を完全子会社化して、搬送ロボットと洗浄装置を組み合わせる提案力を強めた。2024年には6月に米国Nanoverse Technologies, Ltd.を連結子会社化し、9月にローツェライフサイエンスがジェノスタッフを完全子会社化した。2017年のライフサイエンス参入から4件のM&Aで、創業時の単一事業からの多角化が進んだ。 [35][36]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [35]2022年4月 東証プライム市場へ移行
    • [36]2023年3月 イアス(東京都日野市、現ローツェイアス)/2024年6月 米国Nanoverse Technologies, Ltd./2024年9月 ジェノスタッフを子会社化(ライフサイエンス参入から4件のM&A)

所有構造は、創業家への持株集中と機関投資家の保有増が併存する形にある。2025年2月期時点で、創業者の崎谷文雄氏が個人で発行済株式の35.12%(61,942,000株)を握る筆頭株主で、藤代祥之社長が2.99%、中国銀行が1.81%を保有する。一方、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が7.26%で第二位、日本カストディ銀行(信託口)が4.98%、バルンリバー合同会社が4.74%と、信託・機関投資家も上位に並ぶ。創業者個人の高い持株比率と機関投資家の保有が、世界トップシェアメーカーへの評価を映している。

創業から40年、ローツェの主力である半導体・FPD関連装置は世界半導体投資の波に高い感応度を示し続けたが、ベトナム量産と多極の販売網による低コスト体質と高い営業利益率で振れ幅を吸収する構造を組み上げてきた。崎谷文雄氏が築いた事業の土台と、藤代祥之社長によるAI・先端半導体投資ピークの取り込みおよびライフサイエンスの育成という二段の戦略は、地方発のオーナーベンチャーが世界トップシェアメーカーへ転じた道のりを示す。投資ピーク後の縮小への耐性、ライフサイエンスの規模拡大、創業家への持株集中のもとでの次の承継の設計が、藤代祥之社長の今後の課題として残る。 [37]

  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [37]創業(1985年)から40年(2025年時点)
  • ローツェ 有価証券報告書 第41期(2026年2月期)【沿革】
    • [35]2022年4月 東証プライム市場へ移行
    • [36]2023年3月 イアス(東京都日野市、現ローツェイアス)/2024年6月 米国Nanoverse Technologies, Ltd./2024年9月 ジェノスタッフを子会社化(ライフサイエンス参入から4件のM&A)
    • [37]創業(1985年)から40年(2025年時点)

ローツェの沿革1985〜2024年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
ローツェ(資本金10000千円)を設立しモータ制御機器の開発を開始
クリーンロボットの製造販売を開始★★
真空用クリーンロボットの製造販売を開始
デュアルアームクリーンロボットの製造販売を開始
大型ガラス基板クリーン搬送ロボットの製造販売を開始
ベトナム・ハイフォンへの量産拠点設立と、開発・量産を分ける国際分業体制の構築中国ではなくベトナムに量産を置き、福山の工場には何を残そうとしたか 詳細を読む★★★
韓国京畿道に子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONを設立
株式を日本証券業協会に店頭銘柄として登録
300mmウエハ対応キャリアストックステーションを開発
九州工場を新設し九州FAセンターを移転統合
子会社RORZE TECHNOLOGY SINGAPORE PTE.LTD.を設立
子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONが韓国店頭株式市場(KOSDAQ)に上場
ジャスダック証券取引所に上場
崎谷文雄ロボット・ロードポート・アライナ・ウエハ搬送システムを発表
藤代祥之自動培地交換機能搭載細胞培養装置「CellKeeper」を発表★★
藤代祥之アイエス・テクノロジー・ジャパンを完全子会社化
藤代祥之ローツェライフサイエンスに商号変更
藤代祥之バクニン省に子会社RORZE SYSTEMS VINA CO.,LTD.を設立
藤代祥之子会社RORZE SYSTEMS CORPORATIONが京畿道龍仁市に新工場を新設
藤代祥之イアス子会社化を含む連続買収による半導体周辺装置とライフサイエンスへの多角化半導体搬送が最高益のさなか、なぜ周辺・異分野の買収で幅を広げたか——藤代祥之社長の多角化 詳細を読む★★★
藤代祥之Nanoverse Technologies, Ltd.を第三者割当増資により子会社化
藤代祥之ローツェライフサイエンスがジェノスタッフを完全子会社化
出典・参考

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